大きな音が聞こえるか

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 160
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  • Amazon.co.jp ・本 (602ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041103449

作品紹介・あらすじ

八田泳、高校一年生。そこそこ裕福でいわゆる幸せな家庭の息子。帰宅部。唯一の趣味はサーフィン。凪のように平坦な生活に自分を持て余している。だがそんな矢先、泳は製薬会社に勤める叔父がブラジル奥地へ行くと知らされた。さらにアマゾン川の逆流現象=ポロロッカで波に乗れるという情報を聞いて-小さな一滴が大きな波紋を生んでいく、等身大の成長物語。

感想・レビュー・書評

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  • すごく好きな本だった。
    少年の成長物語。
    波乗りの好きな男の子が、自分を見つめることでどんどん変わっていく。
    始め、父親のことを馬鹿にしていた部分もあったが、いろんなことを経験する中で、この父親ってなかなかいいかもとこちらの気持ちも変わっていった。

    人が成長していくのに、どんな道を選んでもいいんだと改めて思った。
    どの道でも、一生懸命歩くことで、最終的に自分の行きたい場所へたどり着くことができるだろう。
    どれを選択してもいい。その道をしっかり歩きさえすれば。

    息子も好きだろうと思うけど、途中、女親から思春期の男の子に勧めるにはちょっと・・・な部分があり、勧めにくいのが難点。
    もちろん、そこもとても大切なシーンだし、しっかり読み取って欲しいところだけど。

    • しをん。さん
      はじめまして。
      紫苑です♪
      この本、表紙がとても素敵で気になってはいたのですが…。
      sorairokujiraさんの温かいレビューを見て、...
      はじめまして。
      紫苑です♪
      この本、表紙がとても素敵で気になってはいたのですが…。
      sorairokujiraさんの温かいレビューを見て、読んでみようと背中を押されました♪
      2013/02/05
  • 坂木作品には珍しい600P越えの長編。しかも
    裕福でごく一般的な現代の高校生男子が主人公。
    その主人公「泳」がアマゾンへ一人で、ポロロッカという
    川の逆流現象によって起る長い波に乗るために向かう...。
    という極シンプルなストーリー。

    賛否あるようですがアマゾンに向かうまでに約半分の
    ページを割いて日本での「泳」の心情を綴っていますが
    この部分があるからこそ、「泳」に今の自分...もしくは
    過去を投影し、後半のクライマックスに気持ちごと
    持っていかれる。瞬発力と正論と体力と素直さ....これらを
    どれだけ持ち合わせているんだろう。作中に登場する
    大人達が「泳」に抱く感情...羨ましいのだ。

    坂木作品故に登場人物は全員がいい人。
    決して厭味じゃなく、これがあるから自分は
    坂木作品が好きなくらいに重要。自分なんかよりも
    もっともっと若い人達が今作を読んだ時に、
    それぞれカッコよく見える大人、自分が近づきたい
    イメージの大人がこうやって作中に登場する事が
    素晴らしい。YAの王道作品なのではないでしょうか。

  • 600ページに及ぶ、自分にとっては長過ぎると思った作品だが最後までダレること無く楽しめた。

  • 特に貧しくも裕福でもなく、打ち込む趣味や興味もなく、部活もやらずエスカレーター式の私立高に通うイマドキの高校生の泳(エイ)の青春話。坂木司の本にしては珍らしい。ぬるま湯の生活で腐りたくないと漠然と思いながらもこれといったものが無く似た境遇にある帰宅部友達となんとなくサーフィンやスケボ―をして過ごしていた少年が、年の近い叔父がブラジルに転勤したことから、にわかにアマゾンの逆流現象ポロ口ッカに興味を持ち、旅費かせぎのバイトで世間に触れ、親と向き合うことに。前半はそうして学生生活では会わない大人たちと知り合って自分を見つめ直してゆく様、後半は旅に出て更に視野が広がり固定観念が崩れて成長してゆく様が描かれます。そんなに都合良くいかないでショ!という思いも抱きつつも楽しく読了。ブラジルのべレンの描写がどの程度リアルなのかは良くわからない。断斤的に出てくるだけだしも少し全体像を!と思うのは無理だけれど、その点だけちょっと徴妙かもしれない。

  • せっかく暇な時間があるのに、なーんか本を読む気になれない…というのを2週間ほど過ごして、「今はこの本じゃない」ということで半分も読まずして、読みきるのを一度諦めました。



    他の方のレビューを見ると、きっと素敵な話で読み応えのあるお話だと思いました。

    たとえば息子がこの子と同じ歳くらいになったとき、また読んでみようかな。

  • 主人公の経験が言葉の大切さ、文化の違い「大人」になるということを感じる一冊で周りの人達一考え考えに納得できたり主人公に感情移入したりした。

  • 最初厚くて、装丁も普通で、読むのをためらってしまったけど、大変面白かったです。高校生男子の成長物語なんだけど、日本の日常と世界情勢といろんな物をうまくお話に乗せて主人公と同じ目線で経験出来るように読める。男としての経験部分もあるので小学校にはおきにくいけど、とても良い表現でした。その後のミウの家族の会話とかも、日本の常識世界の非常識っていうフレーズ思い出しちゃう、てか、全体的にそういう内容多かったけど。
    この本は、読むの好きなまわりの人には薦めます。あと、ポロロッカかーとつぶやいてたら、クイズ研の息子が「トゥピ語で大騒音」と返答したので、ああ、雑学あれば最初にタイトルの意味解るのね、と思いました。

  • 大好きな作家、坂木さんの青春小説。
    ザ・青春!という感じで、読んでいて清々しかった。そこそこボリュームのある作品だけど、そんなの気にならず一気に読めてしまった。相変わらず、坂木さんの作品に出てくる人物はみんな素敵。最初から最後まで気持ちの良い作品でした。

  • 本でこんなにワクワクしたのは久しぶり。
    早くページをめくりたくて、でも終わってほしくなくて。
    600ページ一気読み。
    映画、エンドレスサマーを彷彿させるロードムービー的なストーリー。

    ちょっと冷めた主人公 泳の成長していく様が微笑ましく、彼を取り巻く人々の温かさ。親の気持ちのコミカルながらも深く上手い描写。旅の良さが凝縮された描写。

    どこまでも真っ直ぐなのに暑苦しくない。
    もっと早く10代の頃に読んでいたら…と思う反面、今だから大人の気持や異国の人達と関わっていく描写も手に取るように分かる。

    サーフィンの描写もワクワクした。
    ボード抱えて水に入る瞬間や、波に乗った時の何とも言えないあの解放感、上手く描かれていて読んでいてサーフィンに行きたくてたまらなくなった笑

    エネルギーが湧いてきて、自身の初心にかえりたくなる作品。

  • 読み終わるのがもったいなくて、ゆっくりゆっくり読んだ。
    大きな音、私にもきこえるといいな。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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