- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041102015
作品紹介・あらすじ
麻薬はもはやテロと同じ国家的脅威と認めた米大統領の秘密指令で、かつての敵、アヴェンジャーことキャル・デクスターも仲間に加えたプロジェクト・コブラ。着実にカルテルを追いつめてゆく。作戦の行方は?
感想・レビュー・書評
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読み終え、カテゴリーをふと考えなおし「軍事サスペンス」にした。
上巻が盛り上がって行った分、下巻は余りにもハリウッド的、広がりすぎた舞台をどう閉めるのか、海洋の海原を突き進む感覚になった。
無論、コブラがとる操縦桿の裁きは見事すぎるくらい、情報権限共に集中されており兄弟団のすきを一つずつ潰しかかって行く。
”能なるも、これに不能を示し”の孫氏の兵法か。。
デクスターも相手側の幹部と面会し、リストを入手したり ベランダから梯子でヘリに乗り込むなど映画を見ている感覚になる(相手の幹部:足の生えた戦車のようなガタイ、アステカ軍神のような顔・・って)
ロメロのリンチシーンは如何にものこの作品のエッセンスを表出せんばかりの描写~血だまりの中の椅子、耳も鼻も無くなった顔・・鼻を疥癬闇の犬のえさになげてやる)
兄弟団のボスが死に、一般人も死ぬ(メキシコ北部では拷問・処刑の死体は何千体も、一般人の死体も放置)
そして結末は・・あっけないというか、いかにも修羅場の果ての地獄というか・・白い粉が地球の上に舞い上がった先はかすみか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【上下巻のレビュー】
もう一捻り欲しかった
相変わらずいろいろな国と人物が乱れてのフォーサイス節。前々作『アヴェンジャー』に登場したデブローとデクスターが手を組んで、新たなテロと指定されたコカイン汚染に立ち向かう。実世界でも麻薬対策は行われているが、大きな収穫を挙げていないのも実情。フォーサイスはそれに対して私ならこうするがねと提言を投げかける。その作戦の巧みさはフォーサイスならではといえよう。その効果が表れコカイン・カルテルの壊滅まであと一歩というところで「われらが偉大な国(=アメリカ)は外国で百万人殺すのは平気だが、国内ではその一パーセントに満たないギャングが死ぬのを見ても気絶するらしい」と最後の最後で方針転換をせざるを得なくなってしまう。出来ることならプロジェクト・コブラの目指した世界を見せて欲しかった。 -
最期の結末が今一つ、あっけなかった。読後あまりよくない。
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上下巻。スパイ小説。一人の子供の死をきっかけに、合衆国大統領はコカイン産業を壊滅させることを決定する。任務を受けたのは、元CIAのポール・デヴロー。敵への"無慈悲さ"ゆえに組織を追われた男だった。
かつての敵で唯一自分を出しぬいたキャル・デクスターを味方に引き入れ、大規模な、そして周到な作戦を開始する。
初めて読むジャンルのスパイ小説。デヴローの考えた作戦は、麻薬組織の弱点を的確についた、見事な作戦です。そして、その作戦は一方で無慈悲で、かなりの犠牲を(敵方に)与えます。
ただ読んでて爽快感がある反面、全編にわたってあまりにも一方的すぎて、少し拍子抜けしました。麻薬組織がいいように踊らされすぎです。息もつかせぬ攻防がなかったのでそこが残念。 -
物語の展開はおもしろいんだが、最後はかなり消化不良。こういう結末は期待してなかった。
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「ジャッカルの日」、「悪魔の選択」など多数の著作がある著者。
本書はその著者の(少なくとも和訳版では)最新刊です。
テーマはコカイン。
コカインを扱う麻薬組織とこれと戦うために特別に作られた組織との戦いを描いています。
はっきり言ってありえない感が強いストーリーでしたが、それでも(ベストセラー作家だけあってか)読める内容ではあります。
では前置きはこの位にして以下であらすじを紹介。
ワシントンの貧困地区で15歳の少年が麻薬の過剰摂取により死亡。
彼の祖母がホワイトハウスのメイドだった事により、大統領がその死を知り、これを切っ掛けにコカインを扱う麻薬組織「兄弟団」に対する米英政府による戦いが始まる。
この戦いの指揮を取るのは、敵に対して冷酷過ぎるという理由でCIAをクビになった70代の元職員(通称・コブラ)。
コブラには監査無しの20億ドルの予算の他、関係機関の全面協力を命ずる大統領令、必要な人材を独自の判断で雇い入れる権限などが与えられる。
時に冷酷の評価に違わぬ非情な手段を使い、「兄弟団」に対する入念な攻撃準備を行うコブラ。
そして容赦の無い攻撃が始まるが・・・・
上下巻に分かれており、上巻では準備が、下巻では攻撃が描かれています。
特に下巻はコブラの非情さが浮き彫りになった展開となっており、これだけやると確かに効果は出るよと言った感じです。
そしてストーリーに(上記の通り)ありえない感を植え付ける結果にもつながっています。
とは言え、そこはベストセラー作家。
最後にひねりを効かせ、凡庸な小説としては終わりません。
(若干くどさも感じる文章ではありましたが)十分楽しめる内容です。
お時間のある時にでも一読されてみては如何がでしょうか。
著者プロフィール
フレデリック・フォーサイスの作品





