- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041101087
作品紹介・あらすじ
ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの二人の青年の愛と孤独を描くせつない青春小説。NEWS・加藤シゲアキ渾身のデビュー作。
感想・レビュー・書評
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エキストラの仕事などで、細々と芸能活動をしている主人公の河田大貴。彼は、大ブレイク中のトップ俳優、白木蓮吾と幼馴染である。子供の頃から一緒に育ち、大学時代はルームシェアまでしていた二人だったが、白木がブレイクするにつれ、二人の溝は深まり、最後には完全に決裂してしまう。やがて、二人の再開を機に、物語は新たな展開を迎える。
言わずと知れたアイドル、加藤シゲアキさんのデビュー小説。その話題性に惹かれて読み始めましたが、綺麗に纏まっていて、とても読みやすかったです。
この小説では、過去と現代を交互に描いているのですが、それで混乱することもありませんでした。むしろ、現代で意味深に描かれていた描写の真意が過去のパートで明かされた時には、点と点が繋がる快感を覚えました。
また、表現も個性的なものが多く、この著者の強みになっていると感じました。例えば、壁に投げたボールが跳ね返って投げた人の眼鏡を弾き飛ばし、さらにもう一度壁に跳ね返って顔面に当たったシーンでは、「まるで777が揃ったパチスロのようにリズムと緊張があり、そして流れ出るパチンコ玉に倣って僕らはどっと騒がしく笑った」という表現をしていました。ボールが当たった様子をパチスロに例えるのは中々、思いつかない例えだと思いますし、その後に見ていた人たちが笑っている様子もパチンコに絡めて表現しているのは練られているなと唸りました。もしかしたら、ボールが「当たる」とパチンコが「当たる」もかかっているのかもしれません。
ただ、このような凝った表現が頻出するので、却って気恥ずかしくなった面もあります。描写だけでなく、章のタイトルが全て飲み物で統一されている所や、とある人物が大人になって再登場したシーンなど、小説を好きな人が初めて小説を書いた時に使いそうなギミックだなと思い、自分の書いた小説を思い出したりして、何となく居た堪れなくなってしまいました。
ただ、話が進むにつれ、共感生羞恥も段々と薄れていきました。特に最後の劇中劇にはグッと引き込まれて、この小説の中だけでも、作者の成長を感じました。一作の中でこれ程、伸びる人も珍しいのではないでしょうか。最新作のオルタネートも直木賞にノミネートされていましたし、加藤さんの作品を追ってみたいと思わされました。
まとめますと、所々、表現のクドさが気になりますが、それ自体は分かりづらい物ではないですし、話の展開も、やや重いものの読みやすいので、エンタメ小説を楽しみたい人にはオススメしたい小説です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作者のデビュー作。
2人の若者が芸能界を目指して1人が有名になっていく。しかし芸能界ならではで心が苦しくなって自殺をしてしまう。逆に亡くなった親友の代役を演じたことにより、有名になっていくという芸能界ならではの話。 -
娘が NEWS のファンで、購入してあげた一冊。
好きなグループの一員が書いた小説ということで、読書が苦手な彼女も、珍しく読書に時間を費やしていた。
ジャニーズの小説なんて、一体どんなものだろう?という単純な動機で、休日にページを開いてみた。
どうせ会話文と空白だらけのろくでもない小説なのだろう??という先入観で読んでいたが、これがどうもそうでもない。
芸能界の話なので、感情移入するというのは難しいが、文章も美しいと感じたし、上手に伏線が張り巡らされていて、読書の喜びも十分に感じさせられた。
話に引き込まれ、2日で読み終わってしまった。
お話としても面白かったと思う。
娘が購入した他の彼の作品も、娘が読み終わったら読んでみたいと思う。 -
ごっちとりばちゃんはいつも一緒で、きっとお互いを分かり過ぎるほど理解し合っていたのに。
違う名前をもらってしまったばっかりに、どんどん離ればなれになってしまう。
作られたものに自分が飲み込まれたら、自分は消失してしまうのだな。結構、衝撃的だった。 -
予想外に面白かった。
前半の思わせぶりな文章が後半に伏線回収され
えー!そういう展開!?と驚いた
後半戦、スピード感あり
あっという間に読み終えた
あと、装丁が好きです。
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ジャニーズが書いた小説だし
という思いがあり、避けていたが
オルタネートが直木賞候補となったことで読んでみた。
読んでみてびっくりした。
もっと早く読んでおけば良かった。
語彙力がなくて表現出来ないが
読んでよかった。楽しかった。 -
正直、大したことないだろうと思って読み始めたが、後半から、前半の意味が理解できて、非常に良いと思った。
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一気に読んだー!
青春の瑞々しさと苦悩、芸能界の孤独、
幼き頃のキラキラした想い出
劣等感、虚無感、焦り…
そんな色々な物を感じさせて。
どこか居心地が悪い不安定な感じを主人公と共感して。
いやぁすごかった
読んでみないと、この感覚はわからないと思うので
まだ未読の方は是非に!
NEWS加藤くんが書いたから、
って軽い気持ちで読み始めたのを後悔するくらいの沼
途中から物語にどっぷりはまって
加藤くんのことも忘れていたけれど、
読み終わって際だってリアルに感じるのは
現役アイドルの彼の綴った言葉だからなのか
時間を置いて再読すべき一冊 -
生々しくて、リアルで。
苦い痛みが走る青春小説。
肩に羽をつけた真っ白な
王子服を着ていた人が書いたものとは
とても思えない。
でも、そんな彼だから書けたのかなとも
思う小説。
所詮、アイドル小説だろ?と甘く見ている人に
こそ、読んでほしい。
きっと、度肝を抜かれてしまう。
描写が美しくて、でもちょっと毒毒しさもあって
特有の匂い立つ雰囲気もあって、
ひと読み惚れした。
加藤さんに惚れました、な一冊。 -
いつごろ買ったか覚えてないぐらい前に買った積読本。映画化されたということもあって、読んでみた。
あらすじとして、芸能人としてデビューした二人だけど、一方だけ売れて、主人公は売れてないということだけしか知らず、読んでみて思っていたのと印象が違って驚いた(後、先ほど映画の公式サイト見に行ったら、ビックリするぐらいネタバレで驚いた)。
実は、加藤シゲアキという人物については、小説家デビューというニュースで知った(NewSといえば、山Pと錦戸しか知らなかった)。芸能人の小説家デビューというので、話題性に賞をとったりするんだろかと思ったけど、どっかの新聞に書評が載ったぐらいで、思ったよりは話題にならなかった気がする。ただ、この一冊だけかと思ったら二冊目も出したので、本当に小説家になるのが夢だったんだなと思ったのは覚えてる(実はその二冊目も積読なのだけど……)。
で、今回読んでみて、小説らしい小説で驚いた。つたない文章ということは決して無く、ストーリーもしっかりしていた。ストーリーは全体的に重めで、ギャグっぽいギャグもほとんどなかった。ラーメン屋のメタファーなのには笑ったけど、真実を知った時は驚いた。
他にもいくつか驚いたところはあった。自殺は驚いたけど、幼なじみの一人が女だと明かされた時には本当に驚いた。女だと気づいた人ってどれぐらいいるんだろう。読み返してみると、この子だけ容姿に関する特徴が書かれてなかった。ミスリードを狙ったんだろうか。
わからなかったのは、第三章の話。1ページと短い章だけど、何でこの位置に入れたんだろう。正直、見返してみてもよく分からない。
後、「どうして河鳥さんがいないんですかね」と言ったのは誰なんだろう。
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