犯罪者 クリミナル 下

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 476
感想 : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102961

作品紹介・あらすじ

隠された巨大企業グループの残忍な罪業。浮かび上がる一人の男の驚くべき犯罪計画。そして、謎を追う三人が犠牲者を救済するために一発逆転をかけて臨む、メディアと警察を駆使した奇策とは!?真の勇気と正義を問う、感動のノンストップ・エンタテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 修司と相馬、鑓水の3人は通り魔事件の裏に、
    巨大企業・タイタスと与党の重鎮政治家の存在を掴む。
    そこに浮かび上がる乳幼児の奇病。
    暗殺者の手が迫る中、3人は幾重にも絡んだ謎を解き、
    ついに事件の核心を握る人物「佐々木邦夫」にたどり着く。
    乳幼児たちの人生を破壊し、通り魔事件を起こした真の犯罪者は誰なのか。
    佐々木邦夫が企てた周到な犯罪と、
    その驚くべき目的を知った時、3人は一発逆転の賭けに打って出る。


    乳児の顏を壊死させる奇病メルトフェイス症候群。
    原因は大企業タイタスフーズが保育園に配った離乳食のサンプルだった。
    それを闇に葬るべくして起こったのが深大寺駅前の通り魔事件だった。
    上巻でどうしても違和感を感じてしまった真崎の金銭の要求。
    真崎の本当の気持ちが明らかになり涙が零れた。

    いくつもの伏線があり、事件の真相がわかるにつれ、
    先が気になって仕方なかった。
    鑓水が立てた作戦が上手くいくのか…。
    緻密に練られた計画が気持ちよくバシッと決まるわけではなく、
    次々とアクシデントにみまわれドキドキが止まらず苦しかった。

    産廃業界の闇・大企業の隠蔽体質・政界との癒着
    社会問題も沢山提起していて、これほどの多くを盛り込みながら
    ミステリーとして仕上げた構成力と筆力素晴らしかったです。
    とても素晴らしい作品で、読み応えもあり面白かったのですが、
    長かったーーー。疲れたーーー(笑)

    この三人のコンビ最高です!
    ずーーーっと、このコンビが活躍する物語を描いて欲しいです。

  • 通り魔事件による4人の犠牲者、メルトフェイス症候群という奇病を発症した124人の乳幼児たち、巨大企業グループタイタスフード、これらの結びつきと真相がわかってくるともう一気に読んでしまった。
    それぞれが一匹狼的な相馬、鑓水、修二、中迫だけど、チームワークで、自身が信じる正義を貫き敵に挑んでいく姿がかっこいい。滝川との攻防戦には終始ハラハラドキドキ。出来過ぎた終わり方でないのもかえってよかった。
    絶対「天上の葦」も読まなくっちゃ!

  • 上下巻合わせて800ページ越えの超大作
    途中だれることなく、最後まで面白かった。
    特に下巻の仕掛けるところは、心臓に悪いくらいハラハラドキドキ。
    疲れた体にはきつかった。

    登場人物すべてにはっきりとしたキャラクターがあり、本の中にすぐに引き込まれる。
    さすがドラマ「相棒」の凄腕脚本家

  • こういうエンタメ小説は感想が書きにくい。
    めっちゃ面白かった、としか言えなくて。

    ここで若者は「語彙力」なんて言っちゃうのか。

    乳幼児を襲う奇病、保育園に配られた食品サンプル、
    大手食品会社と政治家の癒着
    白日の通り魔殺人事件。
    結びつかないと思われている点を結び付けていく人達。

    手に汗握りました。

    映像を見ているようで、
    というか映像に起こすために書いたみたいな感じで、
    気持ちよく裏をかかれたり、
    ヒヤヒヤしながら逃げたりした。

    闇に葬られそうになったことが
    明るみにでることによって
    さらに戦わなくてはならないけれど、
    それでも、よかったと思う。

    小さな未来が見える生活はきっと明るい。

    「天上の藁」のチーム誕生。

  • 「ありがとよ、坊主」
    あの朝あの男が遺した予言めいた言葉が、最後の最後で胸を打つ。

    世の中に蔓延るどうしようもない理不尽に立ち向かう男達により、ばらばらに散らばったパズルのピースが揃っていく爽快さ。
    罠を仕掛け、追い込み…と思ったら逆に追い込まれ、どんでん返しに次ぐどんでん返しにハラハラし、この先どうなるのか予想のつかない面白さ。
    遺された一人一人の悲しみが丁寧に綴られる遣りきれない気持ち。
    膨大な頁数の中に色々な要素がぎゅっと詰まった読み応えのある物語だった。
    今後も息の合った3人の活躍に期待したい!

  • なんとかどうにかうまくいきますように!とハラハラしながら読みました。おもしろくて続きが気になりすぎて、上下巻一気読みしました。
    3人が出てくる次巻があるようなので、ぜひ読みたいです。

  • 先に2作目読んじゃって順番逆になっちゃったけど。
    上下巻、あっという間だった。目まぐるしく時間も視点も変わるのにそれが全然気にならない。しかもストーリー二転三転。すごいなぁ。
    怒涛の展開はエンターテインメント性抜群だけど、読みっぱなしで終わらないこの読後感。
    しかも、このテイストで同じメンバーで続編もって、ほんと、すごいな。

    理不尽な社会。信じやすく臆病で妬み深い国民性。
    今、まさにドキッとするフレーズがたくさんあったな。

  • 企業と政治家の結びつき。
    緻密な犯罪計画と周到な行動での事件解明。
    今、隣で起こっているような事件の連続。
    終始ハラハラドキドキで一気に読み上げた。
    ここまで描ける日本人作家はなかなかいないと思う。

  • 久々に本当に読み応えもある小説で、本作がデビュー作とは信じられないほどの重厚さ、社会性、余韻もある作品でした。次作の「幻夏」もすぐに読みたくなりました。

  • 通り魔事件で唯一の生き残り修二が、どう事件と関わり、どこへ行きつくのか。 最初のほうはこちらが気になり読んでいたものの、途中から背後には企業の不正など話が見えずらくなり、またまた謎が重なる感じ。

    事件そのものの話もよくできていて早くこちらも真相に近づきたいと本を読むペースがいつも以上に早くなった。

    なによりもよかったのは、修二、刑事の相馬、ジャーナリスト鑓水の三人の関係。 いずれもが組織の中ではやっていけない、一匹狼的な要素の面々。 それなのに、この事件を前にみせるチームワーク。 一見バラバラ、粗削り。  年齢も経験値も違いながら、思慮深く、それでいて捨て身で、イチかバチか的な感じも読んでいてわくわくする。

    最後のほうに通り魔事件被害者の遺族の言葉が出てくるあたりがちょっとなんとも感傷的な気持ちになりました。

    人の一生がちょっとしたところで、大きく変わる、なくなるという、当たり前ながら日々の暮らしの大切さを思う。 ペテン師とか相馬に言われるけど修二の前向きな感じよかったです。

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著者プロフィール

香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には第2作『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になる。17年には上下巻の大作『天上の葦』を発表。高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描き、大きな話題となった。

「2020年 『彼らは世界にはなればなれに立っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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