お化け屋敷になぜ人は並ぶのか 「恐怖」で集客するビジネスの企画発想 (角川oneテーマ21)
- 角川グループパブリッシング (2012年6月8日発売)


- 本 ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041102602
作品紹介・あらすじ
おそらく他にない「恐怖」を売り物とする、お化け屋敷。そのプロデューサーとはどんなことを考えて、そのビジネスを成立させているのか?「楽しいお化け屋敷を作りたい」と話す、著者の【緊張と緩和】理論とは。
感想・レビュー・書評
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お化け屋敷プロデューサーという聞き慣れない仕事を知ることが出来たし、お化け屋敷は元々見世物形式の博覧会が起源だという事、限られたスペースで考え抜かれた体験時間、緊張と緩和、そこに上手く間を持たせるような工夫等、様々な趣向や苦労があるという事が分かった。ここまでお化け屋敷一つのテーマで語られる本も珍しいだろう。得るものがあった。
緊張と緩和の法則が快楽を齎すらしい。その落差は大きいほど、良いのだと。緊張を起点として、つまり想像から開始し、現象が起こるまでの時間が不安という心理。お化け屋敷は、人の感情を考え抜いたエンターテインメントだ。
だが、自分が行きたいかと言われるとそうでもない。この本を読んでもそうならない。一人で行く事を前提に考えるからだ。子供や恋人、友人と一緒なら楽しいだろうな、と思う。緊張と緩和の作用は、一人だと虚しいと感じてしまう。そんな事をしみじみ思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まず最初に引っかかるのは「お化け屋敷プロデューサー? そんな仕事があるの?」ってことだろう。答えは、著者の五味さんが先駆者にして第一人者であるということ。ビジネスとしてのお化け屋敷、恐怖と笑いの関係、お化け屋敷の演出とその発想過程、なぜお金を払って恐怖を感じたいか、など興味深い話題がてんこ盛りです。たまたま目について借りた本だけど、かなり得した気分。
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現代型のお化け屋敷の立役者が書いた、お化け屋敷の設計理論本。お化け屋敷は、ただ怖さだけを提供するだけじゃないんです。
ただ、私はチキンなんで挑戦できませんけどね。 -
そーなんだよな怖さだけを追求してもお化け屋敷という物は成り立たないものなんだな。なんか目からうろこだった。
人、人間は探究心を持っている。ある一定の刺激も続けて与えられればそれでは物足りなくなってくる。その上の上、常に狙い続けなければならないこの手のアトラクションは作っていて苦しいかもしれないが、それ以上の何かを得られる本当に価値のあるものだろう。
著者の人を楽しませる、いや怖がらせる経験と知恵これが本当の財産なのかもしれない。
だが、自分はお化け屋敷入れない。楽しみたいが怖さが勝つ。 -
お化け屋敷、を事業プロジェクトとしてみた場合に、なにがキーポイントになりどのように企画を革新していったのか、客観的に第3者の自分でもわかりやすく整理されていた本。でも途中で読むjのやめちゃったけど。もうちょい普遍的な要素に分析されていると読み進められたかなぁ。「ストーリー」がポイントというのはどの事業でも言える、と深く納得。
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私はお化け屋敷へは行かない。
本書で言うところの「固定化されている自分が揺らぐことが不愉快だ」と思うタイプだからだ。
ということを、本書によって知った。
たまたま先日こういったことを考えていたのだ。
「人はなぜわざわざお化け屋敷へ行くのか」
「なぜわざわざ怪談を聞きたがるのか」
怖い思いをすることが100%わかっているのに、どうしてあえてその体験をしようと思うのか。
好奇心なのか。好奇心だとしたらそのメカニズムはどうなっているのだろうか。
そういう疑問に、本書は的確に答えてくれた。
著者は「お化け屋敷プロデューサー」という今までなかった肩書きを持つ人である。
古めかしくて子供だましだと思われてきたお化け屋敷を、一流のエンターテイメントに変えた実績を持つ人なのである。
その仕事ぶりや発想方法、そもそも恐怖とはなんなのか、娯楽としての恐怖のあり方などについて、詳しく書かれている。
特にすごいなと思ったのは、「信用」と「信頼」の違いの定義だった。ずっとその違いがわからずに来たのだが、ジェットコースターを例にとって非常にわかりやすく解説されている。なるほど、こういうことなのかと、初めて納得できた。
お化け屋敷へ行きたいと思うのは、たぶん日常が安全で安心できるものだという盤石の基盤があるからなのではないだろうか。「作り物だ、この恐怖は自分の想像力が作り出しているものだ」という理解と、にも関わらず沸き起こる感情の絶妙なバランスが「楽しさ」を生み出す。
恐怖と楽しさの関係については本書で丁寧に説明されている。まこと、人間の精神活動というのは複雑で入り組んでいるものなのだなあと改めて感心してしまう。
そしてなにより著者はすばらしいクリエイターなのだ。全力で客を楽しませようと努力し、研究している姿は、創造に関わる者のあるべき姿だと思う。
私にとって、自分が揺さぶられてコントロールがきかなくなることへの恐怖は存在に関わるほどの大問題なので、できるだけそういうものからは距離を置きたい。だから今後もお化け屋敷へ行くことはないだろうが、人にとっての恐怖についていろいろ知ることができたのは大きな収穫だった。 -
お化け屋敷と、そこに求められる特定の「恐怖」やサービスについて、分析的に書かれている。
著者プロフィール
五味弘文の作品





