彩雲国秘抄 骸骨を乞う

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.31
  • (188)
  • (116)
  • (53)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 1186
感想 : 147
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (589ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101391

作品紹介・あらすじ

後に「最上治」と謳われる国王・紫劉輝の治世の陰には、彗星のごとく現れ消えて、また生まれゆく命があった…。
大ヒットシリーズ「彩雲国物語」の知られざるエピソードを書き下ろした、著者渾身の連作短編集!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 何度読み返しても涙なしでは読めない作品。特に劉輝の章では、秀麗との短いが濃密な結婚生活が垣間見えファンとしてはとても嬉しかった。

  • 終わりのその先で、待っててくれる。
    誰かのために、差し出したものは犠牲じゃなくて
    本当に自分がほしいものを手に入れることと
    同じなんだと思いました。

    綺麗ごとだけど、苦しくても
    もう十分もらってるってことを忘れないでね、自分。

  • 大好きな彩雲国物語の最後の本。
    ビハインドストーリーだったけれども、内容は濃い。
    タイトルからして、重くみえるけれども、内容も重かった。
    けれども、嫌になるのではなく、最後まで読んでしまう内容。それぞれの人物の心の葛藤とか思いがひしひしと伝わってきた。

    またシリーズ最初から通して読みたい。

    私の中では今まで最高に面白かった小説。

  • 本編があまりにもあっさり終わったのですが、これはその本編を補う意味でもあるのでしょう。
    その後、彼らはどうやって生きていったのか、何を思っていたのかがわかります。
    王としての劉輝はやはり不安定で完全ではないけれど、劉輝でなくてはいけなかったのもわかる気がしました。
    燕青のその後はどうなったんでしょうか。それだけが心残り(笑)。

  • 悠舜、旺季、晏樹へと続く話は、これはこれで良かったのだけど、段々と薄闇に掴まれていく劉輝が切なくて・・。悠舜、旺季、晏樹を描きたかったのだけろうけども・・。あの本篇のエンディング後に劉輝はこんな孤独なっているなんて・・。と複雑な気持ちで読み進めていた。けれど、劉輝の物語でほっとした。暖かくて、暖かくて。秀麗とのお互いの関係性で愛して愛してそして残るものが心の穴を繕っていく。楸瑛・絳攸とも主従の絆を結びなおしこれで本当のエンディングを迎えることができた。悠舜は凄いなぁ。

  • どの話しも泣きました。最初の三話で劉輝がもつ心の闇が浮き彫りになり、四話目で救われて、よかったね、となりました。劉輝はたくさん大切な人がいるから幸せ者だと思います。彩雲国物語は多くのことを教えてくれる作品でした。

  • 「彩雲国」で検索したら、出て来たこの本。やたら値段が高いのはなぜ?って思いながら予約して、届いて納得。このサイズならね。
    ハードカバーなので、持ちづらくて読むのに時間がかかってしまいましたけど、十分読み応えのある1冊でした。
    「骸骨を乞う」というのが、辞職を願い出るということは初めて知りました。

    悠舜、旺季、晏樹の話と続き、内容は非常に重いものでしたが、本編では十分には分からなかった悠舜と旺季、晏樹の関係が分かり、ここまで読み終えると、旺季が好きになってました。結局旺季も私利私欲のために玉座を狙っているわけではなかったんだなと。

    この3作品の中では、絳攸も楸瑛も静蘭は滅多に出てこなくて、たまに出て来ても劉輝の気持ちを分かっていない扱いされてて、なんかもやもやしました。

    4つ目の劉輝の話は、本編では、劉輝と秀麗の関係がさらっと書かれているだけだったんで、ものすごく気になってましたけど、こんな感じで秀麗が逝ってしまったのかって、ちょっとしんみり。秀麗が劉輝の元に嫁いだあとは、ケンカばかりと私も予想はしていたのに、なんか穏やかに過ごしていると、もうすぐ秀麗が逝ってしまうって予想があったのかなあ、なんて。

    一番最後の悪夢の国試組の話は、本編でも出て来ていた濃い官吏たちの出会いの話ですが、いつもの明るい話になってます。
    なんか黄奇人がいやに幼い感じはしましたけどね。

    また「彩雲国物語」を最初から読み直したい気分です。

  • 一言でいえば世代交代の話。
    少女小説としてシリーズを終えた後の短編出版、さらにそれが一般書籍として出される、というのは挑戦としか言いようがない。一般書籍として出版するからには読者層(年代性別)の一層の大衆化を図らなければならない。しかもライトノベルとして完結したシリーズとの違和感があってはならない。
    読者層の違いが生じてしまうのは、一般書籍が「全ての人」を対象としているからで、つまり物語の書き方(語彙や表現力、構成力、文章力、前後との関連の把握、伏線の回収など)、作者の意識の在り方(自分よりも読者優先、物語の筋が優先)が違ってくる。だって夢を与えることが目的ではないから。殆どの読者がシリーズを追っている者だと思うが、媒体を変えることで手に取る人もいるだろう。前知識のない人でも楽しめるか、一般書籍として購入した読者の期待にこたえられるか、というのは挑戦だったと思う。
    個人的にはシリーズを読破しているから新しく手に取った層がどう感じるかには言及できないが、「夢を与える」というライトノベルには確かにそぐわない内容だったと思う。未来に開けているのだが、深く暗いし、人が死に殺され殺す描写が多い。なによりもライトノベルで大切な主人公たちへの共感や応援といったものを感じるのは難しいと感じた。完結したシリーズとの関連はあるが、この本はティーンエイジャーの共感を呼べない。
    興味深いのは物語を目で追っている時脳内で流れる声の高さがそれまでとは違い、低いものとなったのも描写が内容と一致している証拠なのではないか。
    物語の後半からいきなり重要人物になった人物たちの名が冠された短編で構成されているが、これは劉輝の物語だ。旺季などの時代は完全に終わりを告げる中、劉輝が本当に王として側近と心を通わせていく様子が感じられた。だからこそ側近たちの名は冠されていないのではないか。好かれたいがために本当の自分を見せられない、いい子でいたい、ではいつか国政に直接的には影響しない形でかもしれないが齟齬が現れるのではないか。それを解決し人として劉輝が成長し、王の官吏として側近たちが成長がうかがえた。
    個人的には鴉を出すのだったら彼目線で語らせたのならば、同じ表現が何度か出てきても気にならなかったのではないか、と思ったのだが。満足した。これで終わったと、心から言える。

  • 秀麗の退官を決めた心情と結婚後の生活がじんわりくるなぁ。
    おもしろかったけど作者さんよっぽど旺季が好きなのね、と思わずにはいられない話だった。
    持ち上げているだけならともかく他を落としてというのがバランス悪いのかな。

  • 久しぶりに本を読んで泣いた。
    彩雲国物語の本編は少女レーベルだったからか、楽しくおもしろく物語を描いていたが、本書では著者の鬱屈が放出された感じの暗い爽快感があった。有り体に言えば、本編を冷ややかに睥睨するかの如くの書きっぷりなので(敵役視点だし)、本編おかわり!という人向きではない。レビューで評価が分かれているのも納得。

    この本を読んで、著者は彩雲国物語を本当にクローズしたんだな、と理解しました。旺季派視点のお話は本編に深みを与えてくれました。

    読んで良かった。

全147件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

茨城県生まれ。2002年10月「彩雲国綺譚」で第1回ビーンズ小説賞の読者賞・奨励賞をダブル受賞。03年11月、受賞作をもとに改稿執筆した『彩雲国物語 はじまりの風は紅く』で作家デビュー。同シリーズは11年7月に本編が完結し、累計650万部を超える大ヒット作となる。他の著作に「レアリア」シリーズ、『エンド オブ スカイ』がある。

「2023年 『彩雲国物語 十六、 蒼き迷宮の巫女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

雪乃紗衣の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×