究極のドラッカー (角川oneテーマ21)

  • 角川書店
3.97
  • (23)
  • (28)
  • (19)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 297
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100851

作品紹介・あらすじ

ドラッカーの教えを実際に受けたベストセラー「財務3表一体理解法」の著者が、その思想をわかりやすく解説。いままでの入門書には書かれなかった体系的な解説で、今度こそドラッカーの知識をモノにせよ!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 若い頃は何もかも学生時代とは違い、次々と仕事の実務的な面を覚えていくしかなかった。会社がどうとか、自分の役割が何だとかいちいち考えず、只ひたすら技術や知識を身につけるしか無かった。そうしなければ「役に立たない、役に立てない」からだ。だが時も経ち、立場もかわり人を預けられるようになり、必然的に人を動かして目的を達成する事の大変さも面白さも知るようになっていく。知りたくて知ったんじゃない、そうしなければ目標も達成できないし、達成すればそれが自信に繋がり、もっと大きな事がしたくなる。それをずっと繰り返す。更に大きな人数を任せられる事で、成果も飛躍的に大きくなってくる。きっとその頃には誰もが一度は目を通すのでは無いか、そうドラッカーだ。
    正直スキル・知識だと思って若い頃は読んだ。仕事でもそれらしい事は言ったりやったりしていると思う。だが、本質的な部分を理解していたかと質問されれば、きっと解ってなかった。だから、本来ならもっと大きな成果を挙げられるはずだといつも悩んでいた。ドラッカーに触れたのは久しぶりだし、正直そんなの知ってるよ、と言った内容も多いだろうと思っていた。だが本書は少し違う。勿論エッセンシャル版などを読んでない方も、読んだ方も両方楽しめる内容となっている。寧ろ読んでない人、若しくは若くしてマネージャーとなり、大量の部下を任せられた人、現場で多くの人員管理を任せられた人、マネジメントが必要になったばかりの人でも、本質的な部分から理解するには最適かもしれない。もしドラを読むともっと解りやすいものなんだろうと思うが。
    改めて今の自分の所属する会社の使命、そして必要な機能として組織化された私の所属部署、更にはその中での私の役割について考える。そうやって本質的な部分からスッと入ってくる。きっと読者の中には私と同じように、真っさらな紙に自分の強みや弱みを書き出しながら読んでいるかもしれない。そして自分が任されたメンバーについても、同じように強みや弱みを書いて、目指す組織像とマネジメントの仕方などを一緒に書き出しているかもしれない。
    日々、目の前には大小様々な問題が湧き上がってくる。相談の行列を作る部下たちに、スマホには社外の営業さんやら、SEさんからの不在着信が溜まる。来るボールをバッティングセンターの様に次々と打ち返しているだけの時間(と、労力)。21時の時計を見ると、よくわからない達成感。忙しさに安心しているだけの自分。そんな私と同じ様な状況にある方は、ぜひ時間を作って読むと良い。何か明日からの動き方が変わるきっかけにはなると思うし、寧ろそうしなければ、いつまで経ってもただの人止まりだ。
    さて、その中身といえば、ドラッカーの活躍した時代背景からどの様な経歴でマネジメント理論を確立していくか。そして同じ様に理論的に確立してきた他の学者達との基本的な考えの違いに気づく。何より実践と成果を意識し続けたドラッカーが打ち当たる現実という壁。常に現実が周りにある事は、更に現実を見なければならない事の大切さを教える。その中で一番重視されたのは、生きている人々そのものの幸せであり、社会への貢献と、共に働く従業員の幸せ、達成感や成長を重視している。その考え方がベースにあるからこそ、会社が何を為すべきか、そしてそこに働く従業員とマネジメントの力が必要になる。ドラッカーに言わせれば、目的を持った組織はそれ自体の存在を目的にするのではなく、あくまで他にある目的の達成に目を向ける。それは人間の臓器、例えば心臓そのものが鼓動を続けるのは心臓のためではなく生きる為である。人の器官が外に目的を持って機能していると説く。目から鱗なのは、会社の最大の目的が、顧客満足ではなく、顧客の創造そのものであるという言葉だ。つい満足する姿を思い浮かべて満足してしまうのだが、満足の先にはそれを必要とするお客様の姿、欲望があり、想像し続ける事が必要なのだ。本当に顧客が望むことを考え、自社のサービスを購入し続けるから、会社が存続できる。存続するから税金を払うことで更に社会は良くなるという展開。自社が闘う事業エリアをそこに定め、的確な目標設定に基づき、達成し続ける事が重要なのである。従業員を高いモチベーションで成果を上げさせるにはマネジメントの力が不可欠であるから、いよいよマネージャーが為すべきマネジメントに話が進む。ビジネス書で解りやすい手法をただ実践するのとは違う、中身のあるマネジメントが可能になる。
    そして、会社がその様に生き生きとサービスを展開し、社会貢献し続けるために、イノベーションが必要になる。同じ商品・サービスだけで100年継続する事は難しい。だから世の中の変化、抱える課題、社外のニーズ、社外の産業構造の変化、今の時代に大きな影と影響を及ぼす人口構造の変化、人々の指向の変化、最後に知識の変化と様々な要因でイノベーションが起こることを学ぶ。偶然がもたらすイノベーションもあるかもしれないが、そうした変化に機敏になる事がイノベーションに近づく最も解りやすい方法である。会社は変化に合わせ変わり続けなければならない。変化を無視すれば容易に取り残され、社会から淘汰されていく。終章では自分が何を為すべきかについて改めて考えていく。たった二百ページちょっとの新書サイズながら、この辺りで自分の心の変化に気づけるだろう。
    是非本書を手に取り、そしてもう一度ドラッカーの数々の書籍を読み直してみると、今までとは違う新たな気づきが得られるかもしれない。後半はそれを楽しみにワクワクしながら読んでいる自分がいる。さあ、明日から新しい自分のスタイルを早速実践しようじゃないか。

  • 「もしドラ」で有名になり、ドラッカーに興味を持った。
    そこで実際にドラッカーの著作を読んでみようと思ったところ、著作も多く、何を読んでいいのかわからない
    ならばと、ドラッカーの解説系の本を読もうとするも、いわゆる「超訳」的なドラッカーの格言+著者の意見というものばかりで、ドラッカーを理解するには至らない

    その点、本書ではドラッカーの著作そのものをベースにして、「組織」「マネージャー」「イノベーション」「自己実現」の4つの分野を中心に解説している
    そのため、この本を読めば、ドラッカー経営学の全体像とその本質を理解して、組織とは何か、マネジメントとは何か、仕事を通して人間が幸せになるとはどういうことか理解できます(と「まえがき」に書いてあります)。

    なお、キンドル版は目次で飛ぶ機能がないので読むのが大変だった(当時)
    こういう本は、「本」で買うべきと痛感する。

  • ドラッカーのマネジメントを読んだが、内容について補足したかったので、本書を購入。ドラッカーの考え方をわかりやすく説明しており、解釈に役立った。人間が、それぞれの強みを活かした成果を達成する組織が、ドラッカーのいう良い組織だと考える。

  • 研修でドラッカーを習ったので、読んでみようと購入。
    目からうろこ。あぁ、だからかってことがたくさんあった。迷った時に読むといいかも。別に経営者じゃなくてもいいし、リーダーでなくてもいい。
    働くことについて、うだうだ考える前に読むといい。
    なんだかんだいったって、この国の社会ではなく、この世界の構造なのである。人間の、ね。

  • 人間は機械と異なり、仕事量はすぐに何百倍にも拡大することが出来る。
    そんな人間を中心に考えた、人間がいかに幸せになれるかやどうすればうまく効率を上げられるかに焦点を当てた組織マネジメントを学べる。
    人間本位であるゆえに、感覚的な部分にもしっかり領分を与えるところが良い。
    さらに、企業の3つ目の目的として「社会に貢献すること」を挙げている。これは、自己中心的な合理化を戒める意味でドラッカーの素晴らしいところであると思う。

  • ドラッカーの解説本。ドラッカー本は読んだことがないのでこの本がどの程度噛み砕いて解説されているかわからないが、まだ難しい・・・。一度読んだだけでは理解できないことが多い。

    ただ、心に響く言葉はいくつかあったので、ドラッカーに興味を持てる内容だった。

  • 「マネジメント」を中心に、ドラッカーの理論をまとめた1冊。以前読んだ本の内容を思い出すことができたのはよかったかも。

    ドラッカー理論の根底には、人が社会でいかに幸せに働くことができるかという問いかけがある。多くのビジネス書や経営理論との違いがそこにあり、また、日本で特に人気が高い理由でもあると思う。

  • ドラッカー入門書として高く評価します。

    ・マネジメント理論を貫くドラッカーの人間観、思想、哲学を丁重に扱っている
    ・マネジメント理論が体系的・統合的・正確に解説されている
    ・言葉は平易で、文章の組み立ても読みやすく仕上がっている
    ・ドラッカーを深く知りたい人にむけて、読むべき書籍を順番にオススメしている

    ドラッカーへの敬意と読者への配慮が感じられる良書でした。
    特にドラッカーの理論をたとえ話や解説で交えつつ、元の意味を崩さないように正確さを保とうとする姿勢に好感を持てます。

    後書きでも少し触れられていますが、昨今のドラッカー本の氾濫に対する危惧と歯がゆさから、そうした姿勢を取られているのかもしれません。

    また、著者はドラッカーの授業を実際に受けていらっしゃるので、その小話も必見です。

  • ドラッカーの解説書。ドラッカーの本は読みにくいので、この本を読んで良かった。わかりやすく解説してくれている。

  • ドラッカー入門の最適新書

    本書を知ったきっかけは國貞さんの代表作
    「財務三表一体理解法」
    自他共に認める國貞さんの物事を構造化して、
    全体像(森と木)を分かりやすく伝える力が最大限に集約されていた。

    ドラッカーの言葉はなにより共感性が高い点が魅力だと初めて学べた。

    その原点にあるのがドラッカーの最大の興味である「人間の幸せ」である。

    ドラッカーの言葉は以下2点のように本質を突く。
    ・論理的に整理された本質
    ・論理では分からないがだれもが納得する本質

    社会や企業を生き物として見る前提を持っていた先見には圧倒された。

    企業の目的は顧客を創造すること。
    基本機能は
    マーケティングとイノベーション
    前者は、顧客、市場を知り我が事のように理解すること、ポジションをとること。
    後者は、利益につながる事業機会を生み出すこと。

    マネジメントとは、、、
    ・組織の目標と成果に責任を持つ
    ・働く人に成果をあげさせる
    ・仕事の生産性を高める
    どれも本質であり原則(圧倒的…)

    組織の一人一人が「仕事そのもの」に意識が向いていることが前提(肉料理の美味しさの本質の例えが明快…圧倒的…)

    企業の真髄に迫る各種ドラッカーの教えだが、
    原著ではさらに難題である非営利組織や教育のあり方にも訴求している点、非常に興味深い。

    今自分が悩んでいることの大半はドラッカーにより、道すじが示されているように思う。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ボナ・ヴィータ コーポレーション
1961年生まれ。83年東北大学工学部機械工学科卒業後、神戸製鋼入社。海外プラント輸出、人事、企画、海外事業計画に従事。96年米国ピーター・ドラッカー経営大学院にてMBA取得。2001年、経営コンサルティング会社を設立して独立。中小企業を中心に、企業の経営企画、人事、会計財務面をサポートしている

「2022年 『ドラッカーが教えてくれる「マネジメントの本質」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

國貞克則の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×