永遠の曠野 芙蓉千里III

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102275

作品紹介・あらすじ

私は、芙蓉。この最果ての地で見事な一夜花を咲かせてみせよう。不世出の舞姫は恋ゆえに芸を捨て、馬賊に。彼女の思いが、歴史を変える-ドラマティック女子道小説、感動の完結巻。

感想・レビュー・書評

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  • 馬賊の当家となった山村健一郎-楊健明を追いかけ、舞うことを捨て馬賊の世界へ飛び込んだフミ。
    下働きの馬の世話から始め、徐々に仲間と馬からの信頼を得ていく。
    ようやく自分の居場所を見つけたフミ。
    しかし時代は大きく動き出し・・・。

    『芙蓉千里』完結編。ああ、こう落としましたか!!
    うっわ、びっくり。大興奮しました。ここまでの話が全て吹っ飛ぶくらい。
    だけどちょっと抑えて感想を。

    このあたりの大陸の動きは複雑すぎて、ほとんど何も知らない状態。
    であるからしてモンゴル・露西亜・ソヴィエト・中華民国そして日本の政治的思惑と駆け引き、それらの背景がていねいに描かれていたのは助かりました。
    浅田次郎さんの『中原の虹』も思い出しながら読みました。

    『北の舞姫』で「少女漫画みたい」って思いましたが、須賀さんのインタビューを読むと「大河少女漫画」が読みたいと思い書かれたそうで。
    なるほど。大成功ですよ。
    それにしても、ずいぶん遠くにきちゃったねぇ、フミ。
    だけどこの後のほうが、もっと時代は大変なのですが・・・。

    見事な大団円ですが、でもこのラストってば。誰かと話したくてしょうがない。
    ということで、以下ネタバレです。未読の方、ご注意を。












    山村さんは、馬賊の当家ってことで早々に死亡フラグがたっていたので、その後の身の振り方をフミがどうするのか、ってことが気になっていたのです。
    すごすごと黒谷さんのところへは戻らないよねぇ?と。
    そうしたらコレですよ!
    さすが「大陸一の女郎」。ゲイをもその気にさせるなんて。
    って、おバカな話はおいといて、山村さんの血を混ぜた2人が子をなし家族を作ることで、間接的に山村さんの家族をつくった、ってことですよね。
    ここ、うまいなぁと唸りましたね。
    あと個人的には431ページ下段はじめ。ああ、生きていたんだ!
    愛すべきキャラでしたので、本当に嬉しかったのでした。

  • 89:須賀さんの書かれる少女主人公は、本当にしなやかで、逞しくて、可愛くて、艶やかで、強い。胡子としての生活がありありと描かれ、スケールの大きさとリアリティ、圧倒的な展開とスピーディな展開に毎度のことながら浸れました。
    正直なところ、建明のフラグが立ちすぎていて読んでいてつらく、フラグが成立してしまったときは泣きましたが、心折れた芙美が再び立ち上がるまでの描写は「流血女神伝」を思わせるもので、胸熱でした。少女小説というとちょっと違う気がするけど、少年小説の少女版? たぎります!

  • 大河ドラマだった。
    ロシア、モンゴル、中国、日本の関係がふんだんに書かれていて、歴史に疎い私はついていけない部分もままあったが、おそろしく読み応えがあった。

    人ってどんなに心を壊されても、立ち直れるもんなんだな。勇気出た。

  • 驚きのハードボイルド展開と意外なラスト。女のロマンとかそーゆーのブッちぎっちゃう荒業ドラマ。おもしろかったー!

  • 芙蓉千里シリーズ最終巻。
    なかなかの分厚さに加えて2段組というかなりのボリュームでしたが、須賀しのぶさんの鮮やかな文章に惹きつけられて一気に読めました。

    これまで須賀さんの本では『革命前夜』『また、桜の国で』を読んだのですが、今回の芙蓉千里もシリーズ後半では戦争が大きなテーマとなり、こういった歴史的出来事を絡めたお話が得意なのかなと理解しています。

    3部作まとめての感想は以下の通りです。
    ・芸妓として成長していく話かと思いきや、後半はモンゴル周辺の国々の運命をかけた壮大な話となり、スケールの大きさに圧倒されました。自分の知識が乏しく、それぞれの関係性を理解するのが難しいと感じる部分もありました。しかし逆に、当時の歴史的経緯に興味関心を持つとても良いきっかけになりました。
    ・黒谷さんとフミが一緒になってほしいと、2巻を読み終えた時に思っていました。3巻ではどうやって黒谷さんがフミを探し、出会うのだろうと楽しみにしていたのですが、そういった行動がほとんど見られず残念でした。黒谷さんも最後幸せそうでよかったですが、どういう流れでフミを諦め、他の女性との結婚を決意したのかという話も読みたかったです。
    ・地名・人名の多くについて中国語読みが覚えらず、読むのが少し大変でした…

  • モンゴルの近代史に詳しくなかったので、
    ロシア、日本、モンゴル、中国との関係が理解できなかった。
    辛亥革命後の中国、満州、日本というのは、
    いろいろな本で読んできたが、
    モンゴル近代史はなじみが薄いかな。
    そういう意味では、力作だと思う。

    主人公の芙美、パトロンの黒谷、
    恋人で馬賊の楊建明と炎林。
    饒舌なきらいはあるけど、さすがの筆力。

  • 89:須賀さんの書かれる少女主人公は、本当にしなやかで、逞しくて、可愛くて、艶やかで、強い。胡子としての生活がありありと描かれ、スケールの大きさとリアリティ、圧倒的な展開とスピーディな展開に毎度のことながら浸れました。
    正直なところ、建明のフラグが立ちすぎていて読んでいてつらく、フラグが成立してしまったときは泣きましたが、心折れた芙美が再び立ち上がるまでの描写は「流血女神伝」を思わせるもので、胸熱でした。少女小説というとちょっと違う気がするけど、少年小説の少女版? たぎります!

  • 登場人物と関係性がごっちゃになって読むのが辛かった中盤。

    最後はそこに落ち着いたのか、とすこしほんのりしんみりしつつも、逞しく生き抜いた先の幸せによかったな、と思えたラストでした。

    2018.7.9

  • やっと読み終わりました。
    放置してかなり経ってしまったので、関係性や名前の読み方を忘れてしまい、一苦労。

    一度読み始めれば、止まらないのはさすがです。引き込むのがうまいなと毎度ながら思います。

    終わりが予想外だったので、そうきたかという思いですが、私は良い終わり方だなと思います。
    炎林のことも好きになりました。良い男ですね。再読するまでに二歳ほど歳を取ったので、以前の私は今よりも子供で、炎林の魅力がわからなかったんだろうなと思いました(笑)

    それでもやっぱり黒谷さんが好きだなと、しみじみ。
    黒谷さんのような男性、いませんかね?(笑)

  • 読み始めたら一気読み。

    そうか、そういう風に終えるのか。
    面白かった。

    それにしても長い旅路だったな・・・

  • もうちょっと詳しい地図と、あとやっぱり人物紹介が欲しかったなあ。慣れない地名や人物名に苦労したけど、ストーリー自体は面白かった。女一代記というか文字どおりの芙蓉千里を駆けるといった風で。すっかり落ち着いた感のある終章だけれど、実際にこのあとなにが起こるか知っているだけに、フミたちはその時代をどう生きていくのだろう、とすごく興味がある。

  • どうしてそうなるのか理解出来ない。前回までとっても面白かったのに何故こうなった・・・。ガッカリ。

  • いやー。読みきった。

    息もつかせぬ展開過ぎて。

    芙蓉千里を遥か前に読んで、後の二冊。

    まさかこれを読みながら、浅田次郎さんの清朝末期のあのシリーズを思い返すとは思わなんだです・・・


    久々に、読書後の心地よい爽快感が得られた作品でした。

    これ以上ない結末だったと思う。

    うん!

  •  『芙蓉千里』を読み始めた頃は、まさかここまで続くとも、骨太になるとも思ってなかった。大河ロマン小説にしては、政治情勢なんかがきちんと書かれており、難しくてなかなかすんなりとは読ませてくれない。でも、シリーズ最終巻を読み終えて、感無量。小難しい中にも、大河ロマンたっぷり。フミの波瀾万丈でたくましい生き方も素敵だけれど、黒谷、建明、炎林というフミをめぐる3人の男たちの、なんと魅力的なことか!それぞれにキャラクターが違って、とてもいい。特に建明の最期、炎林とフミの関係が素敵すぎて、分厚い本を持つ手のだるさも、二段組みの構成で文字を追う目の疲れも、読み終えた後は胸がいっぱいで、心地よかった。

     またいつか、読み返したい。次は、ぎゅっと短い時間で一気に読みたい。

  • いや~、凄い疲れた。二段組のぶ厚い作りもさることながら、馴染みのないモンゴル・シベリア・中国大陸の地名人名・歴史的政治的流れに難儀し、それ以上にフミの生き方が怖くなるほど純で激しくて。みんなみんな鮮やかな生き様だった。物語の最初には、単なるフミの芸妓としての成功物語かと高を括ってましたが、どんどん壮大に広がっていきました。私イチオシだった黒谷さんの登場が3巻に来て少なくなったのが残念と言えば残念ですが、納得の結末です。うん、良かった。

  • 大陸&馬族版 流血女神伝。
    健明といい、二当家といい、すべてが想定内なのに、ひきこまれる感が。
    久しぶりに流血女神伝が再読したい・・のに、復刊がなかなか進まない。

  • 甘くない、というのが第一の感想でした。
    冷たいわけではないんだけど、自分は自分、他人は他人、という壁がある感じ。
    対人関係の中では助け合い精神が働くべきだという先入観があり、それを期待して読んでいるのですが、全くもって裏切られます。
    でもそれがあたりまえだと強かに受け止めて前向きに生きていく。
    すごいな、と思います。

    自分のことは自分で責任を持って行動しないと。
    もっと強くならねば!

  • 芙蓉千里は少女小説を書いていた須賀さんの地続きにあるんだなぁって思う。読む度にそう思う。

    流血女神伝は最後まで読めてないんだけど、展開的には似てるのかしら。
    少女が女になったところで物語その役目を終えているという感じがする。

    建明の最後はしっくりきたなぁ。
    穏やかな人生は送れないんだろうなぁと思っていたので。
    あぁ、そうなるよねぇ、と悲しかったけど。
    あと炎林みたいなサブリーダー的な人ほんと恰好いいと思うよ。
    ほんど好みドストライクだよ。

    エピローグでも彼女たちが逞しく生きていて頼もしかった。
    まだまだ激動の時代の最中、というか、
    もっと激しい流れの中に時代ごと突っ込んでいくんだけど、
    そんな中でも図太く逞しく強かに生きていくだろうなぁ。
    生きていって欲しいなぁ、と思わせる終わり方でした。

  • 後半のフミの行き意地の強さに、びっくりしつつも感心していました。

  • 草原にはいつも自由しかない。
    フミの物語のラスト。

    いやーおもしろかった…。これはすごい。
    炎林がしあわせになってよかったわー。
    史実が多く盛り込まれているようなので、ついていくのが大変です。

    炎林は、微笑んでいた。その目からは涙が一筋、こぼれ落ちた。「おまえの幸せを、願っている。どこにいても。」

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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