42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」 (角川oneテーマ21)

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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104019

感想・レビュー・書評

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  • NHKスペシャルの取材を、ベースにマラソン世界記録保持者の身体的特徴を科学的に分析するとともに、彼らの育った環境なども含め、多角的に考察した本。
    1km3分弱のスピードで42km走り続けられるようなトップランナーは、そもそも一般人とは体の造りが違うとは思っていたが、最大摂取酸素量が大きいとか乳酸がたまりにくい傾向にあるらしい。
    とはいえ、マラソンの身体的な過酷さは半端なく、完走後に血尿が出ることも。世界記録保持者たちが、心理面、体の調子を含め"すべてがパーフェクトでなければ勝てない"と言うのも頷ける。

    スポーツの記録は技術の進歩もあってどんどん進化していると思っていたが、マラソンにおける東アフリカ勢の強さは、幼少期から高地で素足で歩き回らなければならないような環境ゆえに、体も作られ、その貧困から抜け出すために必死で練習するといった背景もあるとのこと。
    やはり、スポーツも経済的な要素が強く絡んでいるからこその進化であることに、ちょっと複雑な気持ちになった。

  •  久しぶりに読みました。ランニングレベル的には、中級者以上、マラソン競技の科学的なアプローチを知る読みものとしても面白いです。

     今までわかっていたつもりだったことも、レベルの向上とともに、体験的に理解できました。専門書以外で、フルマラソンを科学的に分析してくれる本は少ないので、新書でわかりやすく読めます。副題の「つま先着地vsかかと着地」は、あくまでランニングエコノミーの一部なので、そこを見誤ると細部の技術論に陥ってしまいますので、注意が必要ですね。

     いわゆるランニングハウトゥー本ではないので、東アフリカ選手の強さの秘訣から、自分のレベルに合わせた、最大酸素摂取量、乳酸性作業閾値、ランニングエコノミーを高めるかを考える必要があります。

     走り方のヒントを掴むことと、世界レベルのマラソン観戦も、楽しくなる一冊です。

  • NHKのロンドンオリンピックに向けたスペシャル番組の詳細版でも映像話みたいな内容。当時38歳の世界記録保持者ハイレ・ゲブラシラシエを追っていたら、東アフリカ勢の若手がどんどん台頭していった。彼らの共通の強みは、高地に住み、トレーニングの強度に応じて高度を下げていること(Living High, Training Low)。それにより、血液の粘度が低く酸素を効率よく供給できるようだ。
    また、ほぼ裸足同然で育っているため、つま先着地を行っていること。特に現世界記録保持者のパトリック・マカウは加えて他の東アフリカ勢と異なり、腿を大きくあげるスプリントスタイルではなく、おそらくそのことにより、着地の衝撃が非常に小さく(日本人ランナーの6-7割)でランニングエコノミーが高いと考えられる。
    東アフリカ勢はマラソンが成功と貧困からの脱出への途として考えられていて、キャンプが設営されたくさんの予備軍が集まっている。
    彼らのトレーニング内容としては、キャンプでの主にセルフコーチング下で、トレイルでのランニング中心。ゲブラシラシエはバイクをケイデンス160で10kmというトレーニングを行っている。

  • つま先着地が速い理由やアフリカ勢が強い理由は分かった。けど、結局、調べたデータを日本人にどう当てはめて、こうしていくべきというのがないのが残念。

    つま先のほうがいい。
    しかし、日本人は慣れてないから怪我しやすい。
    アフリカ人は子供の頃から裸足で生活してるからつま先着地になれてる。
    だから、つま先着地をしても大丈夫。
    って書いてあるだけ。

    血液採取や心肺機能を色々調べたのに、調べた結果が書いてあるだけで、結局この本のテーマは何やったんやろうか。

    調査してることは興味深いけど、本の内容とタイトルが一致してないから、ズバッとこなかったかな。

  • 高岡寿成としなり エチオピアのアベベ ぶいおーつーまっくす最大酸素摂取量 スポーツカー並のエンジン 経済性のいい走り メキシコの秘境に住むタラウマラ族 ハイレ・ゲブレシラシエ オールアウト=疲労困憊 スポーツ心臓 高地に住むことで赤血球の量やヘモグロビン濃度が増す 「走ることは自分の血の中にあります。走ることは自分の人生の一部なのです」ゲブレシラシエにとって、マラソンを走ることは生きることと同義であり、「どれだけ速く走れるか」が問題なのではなく、「自分はこれを成し遂げたいと決心する」ことだという。そして、私たちが持っている年齢に対する固定観念を打ち破りたいとも言った。すなわち「年齢というのはただの数字に過ぎない」と。 「ジャンボ!」とスワヒリ語の挨拶をして、握手を交わした。獲物を狙うような獰猛な獣 勝負を仕掛けるタイミングを虎視眈々と狙っていたマカウ 上下動が少ない''忍者走り'' 爪先着地 爪先の絶妙なソフト・ランディング 身体にブレーキがかからない走り ランニング・エコノミー=走の経済性 ファアフット着地→ミドルフット着地→イアフット着地 裸足の習慣によって鍛えられたという筋肉や腱 土踏まず 柔らかい着地 ケニアやエチオピアでトップ・ランナーになるのは''ロック・スター''になるのと同じだと言えます 一攫千金 フィラの支援を受けながら 双方のニーズが合致した 鎬を削る 金の卵 屈指のエージェント 2008年の北京オリンピックで金メダルを獲得したエリック・ワンジル 三年後の2011年5月、自宅の二階にあるバルコニーから転落して死亡したとされている。 栄枯盛衰 ストイック=禁欲的 熾烈な競争 ウィルソン・キプサング 自信がすべて 僅か四秒届かなかったフランクフルトマラソン 心理面 体の調子 両輪 心も体も完璧に仕上げてきたキプサングの「執念」 キプロティク ウガンダ初となる快挙を達成した 川内優輝 藤原新 日本マラソン界のガラパゴス現象 谷口浩美 瀬古俊彦 金哲彦

  • アフリカ勢には勝てんな。

  • 最大酸素摂取量VO2マックスが基本。
    乳酸閾値LTが高い。
    ランニングエコノミー。

    一分間に160回転のサイクリングマシンでの訓練。
    一日42キロを走る。

    リビングハイ・トレーニングロー。高地に住んで、低地でトレーニング。

    赤血球の小型化。

    はだしで走ると、土踏まずを支える筋肉が強化される。

    加齢によってVO2マックスが衰える。
    筋肉よりも早い。

  • マラソン界を席巻するケニア人、エチオピア人ランナーの秘密をNHKが最新テクノロジーで解明。マカウは乳酸のでない肉体をしている、とか、つま先着地とか、ECの子供の8倍の運動量を平均的に子供時代にしてるとか信じられない話のオンパレード。

    以下引用:
    記録との間に大きな相関関係がみられるのが、個々人の最大酸素摂取量(2max)
    「長年、1マイル四分の壁は破られませんでした。四分一秒や四分二秒で走っていて、誰もが四分の壁を破ることが出来ず、『レンガの壁』とさえ呼ばれていました。しかし、ロジャー・バニスターが三分五八秒で走り、この壁を破りました。すると一~二か月しか経たないうちに、一人、また一人と記録を破り、気づいたら一年後には二〇人以上のランナー

  • つま先着地を意識して走ったとき、前足を少し引いたタイミングで着地するとブレーキにならず自然なのでは?と思っていたけどいまいち確信がなかった。
    この本で、トップ選手が同じ動きをしていたことが分かっただけでも読んだ意味があった。

  • NHKのトップアスリートの強さの秘密を科学的に分析する企画。たまたまウサインボルト選手と内村航平選手のをテレビでみた。
    それと、多分同じ企画だと思う。
    東アフリカ勢が席巻する男子マラソン界。そのトップ選手の走り方、身体を科学的に分析していてなかなか面白いかった。^_^

著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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