遺譜浅見光彦最後の事件 (上)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102312

作品紹介・あらすじ

浅見家に届いた一通の手紙。それは、本人が知らない間に企画された、浅見光彦34歳の誕生日パーティの案内状だった。発起人の一人、本沢千恵子は美貌のドイツ人ヴァイオリニスト、アリシア・ライヘンバッハを伴い浅見家を訪れる。丹波篠山で町をあげて行われる音楽イベント「シューベルティアーデ」に二人が出演する際に、ボディガードを頼みたいというのだ。アリシアは祖母に、彼の地で「インヴェ」という男に託された楽譜を預かってくるようにと言われていた。一度は断る浅見だが、刑事局長の兄、陽一郎からの特命もあり、現地に赴くことになる-。賢兄愚弟の典型、浅見家に育った次男の光彦を過去の盟約が追い詰める!軽井沢、丹波篠山、ヨーロッパを舞台に史上最大級の謎の連鎖の幕が開く。国民的名探偵が迎える衝撃のラスト。

感想・レビュー・書評

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  • 浅見光彦は、本人が知らない間に企画された34歳の誕生日パーティに際し、ドイツ人ヴァイオリニスト、アリシアに頼まれ共に丹波篠山へ赴く。アリシアは祖母に、彼の地で男に託された楽譜を預かってくるように言われていた。。

    浅見光彦シリーズを読むのは10年ぶり以上かもしれない。しばらく読まなかったのは本筋より観光案内とグルメ描写が多くて嫌気がさしたためだが、「最後の事件」とあるから読んでみた。でも印象は全く以前と変わらなかった。ただ読み始めた以上、続きが気になるから下巻も読むことにする。
    (C)

  • 最後すっきりしたかった。

  • ついに浅見さんも34歳に…!ドイツも関わって下巻に続く。

  • 「浅見さんよ、戦後の日本で失われたものは何やと思う?」「戦争に負けて日本人が失ったものは誇りやな。日清、日露という大国相手の戦争で負けんかったことで、日本人には驕りがあった。遠くは元寇で神風が吹いたという伝説まであったために、神国日本は永久に不敗だと思い込んでいた。それがこっぴどく負けたもんやから、誇りも宗教心もいっぺんに消えてしもた。あんたは知らんやろが、敗戦直後の日本人は誰もかれもが無気力で、ただ食うため生きるために、おろおろと蠢いとるようなもんやったよ。占領軍のやつらに『精神年齢は十二歳程度』などと揶揄されても、反論もできんかった。しかし日本人の賢さと勤勉さが、驚異的な復興を成し遂げる。空襲で一面の焼け野原、廃墟と化した東京が、敗戦からわずか十数年後にはオリンピック誘致に名乗りを上げ、実際、十九年後の昭和三十九年にオリンピックを開いてしもた。食うや食わずで育った若者たちが金メダルを取るのを目の当たりにして、日本人がようやく誇りを取り戻した瞬間や」
    「その勢いで背中を押されるように、経済発展も目覚ましいものがあった。戦力ではなく経済力で追いつけ追い越せとばかりに遮二無二働いて、ついにアメリカに次ぐ経済大国にまでのし上がった。けど、金もうけばかりに励んでいるうちに、あんたがさっき言うたとおり、道徳心と謙虚さが希薄になった。神を畏れぬ所業がのさばりだした。何も造らず肉体労働もせずに、ただ机の上のパソコンを操ってのマネーゲームで金もうけをする連中がセレブとかいうて幅をきかしとる。性道徳は頽廃し、これまでには考えられんかったような悪質な犯罪が、いとも容易く横行する。経済力や国力に関しては誇りを取り戻したが、その代わり人間としての誇りは失ったわけやな。あんたが言うたとおり、日本古来の道徳心も謙虚さも、わしが神主やから言うわけやないが、敬虔な宗教心も消えてしもた」
    「ドイツでは、森の減少が進むのに危機感を抱いて、対策を講じとるそうや。元来、ゲルマン民族は森を愛する民族や言われとったのが、相次ぐ開発によって森林の二十パーセントが失われてしもた。文明の進歩こそが豊かさの証明やとばかり考えて、ほんまに大切なものが何やったかを忘れとったんやな。とはいえ、そこに気がついて、すぐに軌道修正をするところがいかにもドイツ人らしい気質と思わんかね。原発のコトもそうや。究極の文明のごとくに思われた原発が実は人間が発明した最悪の危険物やということを悟って、脱原発を模索しはじめた。こんなんはごく当たり前のような話しやが、これがなかなか出来ん。危険やと分かっとっても、経済効果を優先する気風がのさばっとる社会では、動いているものを止めるいうのは難しい。そういう英断が下せるのは思想がしっかりしとるからや。思想とは物事を改革、進化させる原動力とのみ考えがちやが、過ちを改むるに憚らんことも思想の力があってのことや。残念ながらわが国にはその力が欠如しとる。危険を承知しても止められん。見て見ぬふりをして進んでしまう。最悪の事態は起きないものとして、いま現在、目の前にある利益を享受しようとする。経済界ばかりか政治家どももそうや。いや、日本民族全体の気質いうてもええ。ごく稀に異論を言う者もいるが、あくまで少数でしかなく、社会的には異端で片付けられる。ブレーキが利かん状態で車を走らせるようなもんやな。設計し製造した者は、いつか必ず事故が起きると分かっとるはずなのに、そのことには口を噤んで、人々が嬉々としてドライブする姿を傍観しとる。その挙げ句、事故が起きても誰も責任を取るものがおらん。責任回避というより、当の責任者はすでに墓の下に入ってしもてるかもしれんし、あるいは国民全体が責任を分かち合うことで、事態の収集がはかられる。敗戦直後、新聞に『一億総懺悔』という記事が出た。まだ民主主義でもないのに、国民全員が戦争責任を負うかの如くに言われても、あえて反発することもせず、妙に納得してシュンとなってしもた。そうしてたがいの傷を舐め合い、ひたすらに生きる事に精を出し、今日の繁栄を作り上げた。世界が驚いたこの復元力こそが日本人の資質の最も優れたところやが、あいも変わらず、行く手にある落とし穴には気づかずにおる。気づいとっても見て見ぬふりを決めこむんや。穴に落ちてから改めて愕然とする。約束が違うと騒ぎ立てる。とっくから穴のあることを知っとった連中は知らんふりを決め込む。いや、国民大衆かて、うすうすは知っとったかもしれん。アメリカ相手に戦争を仕掛けて、勝てるはずがないことは、民間人はともかくとして、少し理論のある軍人のほとんどは分かっとったんやが、それでも止める勇気のある者は現れなかった。現れても無視され、あるいは抹殺されたんやな。いかに優れた車であろうと、運転する人間に思想がなければ、いつか必ず暴走する。いかに繁栄する社会といえど、時にブレーキを踏む思想家がおらんかったら、いつか必ずこけるような何らかの不測の事態に直面する。そうなってもなお懲りずに、繁栄に浮かれとった者どもは、惰性にまかせて突っ走ろうとするやろな。それすらも止める事の出来る思想がわが国には確率しとらんのや」(本文より抜粋)

  • 浅見家に届いた一通の手紙。それは、本人が知らない間に企画された、浅見光彦34歳の誕生日パーティの案内状だった。発起人の一人、本沢千恵子は美貌のドイツ人ヴァイオリニスト、アリシア・ライヘンバッハを伴い浅見家を訪れる。丹波篠山で町をあげて行われる音楽イベント「シューベルティアーデ」に二人が出演する際に、ボディガードを頼みたいというのだ。アリシアは祖母に、彼の地で「インヴェ」という男に託された楽譜を預かってくるようにと言われていた。一度は断る浅見だが、刑事局長の兄、陽一郎からの特命もあり、現地に赴くことになる―。賢兄愚弟の典型、浅見家に育った次男の光彦を過去の盟約が追い詰める!軽井沢、丹波篠山、ヨーロッパを舞台に史上最大級の謎の連鎖の幕が開く。国民的名探偵が迎える衝撃のラスト。

  • プロローグ
    1994年オーストリアのトプリッツ湖に日本人の死体が浮かんだ。
    事件性が浮上し、日本から浅見陽一郎が派遣されて来る。
    しかし、政治的判断で捜査は中止…。

    浅見光彦が知らない所で決められていた34歳の誕生パーティ
    そこに集まったかつての事件のヒロイン達
    発起人の一人本沢千恵子により、ドイツ人の美しいヴァイオリニスト 
    アリシア・ライヘンバッハを紹介される。
    二人が丹波篠山で行われる音楽祭に出演する際、ボディガードを頼みたいと言う。
    アリシアは祖母に『イウヴェ』という男に託されたフルトヴェングラーの楽譜を
    受け取って来るようにと言われていた。
    一度は、断る光彦
    しかし、刑事局長の兄からの特命もあり二人と伴に丹波篠山に赴く事になる。
    丹波篠山に楽譜を所有している人物が居る。
    調べた結果今宮神社の宮司をしている忌部とわかる。
    忌部は96歳戦時中特務機関に属していた。
    特務機関の贋札によって得た隠匿物資…。

    忌部とライヘンバッハの70年前の重大な盟約
    必ず後を継ぐ人間に伝わる…。

    いずれ光彦に託す。
    日本の将来を託す。


    永遠の33歳の光彦さんが34歳に…最後だから?
    特別な情感を残して別れた佐和ちゃんとの再会…結婚もあるの…?

    今宮神社で殺害された男性と同じ頃神戸で殺害された女性
    5年前今宮神社で事故死とされた男性…共通は川崎市登戸

    戦前から脈々と続く謀略
    旧日本軍の特務機関やナチス・ドイツなど歴史的背景が絡み
    にかく、壮大なスケールで展開する。
    ヒトラーとフルトヴェングラーの楽譜がどの様に繋がっているのか?
    何故70年後なのか?
    光彦に託す…日本の将来をも託す…それが、最後の事件に繋がるのか?

    下巻が楽しみです。

  • これまでのシリーズで登場してきた人が光彦の誕生パーティってことで集合。
    このシリーズももう終わるのか?
    今回の黒幕って誰?上巻に出てきた中ででてきたのかな。
    これから下巻よみまーす。

  • 浅見光彦が国際的にも活躍するミステリー。

    上巻は日本が舞台での展開。
    副題の「浅見光彦最後の事件」が気になって、久しぶりに浅見シリーズを手に取りました。
    もっと回顧的になるのかと思いましたが、過去のヒロインたち数名が絡みながらも新たな事件をちゃんと追っかけていました。
    下巻の感想で全体の感想は述べさせていただきます。

  • 浅見光彦は本人が知らない間に企画された34歳の誕生日パーティに際し、ドイツ出身の美人バイオリニストに頼まれともに丹波篠山へ赴く。祖母が託した「遺譜」はどこにあるのか――!? 史上最大スケールの難事件!

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著者プロフィール

内田 康夫(うちだ やすお、1934年11月15日 – 2018年3月13日)
東京府東京市滝野川区(現・東京都北区)に生まれる。長野市出身の父の実家が戦災で被害を受けたため、長野市から戸隠山麓の村、秋田県羽後町、雄勝町、埼玉県、静岡県沼津市、秋田県秋の宮などに移り住む。
埼玉県立川越高等学校、東洋大学文学部国文学科中退。コピーライターや広告製作会社の社長を経て、小説を書く。1980年『死者の木霊』、1981年『本因坊殺人事件』を栄光出版社(当時。現在は別の出版社から刊行)から自費出版。3000部刊行の前者『死者の木霊』が朝日新聞書評で紹介されたことを機に、作家デビュー。1982年刊行された『後鳥羽伝説殺人事件』が商業デビュー作となり、ここで名探偵浅見光彦が誕生。浅見光彦が登場する作品は116事件。累計で約9700万部を発行、映画やドラマ化もされて人気を博した。推理・ミステリー小説だけでなく、随筆やファンタジーなども手がけた。2008年、日本ミステリー大賞を受賞。
2015年7月26日脳梗塞が見つかったために入院し、毎日新聞で連載していた浅見光彦シリーズ「孤道」は2015年8月12日で終了。後遺症の左半身麻痺のため2017年3月に作家活動を休止、『孤道』執筆分がまとめて刊行された。加えて中断された物語の結末を一般公募し、最優秀作を「完結編」として刊行するという、毎日新聞出版、毎日新聞社、講談社、内田康夫財団連名による「内田康夫『孤道』完結プロジェクト」が広く話題となった。募集は2018年4月まで行われた。募集期間中の3月13日、敗血症のため83歳で逝去。
完結プロジェクト最優秀賞は和久井清水さん「孤道 我れ言挙げす」に決定。2019年春に講談社から刊行予定。

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