- 本 ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041101117
作品紹介・あらすじ
欲望の道具として消費され、ときに人間を傷つけさえする現代科学。戦争や市場経済に翻弄されてきたその"危うさ"を科学者自身が再検証し、原発事故のあと目指すべき「地上資源文明」への転換を構想する。
感想・レビュー・書評
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タイトル通り科学者のイメージや思いに対する不協和音が、いろいろな視点で語られている。
科学というものが、皆の中で印象によって素晴らしくもあり、不確実なものとも捉えられてしまうのは仕方ないのかな。しかし、少しは中身を理解する意識がないと、結局自分が損をする気がした -
日本における「科学技術」という概念の分析が興味深い。基礎科学の理学部と技術開発の工学部の比率はおおよそ1対8が維持され、「科学技術」というのはもっぱら技術の推進を意味し、科学はその補完物とみなされてきたという。技術を科学の僕とみなすヨーロッパ、その反対の日本という指摘も重要。
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科学者・研究者の、どうお金に縛られているかがわかる。だから、御用学者なんぞが生まれてしまう・・
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科学技術。
こういった言葉使い、日本人は好きですよね。
四字熟語じゃないのに。。。
安全安心とか。。。。
科学と、技術は違うものだと説いてあるところは
快哉を叫びましたよほんと。
文系が支配する国で、理系が生きていくには
なかなか、辛いのです。
給料すら差がある。
せめて、科学の中に夢を追い求めさせてほしいと
常々願う理系人間より、歓喜をこめて。 -
科学と現代社会の危うい関係について、「産業」「軍事」「宗教」などの観点から考察している本。著者自身も一流の物理学者であり、一種の自己批判として書かれているだけに迫力がある。また、疑似科学(エセ科学)と長年戦ってきている人だけに、「科学が世間からどのように見られているか」についての嗅覚は非常に鋭いと感じる。
まあ、私はすでに産業界に取り込まれた側の人間なので(笑)、半分は他人事といった感じで読んだのであるが、科学技術史を丹念に紐解きながら論を進める姿勢には好感をもった。あと、私が昔から抱いていた「科学者や技術者の最大のメリットは徴兵免除である」という直観は、歴史的にも完璧に正しかったことが分かって嬉しい。兵隊として戦争に巻き込まれるというリスクが、平和憲法によって無効化するなんてありえないんだから。 -
つまらん
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科学は文化で、技術は文明に資するものだというスタンス。なのだけれど、昨今は科学の商業化が進み、文化の高みを目指すような科学の研究がしづらくなっていること、そして科学者のモチベーションの或る種の幼稚さと、視界の狭さ。
原発事故で科学と市井の人々の信頼関係に亀裂が入ったように、そんなことを聞くと、科学に失望したくもなりますが、終章の「地下資源文明から地上資源文明へ」は、短いページながら、とても納得できる内容でした。
著者プロフィール
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