百年法 下

著者 : 山田宗樹
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年7月28日発売)
4.03
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  • 本棚登録 :2354
  • レビュー :400
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101919

作品紹介

不老不死が実現した社会。しかし、法律により100年後に死ななければならない-"生存制限法"により、100年目の死に向き合うことになった日本。"死の強制"をつかさどる者、それを受け入れる者、抗う者、死を迎える者を見送る者…自ら選んだ人生の結末が目の前に迫ったとき、忘れかけていた生の実感と死の恐怖が、この国を覆う。その先に、新たに生きる希望を見出すことができるのか!?構想10年。最高傑作誕生。

百年法 下の感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。恩田さんの作品や「ジェノサイド」とかの世界観とリンク出来そうな世界観でした。他W村上なども連想してしまいました。

    HAVIによって不老遺伝子を組み込んだけど、結局は時限爆弾のようなものが仕組まれていて、やっぱり自然の摂理に逆らうといいことはないんだよね…と思いました。

    人から人への技術や伝統の継承、今の社会でも警察官などを始め、たくさんの継承が行われている。あらためて重要なことなんだよなぁと身に沁みたりしました。

    私は作中で泣けるシーンがあるとすぐに評価を上げたくなってしまう悪い癖があります。上巻では蘭子のシーン、下巻では牛島の演説シーンでそれぞれ涙しました。やはりHAVIで不死になって「生」が当たり前の世界では「死」が光って見えたゆえの涙でした。

    残念なのが時間軸が飛ぶのはいいのだけど、ぶつ切り状態で何か足りない感があったのと、突然のSMOC16年という…なんで16年なのかな…とか、クーデタももっとピンチになるのかと、ハラハラしたけど案外早く決着し…「おぉ~」と上がる部分と、「ん?何でなんだい?」と疑問に思う部分の差が大きかった。伏線かな~と思って付箋貼りまくったけど、ただの文章の一部だったり…。

    でもすごい世界観で構想10年っていうだけあるよなぁ。「HAVI」や「百年法」、その他の重要なキーワードを様々な言葉に入れ替えると「現代社会」になる。圧倒的な作品だと思いました。楽しかった。

  •  上、下巻のボリュームなど関係ない。素晴らしい作品だった。さすがに、構想に10年かけただけの作品のことはある。

     上巻を読んでいるあたりは、若者ばかりで永遠に歳をとらないという、作品の世界に入り込むのに苦労したけれど、下巻に至っては、もうページをめくる手が止まらなかった。

     ラストの仁科ケン独裁官が、独裁官制度を終了し、民主制移行を告げるあのスピーチ、本当に素晴らしかった。山田さんは、これを描きたくて、この最後の思いを私たちに伝えたくて、この作品を構想したんだろう。

     日本人として生まれてきてよかったって思った。理性と誇りを失わず、秩序を愛する民族の一員であることを、私自身が誇りに思う。
     もちろん、この作品中で、皆が皆、こんなに理性的なわけではなかった。富と権力に執着し、目先の利益ばかりを追求した者がいた。自分の持つ肩書きに酔いしれて、正しい判断を下せなくなった者もいた。
     けれど、日本人の大半は、過去の自らの過ちを認め、次の世代のためにすべてを捧げた。これを愛さずに、何を愛するというのだろう。この行為を賞賛せずして、何を賞賛するというのだろう。

     私は、ケンのようには強く生きられないと思う。私は何の疑問も持たずに、みんなが受けているからという理由でHAVIを受けてしまうだろうし、拒否者を積極的に助けたりしないだろう。

     ケンは最後にこう言っている。
    「あなたにもできることは見つけられるはず」と。

     「私は、あなたのようになれない。私は、強くないから」なんて言い訳していてはダメなのか。何もしないことが罪なのか。

     だとすると、わたしにできること。
     まず、自分を大切にしよう。そして、その次に、私の周りにいる大切な人を大切にしよう。
     周りに感謝をして、困っている人がいたら、手を差し出して生きてみよう。
     そして、このバトンを、次世代に確実に渡そう。

     そうしていくことは、きっと、いつか、誰かを救うことにつながる。そう信じよう。

  • 不老不死というテーマは一昔前ならありえないことと当たり前のように思っていたけど、最近はありえなくもないんじゃないかなんて思うようになっている.自分が生きている間にはないにしても.
    不老不死は今も昔も人々にとって重要なテーマであり、それを求める人は多い.でも、いざそういう技術が可能になったら.”永遠”を手に入れたとたんに”死”に向かう人々の心理はなるほどと思った.人間は想像する動物であるということを再確認する.

  • 上巻からの続き
    http://booklog.jp/users/kickarm/archives/1/4041101484

    【再読】

    「日本共和国」を生かすために動き始めた「百年法」が時間の経過とともに、歪んでくる。

    そして、自分の「生」と賭してこの国の未来を拓こうとする。
    その時、自分が未来の世代のために出来ることは何か?俺に出来ることは何か?

    政権があの党に戻り、日本は良くなるのか?
    折りしも「日本国憲法」改定の話もある。物語と同じで敗戦時にアメリカの都合に合わせて作られた憲法。

    それをしっかり国民に説明し、中国を敵国と認識させることで「まだアメリカに助けてもらわないと日本ヤバイよ」と意識操作していることを白昼に晒し、国民投票をすることが出来るか?

    なんて妄想も膨らむ、「国造りエンタメの傑作」です。


    【初読時】
    法律で「死」を求めれば、当然その法律から逃れる人が居ます。
    物語の中の社会では、「死」を拒否した人を「拒否者」と読んでいます。これが「基本的人権」を持たない人達です。
    拒否者でも集まれば、集団になり村になる。何しろ「不死」ですからね。

    安定していた「日本共和国」が揺れ始めます。
    後半は、「不老不死」よりも政権、権力の奪い合いに話が流れていく。そして「不死」の存在が一転・・・
    下巻で、ストーリーから逸れた気がするんですが、結末へ向けての必要な布石。

    「この国がどうやって生き残るか!」に全てを捧げる官僚が熱い。
    「不死に法律で期限つける?何か面白そう」と手に取りましたが、いやいや、いつの間にが国を作る熱き男たちの物語になった。

    それでは現実に戻り、政権を取り戻したあの党に期待大です!


    貪るように読んでしまった。読了後、そのまま再読中。。。

  • すごく面白い長編漫画を読み終わった感じ。SFだからこんなもんかな。
    ちょっと期待し過ぎていたのかも。
    不老不死が現実のものとなった国で生存期間を制限する法律が施行される。その中での人々の戸惑い、社会の変化、未来の姿を緻密に描いている。
    たくさんの人物も登場させながらもそれぞれの心情も細やかに追っているし、よくできたプロットだと思う。
    でも・・・、なんだろう。これだけ長い作品を読んだ割には読後感が残らない。SFはあまり読まないから分からないけど、テーマ自体が古臭いのか?
    面白いことは面白い。きっと漫画で読んだらもっと面白い。でも小説としてはどうなのか。うーん。

  • 今の日本で生きる自分の生と死を考え、20世紀に想像した未来を思いだす

    400ページ強をやっぱり一気読み。

    大統領指令ゼロ号がやっぱりしびれたね。

    そこにしかけておいたか、と。

    最後は、宗樹作品にしてはするっときれいにまとまりすぎている感は
    あるなと思い、そこは立花さんの話が直接的に書かれていないことで悲劇感が薄れているからかな、と感じました。

    上下巻合わせて800ページ強に渡るボリュームだけど
    あれこれ削ったうえでまとまった作品なのでしょう。

    不老不死になり、「いつまでも生き続けることができる」ということは
    「いつまでたっても生き続けなければならない」ということで
    その事実に耐えられず作中多くの人が自殺、他殺で命を失います。
    また、余命が法律で定められても辛いのは第二部の終わりで
    痛いほど伝わってきました。

    事件や事故で自分が死ぬんだな、という意識なく亡くなるのは、
    自分は良くても周囲の人間にとっては辛すぎるし、
    などといろんな条件を浮かべ

    「自分にどのように死期が訪れるのだろうか」
    「自分に死が期限付きで訪れた際、
    最後までどう生きることが出来るのか」

    ということを考えずにはいられなくなる本でした。
    今の日本で生きる自分の生と死を考えさせれる本でした。

    楢山節考であったり、筒井康隆の定年食(メタモルフォセス群島収録)
    であったりの20世紀の作品を見る限り、
    「今後、日本人増えすぎてしょうがない」
    という未来が来ると思っていたのですが
    21世紀も10年過ぎて、労働力不足が明るみになってくるとは。

    「牛丼チェーン店が24時間営業出来ない」
    「ファーストフード店に老人店員を数多く配置」

    というニュースに接すると、未だに車が空を飛ばなかったり、
    雨の日は傘をささなければならなかったりすることと同様、
    20世紀に想像していた通りの未来には
    なかなかならないものだ、と思う次第です。

  • もっと未来の話かと思えば21世紀のお話で、HAVIという不老化処置により永遠の若さを手に入れた人々の世界を描いています。
    HAVIを受けた国民は、処置後100年をもって生存権をはじめとする基本的人権をすべて放棄しなければならないという、事実上の死を意味する百年法。
    その施行を巡りヒステリックに揺れるなか、その是非を問う国民投票が行われます。
    百年法を凍結すれば日本は滅びるとされるも、結果は反対多数で凍結となります。
    これは第1部。

    第2部は、その後の政変により百年法も施行され何とか国政も立ち直ってきたころのお話ですが、伝説と化したテロリスト阿那谷童仁の正体が描かれ、第3部への橋渡し的内容となっています。

    第3部は、SMOCという突発性多臓器ガンの発生や、阿那谷童仁による大統領暗殺計画や、独裁的大統領の暴走やら、いろいろ渦を巻いていくのですが、最終的には「死の恐怖」というものに直面することで人としての尊厳というものを取り戻すといったような流れです。

    永遠の若さ、永遠の命というものへの執着と恐ろしさなど、なかなか説得力のある展開でした。
    永遠なのに刹那的な生き方をしている感じとか、心は老いていく様子とか、なんかぞっとする。
    SFエンタメではあるけど、なんとなく生の真理をつくような内容でした。
    私だったら20代の頃だと先のことまで想像つかずにHAVI受けるだろうな。
    でもなんか、そんな社会を想像するとかなり気持ち悪い。
    老けるのは嫌だけど、年を取ることは悪いことではない。

  • 百点満点。
    久しぶりに絶対映像化してほしくないと思った。
    今年読んだ中で1、2位を争うほどの一気読みでした。

    下巻はSMOCという謎の病と拒否者ムラという違法者の話から始まりますが
    そこからまさかの展開があり、怒涛のラスト。驚きの連続でした。

    牛島と遊佐の病室での場面、泣けたなあ。
    そしてあの、国民投票。最終章のケンの言葉。

    「自虐的で冷笑的な言葉に酔う前に、その足で立ち上がってほしい。」
    「虚無主義を気取る余裕があるなら、一歩でも前に踏み出してほしい。」
    「あなたにもできることは見つけられるはずだ。」

    はあ。どこかに遊佐みたいな政治家いないですかねえ?

  • 驚異的な傑作。これほどまでにダイレクトに胸を打つ力強い本はなかなかないと思う。本当に様々な要素を盛り込んだ一大エンターテイメントの傑作であると同時に、力強いメッセージを訴える社会派小説の傑作。そして、ジャンル的には近未来SFの傑作と言ってもいいのだろう。話題になった「ジェノサイド」や「虐殺器官」もすごかったが、個人的にはそれをも超える稀に見る傑作であると感じた。
    テーマは人の生と死。そして、それを前提とした人間の生き方の問題だ。
    放り込まれた要素は、人との信頼、男女の愛、親子愛、信念をつらぬく大切さ、人の醜さ、弱さ、愚かさ、身勝手さ、などなどたくさんあれど、中でもきわだっているのは、まるで現在の日本の政治状況そのものを揶揄したかのような権力闘争の要素であろう。また、近未来SFとはいうものの、時代設定は奇妙に現代とリンクしており、これがまた奇妙なシンクロ感を醸し出す。この政治的な要素と時代設定の仕掛けから考えるに、この作品はある程度の大人が読んで初めて感動できるものなのかもしれない。
    過去に著者の本は読んだことがないけれど、その小説的なテクニックもひどくうまい。場面や時制の転換が自由自在で、登場人物が思わぬところでつながってくる過程がとても見事だ。重いテーマを内包しつつも、堅苦しい文章になることなく、あくまでもエンターテイメントとして完成させていることに、著者の指向性と力量をみた気がした。
    繰り返そう。これは驚異の傑作だ。今を生きる日本人が1人でも多くこれを読んで、自分の生き方を真摯に考えてみることを強く祈ります。

  • 「そんなに長く生きたいもの?」

    不老ならば…。
    いや、どうだろう。
    人生方向転換はいくらでも可能だろうけど、リセットして一からというわけにいかないなら、今の自分、すでに結構飽きてますがww。

    家族は時として重かったり、足枷だったりするけど、それらか何もないというフリーな状態って、もしかしたらかえって気持ちが不安定なものかもしれない。

    やはり、限りあるモノだから、大事にしたり、頑張ったりできるんじやないかな。
    一生、恋愛とか婚活とか…面倒だ。←ある意味終わってるw




    さて、実写化はあるでしょうか?
    主役はやはり遊佐なのかなぁ。。。
    でも、百年法を推進していたはずの末路がアレか・・・?でw。
    個人的には櫻井翔くんにやって欲しい役は、なかったんですけど・・・^^;。
    そこんとこどうなの?岡田くん。。。

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