のぞきめ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.67
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041103463

作品紹介・あらすじ

昭和も残り少なくなった、ある夏。辺鄙な貸別荘地にバイトに来た成留たちは、禁じられた廃村に紛れ込み、恐怖の体験をする…(『覗き屋敷の怪』)。昭和の初期。四十澤は、学友の鞘落から、自分の家には"のぞきめ"という化物が取り憑いていると打ち明けられる。やがて四十澤は、鞘落家を訪ねるのだが…(『終い屋敷の凶』)。

感想・レビュー・書評

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  • 先日読んだ「黒面の狐」に出てきた『のぞきめ』が気になったので読んでみた。
    作中に登場する利倉成留という人物にも記憶があるのだが、「犯罪乱歩幻想」に出てきただろうか。

    それはさておき、この作品は『覗き屋敷の怪』と『終い屋敷の凶』という二つの手記から成り立っている。
    これはネタバレにはならないと思うので明かしてしまうが、ある同じ場所についての違う時代の体験記という体裁だ。

    タイトル通りとにかく覗かれる。視線というものだけで十分に恐怖を感じられる。あからさまな敵意や嫌悪というものではなく、ただ見られる。それが何とも言えず恐ろしい。
    刀城言耶シリーズのような、閉鎖的なコミュニティにのみ存在する因習とヒエラルキーが絡まり、ますます陰鬱になっていく。

    最後にこの『のぞきめ』にはある一定の結論が下されるのだが、それだけではこの事件の完全な解決には至らない。
    ということはやはりホラーでもあるということだろうか。

    結果的に言えるのは、「君子危うきに近寄らず」ということか。下手な好奇心や野次馬根性は出さないのが一番。

  • 表紙に描かれた女の子が、読み始める前と後で全然違って見えてきます。
    むしろ読み始めたら、もう直視できません。
    この目が、あっちで、こっちで、見ているのです。

    序章に警告された影響は絶大。実際に覗かれている気がしてきます。
    同じ怪奇現象が起こった舞台を、違う時代で二人の人物が体験したこわい話。
    のぞきめの描写はゾクッとさせられました。

    ただ、これはホラーのままで終わった方が面白かったかな、と。
    ミステリとホラーの融合は三津田さんの持ち味で大好きなのですが、
    この題材は正体は不明なまま終わらせた方が面白かったと思います。

  • 作家・三津田信三が収集した『のぞきめ』による怪異譚の小説二つと、その怪異の正体を論理的に推理した終章からなる。
    『覗き屋敷の怪』は別荘管理のバイト学生たちがある廃村に迷い込んだ(呼ばれた?)ために巻き込まれる得体の知れない恐怖。
    『終い屋敷の凶』はその廃村がまだ村として存在した時代に訪れた四十澤想一が遭遇する謎めいた因習と不気味な視線。

    覗き屋敷も十分怖かったけど、終い屋敷でさらに恐怖のレベルが上がっているような。怖いだけじゃなく村や鞘落家への絶望感のようなものもこみ上げる。
    終章では『のぞきめ』の正体を三津田氏が結論づけるわけだけど、本当にそうなの?あくまでも個人の解釈だよね?という不安を残して終わる。

  • 中編。
    忌館、ついてくるもの、につづいて読みました。
    短編は二冊目だったので面白かったけど、少しパターンが解ってきて(好きだけど)刀城シリーズは今読むには長すぎて…
    予約していた本書は調度よかった。
    (以下ネタバレ含みます)
    …会合でしりあった男に、市井の民俗学者の残した「のぞきめ」に関する事柄を書いたノートを売りたいとほのめかされる。
    しかしそれが違法な形で入手されたとしり、固辞する。しかし、そのノートは後に件の学者から遺品として届けられる。

    内容を読んで驚いた。
    その話は以前趣味で収集した怪異話と同じ所に根がある、それ以前の話だった…
    最初に語られるのは作者が直接聞いた話、次に語られるのはノートに記してある話。

    最初に語られた話の因縁が次の学者のノートに綴られた話、という形だ。

    どちらもナニカにじっと見られる怪異に襲われ、不幸に見舞われていく。

    最初の話は貸し別荘にバイトにきて、巡礼の親子に会い、行ってはならぬ場所に行き、死者が出てしまう話。

    次の話は大学生だった学者が、奇妙で痛ましい境遇にいる友人の死をきっかけにその友人の郷里を尋ね、生前聞いたすさまじいほどの因習の真偽を探って行く話。

    根っこは一つだが、学者の経験談がなおおそろしい。
    廃村、儀式、贄、祠などなど、こんな雰囲気が好きな人にはこたえられない。
    ゲームの「零」思い出しました。
    ただ、ちょっと死にすぎ…あのひとたちまでも?

    小野不由実の「残え」や
    綾辻行人「another」を思い出しました。

  • 読了、85点。

    **
    「BOOK」データベースより。
    昭和も残り少なくなった、ある夏。辺鄙な貸別荘地にバイトに来た成留たちは、禁じられた廃村に紛れ込み、恐怖の体験をする…(『覗き屋敷の怪』)。昭和の初期。四十澤は、学友の鞘落から、自分の家には“のぞきめ”という化物が取り憑いていると打ち明けられる。やがて四十澤は、鞘落家を訪ねるのだが…(『終い屋敷の凶』)。
    **

    作品の構成は作家三津田信三シリーズとほぼ同じ構成。
    三津田がかつての取材により知った怪異譚を小説に認めると冒頭で宣言した上で、作中作が展開され、最後に何らかの言及がなされるパターン。
    この構成は、作家三津田が言及する場面で作中作の盤外からのサプライズを与える効果があり、「刀城言耶シリーズ」では非常に効果的な活用をされている反面、ホラー小説として見ると、どうしても作中作の外側に引き戻される為に読者が感じる恐怖を減退させてしまっている印象を持つ。
    また著者がこの言及の場面で多くの場合作中作で語られたホラーの一部を論理的に解釈する、というミステリー小説的な要素を持ち込んでいる。
    この試みが成功した『厭魅の如き憑くもの』などではミステリー的な解決がホラー要素をより一層高める効果を発揮しているが、
    そうなっていない場合も多い。

    本作はどちらかと言えば後者に属するが、それでも作中作のホラー小説としての質が非常に高く特に第一部の作中作は終章で齎される解釈とは直接繋がっていないために読者の感じる恐怖が減退することがない。
    さらに作品構成として、序章、第一部、第二部、終章と第一部を読み終わった後作中作から引き戻されることもない為第一部で抱いた恐怖心をそのまま第二部へ持ち込めるのも非常に良い。

    第一部や著者の過去作からも、著者は人間が本能的に感じてしまう恐怖を文章に表すのが非常に優れていると感じてしまいます。

  • 作者と同姓同名の「三津田信三」が収集した二篇の怪談の話。
    はじめにこの二篇を発表する経緯が載っており、最後に二篇の解釈が行われている。
    最初の「覗き屋敷の怪」はリゾートバイト中の大学生が体験した話で、都市伝説風の話となっている。
    次の「終い屋敷の凶」は、民俗学者が若い頃に体験した群落での出来事。
    時代の異なる二つの怪談だが、「誰かに覗かれている」「体が捩れる死体」「若者が訪れた村」などいくつもの共通点が見つかる。

    二篇目の怪異は終章で謎解きがなされ、ミステリー的な解決がなされる。村ではいないように扱われていた少女が鍵となるが、この少女は祟りを抑えるために村に縛り付けられていると知ると、村の端にあるという意味の「終い屋敷」が、少女を祠に仕舞っておく「仕舞い屋敷」にも読めることがわかる。

    しかし一遍目の怪異については特に説明がされず、ホラーの後味の悪さがある。

  • 三津田信三作品3冊目。

    タイトル通り覗かれる恐怖。普通に生活をしていても、ふとした時に視線を感じることは誰にでもあることではないだろうか。ただこの作品の覗く側の何者かは、人がいるはずもない冷蔵庫の後ろの隙間など有り得ない場所から覗いてくる。

    前半の「覗き屋敷の怪」をゾクゾクしながら味わう。後半の「終い屋敷の凶」でちょっと長さを感じたのだが、ラストの考察は納得というかそこでまた恐怖の正解が分かる。

    怪談の夏にはもってこいのひんやりミステリーホラー小説だった。

    このレビューを読んで、視線を感じた方は自己責任でお祓いを勧めます。

  • 禁じられた廃村に紛れ込み恐怖の体験をしたあげく、次々怪異に襲われる若者たち。そこは「弔い村」の異名をもち「のぞきめ」という化物の伝承が残る、曰くつきの村だった──。ミステリとホラーの絶妙な融合!

    覗かれている、という現象を突き詰めて描くことで、何とも言えない気味の悪さ、怖さを演出していて良かった。すごい怖いというわけではないのだけれど、ふと思い出すと途端に不安になる、そんな嫌な想像力をかき立ててくれる作品。しばらく一人の夜が怖い。
    ただこの人の作品は初めてなので今回だけなのかもしれないけれど、ともかく固有名詞が難しく読み辛い。全てにルビが振ってあるわけがないので、どうしても読み方を思い出す為にテンポが悪くなる。村の名前も登場人物の名前も、何でこんなに捻ってるのとつっこみたいレベル。
    話自体は序章が少々読んでてしんどかったけど、二章・三章の物語部分はすらすら読めた。同じ現象を二つの時間軸で描くというのは面白い。終章でああそういう事かと納得する部分もあれば、納得行かない部分もあった。のぞきめが実在の少女であったなら、人体を捻るような死に方は無理じゃないか?とか。

  • 怪談奇談を欲して求めた段階で、その人は責任を負っている。わざわざ耳をそばだて怖いものを目に留める
    その行為は自ら怪異を招いているとも言える。その怪異に対する責任が本人にはあるのだ。
    読むことによって怖いモノを引き寄せてしまおうと、トラウマになろうと、すべて自己責任なのですよねー。

    じっとり純和風ホラー、まさに“怪談”です

  • ただただ面白く、そして怖く、私の大好きな作品でした。
    物語は前後編で構成されていて村の怪異について現在と過去から語られています。そしてそのどちらもが一つの物語として成立していて、尚且つ、その二つが合わし読み通されホラーミステリーとして世界が完成する。そんなホラーと謎が100%楽しめる文句なしの大満足☆5本でした。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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