罪の余白

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.20
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本棚登録 : 311
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102756

作品紹介・あらすじ

第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞したデビュー作!
高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。
加奈のクラスメイトだった少女の協力で娘の悩みを知った時、償いを求める戦いが始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 娘が命を落とすこととなった原因を作った人物への復讐をどうするつもりなのか。最後の最後まで気になってページを捲る手が止まらなかった。
    また、「最後だとわかっていたなら」という詩に自分を重ねるシーンがある。思いもよらず大切な人を亡くした経験のある人は誰もが思うことなのかもしれない。

  • 最初は、なんとも言えないイヤミス感満載な空気で読めるかな?と不安だったけど、最後は、キレイに落ち着いて良かった。
    女子校生のスクールカースト、いじめ、周りにどう見られているのか中身より外見重視。
    ほんとにバカバカしいけど、思春期、10代には何より大切な事。
    狭い世界の中で必死でもがき、しがみつき。
    少しでも外に目と足を向けられたら全然別の人生が開けるのに。
    冷静になれば、「風邪引いた」より簡単で大した問題じゃないのにこの世の終わりのような気持ちになる。
    思春期特有なのかな?

    スクールカーストもいじめもない女子高時代を過ごしたので、こんな事ある?こんな子いる?って思うけど、
    ママ友デビュー後は、色んな人に出会ったり、噂話を聞いたりして
    女の世界は恐いし、世の中色んな人がいると知った。
    もう大人だから、狭い世界にしがみつき、この世の終わりなんて感じなかったけど、大人になってもママ友付き合いで悩む人も多いから、女はそういう生き物なのかも。
    流石に、ママ友付き合いで自殺する人はいないだろうけど。

    私は、たまたま幸せな女子高時代を過ごせたのかも。
    もしくは、周りに疎すぎたか。
    現実に、世の中には、いじめで命を断つ10代がたくさんいるんだから。
    思春期という時期を通過しないといけない人間には、解決できない問題なのかも。

  • 高校生加奈のベランダからの落下による死亡事故。
    一人娘の死に嘆き苦しむ父安藤と、いじめにより香奈が死亡することになったことを隠そうとする同級生咲。
    女子高生の悪意と父の思いはどうぶつかるのか。

    語り手が変わるため、それぞれの思いが手に取る様に分かり、女子高生達が追い詰められていく様子にドキドキしました。
    咲の悪女ぶりが興味深い。
    この事件がなければ、咲の人生は華やかなものだったのでしょうか。
    複雑な気持ちになります。
    早苗の立ち位置を知るために、ネタバレを探してしまいました。私には読み込めなかった…。

    ダブルバインドという言葉は初めて知りました。
    この小説の中での重要ワード、勉強になりました。

  • ベランダから転落した加奈と、咲と真帆との関係がリアルで胸が詰まりました。表面上は仲良さそうに見えるけど、実はいじめているっていうこの構図。そして咲に好かれたい、嫌われたくない一心でなんでも咲に合わせようとする真帆。

    加奈も友達だと思って一緒に居たけど、何故かいじめられ、でもそこからきっぱり抜けだせない。

    そして自分が一番可愛いんだと女王様気取りの咲。

    いじめてる側の気持ちも描写されてるので、分かりやすいですが真帆の立場が一番ありがちじゃないかなぁと思います。イケてるグループに居たい、ここ以外には居場所がないと思い込む。その結果リーダー格の咲の言いなり状態。

    「ひとりになりたくない」と思う心情がよく描かれていました。そして大人になった今なら「1人でいいじゃん」って思えますが、高校生の時には決してそうは思えなかった。とても共感できる思いでした。

    女子高生たちの気持ちもさる事ながら、妻に先立たれ娘と二人暮らしをしてきた安藤。その娘までもを失った気持ち。そして次第に復讐へと思考が動き始める様子。

    そして、過剰なまでに空気を読み合う女子高生たちと対照的に存在するのが早苗さん。他人の感情を読み取ることができないが故に、裏表のないこの早苗さんに救われる。欲を言えば、早苗さんをもう少しストーリーに絡ませて欲しかった。強烈なキャラクターの割に、いまいち存在意義が感じられなかった。

  • 娘を自殺に追いやった相手に最も忘れられない復讐をする心理学者の父親の話。
    個人的にはもっと重くて泥々していることを期待していた。禍々しいものがもっと溢れていても良かったのではないかと思う。
    いじめをテーマに心理戦のような伏線もあったので、期待していたがエンドは呆気なくきてあっという間に過ぎてしまったのが、あっさりしすぎていて少し拍子抜けた。
    もっと加害者が後悔するのを読みたかった気もする。

  • 転落死。事故死。自殺――?
    女子御三家校の教室の手すりから転落した少女が死亡した。一人の少女の死を巡って少女の父親、クラスメイト、そして少女の父親の同僚の日常がきしみ始める。

    一人称、多視点。率直な評価は☆1.5だが、冒頭からモルスァと叫んで壁に投げたくなった点を鑑みると☆1つ。
    個人的に文体が合わない。読んでいる内に慣れるは慣れるが序盤ではかなり辛いものがある。いきなり感傷たっぷり女の子の甘い一人称が自殺をするというジェットコースターの展開(転落死だし)をそこそこに過去回想の乱れ打ち、視点は短いスパンで父親、同僚、友人A、友人Bを揺れ動く。読点の多用、体言止めも目につく。比喩も定型文、擬音・妙に細かい名詞(豊島区千早、御三家、iPod、アイドル名は架空?)を出す意味は。

    ベタの描写は、ベタの雄同士を同じ水槽に入れておくと喧嘩をして弱い方をいじめる、というところから、死亡した少女及びその友人に重ね合わせることが目的か。ただ、残念ながらベタの種類をだだ打ちしたところでベタに対する興味はなくなってしまって流し読み、重ね合わせるにはいささか安直だし何よりも彼女たち、そんなに美しい少女だったのだろうか。狭い範囲内でやーんあの子可愛いって言ったところで客観すると所詮ドングリの背比べにしか感じられず、ベタの美しい描写と残念ながら釣り合わないような気がする。女の子ってそんなにひらひらしているのだろうか。

    人間描写は――どうなんだろう。微妙、というのは自分が年が行きすぎているせいか。空気の読めない同僚がかなり印象的だったがその他はというとテンプレートの範疇を出ない。また、父親のキャラクターが見えづらい。主要登場人物を取り巻く人物になるとステレオタイプな描写しかされないのは、この枚数でこの人数となるとどうしても描ききれないためか。所詮背景といってしまえばそれまで。

    良かったと思う点は、人物乗車に少々難あれどそれぞれの思惑を組み立てながらきちんと最後まで書けたところ。最後まで書くというのは中々に難関で本作は各人物の思惑が錯綜しているため拍手。しかし、やはり人物描写がなあ、と思ってしまう。

  • 娘がいる立場として、非常に心が痛くなった。各場面の描写は詳細で感情移入できた反面、結論が少し不完全燃焼気味だったかと。

  • 『神様とは人間が楽に生きるために創り出した装置なのではないか、という考えだった。装置 ー あるいは、とめどない思考を停止させるための手段。』

    『殺意を抱くことが難しいのではない、と安藤は知る。
    殺害方法を考えること。凶器を用意すること。冷静さを取り戻すのに十分な時間を費やし、失敗する可能性や殺人に手を染めることによって被る不利益に気づきながらも、強い衝動を維持し続けること。そして実際に行動に移すこと。
    溝は、そこにこそあるということを。』

  • デビュー作からディープインパクト。
    辛いストーリーですが、最後は希望が見えて良かった。

  • 湊かなえチックな展開。
    ただし、全体的に粗い印象。
    デビュー作となれば無理もないか。
    どこかデジャブ感が否めない。

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ よう)
1984年生まれの作家。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。『罪の余白』は2015年に映画化された。その他代表作に、2016年版「週刊文春ミステリーベスト10」第7位、「このミステリーがすごい!」2017年版第5位、第38回吉川英治文学新人賞候補『許されようとは思いません』、そして第32回山本周五郎賞候補および本屋大賞ノミネート作となった『火のないところに煙は』など。2019年8月28日、『カインは言わなかった』を刊行。

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