42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」 (角川oneテーマ21)

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感想 : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104019

作品紹介・あらすじ

なぜ「つま先着地」が重要か?マラソン歴代上位100傑のうち9割がケニア・エチオピア勢、彼らの強さの真相。急激に進むマラソンの高速化に科学的に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • NHKスペシャルの取材を、ベースにマラソン世界記録保持者の身体的特徴を科学的に分析するとともに、彼らの育った環境なども含め、多角的に考察した本。
    1km3分弱のスピードで42km走り続けられるようなトップランナーは、そもそも一般人とは体の造りが違うとは思っていたが、最大摂取酸素量が大きいとか乳酸がたまりにくい傾向にあるらしい。
    とはいえ、マラソンの身体的な過酷さは半端なく、完走後に血尿が出ることも。世界記録保持者たちが、心理面、体の調子を含め"すべてがパーフェクトでなければ勝てない"と言うのも頷ける。

    スポーツの記録は技術の進歩もあってどんどん進化していると思っていたが、マラソンにおける東アフリカ勢の強さは、幼少期から高地で素足で歩き回らなければならないような環境ゆえに、体も作られ、その貧困から抜け出すために必死で練習するといった背景もあるとのこと。
    やはり、スポーツも経済的な要素が強く絡んでいるからこその進化であることに、ちょっと複雑な気持ちになった。

  • NHKのロンドンオリンピックに向けたスペシャル番組の詳細版でも映像話みたいな内容。当時38歳の世界記録保持者ハイレ・ゲブラシラシエを追っていたら、東アフリカ勢の若手がどんどん台頭していった。彼らの共通の強みは、高地に住み、トレーニングの強度に応じて高度を下げていること(Living High, Training Low)。それにより、血液の粘度が低く酸素を効率よく供給できるようだ。
    また、ほぼ裸足同然で育っているため、つま先着地を行っていること。特に現世界記録保持者のパトリック・マカウは加えて他の東アフリカ勢と異なり、腿を大きくあげるスプリントスタイルではなく、おそらくそのことにより、着地の衝撃が非常に小さく(日本人ランナーの6-7割)でランニングエコノミーが高いと考えられる。
    東アフリカ勢はマラソンが成功と貧困からの脱出への途として考えられていて、キャンプが設営されたくさんの予備軍が集まっている。
    彼らのトレーニング内容としては、キャンプでの主にセルフコーチング下で、トレイルでのランニング中心。ゲブラシラシエはバイクをケイデンス160で10kmというトレーニングを行っている。

  • つま先着地が速い理由やアフリカ勢が強い理由は分かった。けど、結局、調べたデータを日本人にどう当てはめて、こうしていくべきというのがないのが残念。

    つま先のほうがいい。
    しかし、日本人は慣れてないから怪我しやすい。
    アフリカ人は子供の頃から裸足で生活してるからつま先着地になれてる。
    だから、つま先着地をしても大丈夫。
    って書いてあるだけ。

    血液採取や心肺機能を色々調べたのに、調べた結果が書いてあるだけで、結局この本のテーマは何やったんやろうか。

    調査してることは興味深いけど、本の内容とタイトルが一致してないから、ズバッとこなかったかな。

  • つま先着地かかかと着地か。ほかマラソンに関する科学的な視点からの研究成果。人類はマラソン2時間超えを達成できるか?

    非公式記録では2時間超えを達成。本書の予測2030年頃より速く公式にも達成されるか。

    ケニア、エチオピアなど東アフリカのランナーがマラソン界の上位を独占する今日。その秘密に迫る内容。

    市民ランナーとしては、ランニングエコノミー、身体の部分も大事だが、無駄のないフォーム等はまだまだ改善余地がありそう。

    少し古い本だが、役に立ちます。

  • 2012年時点での最速選手を取材したマラソンの新書。
    市民ランナーとして読んだ場合、速い理由が「遺伝」だけじゃあ納得できんわな。かといって、今更環境どうこうを変えることもできやしない。その行き着いた先が、「つま先着地」優位…になるんだろうか。
    「2025年には二時間きりが現れる」。非公式とは言え、2019年夏、キプチョゲが達成。さて、壁の意識が取り除かれるのだろうか。

  • いきなり実践したら怪我をしてしまいました。バカですね~

  • 足首を故障して色々と情報を集めることにした。走り方のどこに問題があったのか?良い解決方法はあるのか?
    ソールの柔らかいシューズは良くないようだ。踵着地よりつま先着地が今は主流のようだが、鍛えておかないと難しいかも。加齢により心肺機能の低下は避けられないが、努力次第で緩やかな低下にすることはできそうだ。
    これからできることは、シューズはあまりそうとではないものにする。フォームはやはり足に負担の少ないつま先着地ができるよう鍛えることが必要だ。
    身体を良く観察する必要がある。長く続けられるようにしたい。

  • 昨年初めて大阪マラソンを走りました。

    それから、ことあるごとに雑誌を読んだりして、情報収集を続けていました。
    今回の本も、アマゾンでマラソンの親書をまとめ買いした中の1冊

    マラソン歴代100傑ののうち9割がケニア、エチオピアが占める現状のマラソンを科学的に
    切り裂いていく1冊。

    驚異的な身体能力を生む、

    ?非常に標高の高い高地で日常生活
    ?生活や通学でのランニングが、悪路を走るため、前足着地になりやすい
    ?キャンプといわれる、マラソンランナー養成機関の存在

    マラソンというレースが貧しい生活から抜け出すための1つの目標であり、それが、時として、
    お金の力が人生の埋没にも直結するリアルさ。

    ケブレシラシエ、マカウという世界的トップランナー2人の徹底した科学的調査の実施

    人類はいつかマラソンで2時間を切るときが来る、確実に・・そんな風に感じてしまう1冊


    1.幼少期の貧しき環境からの脱出、サクセスストーリーといった側面
    2.幼少期の生活や通学でのランニングが基礎を作り、粗末な靴や裸足で悪路を走る経験が自然に加重の少ない前足着地の走り方となること
    3.高地での生活やトレーニングの心肺機能増強での有利さ
    4.虎の穴的な若手ランナーの共同生活・キャンプ
    5.上記 1.〜4.を背景とした目標とするスターの存在と競争の激しさ

    賞金レースが当たり前となり マラソンレースでの勝利が経済的成功に直結することで、それがあだとなり生活をみだし転落するリスクがあることは発展途上国ならではとも感じました。また、将来マラソンの記録がどこまで伸びるかの予想も興味深く拝見しました。個人的には世界記録の1.5倍未満のタイムの記録で走りたいので、やはりどこかでサブ3をと思った次第です。

  • NHKの取材を間近で見たことがあれば想像つくと思うが、結論ありきのやらせ感がハンパない。これもそんな感じ。日本はこんな価値観に慣らされてるんだなー。最後の締めに出てくる「私」って誰だよと思ってしまう。科学なフリして社会的な要請を忍ばせるやり方、今の報道だ。考えてみれば日本は昔からそうだったかな。

  • 高岡寿成としなり エチオピアのアベベ ぶいおーつーまっくす最大酸素摂取量 スポーツカー並のエンジン 経済性のいい走り メキシコの秘境に住むタラウマラ族 ハイレ・ゲブレシラシエ オールアウト=疲労困憊 スポーツ心臓 高地に住むことで赤血球の量やヘモグロビン濃度が増す 「走ることは自分の血の中にあります。走ることは自分の人生の一部なのです」ゲブレシラシエにとって、マラソンを走ることは生きることと同義であり、「どれだけ速く走れるか」が問題なのではなく、「自分はこれを成し遂げたいと決心する」ことだという。そして、私たちが持っている年齢に対する固定観念を打ち破りたいとも言った。すなわち「年齢というのはただの数字に過ぎない」と。 「ジャンボ!」とスワヒリ語の挨拶をして、握手を交わした。獲物を狙うような獰猛な獣 勝負を仕掛けるタイミングを虎視眈々と狙っていたマカウ 上下動が少ない''忍者走り'' 爪先着地 爪先の絶妙なソフト・ランディング 身体にブレーキがかからない走り ランニング・エコノミー=走の経済性 ファアフット着地→ミドルフット着地→イアフット着地 裸足の習慣によって鍛えられたという筋肉や腱 土踏まず 柔らかい着地 ケニアやエチオピアでトップ・ランナーになるのは''ロック・スター''になるのと同じだと言えます 一攫千金 フィラの支援を受けながら 双方のニーズが合致した 鎬を削る 金の卵 屈指のエージェント 2008年の北京オリンピックで金メダルを獲得したエリック・ワンジル 三年後の2011年5月、自宅の二階にあるバルコニーから転落して死亡したとされている。 栄枯盛衰 ストイック=禁欲的 熾烈な競争 ウィルソン・キプサング 自信がすべて 僅か四秒届かなかったフランクフルトマラソン 心理面 体の調子 両輪 心も体も完璧に仕上げてきたキプサングの「執念」 キプロティク ウガンダ初となる快挙を達成した 川内優輝 藤原新 日本マラソン界のガラパゴス現象 谷口浩美 瀬古俊彦 金哲彦

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著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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