パラダイス・ロスト

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 407
  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101384

作品紹介・あらすじ

『ジョーカー・ゲーム』『ダブル・ジョーカー』に続くD機関シリーズ最新作。
異能のスパイたちを率いる“魔王”――結城中佐。その知られざる過去が、ついに暴かれる!? 世界各国、シリーズ最大のスケールで繰り広げられる白熱の頭脳戦。究極のスパイ・ミステリ
収録作品:「帰還 」「 失楽園(パラダイス・ロスト)」「追跡」「暗号名ケルベロス」

感想・レビュー・書評

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  • このシリーズは、読み出したら本当に止まらない。スピーディーかつスリリングな展開に強く引き込まれます。第二次世界大戦直前の日本陸軍の異端の諜報機関「D機関」を描いた連作短編スパイ小説の第三弾。

    第三弾の主な時間軸は、1940年(昭和15年)で、欧州ではすでに第二次世界大戦が勃発し、日本でも太平洋戦争の発端となる真珠湾攻撃が目前という時期。
    それはつまり、国対国の対立が激化し、軍事による表の物理的な残虐行為だけでなく、少しでも戦況を優位にすべく、諜報機関による裏での罠の掛け合いや駆け引きが一層苛烈を極め、容赦のないものになっているということで…。

    相変わらず、「魔王」結城中佐以下、精鋭ぞろいのD機関の面々が、存在を悟られないことを最大のモットーにスパイらしく裏工作しながら容赦なく物事を推し進める冷徹な姿には感嘆し、シビれるほどの高揚感を感じる。

    第三章「追跡」で、結城中佐が未来を見越して数十年も前から巧妙な罠を張り巡らし、見事「敵」を捕らえてプライドを打ち砕く様なんかは、ゾクゾクしてしまった。冷酷・冷徹な「魔王様」のあまりに見事な手際をながめる快感と寒気の両方で。

    第四章「暗号名ケルベロス」は、D機関の人間らしくない、好奇心と情に絆された結末は予想外だったけれど、冷酷・冷徹ばかりだと食傷気味になるかもしれないので、これはこれで、箸休め的にいいのかも。ただ、その後の史実を知っている身としては、この選択によるその後の壮絶な苦労と辛酸を想像してしまうのだけど…。

    何はともあれ、読む快感を味合わせてくれる作品です。
    収録作は、「誤算」、「失楽園」、「追跡」、「暗号名ケルベロス(前/後)」。

  • 柳広司さんのジョーカー•シリーズ3作目。
    シリーズが重なるたびに面白くなっている。

    結城中佐が率いるD機関。スパイ達の精鋭が作られ暗躍する。

    今回も真の目的に向かい、裏と表を操りミッションを達成して行く。

    面白かったのは、「追跡」
    結城中佐の謎に迫っていく。
    相手の掌で上で踊るという面白さ。

    また「暗号名ケルベロス」は良かった。
    本巻を気持ち良く締めてくれる。

    巻頭の「誤算」で、D機関の物語を軽やかに思い出させ、続く「失楽園」でミステリーを愉しませる。

    そして、「追跡」「暗号名ケルベロス」で気持ち良く読み終わらせる。

    私も踊らされたようだ、愉快。

  • 今回も、見事に(いい意味で)期待を裏切られた。

    これも、「魔王」と呼ばれる結城中佐のワナなのか・・・。

    一番、この中で好きなのが、「追跡」
    英国タイムズ紙極東特派員のアーロン・プライスがふとしたきっかけで、結城中佐を知り、そして生い立ちを知っていくことになるが…。
    そこでの、「どんでん返し」が見事。

    本当に、スパイは凄い。裏の裏まで細かく読み解いていかないとならないところ。



    脳内で、繰り広げられる映像・緊迫した空気。


    「ジョーカー・ゲーム」シリーズで一番ハラハラした。


    本当に、上手い!巧みに描かれる心理合戦。

    そして、読み終えた後の不思議な爽快感がたまらない。





    まるで、自分が【D機関】にあたかも入ったような雰囲気。


    しかし、「暗号名 ケルベロス」 前編・後篇で感じたこと。


    それは、いくら優秀なスパイでも、「人間なのだ。」ということを改めて思った。



    続編は出るのだろうか?
    あれば、早く読みたい…。

  • やっと手元にやって来ました。図書館で予約40人待ちでした…。


    誤算・失楽園・追跡・暗号ケルベロス前篇・後篇


    追跡で魔王・結城の正体が明らかになるのか、とゾクゾクしながら
    読みました。
    晃様と同年配、包帯を巻いた片腕を吊り、顔半分に生々しい
    傷痕がある男が、結城なのか?
    なんという二重トリック、先見の明あり過ぎ。凄すぎるっ。
    ここまでくると、やはりスパイは異能力者、一種の特殊能力だよね。


    勝手にこの本で完結するのだと思っていたので、続きが
    あることが楽しみです♪
    この巻はちょっとスパイス不足かなーと感じました。
    でも“追跡”の終わり方が何か微笑ましい。
    (微笑ましい…という言葉を使っていいのか、このシリーズ)

    =困った時、真っ先に伴侶の顔が浮かぶようなら、
     スパイは引退時期だ。=

    さすが「死ぬな。殺すな。とらわれるな」です。
    自分たちは、もちろん敵スパイにも配慮します。

    でも“暗号名・ケルベロス”では死者が出てしまいます。
    ポメラニア、ポメラニアンをエニグマ暗号機に例えて説明する
    ところは、本当に“説明乙”の一言につきます。


    =たとえどんな犠牲を払ってでも謎を解き明かす=
    その“どんな犠牲”の結果が子供とワンちゃんだとは(´w`*)
    ほほえましい。
    (適切な言葉が“ほほえましい”以外、見つかりません)

    ケルベロスのスパイ内海がエマとフラテを世話しなきゃいけなくなり
    やれやれ…というスパイの一面やら、ちょっと和む場面が多かった
    一冊でもあります。
    (なんて可愛いケルちゃんなの、とツッコみたくなるけど)
    スパイの意外な一面(人間らしい感情)を見ることが出来て
    興味深いです。

    D機関みんなきっとイケメンですね。イケメン俳優を集めて
    ドラマ化かまたはアニメ化してほしいなーというのが
    個人的な願いです♪

    続きが楽しみー♪(*´ー`)フフー♪

  • 大日本帝国陸軍内に極秘裏に設立された、スパイ養成学校D機関シリーズ第三弾。「誤算」「失楽園」「追跡」「暗号名ケルベロス」の4編から構成されている。「誤算」で作戦途中に記憶を失ったスパイの体が覚えている行動と時おり浮かぶ心の声にぞくぞくした。「追跡」では結城中佐の幼少時の様子がわかってよかった。これからますます悪化するであろう時代にD機関はどう立ち向かっていくのか次回作にも期待。

  • 「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」に続くジョーカー・シリーズ3作目。
    短編連作で、第二次世界大戦中の日本のスパイ組織<D機関>の話。
    切れ味が鋭く、他にない雰囲気で、なかなかカッコイイです☆

    「誤算」
    1940年のパリ。
    フランスは、ドイツにあっけなく征服されていた。
    レジスタンスも活動はしているのだが…
    日本人の島野は、頭を打って記憶を失う。
    この段階では日本とフランスは戦争をしていないが。
    事情がよくわからないまま、レジスタンスの面々と行動を共にすることになるが…?!

    「失楽園」
    シンガポールの高級ホテル「ラッフルズ・ホテル」は、アジア随一という評判を誇っていた。
    米海軍士官マイケル・キャンベルは、美しい娘ジュリアに恋していた。
    ホテルの泊まり客の死体が見つかり、ジュリアが自首したという…?!

    「追跡」
    英国タイムズ紙極東特派員アーロン・プライスは、来日して十年。日本の美しさに魅せられていた。
    日本のスパイ組織D機関のことを調べ始める。
    噂では結城中佐という人物がトップらしいが、手を尽くして軍の名簿のどこを調べてもそれらしい人物はいない…
    似た名前の人物の生い立ちを知る機会があり、特ダネと小躍りするが…?!

    「暗号名ケルベロス」
    サンフランシスコを出航して6日目の豪華客船<朱鷺丸>。
    Uボートが迫ってくると乗客は脅えたが、それは何とクジラだった。
    騒ぎをよそにクロスワードをやっている内海。実はある人物を追って乗船していた。
    エニグマという暗号を巡って、イギリス、ドイツ、アメリカ、日本の思惑が交錯し…?!

    ひと捻りもふた捻りもしてあるストーリーなので、この程度説明しかけても、全然ねたばれにはなっていません!
    スリルはあるけど、意外にそれぞれ救いのある結末で、戦争中という設定の割に、怖くはないですよ。
    スパイは目立たず、殺さず、死なないようにするのがモットーだからかしら?
    さすがに3冊目ともなると、インパクトは微妙に落ちているかなあ…
    でも続きが出たら絶対読みたいです。

  • 結城中佐のことを知ろうとすると、逆に謎が増えてしまう気がするのですが……。笑。

    『誤算』が一番気に入りです。つかみはオッケー!みたいな。別に読むつもりの本があるのに、冒頭を読んだら先を読まずにいられなくなりました。
    このシリーズは、慎重かつ大胆なスパイのスマートな動きを追いかけているといつの間にか最終ページを開いているのです。驚きの吸引力だと思います。

    前作から順に読んでいると、誰が誰に騙されるんだ?という点にわくわくしてしまいます。

  • 「ジョーカー・ゲーム」シリーズ、第三弾!
    まさか出版されるとは思わなかった。
    第二弾で終了したものと思っていた。

    何事もそうであるが、矢張り第一作が一番面白い。
    失速している感が拭えない。

    戦争物を娯楽小説として取り扱う事に少々嫌悪を抱かざるを得ないのに、何故私は流行モノに手を出すのだろう。
    真摯に取り組んでいる小説も世に中には多く有るのに、最近は娯楽前提である作品が多く見られるのが哀しい。

  • <あらすじ>
    大日本帝国陸軍内に極秘裏に設立された、スパイ養成学校“D機関”。「死ぬな。殺すな。とらわれるな」―軍隊組織を真っ向から否定する戒律を持つこの機関をたった一人で作り上げた結城中佐の正体を暴こうとする男が現れた。英国タイムズ紙極東特派員アーロン・プライス。だが“魔王”結城は、まるで幽霊のように、一切足跡を残さない。ある日プライスは、ふとした発見から結城の意外な生い立ちを知ることとなる―(『追跡』)。ハワイ沖の豪華客船を舞台にしたシリーズ初の中篇「暗号名ケルベロス」を含む、全5篇。
    「ジョーカー・ゲーム」シリーズの第3作。
    今回もなかなか面白かった。
    ただ、回を重ねるごとに新鮮さがなくなってきた。

  • シリーズ三作目。

    クールで完璧、
    超カッコイイ、D機関のスパイ達。

    絶対ミスしないところがみそ。

    くるぞ、くるぞ~ミスと見せかけて
    実は完璧!
    と、結果を楽しみにして読める。

    映画でもドラマでもヒーローは撃たれない、
    撃たれても死なない、
    あの感じとちょっと似てるかも。

    謎めく結城中佐、ますます素敵。

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著者プロフィール

1967年生まれ。2001年、『黄金の灰』でデビュー。同年、『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞受賞。『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞。他著に「ジョーカー・ゲーム」シリーズの『ダブル・ジョーカー』『パラダイス・ロスト』『ラスト・ワルツ』や、『新世界』『トーキョー・プリズン』など。

「2018年 『漱石先生の事件簿 猫の巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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