握る男

著者 : 原宏一
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年10月27日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041103203

作品紹介

「この国のキンタマは"食"なんすから」そうのたまい、一介の鮨職人から、外食産業の帝王に成り上がった男・徳武光一郎が自殺。長年「番頭」として彼に尽くしてきた金森は、刑務所でその報を知る。人、金、権力。全てをその手に握った「食王」に、一体何が起こったのか。

握る男の感想・レビュー・書評

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  • 小説だからこそ読むことができた「握る男」の半生。
    すし職人の世界や飲食店のあれこれが面白い。
    さらに、ただの職人にとどまらず、外食産業でのし上がり、そのうえ権力を振るう人間になっていく過程がバブルの時代とともに描かれている。
    気が利いていて、頭がよく、人に好かれる好人物である一方で、どこか裏のある素顔をもち、野心もあった。
    そら恐ろしさを感じて、波立つような心持ちで読んだ。
    成り上がった彼は思い通りの生き方ができたのかもしれないが、心から満足することはできただろうか?
    彼の右腕だった語り手の男が彼を思い、すし職人だった頃を懐古するラストが哀しい。
    人生でいちばん輝いていた時代の光景はけっして色あせることはない。
    そのことが切なく心にしみた。

  • 2016.9.19
    文庫が出てるのを見て、もっとポップな感じかと思って読んでみたら全然!予想とは違ったけどテンポよく読めた。
    成り上がっていくスピード感、スマホどころか携帯さえ全員が持っていなかった時代での会社の成長、いつの時代もあるであろう男女の中。人の弱みを握り、使い、裏切り者はどこまでも追い詰める。幸せとは?成功とは?考えてしまった。やっぱり女性には男性にない怖さがあるなあと思いつつ。
    余韻の残る小説やった。

  • 16歳で、寿司職人として、のしあがる"ゲソ"。それに、ついていく金森。
    上り詰めるためには手段を選ばないゲソ。「人間のキンタマを握る」やり方がえげつないぐらいに展開されていき、はまりにはまってのしあがっていく。
    しかし、その中にある「悲しさ」と「空しさ」が最後に去来して、金森の止められない涙となったのかもしれない。

  • 人を騙して、利用して掴んだ栄光に満足したのだろうか?哀しいね。

  • 「握る」、それは、キンタマだった。
    つまり、弱みを握ること。
    一介の鮨職人から、外食産業の帝王に成り上がった男のナンバーツー視点で進む物語。
    人、金、権力と全てをその手に握った男は、幸せだったのだろうか?

    食とは何なのか?
    そして、これが帝王学なのだろうか?
    また、トップに上り詰めることが、果たして、幸せなのか?
    考え込んでしまった。

    高度経済成長期の急成長する外食産業を舞台にした創作小説。
    住み込みの見習いすし職人として入ってきた小さな男・徳武光一郎。
    綽名はゲソ。
    一介の鮨職人から、外食産業の帝王に成り上がって行く様子を、
    先輩の金森の視点で進む物語。

    その風貌や立ち居振る舞い、そして、成り上がり後の暴君ぶりから、
    〝サル”と呼ばれた、豊臣秀吉の現代版を想像した。

    『世間が気づかないうちにキンタマを握っちまえば、あとはこっちの思うがまま』
    『この国のキンタマは、〝食”なんすから』

    生い立ち不詳の彼は、鮨職人として奉公するやいなや、
    瞬く間に、握り寿司の技術を習得。
    さらに、いろんな人と裏交流を深め、キンタマ=弱みを握っていく。
    人たらしぶり、時に人を陥れたりと、どんどんのし上がっていく。
    そして、ついに、外食産業のドンとして君臨。
    日本の食を牛耳る。

    『支配されていると気づかれないように支配することだ』
    帝王学のような言動に面白く惹かれていくものの、
    裏方に徹して、陰で支配していく様が、恐ろしい。

    欲しかったのは、金や権力ではないような気がする。
    自分の人たらし能力に陶酔しているかのようだ。
    木下藤吉郎、あらため、秀吉のように。

    最後、金森は親方の鮨を食べて気づく。
    『おいしいものを食べたいお客に気持ちよく食べてもらう』

    『人のためになることをする』という原点を忘れてはならない。
    著者の思う、世渡り術や人生訓のように感じた。

  • 寿司屋の弟子時代からの後輩と寿司屋を乗っ取り、その後外食産業、食品産業に影響するほど大きな複合企業を作る社会派フィクション。
    寿司屋時代の話は面白かったが、企業作りの話になってくると軽さが鼻につくようになってしまった。スピード感は有るが内容は軽くなってしまったのは残念。一代でのし上がり、周りの人間を駒としか見ないような企業。まあ有りそうな話しかなとは思う。ITバブルの時なんか本当に良くあった話しな感じ。全体的には面白いが、物悲しい読書感。

  • しなくていい事をやり
    ついつい後ろを気にするようになり
    それでも頭を下げる
    ふ~~~~ん

  • +++
    「この国のキンタマは“食”なんすから」そうのたまい、一介の鮨職人から、外食産業の帝王に成り上がった男・徳武光一郎が自殺。長年「番頭」として彼に尽くしてきた金森は、刑務所でその報を知る。人、金、権力。全てをその手に握った「食王」に、一体何が起こったのか。
    +++

    冒頭で、徳武光一郎(通称ゲソ)の自殺が知らされ、その後、そこに至るまでの一部始終が語られる。語るのは、ゲソの腹心・金森であり、ゲソの死の知らせを聞いたのは刑務所である。一体彼らはどんな関係で、なにがあったのか。読者の興味はいやが上にも増すのである。ゲソは、謎の多い少年だったが、人当たりが良く、才覚もあって、同じ寿司屋の修行の身であり先輩である金森を瞬く間に追い越して、取り立てられるようになる。誰にでも愛想の良いゲソだが、裏の顔は大きすぎる野望のためには手段を選ばない非道さも秘めている。いつの間にか金森はゲソに着いていかざるを得ない状況になり、二人で日本の職を牛耳るという野望を実現すべく行動を起こすのである。ゲソのやり口に憤りながらも、どこまで上り詰めるかに興味を惹かれ、ラストに向かって、ありがちな罠に陥るゲソを複雑な思いで眺めることになった。本店の親方の堅実さが唯一ほっとさせてくれる救いで、あとは、もどかしくやるせない思いで満たされる一冊である。

  • ゲソの魅力と小気味良いリズム感があって、楽しんで読み進めました。

  • 果てしない階段を上っていたと思ったら、実は奈落へ向かっていた。実に恐ろしいのは女性なり。

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