光圀伝

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (751ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102749

感想・レビュー・書評

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  • ハラハラと何度も何度もこぼれおちる涙。
    この体のどこかにしまいこんでた魂が掴まれ、ゆさぶられる。熱い波が起こり、体中を駆け巡る。

    人が生きるということ。生き切るとはまさにこういうことだ、と思える。水戸光圀という生き様。

    義に生き、そして、生を全うする。

    己が見出し、己を支えるものを信じ、様々な妨げを乗り越え、ときに見失っては新たに見出して、そんなこと繰り返して、己の生を賭けるもの。

    その義を見出すに、目を開くために、心を寄り添わせるために、誤らないために、知を習得することが求められるんだ。

    論拠あっての信義ということ。義は盲信するものではなく、いくたび危機を迎えようと理智を尽くしてまっとうすべきもの。信義は危機に瀕したときにこそその真価がわかるもの。

    死はいつだってそばにある。そんな世の中で自分の生をかけられるもの。そう信じられるもの。それを探し出し、その支えを芯に生き切るということ。

    大義をまっとうしろ。

    時代は違えど、世界は違えど、自分という人間の小ささを自覚しながらも、でも、そんなコトバを自分の中にも響かせながら、生きたいと思った。生き切りたいと思った。

    天地明察
    光圀伝

    普段はおくびにも出さない。自分の中のクソアツイ部分が引っ張り出される。いつでも自分に火をつけるために、一生傍らに置いておきたい冲方丁作品が、また増えた。

  • 感動した。

  • 一行目から度肝を抜かれる。
    とんでもない場面から始まるんだもの。
    待ちに待った、あの光圀公を主人公に据えた物語。

  • ようやく読破
    だんだん読んでいくと引き込まれていく感じで後半はスラスラ、時には涙あり

  • やっと読了。何度も何度も涙。最後も涙。
    水戸黄門様の人生譚。

  • 読み終わるまでかなり時間がかかった。
    光圀公が果たして、この作品のキャラそのものなのかはわからないけど、まぁまぁ勉強になった。

  • 水戸光圀の話を読んだのは初めて。水戸や小石川に行った時を思い出しながら読んだがまた行ってみようと思った。出生の話など有名な人の割に知らなかったり共感するには激しすぎるがインフラ整備や文化事業の進捗のもどかしさには共感。またこれだけの熱量のある人でないとあの業績は残せないんだろうなと納得。天地明察と合わせて読むのがおススメ。

  • 最初は厚さと重さに圧倒されそうになりましたが本当に読んでよかったです!大日本史を編纂した漢と言うべき水戸光圀がここにいました。登場人物たちの力強さ、潔さ、そして苦悩が手に取るように伝わってきて夢中になって読みました。光圀公ばかりでなく、彼の周りの人々の生き様は本当に格好良く、何度も泣きそうになりました。途中に挟み込まれる「明窓浄机」にはミステリのように引っ張られ、リーダビリティの高さにも驚きました。「天地明察」とのちょっとしたリンクも楽しかったです。

  • 長かった〜!読みづらかった〜!でも面白かった!

    みなさまご存知のあの「水戸黄門」が、なぜあんな感じになったのか。
    庶民の味方であり、いつも素性を隠して旅をするご隠居さん。
    そこに行き着くまでの波乱万丈の人生が長々と描かれております。

    そこにあるのは、
    「知性が一番大事なものであり、亡くなる人を悼み、生まれる人を慈しむ」
    という人間の基本の生き方を守ろうとする心。

    その光圀の姿勢に、心を打たれました。

    そして、私は「泰姫」と「左近」の2人の賢い女性がとにかく好きでした!
    「天地明察」のときもそうでしたが、冲方丁さんは、
    賢く美しい女性を描かせるとピカイチです!

  • 徳川光圀の生涯を題材とした伝記小説。
    750ページに及ぶ大作ですが、そのことをあまり感じさせない充実ぶりで、先へ先へと頁を繰らせる力があります。

    さすがに『水戸黄門』のイメージとは異なるだろうと予想はしていましたが、ここまでマッチョで聡明な光圀像が描かれるとは意外でした。
    改めてWikipediaの徳川光圀の項などを読んでみると、この小説が史実を基本的に忠実に辿りながら書かれていることが解ります。
    もちろん、小説の中で描かれる、宮本武蔵、沢庵、山鹿素行、林読耕斎らとの交わりについては多分にフィクションであるとは思いますが。
    ただ、このフィクション部分がとても魅力的なんですよね。
    個性的な脇役との交わりの中で、光圀のパーソナリティや想いの輪郭が明確になっていくというか。

    特に印象的なのは、光圀が生涯で唯一正室として迎えた泰姫と、その傍に仕える左近という二人の女性像。
    婚姻生活は泰姫が21歳の若さで病死することで僅か4年で終焉を迎えます。
    その儚さと切なさ、そしてその哀切さを永く補い支えていく左近の人物造形が堪らなく魅力的です。

    73歳まで生きた光圀は、その長い生涯の中で、数えきれないほどの多くの肉親や朋友たちの死に遭い、送り出していきます。
    そして光圀自身、三男でありながら水戸徳川家の世継ぎとして選ばれたことの大義に悩み続け、義を果たすことを生涯のテーマとして生きていきます。
    こうしたあたりが、光圀の人物像、そしてこの大河小説を一本筋が通ったものにしています。

    由比小雪の乱、明暦の大火、赤穂浪士討ち入りなど、当時の世相を代表する歴史上の出来事も登場するし、徳川幕藩体制が次第に変容していく最初の一世紀の時代感が、光圀の生涯の背景として見え隠れするあたりも魅力です。

    これ、いつか大河ドラマ化してほしいな。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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