- Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041102749
作品紹介・あらすじ
何故この世に歴史が必要なのか。生涯を賭した「大日本史」の編纂という大事業。大切な者の命を奪ってまでも突き進まねばならなかった、孤高の虎・水戸光圀の生き様に迫る。異才が放つ時代小説第二弾!
感想・レビュー・書評
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魅力的すぎる。
すっかり心奪われた。
しばらくこのまま続くのは間違いない。
一日に何度も光圀のことを考え、口にだし、
3日目ぐらいにはまわりに失笑されるようになり
いまはもう諦観である。
(ある意味ありがたい)
泰姫のかわいらしさも魅力的だ。
たった17歳で、そんな言葉がでるものなのかと
天性の心の美しさをみた気がした。
末永く共に歩んでほしかったと悔しく哀しい。
兄の大きさがすばらしい。
「頑張れ、子龍」
「頑張ったな、子龍」
そのやさしい声音が届いたような気がした。
750ページもの厚さに怯み、
なかなか手にとれなかったけれど読んでよかった。
本当によかった。
350ページをすぎたあたりから
先へ先へという思いがどんどん強まった。
時代小説は読みなれていないので
いつもより時間がかかった。
なので進み具合にもどかしくなりながら読み進めた。
余談だが、わたしがこの本を読むようにはみえなかったと言われた。
その人がどんな本を読むのかというイメージは
たしかに勝手につく部分がある。
近かったらいまごろゆかりの地を巡っていただろう。
いま、こんな人に出会ったら確実に恋におちる。 -
1人の人生の重みに打たれました。
水戸徳川家の三男として生まれた光圀の、幼少時代から世を去るまでの歴史を綴った1冊。
テレビドラマの水戸黄門のイメージを覆す、なんとも剛毅かつ破天荒な黄門様です。
兄を差し置いて水戸徳川家の世子となったことを不義とし、自らの義を貫こうともがく姿。
好奇心が旺盛で、詩歌や学問を愛し、学ぶことに喜びを感じる姿。
なんと格好よい生き様なのだろう…!
人生の節目節目で、光圀に訪れる気付きの時が印象的でした。
現在20代の私はとにかく目の前のことでいっぱいいっぱいなのですが、壮年・老年を迎えたときには、世の中を後生に託すという心境に至れるのでしょうか。
読みながら、光圀から「お前はどう生きている?」と問いかけられているような気持ちになり、思わずしゃきっと背筋が伸びました。 -
冲方丁の歴史物2作目。
なんとも雄渾な、力強い作品です。
水戸黄門のモデルとなった水戸藩主、徳川光圀の伝記小説。
「天地明察」とほぼ同時代で、暦の件もあの人物も出てきます。
水戸藩は徳川御三家の中では家禄が低いが、江戸に近く参勤交代を免除され、江戸藩邸に藩主は常住だった。
そのため、副将軍と呼び習わされたとか。正式な役職ではないのですね。
初代藩主は将軍家光と年齢が近く、信頼されていた。
光圀は初代藩主の三男なのですが、この父親というのが苛烈な男。
大勢の側室を抱えながらなぜか正室をおかず、子供をなかなか嫡子と認めない。
父は光圀に会ってもつぎつぎに試練に晒し、跡継ぎにふさわしいか試すかのよう。
優秀な兄がいるのに、ややこしい成り行きで嫡男となった光圀は割り切れないものを抱え、その事情も小説の興味を引っ張ります。
後に、兄の子を自分の跡継ぎに据えることに。
義を貫いた人だったのですね。
父親譲りか?光圀自身もはげしい気性。
もはや戦乱のない時代に、武士がどう生きるかを模索するのでした。
なんと詩で天下を取ろうと高言、京都の冷泉家とも交流を持ち、ついには認められる。
儒家に学び、伯父が大事にしていた日本史をまとめる事業を引き継ぐ。
立派すぎるほど才能と意志とエネルギーに溢れた男。
それでも、何よりの人生の花は、皇族から迎えた正室の泰姫。
感じのいい女性で、心和むひと時を過ごすのですが、残念ながら早世してしまいます。
以後、正室を娶ることはなかったそうです。
泰姫の侍女との信頼関係も、印象的。
光圀は生存中から名君伝説はあったそうですが、「大日本史」の編纂のために家臣を諸国へ視察にやったことなどが、江戸時代後期からの黄門様の話の元になったよう。
読み応えがありました! -
生きた証を見せてもらった一冊。
序盤から虎に例えられた光圀の姿に惹きつけられた。
幼き頃よりひたすら義を探求し、大切なものを犠牲にしてでも大義を全うする、そのゆるぎない志を、彼の真の心の中を最後の最後まで文字で辿る時間。
まさに冲方さんの手で光圀の生きた証を余すことなく見せてもらった、そんな思いが喜びとして心に沸き起こった。
別れも悲しみも、全て彼の大義の血潮となっていたのだろうか…そう考えずにはいられない。
良かった、読んで良かった。
こうした形で歴史上の人物に触れられ、興味を持つ、これもまた読書の楽しみの一つだ。 -
大日本史の編纂、水戸徳川家を築いた、いろいろあったがあまり知らなかった人物像が、ここにあった。
兄を差し置いて水戸の当主に就任した光圀。
そのことで、兄への義を守ろうとする。
幼少期のやんちゃさ、負けず嫌い、行動派、そこら辺は水戸黄門作成時の原形としてあるのかも?とか勝手に思った。
84冊目読了。
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「生涯に、この本と出会って良かった」と思える本の一冊!700頁余の大部で、読み終えるのに一苦労かと思ったが、光圀の世界に浸り、次々に読み進み、最後の頁をめくるのも惜しくなる、もっと光圀と付き合っていたい、そんな気持ちにさせる良書である。光圀といえば、助さん格さんを従えた水戸黄門、あるいは大日本史の編纂者ぐらいの知識しかなかったが(葉室麟の「いのちなりけり」の冒頭に光圀の紋太夫上意打ちの場面があり、光圀の別の面のある予備知識はあったが)、この作品によって初めて光圀の全体像を知った。類まれな資質に恵まれた光圀は、さらに良き理解者、優れた仲間に囲まれる。頼房、頼重、泰姫、読耕斉、保科正之、等々。なかでも、左近のなんて魅力的な女性なことか、思わずほれぼれしてしまう。そしてひたすら大義に邁進する。しかし、多士済々に恵まれながらも、やがて彼らと幽明境を異にせざるを得ず、ひたすら死者を見送るばかりの後半生。光圀の哀しみ、そして苦悩、光圀の心持はいかばかりか。読みながら、無人の泰姫の部屋の場面では、光圀とともに思わず涙した。
比類なき才能の渋川春海、豪放磊落大義のひと水戸光圀。何ともスケールの大きな英雄を、我々に呈示してくれた冲方丁氏は次にはどのような人物を登場させてくれるのか。-
>「生涯に、この本と出会って良かった」と思える本の一冊!
凄いですね♪今、映画化されている天地明察の冲方丁さんですよね(●^o^●)
私は...>「生涯に、この本と出会って良かった」と思える本の一冊!
凄いですね♪今、映画化されている天地明察の冲方丁さんですよね(●^o^●)
私は、天地明察か、光圀伝どちらから読むかを迷っていたのですが…。
hongoh-遊民さんのレビューを読んで面白そうなので早速図書館で予約します(笑)2012/10/11
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流石、冲方丁という歴史に基づく人物像の描き方が秀逸でした。
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「こちらにおわすは、先の副将軍、水戸光圀公であらせられるぞ。 頭が高い。 控えおろう」
なーんて言われてカッカッカッと笑うお偉いさん、、、という印象だった徳川光圀。
実はものすごく魅力的な偉人だった。宮本武蔵や天地明察の渋川春海も登場!私の中では、司馬遼太郎の『龍馬がゆく』に並ぶお気に入りの歴史本となった。
(以下ネタバレ 備忘録)
家康の孫にあたる光圀。徳川御三家の水戸藩の二代目藩主である。徳川御三家は幕府の閣僚ではないから幕府が変なことにならないように見守るお目付役のような相談役のような役割りもあった。
時は戦がおわり泰平の世へ様変わりした江戸時代。戦国武将そのままのおっかない父親の三男として生まれた光圀が父親に認められることが全てだった幼少期から物語は始まる。
のちに次男は亡くなり長男が病を得たことからお世継ぎとなるが、兄の病が完治したことから「自分が兄を差し置いて」と苦悩する。(この兄との関係もいいんだよなー。)ずっと後、光圀が藩主となった後には兄の子を養子に迎え三代目とした義の人である。
光圀の青年時代。武士であるのに戦がない。これはこれでジレンマがかなりあったよう。そんな中、光圀は詩や史書、要するに文学で自らを高めていこうとする。町の居酒屋や色町に身分を隠しては繰り出し世に云う傾奇者と交遊を広げたりもする。この頃、宮本武蔵と出会う事件もあり。
成人した光圀。皇族から姫を嫁にとる。(この姫がすばらしい!聡く優しく大きい人だ)この姫との結婚は二年半で終わるんだけど光圀は死ぬまで姫を愛するんだなぁ。
猛烈に歴史や文学を学び詩の世界でも認められていく。また平等で論理的思考をもち、観察眼に優れ、媚びず恐れない行動力から大名からの信頼を得るばかりでなく江戸っ子からも絶大なる人気を得る。(光圀は隠居までずっと江戸暮らしなのね)その人気が、のちに将軍から疎まれる理由になっちゃうんだけど。
光圀の偉業は、日本の史書を作ったことなのね。それまで画一的で面白みのない記録だったものを、未来の人間が楽しみそこから学べるものを残そうと出版社みたいな図書館みたいなものを事業として始める。わたしたちがいめこうして歴史本を楽しんでいるのも黄門様のお陰かもしれないんだなぁ。
とにかく、光圀かっクイーン!
友情、兄弟愛、夫婦愛、家臣との絆、光圀の人間臭さ、知力、胆力。
楽しむとこ満載の一冊だった! -
爽快感もあり、しみじみ感じ入ることもあり。とにかく面白い水戸光圀の一生。ボリュームたっぷりだけど、面白くてあっという間。
著者プロフィール
冲方丁の作品






こんにちは!
お返事が遅くてすみません<(_ _)>
この本はすごくオススメです!
(いまだ光圀ブーム継続中)
で...
こんにちは!
お返事が遅くてすみません<(_ _)>
この本はすごくオススメです!
(いまだ光圀ブーム継続中)
でも四分の一ほどで挫折してしまう気持ち、
よくわかります。
(わたしなんて、そういう本がたくさん・・・
なにか足りないのかもなんて思ったりします。苦笑)
あっという間に読まれたご家族、すばらしい!羨ましい!
「桜ほうさら」も腰がひけますね・・・
厚さが気にならない作家さんて
あまりいません。
実際読めば、「読んでよかった!」と思う本も多いので
厚さで避けるのはもったいないとは思うのですが。苦笑
>魅力的すぎる。
すっかり心奪われた。
しばらくこのまま続くのは間違いない。
一日に何度も光圀の...
>魅力的すぎる。
すっかり心奪われた。
しばらくこのまま続くのは間違いない。
一日に何度も光圀のことを考え、
はまれる本に出会ったときのこの感じ、わかります!!
私もここしばらく、頭の片隅に『お祭り』というか、『ブーム』というか到来しているのです!
この本も読まねば!楽しい時間をまた過ごせそうです!
こんばんは!
続きが気になって仕方がない本、
本であることを忘れるほど入り込めるような本、
読了後に余韻が...
こんばんは!
続きが気になって仕方がない本、
本であることを忘れるほど入り込めるような本、
読了後に余韻が長々と続く本、
などなど最高ですよね♪
ぜひぜひ読んでみてください!
感想、楽しみに待っています。