罪の余白

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 252
レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102756

作品紹介・あらすじ

第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞したデビュー作!
高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。
加奈のクラスメイトだった少女の協力で娘の悩みを知った時、償いを求める戦いが始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生加奈のベランダからの落下による死亡事故。
    一人娘の死に嘆き苦しむ父安藤と、いじめにより香奈が死亡することになったことを隠そうとする同級生咲。
    女子高生の悪意と父の思いはどうぶつかるのか。

    語り手が変わるため、それぞれの思いが手に取る様に分かり、女子高生達が追い詰められていく様子にドキドキしました。
    咲の悪女ぶりが興味深い。
    この事件がなければ、咲の人生は華やかなものだったのでしょうか。
    複雑な気持ちになります。
    早苗の立ち位置を知るために、ネタバレを探してしまいました。私には読み込めなかった…。

    ダブルバインドという言葉は初めて知りました。
    この小説の中での重要ワード、勉強になりました。

  • ベランダから転落した加奈と、咲と真帆との関係がリアルで胸が詰まりました。表面上は仲良さそうに見えるけど、実はいじめているっていうこの構図。そして咲に好かれたい、嫌われたくない一心でなんでも咲に合わせようとする真帆。

    加奈も友達だと思って一緒に居たけど、何故かいじめられ、でもそこからきっぱり抜けだせない。

    そして自分が一番可愛いんだと女王様気取りの咲。

    いじめてる側の気持ちも描写されてるので、分かりやすいですが真帆の立場が一番ありがちじゃないかなぁと思います。イケてるグループに居たい、ここ以外には居場所がないと思い込む。その結果リーダー格の咲の言いなり状態。

    「ひとりになりたくない」と思う心情がよく描かれていました。そして大人になった今なら「1人でいいじゃん」って思えますが、高校生の時には決してそうは思えなかった。とても共感できる思いでした。

    女子高生たちの気持ちもさる事ながら、妻に先立たれ娘と二人暮らしをしてきた安藤。その娘までもを失った気持ち。そして次第に復讐へと思考が動き始める様子。

    そして、過剰なまでに空気を読み合う女子高生たちと対照的に存在するのが早苗さん。他人の感情を読み取ることができないが故に、裏表のないこの早苗さんに救われる。欲を言えば、早苗さんをもう少しストーリーに絡ませて欲しかった。強烈なキャラクターの割に、いまいち存在意義が感じられなかった。

  • 娘を自殺に追いやった相手に最も忘れられない復讐をする心理学者の父親の話。
    個人的にはもっと重くて泥々していることを期待していた。禍々しいものがもっと溢れていても良かったのではないかと思う。
    いじめをテーマに心理戦のような伏線もあったので、期待していたがエンドは呆気なくきてあっという間に過ぎてしまったのが、あっさりしすぎていて少し拍子抜けた。
    もっと加害者が後悔するのを読みたかった気もする。

  • 転落死。事故死。自殺――?
    女子御三家校の教室の手すりから転落した少女が死亡した。一人の少女の死を巡って少女の父親、クラスメイト、そして少女の父親の同僚の日常がきしみ始める。

    一人称、多視点。率直な評価は☆1.5だが、冒頭からモルスァと叫んで壁に投げたくなった点を鑑みると☆1つ。
    個人的に文体が合わない。読んでいる内に慣れるは慣れるが序盤ではかなり辛いものがある。いきなり感傷たっぷり女の子の甘い一人称が自殺をするというジェットコースターの展開(転落死だし)をそこそこに過去回想の乱れ打ち、視点は短いスパンで父親、同僚、友人A、友人Bを揺れ動く。読点の多用、体言止めも目につく。比喩も定型文、擬音・妙に細かい名詞(豊島区千早、御三家、iPod、アイドル名は架空?)を出す意味は。

    ベタの描写は、ベタの雄同士を同じ水槽に入れておくと喧嘩をして弱い方をいじめる、というところから、死亡した少女及びその友人に重ね合わせることが目的か。ただ、残念ながらベタの種類をだだ打ちしたところでベタに対する興味はなくなってしまって流し読み、重ね合わせるにはいささか安直だし何よりも彼女たち、そんなに美しい少女だったのだろうか。狭い範囲内でやーんあの子可愛いって言ったところで客観すると所詮ドングリの背比べにしか感じられず、ベタの美しい描写と残念ながら釣り合わないような気がする。女の子ってそんなにひらひらしているのだろうか。

    人間描写は――どうなんだろう。微妙、というのは自分が年が行きすぎているせいか。空気の読めない同僚がかなり印象的だったがその他はというとテンプレートの範疇を出ない。また、父親のキャラクターが見えづらい。主要登場人物を取り巻く人物になるとステレオタイプな描写しかされないのは、この枚数でこの人数となるとどうしても描ききれないためか。所詮背景といってしまえばそれまで。

    良かったと思う点は、人物乗車に少々難あれどそれぞれの思惑を組み立てながらきちんと最後まで書けたところ。最後まで書くというのは中々に難関で本作は各人物の思惑が錯綜しているため拍手。しかし、やはり人物描写がなあ、と思ってしまう。

  • お上手で面白く読み終えた。
    名前が売れても中身のない
    ペラペラな本書いてる人たちより断然マシ。
    生き残ってくれて良かった!

  • 一人の女子高生が転落死した。事故なのか、自殺なのか。さまざまな視点から彼女の死の真相を探っていく。

    ■「顔も洗わないで着替えるなんて」と母親に苦言を呈される女子高生が、着替えのあとそのままメイクをしている。顔を洗おう。

  • 加奈が死んで、咲と真帆がそれに対して宛てた手紙を読んだ時、なんとも言えない歯痒さを感じました。

    最後は父の安藤そうがこういう遣り方でごめんと言いながらしたこと、少し気が晴れました。

  • 高校生たちの描き方はいいけど、大人たちが良くわからない…。
    アスペルガーである必要があったのか?
    いったい何を訴えたかったのか、わからなかった。

  • 大学講師の安藤聡は講義終了後に、切っていた携帯電話の電源を入れて着信の多さに驚いた。同じ研究室で連絡を受けた早苗に連れられ病院へ着くと、高校生の娘加奈が4階の高さから落ちて亡くなっていた。事件か事故か。クラスメイト達の手紙を読んで聡はー

    ◆うわ-…。こんな話と予想してなかった…。痛々しい。でもお父さん見事でした、最も効果的だと思います。“人は、遺伝子を残すために生きているのではない。物語を刻むために、生き続けるのだ。”(132p)

  • 第三回野性時代フロンティア文学賞受賞作品。
    うーん。どうだろう。引き寄せられそうでいて、でも寄れなかった感じ。もっと他の作品も読んでみよう。

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著者プロフィール

1984年生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。著作に『今だけのあの子』『悪いものが来ませんように』『いつかの人質』『雨利終活写真館』『獏の耳たぶ』、最新作に『バック・ステージ』がある。

「2018年 『いつかの人質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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