巨額年金消失。AIJ事件の深き闇

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 72
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102794

作品紹介・あらすじ

2000億円はどこへ消えたのか?知られざる驚愕の真実。元AIJ企画部長の告発。

感想・レビュー・書評

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  • AIJ投資顧問元取締役にして野村證券OBの著者が、一連のAIJ事件について内側から見てきたものを書き記した本です。一種の懺悔録のような雰囲気になっています。

    オプション取引を先駆けて学んだ方であり、本書でもオプション取引の概要、先物取引とオプションのちがいなどが、分かりやすく説明されています。AIJ投資顧問がメインで使っていたのは、「オプションの売り」であり、これは安定したオプション料収入が見込める半面、まれに大損を食らうリスクを持つ商品だったようです。

    一連のスキームを成立させた3つの「道具」(=海外籍の私募投信、アイ・ティー・エム証券という販売部隊、他社買収により獲得した「投資一任業免許」の3つ)や、基準価額水増し・損失隠ぺいの具体的手口など、やや複雑なところも、それなりには理解できました。内側から見てきた人物だけが描写できるリアリティがあるからかもしれません。

    本事件の張本人である浅川社長の人物像もリアルに描かれています。「野村の営業」の道を極めた人物であったことがうかがえます。それを踏まえて、AIJ事件とは浅川氏の個性が招いた単純な犯罪であろう、という著者の見解が提示されます。ただこの見解は、やはり少しうさんくさい、著者の責任逃れに見えなくもないストーリーのように思われます。真相はわかりません。

    印象に残ったのは、証券会社が90年代以降、デリバティブやSPCを利用した新しいノウハウを売り物にして、「損失先送りビジネス」を展開してきたと指摘している点です。著者が本書の最後でこぼしているとおり、日本は粉飾・先送りの構造に満ち満ちている。その欺瞞が図らずも露わになったものが、AIJ事件であり、オリンパス事件なのだと思います。

    (2015/10/03)

  • 事件の闇の入り口にも辿り着かない迷著だが、
    複雑から混沌の闇となる中、渦中の空は澄み渡るという社会や組織のモメンタムの強さは理解できる

  • 営業はすごいが運用はド素人
    トレーダーは他人の運用成績に興味ないし
    分からない
    日本版マドフ事件、2000億円溶かす

    著者は早稲田の政経、野村で場たち、デリバティブ
    という経歴の人
    野村での最大損失は12億円。日経平均のオプション売り。
    AIJでは企画部長。運用報告書を書かされていた
    今はコンビニで働いているみたい

    じじい転がし、浅川。
    数字にめっぽう強い

    本当に儲かる投資アイデアは自己売買でやる
    破たんリーマン社員受け入れで欧米化
    手数料至上主義から短期収益実現主義へ

    植草一秀、リチャード・クーを信頼
    関西の年金基金は手ごわい
    見栄を張らないでしつこく聞く
    分からないものはやらない、151

    浅川、一人の時間嫌う
    負けず嫌い、時間にうるさい
    嘘やごまかし、いかさまを嫌悪

    フローチャートで、いかさまの方法図示
    AIJから偽運用報告書

    ITMから偽NAV報告書
    ※監査法人からの監査報告書は開封しない
    信託銀行経由で年金基金に届く

    この二つの数字が合致していたので
    疑われなかった

    116、オリンパスの損失飛ばしとの類似性を否定する

    この本の原稿、クラウドに保存されていたので
    捜査員による押収を免れる
    なるほどなぁ

    筆者、転職前に一時FC加盟で墓穴
    浅川、バブル期の不動産投資で失敗、高給を求めて外資へ
    相場のプロも、本職以外ではトロイものだ

  • 個人的に興味深いジャンルだったので読みましたが、一般的にはあまり読む必要もない1冊だと思います。

  • AIJ事件。企画部長の振り返り。
    昔ながらの証券マンであった浅川が、「取り返せる」と思って相場を張り続けて、2000億程度損を出して、年金基金がやられた。そう複雑なものではないとの総括。
    浅川以外少数しか知りえず、自分も被害者、という言い分。
    これだけ読めば、頷けなくもない。

    まあ、相場は大変だ。

  • 結局のところ、厚かましい一人の勘違い男と無責任極まりない年金関係者、と彼らにカモにされた(されつつある)サラリーマンのよくある話。

  • 史上最悪の年金消失事件。
    やはり当事者の話はリアルでおもしろかった。

  • 半分程度はオプション取引などの解説。
    営業マン浅川氏のトークでは信用できなくても、著者の説明には合理的な年金担当者でも納得してしまっても不思議ではないような印象。

  • 155ページで読むのをやめた。ただ、【信頼・信用】が全てと改めて考えさせられた。

  • 2000億円消失のAIJ事件で、企画部長(営業)を勤めていた著者による回想です。
    事件そのものの紹介は、報道で知った以上の情報はありませんした。AIJ代表の浅川氏の個人的犯罪で計画性もなくズルズルと始まってやめられなくなった、との説明であり、それを見抜けなかったのは著者の「これくらいの運用成績なら自分でも出せる」との傲慢さであったとの反省であります。
    これを読んでも日本の金融システムの弱点や年金制度の問題点などはわかりません。リーマンブラザーズの内幕本を読んだ時も感じましたが、人間は弱いものであり、失敗を失敗として認められない、わからないことを理解したふりをする、などの小さな愚かさの積み重ねがこのAIJ事件を招いた、と。
    大和銀行巨額損失事件の「告白」も合わせ、金融に関わる方はぜひ。

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