- Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041101360
作品紹介・あらすじ
あらゆる悩みの相談に乗る、不思議な雑貨店。しかしその正体は……。
物語が完結するとき、人知を超えた真実が明らかになる。
すべての人に捧げる、心ふるわす物語。
感想・レビュー・書評
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店じまいした古い雑貨屋に、コソ泥3人組が忍び込んだ夜。
どういうわけか店のポストに悩み相談の手紙が届き、過去と未来が繋がって。。。
奇蹟のような一夜を、心から祝福したくなります。
奇蹟の発端となったのが、ナミヤ雑貨店の「ナミヤ」を「ナヤミ」と
読み違えた小学生からの可愛らしい悩み相談を
店主の浪屋さんが受け流さず、親身になって答えてあげたこと。
その一件をきっかけに、彼は数えきれないほどの悩み相談を受けることとなるのですが
他愛のない相談から生死にかかわるような深刻な相談まで
ひたすら丁寧に返事を書く、この浪屋さんが素晴らしい。
生協の白石さんに、昭和の恥じらいと勤勉さをさらに加えたような。
浪屋さんが、なんの見返りもないのに、時には夜を徹して返事をしたため
相談者がその後、不幸になっていないか気を揉み
自分の死後のことまで事細かに気を配ってくれたおかげで
繋がるはずのなかった縁が繋がり、ある女性は未来に救われ
自暴自棄になっていたコソ泥たちは、自分たちが変えた過去に救われるのです。
平凡な日々の中で、その時その時、自分ができることに骨身を惜しまず
丁寧に生きた、ただの雑貨屋の主が起こした美しい奇跡。
素敵です。-
>生協の白石さんに、昭和の恥じらいと勤勉さをさらに加えたような。
これ、笑っていのかどうか?悩みます。>生協の白石さんに、昭和の恥じらいと勤勉さをさらに加えたような。
これ、笑っていのかどうか?悩みます。2013/08/21 -
だい▽さん☆
あらまあ、だいさんを悩ませてしまいましたか!
できましたら、誰もいないところで密やかに笑ってみてください♪
私も、だいさんが...だい▽さん☆
あらまあ、だいさんを悩ませてしまいましたか!
できましたら、誰もいないところで密やかに笑ってみてください♪
私も、だいさんがくふふ、と笑っている姿を想像して
こっそりうれしがりたいと思います。2013/08/23
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ナミヤ雑貨店の悩み相談から繋がる様々な人間模様。
穏やかに。中には苦くも。
それぞれ5通りのストーリーも時系列でどこか繋がっていて。
優しい気持ちになれる1冊でした。
不思議な物語でもありますがとても良かったです。 -
お店が閉まった後シャッターのポストに相談事を書いた手紙を入れると、翌朝店の裏の牛乳箱に返事の手紙が入っている。
ナミヤ雑貨店の店主(ナミヤさん)が一所懸命考えて回答を書いてくれるのだ。
1人では決意出来ないこと。
とにかく誰かに聞いてほしいこと。
自分の考えが間違っていないと確かめたいこと。
身近な人には話せないことが、通りすがりの人には話せたりするけど、近所の雑貨店の人という距離も同じだろうと思う。
しかも匿名で手紙を書いて、その手紙に真剣に答えてくれる人なんて滅多にいない。
うらやましいなと思った。
変なことを言ってはいけないとプレッシャーを感じながら出してくれた回答を受け取れること。
そしてその後どうしただろう?と心配しつづけてもらっていること。
そのどちらもとてもうらやましい。
この物語の中にはナミヤさん以外にも回答者が登場していて、彼らの回答はナミヤさんとはかなり趣が違う。
彼ら自身も自分の未来が見えない場所にいるから、相談者の境遇が恵まれた者の甘えに見えたりもする。
苛立ちを表現してしまう場面もある。
でも、ナミヤさんの回答の方が相談者にとって有益で、彼らの回答は役に立たないということではない。
むしろ聞くのは誰でもいいんじゃないかとも思う。
もちろん騙してやろうとか利用してやろうとか、悪意を持っている人に相談したらダメだけど。
自分が悩んでいることを話して、人に意見も求める過程で自分がどこに引っかかっているかが見えてくる。
もちろん相手にもそれは伝わる。
それを踏まえて語られる相手の意見をはその引っかかりの結び目を別の視点で見せてくれる。
きっとその視点が自分の凝り固まった視点とかけ離れていればいるだけよく見える。
最初は反発してもいつか気付ける。
自分が選んだ道も選ばなかった道もどちらも同じ道だったということに。
物語の中では相談者が選んだ道が正解だったかのような書かれ方をされている箇所もあって、その道を選べたのはナミヤ雑貨店の回答のおかげと相談者は信じている。
でも本当はナミヤさんが語っている通りで、大事なのは回答ではなくて本人の心がけなんだと思う。
誰かの意見を聞いてその通りにしたとしても、それを行うのは自分。その道をどんなペースで歩くか、誰と歩くかを決めるのは自分なのだから。
後悔しないために必要なことは、この道しか選べなかったと思うことなんじゃないかと思う。
他の道もあったかもしれない、いや実際にあった。だから悩んだ。
だけど私は徹底的に向き合って、結果としてこの道を選んだ。
だからやっぱり私にはこの道しかなかったのだと。
人が人に相談するのは正解が知りたいからじゃない。
自分の気持ちが知りたいからなんだ。
誰かにNOと言われても曲げられない気持ちを知りたいからなんだ。
そう思った。 -
とてもいい感じでした!
どなたにも、オススメできます~。
この作者にしては珍しい?画期的ほのぼの系(変な表現ですが)
といっても‥
どんな悩みの相談にも乗るナミヤ雑貨店。
その仕組みとは‥?
ナミヤ雑貨店の主人・浪矢老人が、店名との洒落で始めた事だった。
子供からの無邪気で調子のいい相談が多かったのだが。
ある夜、金を盗んで逃走中の若者3人組が、廃屋に逃げ込む。
雑貨店だったらしい建物の中には、40年も前の雑誌などがあった。
郵便受けに「初めて相談します」という手紙が投げ込まれ、面白半分に返事を書いて牛乳箱に入れる。
すぐに返事があり、それもとても真摯に受け止められていた‥
不思議に思いつつも、また返事を書きたくなる彼ら。
オリンピック出場を目指している選手だが、恋人が重い病気のため、看病に専念するかどうか悩んでいるという女性。
歌手を目指したが目が出ず、家業を継ぐかどうか、迷っている青年。
妻子持ちの男性の子を妊娠してしまったという女性。
親が借金を抱えて夜逃げしようとしている男の子。
養い親を助けるため、水商売を続けようかと考える若い娘。
ナミヤ雑貨店の主の息子は、老いた父親にある頼み事をされる。
三十三回忌のときに、一度だけ、悩み相談を復活してほしいというのだ。
そして、昭和から平成へと、年月は進み、日本の様子も変わっていく‥
不思議な連鎖が起きるエピソードのたたみかけ方が上手く、現実味のある相談と、ちょっとしたユーモアで、飽きさせません。
すべてがハッピーエンドというわけではなく、切なさや思いがけない展開もありますが。
読後感は良いですよ。
人の関わり方はけっこうややこしいので、再読にも耐える内容。
いつかまた読むのが楽しみです。 -
東野圭吾さん初読。とてもよく出来たお話で、引き込まれた。
どこか不思議だけど心がほっこりするような内容。どんな悩みにも(白紙にも!)誠実に返事をする浪矢さんいいなぁ。私も相談してみたい。 -
また東野さんのマジックにやられてしまった。
いやいや、これは浪矢さんと皆月さんのマジックだったんだ。
人は人生の選択をどう選べばいいのか悩む生き物だと思う。
どっちが正解だなんて誰もわからないのに、誰かに聞いてみたくなる。
浪矢さんの返事もありがたいけど、ここにあるほぼほぼは悪者になりきれない若者達が書いてるんだよね。
それこそ奇蹟だわ。 -
物語は、空き巣をはたらいた敦也達3人が、逃げ込んだ一軒の廃屋、そこにはかつて店主・浪矢雄治があらゆる悩みの相談に乗ってくれ、翌日の朝には牛乳箱に返信が返ってくると評判の雑貨店だった。
廃屋であるはずのシャッターの郵便受け口に、不思議と届くナヤミの手紙を巡って敦也達が放っておけずに返事を書き始めるのは滑稽にさえ思える…。
今回のあらすじは短い。これ以上の説明は不要だ。本書の帯の言葉で十分です。読んでいるうちに細かい謎は直ぐに明かされる。
ミステリー小説というよりファンタジーかな。嫌味がないところ、殺人事件も犯人捜しもない。
今時、手書きで手紙を書く人なんて僅少だろう。PCでパチパチとタイプした後で、郵送で終わりです。良く言えば合理的ですが、味気無さを感じる。
相手からの返信手紙を、「首を長くして待つ」そんな言葉は死語になってしまった。そしてドキドキ感は無くなって久しいです。
物語は、エピソードがどんどん繋がっていき店主・浪矢雄治さんの分け隔てなく、ある時には厳しく、優しい心配りのある返信が、異次元から見守ってくれているようだ!
常識では白紙で届いた手紙に、返事を書くなんてあり得ません。不自然さを突っ込むよりも、夢の中にいるような心地よい読後感を味わいたい。そんな一冊だった。
読書は楽しい。 -
2017年に映画化された時から気になっていたけど、忙しくて読めてなかった作品。
お気に入りのシーンは、悩み相談を受けるナミヤ雑貨店の店主が、白紙の手紙に対して、「すべてはあなた次第」「可能性は無限大に広がっています」と回答する部分。
「この先どこへ向かえばいいのか分からない」という将来に対する漠然とした不安を抱えている人にとっては、すごく前向きな言葉に思えるんじゃないかと思います。 -
面白かったけど、ちょっと不完全燃焼な感じ。
敦也、幸平、翔太の3人をもうちょっと掘り下げてくれたらよかったな。
3人の手紙の内容がかなりストレートで笑えた。
浪矢さんに、私も相談したい!
著者プロフィール
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