日本の文脈

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レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100783

作品紹介・あらすじ

『日本辺境論』の内田樹と、『日本の大転換』の中沢新一。野生の思想家がタッグを組み、いま、この国に必要なことを語り合った渾身の対談集。

感想・レビュー・書評

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  • 内田先生を追っかけています。でも僕の頭ではついていけな〜

  • 本来、生態系に依存しない原子力は「神の火」であり、原子技術はいわば「荒ぶる神」をどう祀るかという問題で「神霊的」な捉え方。だから欧米での原発は神殿を模して作られており「一神教」の宗教意識が成り立っている。一方で日本はどうか?「神の火」でなく「アメリカの火」であり、「荒ぶる神」でなく「カネになる木」とねじくれた捉え方をした。原子力がカネ儲けの道具ならばコントロール可能であると勘違いし、恐怖心が抑制された。原発の設備をあれだけ粗雑に作ったのは原子力に対する恐怖心をごまかそうとしたからである。

  •  内田先生と中沢先生の対談本。

     内田本をいくつか読んだ人にはお馴染みであろうテーマ(贈与、労働、神話)が随所に散りばめられている。
     人は歴史を進行させる上でどうしようもなく「物語」を必要としているのであり、グローバル資本主義のような、機械的で非人間的な方法を採用しているといつかがガタが来る、といういつもの警句が並んでいる。
     最終章ではそのいつもの警句が311以降の日本社会とどのように対応しているか、また、これ以後どのように人は振舞えば良いか呈示されている。
     

  • 今を機嫌よく生きてくためのヒントが詰まってる。例えば、自分はいつだって仕事で起きた問題の具体的な解決策を考えたい性格なのだけれど、実際どうにもならない問題はたくさんあって、うーってなって、へこんだりする。でも、「東洋の学びは正解よりも成熟を目指す」という章を読んで心が軽くなった。成熟は即答を求めない。時間の経過に身をおくうちに世界の相貌が変わっていく。その変化を思い知るのが知的な成熟である、という言葉など、視界がクリアになるような感じでした。

  • 面白かった。
    『呪いの時代』と言ってること自体はあんまり変わってない。

    贈与の重要性を言っておかなければ、焦りじゃないけど、
    そういう必要みたいなのに駆られてる気がした。
    あぁ今の日本って私も含めてほんとに余裕がないんだなと感じる。
    こういった重要性を説かなければいけないくらいには余裕がない。

    でも、だから日本はもう駄目だよね、ってなりすぎない。
    私がこの人の書くものが好きな理由はそこなんだなと思う。

    必要以上に悲観的にならない。否定的にならない。
    いつも「じゃあどうしたら日本が日本として生きていけるか」
    っていうのが考えられて示されている。
    海外に追従する形じゃなくて日本として生きられる形を探る。
    そういうところが好きだなぁと思いました。

  •  最近内田さんの本の内容がスピリチュアルな方向に向かってる、といくつか前の本にレビューで書いたのですが、

     それをうまく、「あぁ、そういうことか。」と説明していた対談本だった気がする。

     個人的に、東日本大震災が、我々の生き方の転換点になる、というような受け止め方がまだできていない気がするのですが、

     ただなんとなく、教育現場に身を置いている存在としては、

     今までの価値観では通用しない何か、をまだ言語化できていないけれど感じる。

     それをいち早く察して、世に送り出している本なのだと思う。


     わたしには、何ができるのだろう。

     「これからの贈与社会」。教育とビジネスを同じくくりで考えてはいけない、という考えから一歩進んで、踏み出していく必要性を突き付けられた。

     ただ、教員として、わたしは、生徒さんに何も贈ってあげていることができていないのではないか、というジレンマをものすごく感じる。

     生徒さんから未だ、色んなものを、貰うばかりなのだ。

     還元していかなくちゃいけないのに、貰ったものは手に有り余るほど大きくて、日々の関わりに感謝せずにはいられない。自分がここに居させてもらえる喜び。わたしはどう、彼らに返してあげられるのだろう。


     授業の終わりにいつも書いてもらう反省と感想に、毎時コメントを書くことや、担任に諌められたときの、副担任としてのフォロー、毎日機嫌よく過ごして、生徒の皆さんに、働くことって、誰かのかかわりになれるって、嬉しいことなんだと伝えること、分掌の仕事として、悩んでる子はいないか、悩んでる子はどう対処のアドバイスしていったらいいか対策練ること、


    そんな些細なことじゃ、全然足らん。申し訳ない。

     これから、一人で生きていかなくちゃいけないってなったときに、日々の生活の中で、誰かにかけられた馬鹿みたいに些細な一言が、生きる上で思いがけないくらい大きな支えになるっていう経験が、私にはあるのだけど、おこがましくも、たった一人でいいから、誰かのそんな風な支えになりたいと、願う。


    わたしは、大学を出るときに、
    「お前が教員やるの?」って複数の人に言われたw

    自分でもそう思った。

    だから、初めてもらったお給料に、自分はこんなお金をもらうに値しない人間だと思って、

    あぁ、働くって、こうやってわたしに投資してくれたことに対しての恩を返していくことなんだと思って、5年の月日がたった。

    未だ、わたしは、日々のお給料をもらうに値しない人間だと思い知らされる。

    働くことをやめるとき、わたしは、
    もう十分やった、なんて充足感、覚えられるんだろうか。

    頑張りたい。もっともっと、頑張りたい。

    なんかたぶん、本とは全然関係ないのだけど、
    この本を読んで、そんな事を思った。

  • 面白かった。
    同い年の思想家同士の対談。
    放談と言えるくらい話は自由に広がってはいるものの、一貫した俯瞰というか、人類史を前提とした継続性を前提として現代を読み解いている。

    面白い本でした。
    こういう勉強もっとやってみようかな。

  • 地名やら哲学者やらは勉強不足のため分からなかったが、日本人の特性やビジネスモデルで語れないものの理解が深まった。

    また読み直したい一冊。

  • 「希望論」で感じた足腰の弱さ。
    それは時間的スケールの短さがその原因なんだろう、
    と、本書を読んで思った。

    本書は、
    「希望論」と似たような結論に至っているのだけれど、
    反面この二人の人間の原初を見つめるまなざしは、
    強靭な身体性を伴って確かな実感を与えてくれる。

    ここで言われている「男でおばさん」というのは、
    わたしが昔から思っていた「中性的」であろうとする構えと似ている。

    もしかしたら、
    レディオヘッドやジェフ・バックリーやシガー・ロスや七尾旅人の音楽に惹かれるのも、
    こういういった志向と無関係ではないのかもわからない。

    また、
    ドラクエにおいて、メガンテよりもメガザルが好きなのも、
    メガンテの「自己犠牲による敵の殲滅」という攻撃的(父性的)なものより、
    メガザルの「自己犠牲による味方の救済」という包摂的(母性的)なものに、
    より価値を見出しているせいかもわからない。

    なんにしろ、
    様々な問題の最先端を行く日本の動向が、
    世界の道しるべになるということを肝に銘じておけば、
    案外毎日機嫌よく過ごせるような気もしている。

  • いや、相変わらず面白いです。京都の地形とか、能とか、とにかくいろいろ勉強になりました。

  • 12/02/03。

  • 日本的なものの見方・考え方と、西洋的・キリスト教的ものの見方・考え方を対話を通して考えさせてくれる良書。内田樹さんの「日本辺境論」と中沢新一さんの「日本の大転換」は別途読まないといけないね。

  • 対談の面白さは この本のように 知識と知識が ぶつかり合って 潰し合うことではなく、対談によって 知識が積み上がっていくことだと思った

    2人の思想のエッセンスが たくさん 盛り込まれており、読みやすいけど 咀嚼に時間がかかった

  • ・教える人は教壇に立って、生徒はノートをとる。時代が変わってもあまり変わらない。ということは理解できる以上の仕掛けが組み込まれている可能性。学校・医療・親族・司法・宗教など。よくわからない決まりごとについては軽々に理非を判断すべきでない。
    ・交換の本質は、おたがいに、相手いにはその価値や有効性が分からないものを送る、そのような贈り物だが交換を継続し加速する。ここに交換の欲望が発生する。
    ・日本人はエッセイが得意。堅固な構築物を作るように哲学として思想を表現するよりも能楽・茶道・華道などの芸道として表現した。
    ・スーパーフラット:日本人は平面化して薄くするのが得意
    ・本に書いてあるものを読んで、分かった気になるのは非常に危険
    ・伝統芸能は、伝聞ゆえに、中空性を維持している
    ・日本人に国家は向いていない。地域共同体ぐらいがちょうどいい
    ・ユダヤ人になくて日本人にあるもの:農業と里山文化
    ・自分のローカリティ−を徹底するのが日本人にはよい。世界を目指すのではなく、ローカルを突き通す。
    ・メンバー全員が平等である、という前段階として、メンバーであるかぎりは同一のルールに従わなければならない、という制約がある。
    ・社会が上り坂の時は民主主義がうまく働くが、マイナスに働く時期もある。
    ・民主主義をうまく機能させるにはつねに贈与する人やシステムが必要
    ・医療・教育・宗教は根本に贈与があるのでビジネスが入るとダメ。
    ・Time is time.
    ・米国の介護施設は万人受けするように合理化して作ったが失敗。
    ・自然にいいことだけしよう、という発想が無理。エコの考え方の限界。
    ・非生体圏の核技術と生体圏のタービンと媒介する部分の技術が脆弱
    ・自然は征服するものでも守るべきものでもない。恵みをもたらしてくれるもの
    ・廃県置藩
    ・地域通貨:通貨の中に人間関係が入っている。言語や食べ物を共有する小さい範囲の中で人間関係を大事に作っていくところに戻るべき

  • おばさん的なおじさん(本文より)二人の対談。
    僕もこれからおじさん化していきますが、おばさんみたいな(女性ジェンダー化した)おじさんを目指そうかと思いました。
    「俺は男だ!」って意気がると、日本ではろくなことがないいたいです(笑)。

    確かにそうかも知れません。
    アカデミズムの世界なんて肌に合わないし、やっぱり田舎にかえって農業でもやりたいな~と思いました。

  • 対談集で、ときどき鼎談になる。
    2人とも学者というより、文学だ。
    読んでいるうちに、眉がつばだらけになってしまった。
    でも、示唆に富んでいる。

    本を量産するお二人だが、タイトルのつけ方は、内田がいい。

  • 文庫になってから読めばよいかとも思ったけれど、3.11以降の生の話もあるので、早めに読んだ方がいいかと思って、買って読んだ。2人の書いたものはいくつも読んできているので、どこかで聞いたことのあるような話が再確認できた。医療・教育をビジネスとしてはいけないということ。贈与する・されるものであって、お金で医療・教育サービスを買うという発想はいけない。もともと医者と患者、先生と生徒は対等ではない。こういうところにはビジネスは成り立たない。最近、奥歯が痛くて何回も歯医者に通っているが、いっこうに治らない。治療代を返してほしいと思うほど。そこで、すぐに気付いた。自分がしているのも(その歯医者と)同じこと。これだけお金をつぎ込んだのに不合格になった。金返せ!と言われても仕方ない。そうはならないところにあぐらをかいてビジネスをしてしまっている。そんなふうに思ったことはないけれど、そうとられても仕方ないのかもしれない。ここはもう少し考える必要がある。しかし、著者はいずれも長年私立大に勤務してこられた。その点はどうなんだろう。本書を読んで何よりおもしろかったのは、2人が同じ時期に東大で学生だった、けれど、そのときには出会っておらず、中沢新一が若手でデビューしたとき、同年代の内田樹は応援したり、羨望したり、やきもきしたりしていたということ。そして、中年になってからであって意気投合しているのだそうです。読みかけになっているレヴィ=ストロース「悲しき熱帯」は読まないといけないと思った。

  • 内田樹と中沢新一の対談本。
    同じ東大の同期生ということで意気投合しているようだ。

    内田は対談だと話にまとまりがないが、それを「男のおばさん」だからと自称しているのがおもしろい。あいかわらず反フェミニズムの話を持ち出してくるが。



    他の類書で似たような考えが出てくるが、対談したたまものなのだろうな。

  • 脳みそで考えるんじゃない、身体が感じることが真実。
    そこに向けて、ただひたすらに感覚を磨いていく。
    それが道を指示してくれる。

    人間が禁忌に感じることは、本当は本能でもとめることなのかな。

    ありもので間に合わせる技術と、最悪を過程した手順を考える。

  • 内田先生、あいかわらずの安定感。
    でも「ハッ」とするような(僕にとって)素敵なフレーズが以前ほどなくなってきたのは、僕が成熟したせいなのか、はたまた、、、。

    いずれにせよ、本書に限らず、内田さんの本は合理主義一辺倒の若い人に読んでもらいたいな。
    良かれ悪しかれ何らかの影響を受けると思うし、そのこと自体は慶賀すべき体験だと思うから。

  • これも震災前後の対談集

    特に原発問題の意見は必読

  •  今回のは、かなり難しかったです。笑えるところはありませんでした。シリアスな内容です。これはっ、と思うところには印をつけたので、今後読み返していき、理解を深めたいです。

  • これを読むと農業をやりたくなります。

  • 文脈ということばにこだわりがあり、タイトルに惹かれて手に取りました。
    同じことをしていても、文脈が違えば意味することが変わります。
    何もかも外国の真似から入るというのではなくて、
    日本が背負っている歴史や社会の背景をもっと整理してものごとを考える時期に来ているのかもしれないです。
    それが日本の文脈ということでしょうか。

  • 中沢新一と内田樹の対談集。

    要所要所に「お!」と思うポイントがあるのだけど、私はそれで終わってしまう。「おばさん」よろしく、飲み会でダラダラ話しているあの感じと似てる。

    物足りないような気もするけど、「お!」って思うポイントで思い切り論破されてもキナ臭くなりそうな気もするし、結局そんなポイントを自分で勝手に解釈しながら日々の微調整に役立てている、といった感じでしょうか。

    全体的にすぐに何の役に立つ訳でもないけど、考え方とか、何を大切なものとするかとか、そういうのはめちゃんこ面白い。それは人生に生きているのかと言われれば微妙なんだが。あくまでスパイスかしら。

  • グローバリゼーションによる経済効率優先、競争原理から一歩距離をおき、日本が持つ利点をベースに現代社会を再構築、俯瞰。宗教論、農業の重要性、身体性への復権、311以降における原発問題への言及、贈与の意義。固定概念を覆すヒントとなる1冊。

  • やっと読み終わった。
    日本社会、教育、宗教、原発など様々なテーマについて内田樹と中沢新一+αが語り合ったことをまとめた1冊。読み応えがあります。

    印象に残ったのは以下の二つ。
    「教えたいことがある人が、無理して学校を始めたわけなんです。近代日本における大学なんか、別に市場の要請があって創建されたわけじゃない」p247
    →今は市場の要請に左右されてる学校もたくさんあるから、この考え方はなるほどと思った。むしろ今は市場の要請(学歴が高くなくて安く使える労働力を、国内でたくさん供給して欲しい)で、国は大学潰そうとしてるしねー。

    「日本人は原子力に対してまず「金」をまぶしてみせた」p324
    →ブログの内容の転載なのですが、読み損ねてたらしく目から鱗でした。原子力というよく分からないものをお金というフィルターを通すことで、日本人は通俗化させて手懐けようとしたのだという主張です。

    あとハリウッド映画には「予期せぬ事態に対して、自分がなんとかしてやろうと奮闘するヒーロー」がよく描かれるけど、日本映画ではほとんどない(そういうところからも、アメリカと日本の「もし最悪の事態が起こったら」に対する姿勢が現れているらしい)というのも面白い主張でした。

  • 難しいけど、いいです。
    納得して読める、役に立つ。
    知識欲が高まる。

  • 独特のとらえ方をしているのだろうけど、なんか惹かれるものがなかった。対談ということが主張をあいまいにしているせいか? それともあまりにも文系指向な論調が合わないせいか?

  • 中沢氏(内田氏を称して)「とても弾力のある言葉」p23

    【ブリコラージュ】
    「ありもの」で用足しをすることをレヴィ=ストロースは〜と称した。p61

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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