世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 717
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101162

感想・レビュー・書評

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  • 日本のマジョリティな考え方は、ヤンキー思想によって成り立っていることは、「ヤンキー進化論」や「ギャルとギャル男の文化人類学」といった本で論じられてきた。ただ、精神分析の手法で読み解かれたのは初めてではないか。とても面白い。

    ヤンキーのファッションや言動にあるキャラ設定の重要性、繋がりを大事にするヤンキーは母性的であること、終わりなき学園生活を元にしたファンタジー性などから、ヤンキー文化の換喩性を見出していく。さらには古事記の中にあった、終わりなく生成される次の生成のイメージやいきほひ、にまで遡っていく。

    確かに、穢れから禊を済ませた人は英雄である、という考え方は深く根付いている。これは真面目な経歴を持つ人よりも元ヤンキーの方が支持される傾向にあることからも分かる。

    昨年のサマーソニックでX JAPANを観た時に、日本人には暗黙的にヤンキーカルチャーの文脈が通じることが分かった。外国の人はポカンとしていたし。文化論としてはなんとなく分かっていたが、精神分析によって、その文脈の源流がどこにあるのか読み解かれていく様は本当に面白かった。

  • この人の著作としてはということで、★2つ。正直、ダイジェスト版という感じ。

  • 著者は冒頭でこの本について「美学としてのヤンキー」について語るとしているのだが、その「ヤンキー」及び「ヤンキー的」なるものについての定義が今一つ確定していなくて、「不良文化」と「ヤンキー」は別のものとして扱うとしながら、その差異が判らず、「ギャル」や「チーマー」等についても「ヤンキー」から「オタク」への軸線上にあるのか、それらは二次元的に分散しているのかが掴み難いために甚だ座り心地が良くなかった。

    日本人の多くがヤンキー的特性を好む傾向にあることは、なるほどと納得いくのだがヤンキー的特性を好まない人々と好む人々にどのような差があるのかとかを考察してくれると面白かったかも知れない。

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著者プロフィール

斎藤環(さいとう・たまき) 精神科医。筑波大学医学医療系社会精神保健学・教授。オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)共同代表。著書に『社会的ひきこもり』『生き延びるためのラカン』『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』『コロナ・アンビバレンスの憂鬱』ほか多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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