- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041101148
作品紹介・あらすじ
囚われた大切な人を捜すため、山崎隆二はソウルへ飛んだ。新たな出会いと、謎の組織の存在。そして待ち受ける衝撃の結末。喪失からの再生を瑞々しく描いた、至高の恋愛長編。
感想・レビュー・書評
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3部作を完読。個人的には1作目が最高だけど、この3作目もよかった。最後の総括りで、かつ一作目に繋がるところが好き。内面の表現が複雑、組織との絡みは雑な気もするし、山崎が冷たく感じなくもない、そして、どう着地させるのか不安だったけど、引き込まれたし、最後の終わり方は見事だった。
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エンプテイースター読了しました。久々にヒットです。
筆致といい文体といいテンポといいものすごく上質でした。
哲学的でペダンティックなテーマとエロのくだけたアンバランス感も
最高でした。エロ本「月刊エレクト」の編集長が主人公。
大崎善生は初めて読んだのでこの後ほかの作品に触れていこうと思う。
これが三部作の最後のようなので逆から読むことになりそうなんだけど、ま、いいやさね。
気に入った言葉を拾いだしてみます。
「元祖責任物 早乙女まどかのこれで
勘弁してください」こんなんでよっちんは抜きたいとは思わんけどな〜笑った。
「神は存在しない人間が神を選び神は人間を選べないから」
「勃起するかしないか、
いかにして読者の性器を勃起させその熱量を金に換えるか。単純で他の要素が入り込む余地がほとんどないだけに難しい。
エロ雑誌編集者の仕事はただそれだけ、だからこそ編集者の中の編集者だ」
「人間の本質は管、複雑な構造をしているが所詮入り口があって出口がある。そんな管の集合体。人間と人間の関係は摩擦
愛は摩擦熱、管と管の間に起こる」とは至言。
「概念なのだ。この世の殆んどすべてのことは。
それは時間と共に、あるいは他の病状と共にやがてひとつの象徴へと集約されていく。それがエンプティスターだ
「惑星はいつも空っぽさ」
「若いころは感性の集合体だったはずの自分が、いつの間にか記憶の集合体に変わろうとしている。その恐怖を感じないのか」
「人間は連続の中に生きている。点と点の上を飛び跳ねているわけではない。
つまり自分は過去に縛られて生きている。過去の自分の感性や考え、道徳や倫理観。
そして過去に付き合った女性たちや過ごした時間。それらのものに相変わらず影響を受け、縛られながら今の自分はあるのだ」
「浅い眠りの中で僕は夢を見ている。
四十五歳になった僕は、失ったものに囲まれていた。」
「自意識が芽生えた頃から自分の中に渦巻いていた不安感。」
「不確かなものと確かなものの間にわかりやすい境目など存在しない。
つまり不確かなものというのは必ず確かであったはずのものの中に混ざりこんでいるものだからだ。差異の中にこそ意味があると哲学者は言った。」
「ピザを食べたことがない人間にピザを選ばせる。僕はそんなテストをうけていたのかもしれない。
何かを選んだ経験があるないにかかわらず、僕は常に何かを選ばせられ続けてきた。」
こういうモラトリアム感満載な本に (゚∀゚) wktkしているところによっちんの中二病の重症を感じて頂けるのでは?と思います。 -
たまたま手にしたのがパイロットフィッシュの続編だということでちょっと嬉かった。というか、アジアンタムブルーも繋がってたんだと軽く驚き。
七海ちゃんと別れてたのがショック。
そしてレビューにもある通り人が死にすぎ。
良いとこなしだけど、最後の由希子さんとの会話で少し希望が持てたかな。 -
前二作が好きだっただけに、これが三部作完結編というのは納得しがたい。独りよがりな中年男の心情が長々続くのは、読んでいて疲れる。猛烈に韓国料理が食べたくなる。
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いままで読んだこの作者とは少し毛色が違う気がした。
ミステリー色が強い。私はのんびりただ時間が過ぎ去っていく大崎さんが好きだったので残念。 -
背後にはただ寒々とした氷の平原のようなものが広がっているばかりである。そこが君のいる囚われの惑星だと
いうのだろうか。
(72頁)
エンプティースター、空っぽの星というタイトル。
でもあたしのもつサイン本に描かれた大崎さんの言葉は
「星は空っぽじゃない。」
つまるところ、そういうことなのだろう。
喪失を繰り返しても、
其処は
その岐路は空っぽではない。
というような。
パイロットフィッシュ、アジアンタムブルーに続く三部作完結編。
傘の自由化が由希子が絡んできた瞬間、ぐっと期待が膨らんでしまったけど、大崎さんの本らしさがあまりなく…
二作が大好きだっただけに
余計残念に思った。
サイン本だから大事にしますけどね。 -
神は存在しない。
人間が神を選ぶ。
神は人間を選ぶことはできず、その時点において万能でなくてはならないはずの神という概念が崩れ去る。
著者プロフィール
大崎善生の作品





