シュンスケ!

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  • 本 ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104132

作品紹介・あらすじ

持ち前の明るさと好奇心で、武士になる希望を抱いたシュンスケは、「宰相」を夢見て長州の田舎から世界へと飛び出した。幕末、攘夷か開国かで揺れた青春の日々。伊藤博文の若き日を描く青春歴史小説!

感想・レビュー・書評

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  • 若き日の伊藤博文
    利助(りすけ)は「としすけ」とも読める。同じ読みから「俊輔(しゅっんすけ)」と名乗っている青年時代

    栗原良蔵と吉田松陰の松下村塾という二人の師の教えと二人の最期
    井上馨らとのイギリス留学
    下関での砲撃を聞いて急遽ロンドンから帰ってきた俊輔と四国艦隊下関砲撃事件

    ここからはじまる幕末の長州藩の動き
    八月十八日の政変
    池田屋事件(吉田稔麿トシマロ)
    蛤御門の変・禁門の変(来島又兵衛48 討死、久坂玄瑞25 寺島忠三郎22共に自刃)
    「松門の双璧」高杉晋作と久坂玄瑞

    長州藩士にとっての幕末…
    長州藩ってホントにすごいなぁ、知ってる名前ばっかり出てくる出てくる
    長州藩の歴史上の動きを、内側から見てるようでした。外から見ても結局どっちの立場なの?と思うことが多々あったが、長州藩の内側ではまさに政治的な問題で藩としての意見が両極端に二転三転したり、内部分裂というか当然ながら色んな意見を持つ人たちがいた

    俊輔が、“徳川三百年の泰平”、“あまりにも平和がつづきすぎた”と時代を評し、「さむらいの世は、もう終わってええ」と言ったとき、『龍馬伝』を思い出した;;長州藩の坂本龍馬、と言ったら表現が陳腐すぎるでしょうか、、、
    高杉晋作を担ぎ出して出陣する流れには、遂にきた!と思ったドキドキしました

    るろうに剣心の影響すぎるけど、山縣狂介(有朋)が大好きで、“軍人にしては文学志向のつよすぎる男”!!!文学的な軍人!!奇兵隊の育ての親!!カッコよすぎる

    桂小五郎が長州藩に戻ってくるところで小説としては区切りとしていますが、伊藤博文といえばやはり維新後の活躍をもっと読みたいという気持ちもなくはないです。ただ、昔からの仲間を多く亡くしてきた俊輔にとって桂小五郎や高杉晋作が長州藩に戻ってきたときの感動が胸にきました。



    門井慶喜さんの歴史小説を読み漁っていますが、本書が歴史物の初作とのこと。
    個人的に、板垣退助と伊藤博文ごっちゃになる傾向があるので、近々板垣退助を題材にした『自由は死せず』を読みたいなぁと思っています。

  • 幕末の伊藤博文(シュンスケ)の活躍。
    武士になりたい→宰相になりたいという夢を見る事そのものや、下関戦争での交渉(表向きは高杉晋作だけど)や、藩じゃなくて国の行く末を!という発想、明るいキャラと行動力。すごい…。

    おもしろかった。

  • 武士を志した少年が世界を見て、日本の国作りのために奔走する。若き日の伊藤博文を描く時代小説。

    初代内閣総理大臣と暗殺されたって印象の伊藤博文。
    博文に改名したのは後期だったようで、作中では伊藤俊輔としての印象が強い。百姓の子ながら武士を夢見て、幕末動乱の世で長州藩士として生きていた時代がメインで描かれ知らなかったことばかり。
    人好きのする性格で、状況を瞬時に判断でき、尊王攘夷の時代に海外文化もスポンジのように吸収する、幕末史を駆け抜けた血の通った男の物語だった。

  • 伊藤博文の半生記。
    出目から長州内乱までを描いている。幕末ものに長州の一員として、『後の伊藤博文』のように多々登場するが、その少年期、青年期の活躍にスポットを当てています。
    幕末動乱のなんでもありのエネルギーが好きです。
    お殿様の為、藩の為から日本国の為に大義を描く、その価値観の改心ができることに感嘆します。
    魅力的な人物像とスリリングな展開が、楽しめました。
    思想、人生観、価値観の描写は希薄かな。いよいよ薩長同盟、倒幕の手前で話は終わってしまった。続編が産まれることを期待します。

  • 伊藤博文とは、なんと愉快な人物か。下関戦争での活躍。講和のきっかけを作る等、並外れた度量を持った人物だったのだろう。その人生は、波乱に満ちつつも限りなく充実したものであったろう。楽しく読めて感謝!

  • 初代内閣総理大臣、伊藤博文。
    幼名、俊輔。

    周防国の百姓の家に生まれた彼は、武士に憧れ、無謀にも一国の宰相となることを夢見た。
    幕末の動乱期を持ち前の明るさと好奇心で駆け抜ける俊輔に、吉田松陰、高杉晋作、桂小五郎、坂本龍馬ら多くの志士たちは次第に魅了されていく。
    英国に留学し、早んに世界へ目を向けた俊輔がたどり着く、あるべき「日本」の姿とは?歴史小説の新鋭が贈る、爽やかな一代記。

  • 筆者の文章のテンポがよいせいもあるが、伊藤俊輔(のちの伊藤博文)という人物が、局面を切り開く行動力のある人だったのだということがよく分かった。

    幕末において長州は攘夷と開国の間、討幕と佐幕の間を非常に激しく揺れ動いており、同じ時期の薩摩などと比べても激動の藩であったと思う。

    それはある意味、藩主のリーダーシップの弱さがもたらしたものであるが、一方で松下村塾の塾生をはじめ、藩下に多くの有為の人材がおり、それらが自由闊達に動き回ったことの結果ともいえる。そして、それを代表する人物が伊藤俊輔であったのだと感じた。

    伊藤俊輔は他の長州藩の志士と比べると年下で、農民の出でもあったため、役職としては常に2番手、3番手であったが、高杉晋作や井上聞多(井上馨)といった人物の活躍の場をお膳立てをし、日本を開国へと導いた。

    一般的には初代総理大臣として知られる彼の新しい人物像を、生き生きと描いた作品であると思う。

  • 小6三男が「歴史上の人物を調べてまとめる」宿題で「伊藤博文」を選んだという。
    うぅぅぅむ。
    伊藤博文が主人公の本てないだろうか?
    幕末が舞台の小説&漫画だと、大抵脇役…。と、探したらこれだけがヒット。
    表紙の絵も三男好みなので借りてみた。
    三男一気読み。結構面白かったようなので、後追いで読んでみた。伊藤博文、意外と豪傑。やんちゃ。オモロイ人。
    幕末史を知らずに面白がって読めた三男スゲーな。

  • 伊藤俊輔(博文)の青春幕末歴史小説。

    プロローグがハルピンへ行く直前から始まるので、せめて宰相になるところか、タイトル通りに博文に改名するまでを描くかと思ったら、功山寺挙兵(正義派勝利)までなので、ちょっと物足りませんでした。
    また、他の小説やドラマでは脚光を浴びない来原良蔵との関係をしっかり描かれたのは良かったのですが、吉田松陰や高杉を除く松下村塾の仲間、桂小五郎との関係描写があっさりしすぎで寂しかったです。
    エピローグは想定どおり暗殺されて終わるのですが、最初の妻の入江九一と野村靖の妹のすみへ思いに触れられていて面白かったものの、後妻の梅子との関係が本編でほとんど触れられていなかったためかなとも思いました。

  • 伊藤博文の若き日々の物語
    近代日本の礎になった人

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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