無花果とムーン

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.38
  • (61)
  • (132)
  • (168)
  • (61)
  • (14)
本棚登録 : 1313
感想 : 186
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041103210

作品紹介・あらすじ

「あの日、あの瞬間がすべて。時間よ、止まれ」あたし、月夜は18歳。紫の瞳、狼の歯を持つ「もらわれっ子」。ある日、大好きなお兄ちゃんが目の前で、突然死んでしまった。泣くことも、諦めることもできない。すべてがなんだか、遠い-そんな中、年に一度の「UFOフェスティバル」が。そこにやってきた流れ者の男子・密と約。あたしにはどうしても、密がお兄ちゃんに見えて-。少女のかなしみと妄想が世界を塗り替える。そのとき町に起こった奇跡とは。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あーーー、なんだか凄く好きだなぁ…。
    貰われっ子の月夜と血の繋がっていない兄・奈落の話。大好きなお兄ちゃんを亡くしてしまい、それを心から受け入れられない月夜。兄の死も、自分の想いも受け入れて成長する18歳の夏。
    ありがちなテーマだけれど、それを桜庭さんらしい文章で綴ってあり、登場人物も魅力的でとても良かった。最後の方、少し泣けたし。読み終わって本を閉じて思った。
    あーーー、なんだか凄く好きだなぁ…。

    • 九月猫さん
      taaaさん!!

      あら??
      なにかちがう・・・?
      と思ってよーーく見たら・・・

      お名前から ('∀'●) を取ってしまわれた...
      taaaさん!!

      あら??
      なにかちがう・・・?
      と思ってよーーく見たら・・・

      お名前から ('∀'●) を取ってしまわれたんですか!?
      2013/06/30
    • taaaさん
      九月猫さん☆

      そうなんです!
      ちょっと、スッキリしてみました(笑)
      特に理由はないんですけど(^_^;)

      これからもよろしくお願いします...
      九月猫さん☆

      そうなんです!
      ちょっと、スッキリしてみました(笑)
      特に理由はないんですけど(^_^;)

      これからもよろしくお願いします♪
      2013/06/30
  • 桜庭さん、たぶん二冊目?

    周りを砂漠に囲まれた小さな町。忘れ去れたような、少し寂れた町。そこはUFOがくることで少し有名になった町。夏にはそのお祭りでたくさんの外の人たちがやってくる。みんなが浮足立つ、夏の暑い日に、中学三年生の女の子、月夜の兄は死んだ。「ぼく、ずっと月夜にいいたかったことがあるんだよ」そう言ってアーモンドによるアレルギー発作を起こし死んでしまった。19歳の、誰よりもかっこよくて、優しくて、明るい男の子、すてきなあの男の子。先生をしているお父さんが遠足先で見つけた月夜を拾って前嶋家の一員にした。紫の目をして鋭い犬歯をもった女の子、発育不良だと笑われることも、演技っぽいと友達に喧嘩になっても、変わらず優等生をやってきた月夜。月夜は、えいえんに奈落がだいすき。父も兄も、おにいちゃんの奈落の恋人で月夜とは宿命的に合わないイチゴ先輩も、誰もが奈落の死を悲しみ、それでも前に進もうとしているなか、けしてそれを良しとしない月夜は、なりふり構わず悲しみを吠える。
    それが現実を歪めていく。
    そして起こる、UFO祭りの本番、死者は生者に目を合わす。「ぼくの、パープル・アイ」

    桜庭さんの、独特の文体がまるで月夜への感情移入を拒絶しているように思えた。町の全体像も、砂漠の真ん中にポツンとあるという町の設定も、御伽噺めいていて距離を置くように感じる。月夜の、大切な人が死んだことを受け入れたくない、前に進みたくない、未来も、希望もいらない、たったひとり奈落が、おにいちゃんがいてくれたら。そういう感情が振りまく、マイナスを様々な人たちが振り払っていく。私は月夜の気持ちが痛いほどわかった。分かった、と言ったらきっと月夜はきょとんとするだろうけれど、誰よりも大切なひとが死んでしまったら、自分の世界がどんなに残酷に変質するのか私は知っている。そこから這い出ることが、どんな苦しいことか。生者に助けてほしいと叫んでいるのか、死者に一緒に連れて行ってくれと悲鳴を発しているのか、分からなくなる毎日がを送りながら、やがて迎える月夜の夏の終わりが、とても穏やかで本当に良かった。

  • 本当に大切なものを失ったとき、人は本当の感情を見失うんじゃないかと思う。そして自分よりも深く悲しみの底に沈んだままの、大切な人がいたら…自分の心を置いておいて、大切な人を救うことにすべてを捧げるだろう。
    兄貴と父の気持ち、イチゴ先輩の意地っ張りな優しさ、剥がせない無花果の葉。
    桜庭さんの描く自分の気持ちを素直に表現できない、他人とずれている違和感を持つ少女のどこか童話のような話がとても好きです。

    くらもちふさこの漫画を思い出しながらずっと読んでいました。
    東京のカサノバ。

  • 桜庭版古事記!

    まぁ兄妹の恋愛とか、死者の帰還、とか、古事記じゃなくても世界の神話にはちょくちょくあるエピソードですが。
    それをまとめて、まとめて、さらにふくらませて、こうなるのだなぁと。

    最近の桜庭さんはちょっと文章がすかすかしているなぁと・・・・骨粗しょう症・・・・・敬遠気味でしたが、今回は、よし。

  • 勢い良く読み終えてしまった。いろいろとぶっとんでる。すごくおもしろいと感じたわけではないけど、なんとなくもう一度読みたい。

  • 内容といい道具立てといい、決して私好みの感じではない。たぶん他の作家さんが書いていたら、さほど興味も惹かれずに「だから何?」とか思いながら半ば義務感で淡々と読み終わって、「うーん、なんか雰囲気はあったけど、それだけかな」っていう感想で★2をつけているであろう。
    それなのに、どうしてここまで心惹かれるんだろう。最初の1ページを読んだ時から、そう思いながらぐいぐい引っ張られるように読んだ。著者の筆力? 私との相性? 切ないような、やるせないような読後感がたまらない。

  • すごく好き。

    18、9歳の、あの何ともいえない不安定な日々と気持ち。切ないような甘いような。

    そして生と死と。

    特に後半は切なくなりました。
    これだから桜庭さんの小説は大好きなんだ。

  • 月夜は血のつながっていない兄の死とその理由を受け止められず、どんどん生と死の境界まで引きずられていく。アーモンド入りのアイスの味は、甘い死の味。最後は月夜をまわりの人たちがひき止める。なんだかんだいってこの世界は優しい。

  • 気がついたら本当にギリギリの場所に立っていて、全ての常識も日常もブッ飛ばしてしまう感覚。
    引き上げられた時の安堵と絶望。

    それでも生きて行く。愛する事。




    そんな感覚を言葉に出来るなんて凄い。大好きな作品です。

  • 10代の自意識過剰っぷりが憎たらしいくらい描かれている物語。
    よくあるストーリーなら、そんな女の子が身内の死によって、周囲の人とのつながりを大事にするように…なんて流れになるけど、そんなことは一切なく、月夜は最後まで自分のことしか考えない(笑)。
    それでも普通の女子なら所属してるグループくらいは大事にするものだけど、こんなに身勝手で今後は大丈夫なの?という感じ。
    読んでて腹立つけど、確かに自分のことばっかり考えてる時代ってあったよね、と昔を思い出してみる。

全186件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

2000年デビュー。04年『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が、ジャンルを超えて高い評価を受け、07年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞を受賞。08年『私の男』で第138回直木賞受賞。

「2016年 『GOSICK GREEN 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桜庭一樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×