日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島 (角川oneテーマ21)

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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101629

感想・レビュー・書評

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  • 全部で2部構成、第1部は東郷和彦さんの主張が丁寧に、こってりと。
    第2部は、お2人での対談という構成となっています。

    その東郷さんは元外交官、佐藤優さんの上司として、
    主に北方領土問題に携わってこられた方です。

    凄く頭の良い方なんだなぁ、、と感じました。
    それだけに、部下としてついていく方は大変そうだ、とも。

    その東郷さんの主張、読み解くのはなかなかに骨でした。
    一点して、保阪さんとの対談となった第2部はわかりやすかったです。

    印象に残ったのは、徹底的にリアリズムを貫いているとの点でしょうか。
    外交の最前線におられただけに、なんとも説得力のある言葉として響いてきました。

     “交渉で決める以上は、双方で「これでよかった」という案を見出さねばならない”

    外交の最大の目的は“戦争を避ける”ということ、
    そのためには、彼我の国力差を冷徹に見つめる必要がある。

    そして、結果としての譲歩もやむを得ないとは、
    共感するかどうかは別として、、理解できる筋立てでした。

     “(武力で来る相手に対する)唯一の抑止力は、
      自ら適切な武力を行使してたたきかえせるかということ”

    日本の“今”の抑止力がどの程度あるのか、
    そして、周辺諸国との相対的な国力の差をどう把握するのか、、

    フラットに相手の立場を俯瞰していき、その上で、
    個人のプリンシプルと重ねて、譲れない部分をフォーカスする。

    交渉とはこういうものなのかなということを、なんとなく。
    そして、“力なき正義は無力”ということもあらためて、なんて。

  • ぼくは最初、それぞれの国の言い分を聞いたらどっちが正しいのかわかるんだろうと思っていたのだが、さすがにそろそろわかってきた。そういう問題ではないのだ。どっちが正しいのか、という判断基準では領土問題は解決しない。

    頭のいいひとたちは、小さい島をとりっこしてデモしたり殺し合いしたりするよりは、貿易でもしてお互いいい思いをしたほうが得だと思っているから、うっかり「隕石でも落ちればいいのに」とか言っちゃって顰蹙を買ったりするわけだが、その気持はよーくわかる。とりあえずその話(領土問題)は後回しにしておこうよ、次の世代が解決するさ、とニヤニヤしながら(たぶん)のたもうた鄧小平はさすがに大だぬきだ。

    正論は国際政治の世界では通用しない。国の数だけ正論があるんだから当たり前だ。日本から見れば北方四島の一括返還は正論だが、一括返還にこだわったから北方四島は未だに日本には帰らない。正論を言い続ければ帰ってくる、というほど無邪気な世界でもないだろう。いま鄧小平が日本にいたら、どんな交渉をするか見てみたい。

    しかしこういう話、好きな人多いよな。
    ぼくはちょっとうんざりしている。

  • 日本の領土を如何に守り解決するか? 太平洋戦争終結後、日本は一貫して領土問題を避けて来た。 いや、逃げて来た。 もし私が結論を出せと言われるならば、淺知恵といわれてもひとつの結論を持っている。 まず、領土問題は、北方四島・竹島・尖閣諸島を並行して処理する方法。 まず、北方四島(択捉・歯舞・色丹・国後)は、歴史問題からしても、まず間違いなく日本の領土であり、譲る事は出来ない。 ロシアの不法占拠である。 尖閣諸島も歴史的にもこれも日本の領土である。 日本が実行支配してる。 しかし、竹島に関して言えばICJに訴える方法もあるが、韓国は竹島に関しては、非常に強行だ。 まず、韓国と妥協して竹島を認めるが商業権も認めさせる。 さらに、北方四島・尖閣諸島に関しては日本側の味方に付ける交渉をするべきである。

  •  領土問題は、国益に係ることで、国家公務員の基礎知識と思って、常時勉強している。

     中国の台頭を前提にして、韓国、ロシアとの連携をさぐる必要がある。その喉元の小骨が領土問題。

     この本における、東郷さんの主な主張として自分が理解した点。

    (1)ロシアが一番弱っていた時代の東郷さんの外交交渉が挫折していらい、千島列島は交渉の糸口さえない状況。当時の主権は日本にして、統治は当面、ロシアとか、面積案分案などのような案でさえロシアがのむ可能性は薄い。その状況で、どうやって歯舞色丹だけでなく、国後択捉について日本の関与をみつけだしていくか、極めて厳しい状況にあることがわかった。

    (2)竹島は、日本は、単なる領土問題と捉えているが、韓国は、韓国併合の前哨戦としての歴史問題としてとらえ、感情的に譲歩ができない状況にある。その一方で、日本は、中国とのバランスで韓国と良好な関係を保つ必要がある。その糸口をどうみつけるかの問題。

    (3)尖閣は、田中総理時代の棚上げ論を、海上巡視艇への衝突事件で、国内法で処理するとしたために、自らそれを放棄し、中国の様々な圧力、最終的には武力行使の可能性までまねいてしまった。本来資源問題であったこの領土問題を、歴史問題にまで難化させない努力が必要。

     いずれも、生半可な愛国意識で解決できる問題ではない。国益を第一に考える強い意志を持ちつつ、相手方の利益とのバランスを考え、一歩でも漸進させる、粘り強い態度が、外務官僚、政治家に必要だと思う。

     平和的な交渉で格好のいい結論はない。国民もそのような中途半端な前進を受け止めていく必要がある。

  • 現行の領土問題として知られる、北方領土、竹島、尖閣諸島について、歴史から現状までを幅広く記述した一冊。

    日本の見方はとかくこれらをどうやって奪回(尖閣諸島は維持)するかというところだが、実際には世界のパワーゲームの中で様々な見方があることを知った。

  • 読了。

  • 日本の領土問題のポイントを知るには手軽な本。外務省官僚らしく、どちらにも片寄らない引用はさすが!放置したらどんどん悪化する領土問題、、、北方領土返還のチャンスがこんなに沢山あったなんて、、、

  • 3つの領土問題、それぞれの経緯と問題点を明らかにする。筆者の専門が北方領土なのでそこだけ妙に情報量が多いのは置いておいて、それぞれ違ったアプローチが必要であるということは外交の素人にもよくわかる。
    尖閣諸島も石油があるとしても掘らなきゃわからないしねぇ。国と国とかでなくもっと大局的な判断ができる人が両国にいて欲しいものです。なかなか難しいのでしょうけど。

  •  日本が抱える3つの領土問題の本質について,分析しています。
     特に,元外務省官僚だった著者の東郷氏が,当時,当事者として関わった「北方領土問題」について語っているのを読むと,「領土問題は,双方の歩み寄りが,色んな形で必要なんだなあ」ということがよく分かります。「両国間には領土問題は存在しない」「もともとここはうちの土地だ」なんて言っているだけでは,外交は進まない。
     日本は「武力による問題解決をしない」と決めた以上,少しずつ前進する如かないのだと思います。
     ナショナリスティックな構えだけで突き進むのは大変危険です。
     本書を読んで,冷静な対処が一番大切なんだなあって思いました。
     そして,あきらめないことも…。

  • 長くかかったが、領土問題はよくわかる

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著者プロフィール

1939(昭和14)年北海道生まれ。現代史研究家、ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒。1972年『死なう団事件』で作家デビュー。2004年個人誌『昭和史講座』の刊行により菊池寛賞受賞。2017年『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。近現代史の実証的研究をつづけ、これまで約4000人から証言を得ている。『陸軍省軍務局と日米開戦』『あの戦争は何だったのか』『昭和史の大河を往く』シリーズなど著書多数。

「2018年 『昭和の怪物 七つの謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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