鳴いて血を吐く

著者 : 遠田潤子
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年9月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102640

作品紹介

人気歌手・実菓子への取材で明らかになる旧家の秘密、過去の事件の真相-新鋭による傑作ミステリ。

鳴いて血を吐くの感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて「何だこりゃ」となってしまった。
    私の感覚としては登場人物の会話のやりとりなど、ちょこちょこズレてると感じたし、つっこみ所が満載という感じの本だった。
    この人の本を読んだのはこれで2冊目だけど、前の本にも感じたように、物事の真相を出し惜しみして、それで読者をひきつけようとしている感じがした。
    だけど、それが成功しているかというと、個人的には「う~ん・・・」という感じ。
    衝撃的で人をひきつけるような事を書きながら生生しい事は避けている。
    どこかスッキリしない、モヤ~ッとした書き方をする人だと思う。
    主人公の男性も前作と同じで、性格が良い人物という設定だが、私からすると考え方が暗い。
    読んでいて重くなる。

    「藤屋」と「斧屋」という2つの旧家がある村出身で、「藤屋」で生まれ育った男性が主人公。
    経済的に困窮しているギタリストの彼にある仕事の依頼が舞い込む。
    それは「斧屋」出身で、幼い頃から一緒に育った女性の自伝の本を仕上げるための仕事。
    元々旧家だった「斧屋」は落ちぶれ、女性の母親は「藤屋」の主であり、主人公の父親の愛人として「藤屋」にやってきた。
    その際、一緒に連れられてきたのが今回インタビューをする事になった女性ー実菓子。
    美しい顔立ちの実菓子は母親に虐待されていた。
    その実菓子に主人公の病弱な兄は同情し、やがて愛情を抱くようになるが、その愛が兄を破滅へと追い込んでしまう。

    読んでいて何か、ピント外れな会話をしてるな~と思う所が多々あったが、それが後半になって気分悪くなるくらいになった。
    バケツがどうのこうのという話。
    そこじゃないだろ!とつっこみながら嫌々読んだ。
    登場人物の名前だとか、設定だとか、小説だからしょせん、フィクションだから・・・と思っていてもあまりに幼稚でマンガみたいだと思う。
    読む度にしらけた。
    この人の書く本はもういいかな・・・という感じがする。

  • 月桃夜、アンチェルのダブル受賞で力み過ぎたか?三作目の産みの苦しみで行き詰まったか?…期待を胸にページを進めるもなかなか物語に入り込めない、ぐいぐいと力業で読み手を引きずり込むストーリーも見えてこない、これはどうしたことだろう。
    あまりにあちこちに伏線を張り巡らせ過ぎて回収に綻びが出てしまい絶品のハードボイルドが半熟になってしまったのは残念。書ける作家さんなのだからもっとシンプルで良いのだ。
    継承するテーマ「罪と罰」を追い求めるのはわかる、でも人間の尊厳をバケツに例えたのはあまりにも安易で下品だったのでは?
    何にしても次作がターニングポイント、好みの作風だけに是非ともリカバリーショットを期待したい

  • 丹羽谷村は周囲を山に囲まれた小さな盆地。
    村の東はずれ、一番の高台にあるのは藤屋と呼ばれる青鹿家。西の山の麓にあるのは斧屋と呼ばれる静谷家。
    過去からの因縁浅からぬ二つの旧家の確執は、静谷家が廃れた今も村に深い影を落としている。。。
    斧屋の最後の子供である実菓子は、その類稀なる美貌と、聞く者の心を掴んで離さない歌声で一躍有名になった。
    実菓子の自伝を出版するためのインタビューを依頼されたのは、藤屋の青鹿多聞。
    彼は、兄青鹿不動を死へと導いた実菓子を激しく憎み、拒否したが、断り切れず3日だけという約束で村へと向かう。
    そして、不動、多聞、実菓子の子供時代の出来事が語られるとき、嘘に固められた過去の事件の恐ろしい真相が明らかになる。。。
    重かった。つらかった。
    でも、読むのを止められなかった。
    横溝正史を彷彿とさせる、田舎の旧家を取り巻く閉塞感。
    首吊り、餓死、虐待、腹上死、、、これでもかというほど、陰惨な出来事が語られる。
    否定され、無視され、虐げられ、人としての尊厳を奪われた者たちが思うのは、「言葉などなければいいのに・・・」ということ。
    他ならぬ家族に徹底的に損なわれた者たちの心の叫び。
    ラストに向かって、どんどん伏線が回収されて、真相が明らかになるとき、もう、瞬きをすることも、息をすることも許されない気持ちで読みふけった。
    言葉をもたない実菓子の痛いほどの思いが胸を突き上げ、泣きそうになる。
    暗く辛い長い夜を越えてやっと朝がくるような、最後に見えたほのかな光だけが救いだった。

  • 因果としかいいようのない不幸を背負った人の不幸の中に熱い愛を描く遠田潤子得意芸…というか彼女の掘り下げたいテーマなんだろう…で傑作がまた1作。

    鳴いて血を吐くほととぎす、迦陵頻伽、ごんぎつね、古賀メロディにごんぎつね…こんな小道具をちりばめて、田舎の旧家同志のドロドロ対立世界に取り込まれた人間模様。やはりブルーズ。

    読むのがしんどくなるぐらい、ドロドロの前半を越えて、半生記インタビューの2日目を越えたあたりから、物語が動き出す、さらにもっとドロドロしつつ伏線を回収していく様が見事な手腕で読ませる。

    ただ少々強引な部分も若干。とくにクライマックスの決め台詞が「バケツと中味」ってのは、なんぼなんでも(笑

    遠田潤子、期間をおかずに読むとさすがにしんどい、半年に1作くらいでおいかけないと、人間不信になるんちゃうかと。ただ「しんどいな、不幸やな」と自分を嘆いた時に読めば、ショック療法で元気なれる。

  • 実菓子の声が聞こえる気がする。
    旧家の対立、それに伴う家族の苦悩。
    ごんぎつねになりたい。

  • 好きな作家さんなのに読み忘れてたので。これは凄まじいラブロマンスでした。気持ちが落ち込んでいるときに読むとやられちゃうかもしれないので要注意です。

  • 痛々しい話。でもハッピー(?)エンドでよかった。

  • なんという凄惨でおどろおどろしくて、でも思いっきり、せつない小説なんだろう。始めはつまらなそうで失敗したかなと思いながら読んでたけど多聞が過去を語りだしてからは一気に引き込まれた。最後の方でどんどん事実が浮き彫りになってくる。誰かを庇った事によって捻じ曲げられた事実。優しい嘘とエゴや恨みによる嘘。いろんな嘘が絡まり合って複雑になっていく。でも最後まで何もかも知り尽くしながら死んでいった不動が哀れでたまらない。こんなに進んだ世の中なのにまだまだ古い因習や血の繋がりといったものを大切にする田舎の人々。そういうものの犠牲になったのが、みかこであり、不動であり、もしかしたらトラブルメーカーの鏡子でもあったのかもしれない。けどラストで救われた。

  • ごんぎつねになりたかった実菓子はどこまでも美しく鳴いて血を吐く迦陵頻伽だった、と。
    ビックリするほど暗い、田舎の村社会で生きる正妻の息子と妾の娘…因縁の旧家…人間としての尊厳…うーん重い…面白かった。
    泣きました。

  • ドロッドロの昼ドラを上手に発酵させた感じ。濃い。暗い。色で例えるなら黒に近い灰色。不快と優しさが入り混じった複雑な物語だった。

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