雪と珊瑚と

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.96
  • (227)
  • (308)
  • (191)
  • (29)
  • (4)
本棚登録 : 1878
レビュー : 373
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101438

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 始まりの文面で、
    彼女の生い立ちとか出来事とか、
    もっと深い所に
    迫っていくのかなと
    思いましたが…。

    あと、先の読める展開に
    拍子抜けした感も否めません。

    ただ、文章はさらさらとして、
    読みやすかったです。

  • うーん。
    なんだかうまくいきすぎて全然面白くなかったなあ。

  • 内容など何も知らずに手に取った一冊。

    本を読んでいて面白いなぁと思うのは、自分が弱っているときに
    必要な作品や文章が与えられるということ。
    この作品の中でくららさんが言う「計らい」とはそういうものかもしれない。

    生きていくということ、食べるということ、信仰、母性、プライド、価値観。
    いろんなことについて、じんわりと考えさせられる一冊。
    テーマは重たいが、かわいらしい雪ちゃんのしぐさや、おいしそうな料理、力強い野菜や植物の描写に癒される。
    生きていくことも同じかもしれない。

  • 今年読んだ本で一番です、間違いなく。梨木香歩さんの西の魔女が死んだが好きなひとは絶対に好き。この空気感、なんか分からないけど涙腺が弱くなる言葉たち。

    母親に愛情を一切もらうことなく若くしてシングルマザーとなった珊瑚と離乳食を食べ始めたばかりの娘、雪。
    頼るところもない珊瑚が赤ちゃん預かりますのチラシをみて知り合ったくらら。
    パン屋で働きながらくららの作る美味しい優しい食事、その他諸々に感化されて美味しくて優しい野菜のたっぷり使われた、惣菜も売るカフェを作る。
    まぁそんなトントン拍子に物事はうまくいかないだろ、と捻くれた気持ちも生まれるが、珊瑚があまりにも一生懸命だから応援したくなる。そう言ったらきっと珊瑚は同情ととって嫌な気分になるのかもしれないが。その辺も作者の意図だろう。珊瑚の周りもとにかく素敵で、いじわるなパートのおばさんや、元連れ合いである元旦那、元旦那の家族、そして食べ物すら与えず育児放棄した珊瑚の母親でさえ憎むことができないどこかしら愛すべきところがあるのだからまた不思議。

    最初から、なんか泣きたくなる空気がびんびん。哀しいとかではなくて愛があふれすぎてて。温かいのもあるが、必死な感じが。でも美しくて。

    娘の雪を育てるためにパン屋に出向くとき、珊瑚が雪に放つ言葉
    p82 「今日もくららさんのところへいくのよ。おかあさんがいてあげられなくてごめん」
    おかあさんがいてあげられなくてごめん、ともう一度心で呟く。あなたも私にこう言うべきではなかったのか。
    おかあさんがいてあげられなくてごめん。
    今度は、小さかった自分自身に呟いた。

    カフェをオープンする際に保証人が必要で、行方知らずの母親を見つけ出し、わけの分からない宗教に染まり切った母親に保証人になってくれるよう頼んだ珊瑚に母親が言った
    p248 「あんたの保証ならできる」

    雪がはじめて珊瑚をママと呼んだあの日、そしてそれから最後の頁まで涙が止まらなかった。
    宝石姫の口からこぼれた、宝石のように「ごはん、おいちいね、ああ、ちゃーちぇねえ」と雪が放つ言葉。食事を味わって、喜びながらご飯、美味しいね。ああ、幸せだね、と言う雪が愛おしい。珊瑚がくららが、みんなが。

  • 読み終えたとき、「生きていく」とはこういうことなんだな、と思いました。

    この小説では、珊瑚というひとりの女性の人生のある時期が書かれています。

    淡々とした文章ですが、、なぜか温かみを感じます。小川糸さんの「ツバキ文具店」を読んだときに感じたような温かさでした。

    子育て、働くということ、人とのつながり、結婚離婚…色んなことが起こって、重なって、小さくなったり大きくなったりしながら、珊瑚の人生を作っていきます。

    その時どきの珊瑚の気持ち、まわりの人の言葉に、自然と共感していました。
    読んでいると、もう一つの「自分の人生」を歩んでいるような気持ちになります。

    働くことや人との関わりに悩んでいる方、子育て中のお母さんに、特におすすめしたい小説です。

  • 表紙が素敵だったので単行本で購入。
    梨木香歩さんの本は好きでいろいろ読んでいますがこの本は、、、ストーリーはとても興味深く、作者が描いているであろう情景も分かるのですが、文章がとても説明的で本の世界にうまく入り込めませんでした。全てを言葉で表現してしまうよりも、行間から場面が浮かび上がるようなものが好きです。
    話の内容はとても良いのに残念です。

  • シングルマザーがカフェを開く、というストーリー軸をもとにした、親子の確執や、人の生き方、在り方を描いた作品。

    主人公の珊瑚が、ネグレクトされていた母親を受け止めきれない、理解することがどうしてもできない、けれどそれも含めて、自分の中に落とし込もうとしている様は、少しでも機能不全の家庭に育ったものであれば心をグリグリと押されるような、刺されるような、それでいて救われるような感覚がした。

    梨木香歩は作家にならなければ総菜屋さんになりたかったというようなことをどこかで書いていた記憶があるので、そんな動機をもとにして書かれたのかもしれない。

    出てくる料理の全てが簡単なのに丁寧な工程をふむもので、丁寧に、美味しい料理を作り、食べたくなる。

    家に出入りするひとのもつ雰囲気、「酵母」によって作るパンの出来が違う、というのは、沼地のある森を抜けて、で描かれていたような、人の在り方を示すようでしみじみと読めた。

    若い女がカフェを開く、という話ではあるけれど、梨木作品を読んでいれば方々に散りばめられた「生き方、在り方」が感じられて、全然軽くなくて、どっしりした作品という印象を受けた。

  • 誰も謎解きしてくれないし、答えを教えてくれない。
    人生も、ひとも、「こうだ」と定義できるようなものなんてない。
    どう生きるか、何を考えて、何をするか。

    この本には、母との関係、出産、子育て、子供の父親、幼少期の悲しい思い出、宗教、仕事・・・人生の多くの要素がつまっている。
    多くの女性にとって、人生の指南書になりうる名著だと思います。

  • 読了日 2019/01/21

    あーりんが好きな梨木の小説。
    母子家庭の母親珊瑚が、一人娘の雪と生きていく話。
    「赤ちゃん、お預かりします」の貼り紙を見て、その主・くららに雪を預け、珊瑚は働きに戻る。
    産前勤めていたパン屋が店を閉じることになり、珊瑚は自分で店を開くことを決める。

    愛されなかった珊瑚が、愛せなかった母親に会いに行ってからが心に残る。


    以下、引用。305ページ

    「人は皆、平等みたいによく言われるけど、生まれた時から祝福されて、みんなから待望されて生まれる子と、誰からも祝福されず、それどころか呪われるようにして生まれる子では、誕生の時点から既に雲泥の差、全然平等じゃないですよね」
     藤村は深くため息をついて肯く。珊瑚は続ける。
    「けれど、そういうふうに生まれついたのなら、その中で最良のことは、その事にできるだけ支配されないで、可能な限り自由に生きることだって、今、分かった気がします。私は今まで何もかも自分で決めてここまでやってきたと思っていたけれど、でもそうじゃなかった。そうじゃなかったってわかった瞬間、ようやく、母のことから離れられた気がしました」

  • ちょっとやそっと、『施された』くらいで、ジュリアーナのプライドはびくともしないのよ。私を気持ちよくさせることが、彼女の『施し』だったのかもしれない

全373件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

雪と珊瑚とのその他の作品

雪と珊瑚と (角川文庫) 文庫 雪と珊瑚と (角川文庫) 梨木香歩

梨木香歩の作品

ツイートする