ナミヤ雑貨店の奇蹟

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 1463
  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101360

感想・レビュー・書評

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  • 店じまいした古い雑貨屋に、コソ泥3人組が忍び込んだ夜。
    どういうわけか店のポストに悩み相談の手紙が届き、過去と未来が繋がって。。。
    奇蹟のような一夜を、心から祝福したくなります。

    奇蹟の発端となったのが、ナミヤ雑貨店の「ナミヤ」を「ナヤミ」と
    読み違えた小学生からの可愛らしい悩み相談を
    店主の浪屋さんが受け流さず、親身になって答えてあげたこと。
    その一件をきっかけに、彼は数えきれないほどの悩み相談を受けることとなるのですが
    他愛のない相談から生死にかかわるような深刻な相談まで
    ひたすら丁寧に返事を書く、この浪屋さんが素晴らしい。
    生協の白石さんに、昭和の恥じらいと勤勉さをさらに加えたような。

    浪屋さんが、なんの見返りもないのに、時には夜を徹して返事をしたため
    相談者がその後、不幸になっていないか気を揉み
    自分の死後のことまで事細かに気を配ってくれたおかげで
    繋がるはずのなかった縁が繋がり、ある女性は未来に救われ
    自暴自棄になっていたコソ泥たちは、自分たちが変えた過去に救われるのです。

    平凡な日々の中で、その時その時、自分ができることに骨身を惜しまず
    丁寧に生きた、ただの雑貨屋の主が起こした美しい奇跡。
    素敵です。

    • だいさん
      >生協の白石さんに、昭和の恥じらいと勤勉さをさらに加えたような。

      これ、笑っていのかどうか?悩みます。
      >生協の白石さんに、昭和の恥じらいと勤勉さをさらに加えたような。

      これ、笑っていのかどうか?悩みます。
      2013/08/21
    • まろんさん
      だい▽さん☆

      あらまあ、だいさんを悩ませてしまいましたか!
      できましたら、誰もいないところで密やかに笑ってみてください♪
      私も、だいさんが...
      だい▽さん☆

      あらまあ、だいさんを悩ませてしまいましたか!
      できましたら、誰もいないところで密やかに笑ってみてください♪
      私も、だいさんがくふふ、と笑っている姿を想像して
      こっそりうれしがりたいと思います。
      2013/08/23
  • とてもいい感じでした!
    どなたにも、オススメできます~。
    この作者にしては珍しい?画期的ほのぼの系(変な表現ですが)
    といっても‥

    どんな悩みの相談にも乗るナミヤ雑貨店。
    その仕組みとは‥?
    ナミヤ雑貨店の主人・浪矢老人が、店名との洒落で始めた事だった。
    子供からの無邪気で調子のいい相談が多かったのだが。

    ある夜、金を盗んで逃走中の若者3人組が、廃屋に逃げ込む。
    雑貨店だったらしい建物の中には、40年も前の雑誌などがあった。
    郵便受けに「初めて相談します」という手紙が投げ込まれ、面白半分に返事を書いて牛乳箱に入れる。
    すぐに返事があり、それもとても真摯に受け止められていた‥
    不思議に思いつつも、また返事を書きたくなる彼ら。

    オリンピック出場を目指している選手だが、恋人が重い病気のため、看病に専念するかどうか悩んでいるという女性。
    歌手を目指したが目が出ず、家業を継ぐかどうか、迷っている青年。
    妻子持ちの男性の子を妊娠してしまったという女性。
    親が借金を抱えて夜逃げしようとしている男の子。
    養い親を助けるため、水商売を続けようかと考える若い娘。

    ナミヤ雑貨店の主の息子は、老いた父親にある頼み事をされる。
    三十三回忌のときに、一度だけ、悩み相談を復活してほしいというのだ。
    そして、昭和から平成へと、年月は進み、日本の様子も変わっていく‥

    不思議な連鎖が起きるエピソードのたたみかけ方が上手く、現実味のある相談と、ちょっとしたユーモアで、飽きさせません。
    すべてがハッピーエンドというわけではなく、切なさや思いがけない展開もありますが。
    読後感は良いですよ。
    人の関わり方はけっこうややこしいので、再読にも耐える内容。
    いつかまた読むのが楽しみです。

  • 内側からは決して開かない扉の様だ。
    四方は壁に囲まれていて、窓ひとつない。
    行き場も、逃げ場も無い、空間に閉じ込められて、
    ただ、
    空回りするドアノブを必死でまわす。

    誰か、誰か、この扉を開けてください。
    外側から誰か、この扉を開けて、私をここから出してください…。

    ナミヤ雑貨店に救いを求めて訪れる人達の手紙からは、
    皆一様に、暗い部屋に監禁され、身動きひとつとれなくなっているような、そんな痛みが伝わってきた。

    そして、こんな雑貨屋が、
    この地のどこかに本当にあればいいな、と心から思った。

    見知らぬ他人の迷いやナヤミに、
    本気で耳を傾けてくれる人がいる雑貨店。

    残念ながら、その恩人とは会えないし、
    ナヤミの実体も見えない。
    助言を信じてみたところで、その後の未来もわからないし、
    私達にわかることなんて、なにひとつないのかも知れない。

    でも、ナヤミを投じると、
    その返事が必ず牛乳箱には帰ってくる。

    「みな、繋がっている」
    と、いうピンとはこない言葉を巷では良く、耳にするが、
    もしかしたら、こういう事なのかな・・・

    と、ナミヤ雑貨店の物語に触れ、ようやく
    その言葉にほんのすこし納得がいった私であった。

  • 図書館で随分長いあいだ予約待ちしていたけれど、待っていて良かった。本当におもしろかったから!

    強盗を働いて逃げ場を求めた敦也、幸平、翔太の三人。
    逃走用の車が壊れ、たまたま近くに廃屋があったことを知っていた。
    朝になるまでそこで身を潜めていよう。そう決めた三人だったけど、そこで不思議な手紙と出会う。
    時空を超えた悩み相談。最後に待っている答えとは──。

    読んでいるあいだじゅう、バラバラだったパズルのピースが徐々に繋がってひとつの絵になるような静かな高揚感が私の中に広がっていた。
    家族の絆、人と人との繋がり。
    とてもあったかくて、読後は明るい希望に満ちた、ほんわりとした気持になる優しい物語だった。

  • 東野圭吾、奧が深かった───心に優しい小説でした。

    単なるミステリーではない。推理小説でもない。謎解きでもない。
    『ガリレオ』シリーズから入った私は、彼はてっきり、科学系のミステリーが得意なのだと思っていた。
    もちろん、人物描写、心理描写、世界観など、単なるミステリーとしては片付けられない側面を持っているのは薄々感じていたが。
    それにしてもこの作品は、帯に『一か八かの賭けだった』とあるように、誰も死なない、謎解きでもない東野圭吾作品ということで、彼自身どんなものかと半信半疑だったのではなかろうか。

    でも、東野先生。心に響いてきましたよ、この作品。
    貴方が本当に書きたいのはこういった作風の小説なのではないかと思いました。

    優しさ、愛情、希望など、人の心底にある本当のモノについて、時空を超え、牛乳箱での手紙のやり取りを通しながら、何が正しいのかを懸命に模索する。
    正解などどこにもないのだが、その助言を与えてくれるナミヤ雑貨店。

    浪矢さんは、回答を送った後、みんなに訊ねる。
    「その回答は、貴方の人生にとってどうでしたか。役に立ったでしょうか。」と。
    私なら浪矢さんにこう答える。
    「みんな、あなたの誠実な回答のおかげで、幸せな人生を送ることができました。ありがとう浪矢さん。いつまでも天国で見守っていてください。暁子さんと一緒に」と。

    東野圭吾氏の小説でこれほど泣かされるとは思っていなかった。
    あらためて、東野氏の懐の深さに驚くとともに、こんな素晴らしい小説を送り出してくれた氏に感謝。
    これからもご活躍をお祈りいたします。

    あ、そうそう。最後三人が真っ当に生きていこうとする姿は『流星の絆』のラストを思い出しました

    :発売開始後二週間で図書館から借りられた私は幸せ者だ。今日、書店で平積みになっていた本の奥付を見たら、4月7日再販となっていた。いやはや、東野圭吾人気はすごい。
    彼には、出版不況など“どこ吹く風”といったところでしょうか。

    (追記)一点だけ、気になることがあった。
    というのは、この作品の著者が東野氏ではなく、名の知られていない若い作家だったら、みなさん、どんな感想をお持ちになったのだろうか、ということ。
    私自身も、読み始める前から『東野圭吾』という名前が常に脳裏にあるので、「こんな作品も書けるんだなあ」と思いながら読み進めたが、著者が誰か知らずに読んでいたら、やや思いは違うのかもしれないな、と。
    本来、小説は独立した一作品として語るべきで、著者と関連付けて語るべきではないのだけれど……。

    • まろんさん
      こんばんは。まろんです。
      たくさん花丸つけていただいて、
      しかもフォローまでしていただいて、ありがとうございます!

      koshoujiさんの...
      こんばんは。まろんです。
      たくさん花丸つけていただいて、
      しかもフォローまでしていただいて、ありがとうございます!

      koshoujiさんのことは、以前「幸福な食卓」にコメントをいただいてからとても気になっていて
      こっそりレビューを読ませていただいたりしてたので、感激です♪

      いつもとても密度の濃い、思索的なレビューを書かれるので、
      私なんかがフォローしてもいいのかな。。、
      隠れファンでいようかな。。。
      などと逡巡してました(笑)

      東野圭吾さんは、私にとっては、
      すごく好きな作品と、あんまり好きになれない作品といつもくっきり分かれてしまうので、
      この本も読もうかどうしようか迷っていました。

      (「流星の絆」とか「秘密」とかは大好きな作品です)

      でも、koshoujiさんのレビューを読んで、よし!絶対読むぞー♪と弾みがつきました。
      ありがとうございます。

      これからも想いのこもった素敵なレビューを楽しみにしています(*^_^*)
      2012/06/02
  • またもや睡眠時間を削ってしまった。
    東野圭吾氏はどうしてこんなに色んなタイプの面白い話を書けるんだろう。
    あ〜面白かった!

    (今のところ私にとって図書館の待ち時間が一番長かった本。ジャスト丸一年。それをゆっくり味わいつつもあっという間に読んでしまったことがちょっと悔しい。でもすぐに返却して早く次の人に回してあげなくっちゃ)

  • 不思議なお店、ナミヤ雑貨店を舞台にした奇跡の物語。人を助けたい、人の役に立ちたいという思いが詰まっていると感じました。短編集ですが、全部繋がっています。そして、あちこちに泣かせる場面や考えさせられる場面が散りばめられていて本当に面白い。伏線がいっぱい張ってあって、最後になだれ込むテンポもすごくいい。やっぱり東野圭吾は天才です。

  • 泥棒を終えた若者三人組が一夜を明かすことにした場所はナミヤ雑貨店。いまでは廃墟のようだけど、昔は悩み相談で栄えていたらしい。

    時空を超えて過去から届く、不思議な相談の手紙に返信し始める若者三人組。なげやりに回答しても相談者がポジティブに受け取ってくれたりして、彼らは人の役に立つ喜びを感じ始める。

    児童養護施設『丸光園』に関係する人からの手紙が多いことは明らかで、彼らも『丸光園』出身だった。

    ナミヤ雑貨店のナミヤさんと『丸光園』設立者の女性はかつて愛し合っていたが結ばれなかった。二人の時空を超えた愛情が結ぶ奇跡のなかで、若者三人組は泥棒に入った家に戻ることにする。
    さっき泥棒に入った家で縛ってきた女は、自分たちが手紙のやり取りで相談に乗った人で、現在は『丸光園』を救おうとしていることに気づいたから。

    ナミヤ雑貨店の店主は時空を超えて、若者三人組も更生させる。

    --------------------------------------

    バラバラに登場する人たちが『丸光園』と『ナミヤ雑貨店』で繋がっていくのが爽快。

    第四章『黙禱はビートルズで』で、中学生のときに手放したレコードと三十年以上の時間を経てから再会する場面がいちばんグッときた。『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は超名盤。

  • SFっぽい作品は、作者にしては珍しい。過去と現在を行き来して、物語は進む。人の運命はどこで決まるのか、変わるのか。一度しか歩めない中で一度は考えたことのあることを、考えながら読んだ。物語の最後まで、非常に内容が練られていて、面白かった。新しい作者の一面を見た。

  • 珍しく、殺人が起きないお話でした。
    時空を超えたところでの往復書簡。
    それを、悩み相談に結びつけて
    物語にするなんて・・・。
    東野さんは何という頭脳なんだろう、と感心しきり。
    最後にすべてが収束するところが、
    特に心地よかったです。

著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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