鳴いて血を吐く

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 162
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102640

作品紹介・あらすじ

人気歌手・実菓子への取材で明らかになる旧家の秘密、過去の事件の真相-新鋭による傑作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 凄いタイトルです…
    内容はもっと凄いです( ̄▽ ̄)

    古い因習がすべてを支配する村
    村の頂点にある旧家・藤屋
    没落した斧屋
    絶対権力の当主、離れに囲われる妾と美しい娘
    身体の弱い長男、両親に居ないも同然に扱われる次男

    よくぞここまでと笑ってしまうくらい酷い大人しか出て来ません笑
    昼ドラや韓国ドラマ以上のストーリー

    遠田潤子しか書けない作品だし、遠田作品を知らずに読むのはおすすめできない(*´-`)

    バケツとウ◯コ…ほかのいい方あるでしょ!
    そんなに連呼されても笑
    怒涛の連呼からのごんぎつね…からのハッピーエンド
    まさに遠田ワールド全開(〃ω〃)

    新美南吉も連呼に驚いているでしょうね笑


    そして願わくば死ぬ時は二人一緒に…








  • 文庫版では「カラヴィンガ」と改題されたこの作品ですが、親本のこちらのがかなりインパクトのあるタイトルですね…真っ赤な口を開けて甲高い声で鳴くホトトギスをそう表現するそうで、このタイトルをつけられた由縁は読み進めるうちにわかってきます。
    閉塞的な田舎の環境、愛憎と因縁入り混じった家族模様、謎の死が続き遺された人はみな秘密を抱えている……とこれでもかと重く苦しい要素が二重三重どころではなく降り積もっていきます。
    しかも読み進めるうちにその苦しさが開放されるどころかいや増して、喉につっかえるようなしんどさを覚えてきます。これまでの作者の作品の中でも相当な重さではと。それは行われていることの陰惨さが大きいかなと思うのですが。精神的な辛さの大きいように感じたほかの物語より、子どもが受けた直接的な苦痛が……ちょっと私にはキツいカテゴリでした。
    最終的にはいくらかの「希望」を感じさせ、鳴いて血を吐いてきた生き様がけしてムダではなく、きちんと届いてほしいところへ届いたのだと感じさせるものでした。なので、泥へ沈んでいくばかりではないですが……、ようよう泥の中から口だけは出せて呼吸だけは出来る状態というような終わり方だなとは思いました。

  • 内容紹介(転載)
    離婚して経済的に困窮しているギタリスト・多聞のもとに、人気歌手・実菓子のロングインタビューの仕事が舞い込んだ。多聞と実菓子は幼いころ同じ家で育ち、しかも多聞の亡父と亡兄はともに実菓子の夫であった――。

    最近注目している遠田潤子。まだ他にはアンチェルの蝶しか読んでいませんが、ダークで地面に沈み込んでいくような筆致にずるずると引きずられて僕のハートも鬱模様です。前回も今回も、幼少期の壮絶な体験が原因で、大人になっても大きな傷跡となって血を噴き出している様をまざまざと見せつけられる本で、自分の生み出した人格をよくぞここまで貶め汚し痛めつける事が出来るものだと読みながら感じました。基本的に幸せな本が好きで、誤解を受けてどんどん憎悪の泥沼に沈んでいくような話は悲しくて見ていられないのです。
    とは言いながらもこの本、小さな村の閉鎖的な陰惨さを描いているのですが、意外とそこまで詰め切れておらず、鬼畜と叫びたくなる一歩手前で足踏みをしております。
    主人公の多聞の幼馴染の歌姫、実菓子への憎悪も根が浅く、読んでいてすぐに底が透けて見える所が有ります。人によってはもっとどろどろを!と天下一品に群がる人々のように叫ぶ人もいるかもしてませんが、僕にとっては美しさと妖しさと悲しさのバランスが絶妙にとれていてとてもよかった。
    題名何しろインパクトがあるので、相当痛みを伴う読書になる覚悟をしていましたが、仕掛けである陰惨パーツをそぎ落とした姿は青春物語なのではないかと非常に感じました。皆色情におぼれ過ぎだろうと思ったりしますが、そんな中でも清澄さを保つ実菓子が素敵。可哀想だけど美しい。
    あと、多聞がマーチンのD45の戦前のモデルと思われるサイドバックハカランダの物を手放す所から始まってびっくり。一体いくらするものなんだろうか。

  • 月桃夜、アンチェルのダブル受賞で力み過ぎたか?三作目の産みの苦しみで行き詰まったか?…期待を胸にページを進めるもなかなか物語に入り込めない、ぐいぐいと力業で読み手を引きずり込むストーリーも見えてこない、これはどうしたことだろう。
    あまりにあちこちに伏線を張り巡らせ過ぎて回収に綻びが出てしまい絶品のハードボイルドが半熟になってしまったのは残念。書ける作家さんなのだからもっとシンプルで良いのだ。
    継承するテーマ「罪と罰」を追い求めるのはわかる、でも人間の尊厳をバケツに例えたのはあまりにも安易で下品だったのでは?
    何にしても次作がターニングポイント、好みの作風だけに是非ともリカバリーショットを期待したい

  • 読んでいて「何だこりゃ」となってしまった。
    私の感覚としては登場人物の会話のやりとりなど、ちょこちょこズレてると感じたし、つっこみ所が満載という感じの本だった。
    この人の本を読んだのはこれで2冊目だけど、前の本にも感じたように、物事の真相を出し惜しみして、それで読者をひきつけようとしている感じがした。
    だけど、それが成功しているかというと、個人的には「う~ん・・・」という感じ。
    衝撃的で人をひきつけるような事を書きながら生生しい事は避けている。
    どこかスッキリしない、モヤ~ッとした書き方をする人だと思う。
    主人公の男性も前作と同じで、性格が良い人物という設定だが、私からすると考え方が暗い。
    読んでいて重くなる。

    「藤屋」と「斧屋」という2つの旧家がある村出身で、「藤屋」で生まれ育った男性が主人公。
    経済的に困窮しているギタリストの彼にある仕事の依頼が舞い込む。
    それは「斧屋」出身で、幼い頃から一緒に育った女性の自伝の本を仕上げるための仕事。
    元々旧家だった「斧屋」は落ちぶれ、女性の母親は「藤屋」の主であり、主人公の父親の愛人として「藤屋」にやってきた。
    その際、一緒に連れられてきたのが今回インタビューをする事になった女性ー実菓子。
    美しい顔立ちの実菓子は母親に虐待されていた。
    その実菓子に主人公の病弱な兄は同情し、やがて愛情を抱くようになるが、その愛が兄を破滅へと追い込んでしまう。

    読んでいて何か、ピント外れな会話をしてるな~と思う所が多々あったが、それが後半になって気分悪くなるくらいになった。
    バケツがどうのこうのという話。
    そこじゃないだろ!とつっこみながら嫌々読んだ。
    登場人物の名前だとか、設定だとか、小説だからしょせん、フィクションだから・・・と思っていてもあまりに幼稚でマンガみたいだと思う。
    読む度にしらけた。
    この人の書く本はもういいかな・・・という感じがする。

  • 因果としかいいようのない不幸を背負った人の不幸の中に熱い愛を描く遠田潤子得意芸…というか彼女の掘り下げたいテーマなんだろう…で傑作がまた1作。

    鳴いて血を吐くほととぎす、迦陵頻伽、ごんぎつね、古賀メロディにごんぎつね…こんな小道具をちりばめて、田舎の旧家同志のドロドロ対立世界に取り込まれた人間模様。やはりブルーズ。

    読むのがしんどくなるぐらい、ドロドロの前半を越えて、半生記インタビューの2日目を越えたあたりから、物語が動き出す、さらにもっとドロドロしつつ伏線を回収していく様が見事な手腕で読ませる。

    ただ少々強引な部分も若干。とくにクライマックスの決め台詞が「バケツと中味」ってのは、なんぼなんでも(笑

    遠田潤子、期間をおかずに読むとさすがにしんどい、半年に1作くらいでおいかけないと、人間不信になるんちゃうかと。ただ「しんどいな、不幸やな」と自分を嘆いた時に読めば、ショック療法で元気なれる。

  • 小さな村の旧家に縛られた家族の愛憎劇。少しづつ明らかになる過去。それぞれの思いがただただ子供を傷つけていく。尊厳という言葉がとても重くのしかかってきます。小出しにされていく内容が読む手を止められず一気読みでした。遠田さんの作品はやっぱり辛いな

  • 旧家の没落と確執、田舎のせまい人間関係に噂、陰惨な性と虐待と死と、相手を思ってした隠し事も負の連鎖を生んでいく…魔性の女とされる実菓子が、不憫な身の上の一途な女であると解明されていく。横溝ワールドより断然キツイのに、わりと明るい未来を暗示させて終わるのすごい。妹はイヤなやつだけど多聞にイラつく吉川兄の気持ちはわからんでもないな。

  • 設定にちょっと違和感がありました。なかなか難しい題材なのかなぁと思います。

  • 対立する古い旧家の男女、家族、取り巻く人々の愛憎劇。複雑に絡み合っていて盛り込みすぎ。私には合わなかった。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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