- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041104408
作品紹介・あらすじ
臓器をくり抜かれた若い女性の遺体が発見される。その直後「切り裂きジャック」と名乗る犯人からの声明文がテレビ局に届く。果たして「ジャック」の狙いは何か? 警視庁捜査一課の犬養隼人が捜査に乗り出すが……。
感想・レビュー・書評
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東京・深川警察署の目の前で、臓器を全て取り除かれた若い女性の他殺体が発見された。
しかも、翌日、テレビ局へ「ジャック」と名乗る犯人からの犯行声明が届く。
警察署庁舎の目の前の大胆な犯行。死体に対する、徹底的な敬意の無さに、捜査員達は、嫌悪感を抱き、イキリたった。
その後、第二、第三の犠牲者が。
やがて、被害者に、同じドナーから、臓器提供を受けていたという、共通点が、明らかに。
同じ臓器移植を待つ娘を持つ、警視庁捜査一課の犬養隼人は、刑事と、父親との狭間で、揺れる。
相棒は、埼玉県警、古手川刑事。
二人は、お互いをリスペクトしながら、犯人を追い詰めて行く。
脳死。臓器移植法。ドナーの家族。レシピエント。
それぞれの立場で、考え方が変わる。
それは、当然の事だと思う。
色々と、考えさせられた。
残されたドナーの母親が、息子の心臓を移植された、レシピエントに会う場面は、何度も読んで、その都度泣いた。
題名で、読むのを少し躊躇していたが、とても良い作品だった。
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犯人は、誰だ?と気になる一方、脳死や臓器移植、ドナーとレシピエントとの関係など気になる問題テーマもあり興味深かったです。
私が予想していた犯人が後半でこっちだったのか〜!と思っていたらまたどんでん返しがありました。結局犯人は当たりましたが最後までハラハラしながら読めました。古手川刑事も登場して犬養刑事とのやり取りも楽しめました。
最後のエピローグは、泣けました。母親の愛を感じました。 -
中山さんの有名作を読了。
猟奇的殺人事件を追う刑事の物語。
そこには臓器提供に関する医療問題も関わっていき…。
脳死というもの。その遺族の気持ち。様々に考えさせられました。
真犯人は精巧な技術を持った限られた者しかいないので、そんなに意外性はなかったけど。
動機は意外というか、後付け感というか。
続編もあるようなのでまた読んでみようと思います。 -
現代に蘇った切り裂きジャック⁉︎
臓器がまるッと抜き取られた変死体、連続殺人となる犠牲者の共通点は...
犬養さんとあの古手川さんのコンビがとても良かったです。中山先生の他作品の人物もチラホラと登場して楽しく読めました。ちとグロさもありますが...
面白かったです( ^∀^) -
うまい構成だよなぁ。いろんなモチーフを重層的に組み合わせてるよね。「ドナーの遺族がレシピエントを訪ねる」ってのはドラマなんかでもよく目にするけどね。それ以上に「人は自尊心を守るためなら鬼にもなれる」ってのも古典的だね。でも組み合わせの妙でうまい仕上がりになってるんだな。
そうそう本作では「カエル男」事件で活躍した古手川刑事の存在感がいい。ちょっと優秀すぎるけど。 -
犯人「切り裂きジャック」の動機には、むむ?て感じだったけど、文中の真境名先生と僧侶の臓器移植討論は読みごたえありました。私は臓器提供者カードにサインしてますが、一瞬・・・怖くなってしまいました。エピローグ、凄く良かったです。中山先生の社会的提議は常に考えさせられます。この人が犯人かな?て思わせての一転、二転、さすがでした。脳死か心臓死かは難しい問題だけど臓器移植が命を繋ぐ明るいものであって欲しい・・・と思いました。
著者プロフィール
中山七里の作品





