光圀伝

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 536
  • Amazon.co.jp ・本 (751ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102749

感想・レビュー・書評

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  • 地元の西山荘、瑞龍山という言葉が出てきて、親近感を覚えた。テンポ良く進んで行く物語に惹かれ、長さを感じさせない。

  • 骨太。

    最初、ぶ厚さに圧倒され、
    幼少期にちょっとうまく入りこめず、
    きついかなーと思っていましたが、
    途中からぐいぐいいきました。

    素晴らしい友と伴侶を得た時の安らぎ。
    それを失った後の埋めきれない空虚。
    しかし、それでも人は生きて繋がっていく。
    まさに史書を編んだ偉人の生き方でした。

    ラスト。
    本当に素敵な終わり方です。
    ここまで読んできたことを微塵も後悔させません。
    ありがとうございました。

  • 水戸光圀をきちんと描いた作品に触れたのは初めてで、ドラマ時代劇の“黄門様”のモデルになった人、くらいの乏しい知識しかなかった。
    作中でも“虎”と比喩されるくらい猛々しい人だったと知って驚いた。

    前作の『天地明察』は一生をかけて暦を作り上げた人の話だったけど、今作は、一生をかけて歴史書を作ろうとした人の物語。
    作品の冒頭部分で光圀が殺したのは誰だったのか、というミステリー要素をスパイスのように効かせながら、水戸光圀の幼少から死ぬまでを描いた、大河ドラマのような一冊。

    徳川御三家のひとつに生まれた光圀は、戦国から泰平の世へ移り変わった直後の時代の中で、客観的に俯瞰で書かれた歴史書の必要性を感じ始める。
    これまでは、為政者が作った為政者に都合のよい歴史書しかなかった。
    それでは、数多の先人の考えや行いが“無”になってしまう。
    「人の世は常に繋がっており、先人の成したことが地続きとなって今の世があり、この時代もまた、脈々と後世へと繋がっていく」
    光圀が人の生き死にに直面するたびにその思いは強くなっていく。
    こうして彼が着手した歴史書の編纂は、彼の意思を受け継ぐ者に引き継がれ、明治時代に完成する。
    まさに彼が感じたとおり、思いは脈々と後世へと繋がっていったのだ。

    『天地明察』でこの著者のファンになったので読んでみたわけだけど、大正解だった。
    かなりの厚みがある本だし、冒頭がいきなり古語だったから「難解か…?」と思ったけど、そんなこと全然なくてグイグイ引き込まれた。
    途中で出てくる論語だとか漢文だとかもちょっと苦手だったけど、それを凌駕する面白さだった。
    子供の光圀が、父親や周りの大人たちに訓練され、また、一流の人物との出会いや貴重な体験を通して成長する少年期・青年期はの勢いが気持ちいい。

    歴史上の人物って、空想の人物みたいにリアリティーがない存在じゃない?
    本の中、テレビの中の人であって、私という現実社会で生きている人間とは無関係な存在のように感じてしまう。
    だけど、この作品を読み進めるうちに、「ああ、こうやって泣いたり笑ったりしながら、私と同じ時間軸の線の上で生きていた人なんだなぁ」って、光圀という人をリアルに感じた。
    この人の人生も、私の認知してない部分で私の生活と繋がっているんだろうなって。
    そして、光圀にとっての未来を、私たちは過去の歴史として知っているというのが、当たり前なんだけど、なんか不思議な、妙な感覚に囚われた。

  • 読みごたえがあって、かなり面白かった♪

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「かなり面白かった♪ 」
      早く文庫にならないかなぁ~
      「かなり面白かった♪ 」
      早く文庫にならないかなぁ~
      2013/08/23
  • これは凄い。つけられるなら6つ星以上つけたい。個人的には、天地明察は、あんまりだったのだけど、光圀伝は本当に傑作だと思う。改めて、天地明察も読み直してみたい。

  • 事情から一気読みしたけれど、ちょっとしんどかった。
    『天地明察』程の引き込まれ感はなかったということかな。

    とても似通っている。
    同じ世界、重なる時代を描いているのだから、悪くはない。
    しかし、話の構造や展開までそっくりな気がした。
    『天地明察』スピンオフ小説といった趣か。
    これは作者が意図したものなのか、それともこれでしか書けないのか。
    今後の作品によるな。

    光圀という人物像を想像するには、良かった。
    ご老公にだって、幼少時代があり、青春があり、野望があった。
    多くの生と死を送るのは、長く生きるものの宿命だ。
    紋太夫の抱いた義は、衝撃的だった。
    水戸藩が後の世に果たした役割を思い、
    光圀が産み落とした大きな歴史の種を思わずにはいられない。

    先達がいて、自分が成長し、そして後身が生きていく。
    歴史とはそうしたものの重なりで、人の生は連綿と続いていくということか。

  • 三男でありながら後継ぎになった苦悩
    そして、大義のために生きた光圀の一生を魅力的に書かれていて
    大変面白く読みました。

    太平の世になってからの武士のあり方
    家を継ぐという考え方。義への探求心
    まだ医療が発達していない時代の病気の怖さ
    さまざま人たちとの別れ
    などなど。
    いろいろ興味深い読みごたえもあった。

    それにも増して
    テレビでの黄門様とはひとあじ違った
    光圀の魅力が存分に味わえ、泰姫、兄上、左近、読耕斎、
    武蔵、保科正之等々、とても魅力的な人物がたくさんでてきて
    おもしろかった。
    最後、お互いの義のためにたもとを分かつことになった心を許した家臣を
    打つのはお辛いことだったでしょう。

  • 天地明察でもチラッと登場して、お茶の間で人気の“あの”黄門様とは一味違った、偉丈夫たる存在感を醸し出してた水戸光圀その人を主人公においての長編歴史小説。ボリュームも1.5倍だし、天地明察を経て、自分の中でのかの時代に対する素地も出来上がってるから、世界観にも入り込みやすかったし、理解もしやすかったってのもあって、満足度は上記作以上のものがあった。上記作同様、人物間の交わりを中心に物語が進められ、とりわけ別離に焦点が当てられていて、穿った見方をすればあざといかもしれないが、人物の書き込みが丁寧であり、それぞれのエピソードを印象深いものにしている。いやいや、読み応え十分、感動の大作でした。

  • 水戸黄門・光圀の生涯について。

    「何故自分が世子なのか」
    真意を一切話さない父、優れた兄を持ち、悩み続ける光國の記述がかなりの部分を占める。

    そして途中から、驚くほど近しい人達が亡くなっていく。
    水戸徳川第二代藩主として産まれた時から全てを手にしているかのように見える光圀だけれど、その人生は獲得と喪失の繰り返しだった。


    戦乱の世から泰平の世に。
    世の仕組みを変えていく時代の話。
    次は保科正之の話描いてくれないかな。

  •  何をどのように厚め、さらに何をどのようにふくらませれば、このような大作の小説になるのか。漢文体の正規の史書ならば、われわれは読むのにあまりに骨が折れて、たぶん誰も手に取ることはない。だからといってTVの「水戸黄門」の再放送を見ているだけでは、歴史も江戸時代のイメージも得られない。
     ミステリーはではないのだから、「紋太夫」事件は、読書が、この小説をいかに読んだかの、いわば「試金石」なのだろう。

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著者プロフィール

冲方丁(うぶかたとう)
1977年、岐阜県生まれ。4歳から9歳までシンガポール、10歳から14歳までネパールで過ごす。早稲田大学第一文学部中退。小説のみならずメディアを限定せず幅広く活動を展開する。
『マルドゥック・スクランブル』で日本SF大賞、『天地明察』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、北東文芸賞を受賞し、第143回直木賞にノミネートされた。『光圀伝』で第3回山田風太郎賞受賞。
代表作となる『天地明察』は2011年にコミック化、そして2012年に岡田准一主演で映画化されヒット作となる。2019年1月、『十二人の死にたい子どもたち』が堤幸彦監督により映画化。

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