- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041104743
作品紹介・あらすじ
足軽の家に養子に貰われたのちの高橋是清は、英語を学び、12歳で渡米。奴隷として売られる体験もしつつ、帰国後は官・民を問わず職を転々とする。生来の勉強家は、現場経験に培われ、不世出の銀行家へと成長する。
感想・レビュー・書評
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高橋是清自伝の上巻くらいまでの時期まで。とにかく、次から次へと新しい仕事が出てきてマルチタスクぶりがすごい。専門性とかどうやってつけたんだろうか?
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2019.11.25
すごい!お人好しみたいなところはあるけど、努力が半端ない!ここにも「最近の若い奴は」なんてとこがあるけど、そうでしょう、そうでしょう。下巻を楽しみにしている。 -
高橋是清の清々しい一生。
信念を曲げずに、潔く職を辞す。
請われて大蔵大臣の任に7度就く。 -
私生活では何度も身を持ち崩し、一方仕事ではチョロQのように猛進する人柄が伝わってくる。
人物描写にもうひとつ深みがあるといいのだけれど。高橋是清の人物の魅力や、なぜ周りの人がこんなに助けてくれるのかを感じ取りにくいのは、相性の問題だろうか。 -
高橋是清の偉大さを改めて認識しました。著者の丁寧な記述にも感銘です。これだけの経験を、この時代にということを考えると信じられないようなことです。
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読了。時代が必要としている人ってのは、こういうふうに世の中に受け入れられていくんだろうな。「高橋是清×幸田真音」というファンには堪らない組み合わせ。下巻が気になる!!
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幸田真音女史の新刊小説です。元トレーダーで、以前に「日本国債」というヒット作を書き上げた彼女らしく、高橋是清氏が百年前に日本国債を発行するにあたって多大な功績について上手に表現しています。
以前の日本国債は、現在のものと異なり、外国通貨建てで、発行するのに加えて返済するのも大変だったことが偲ばれます。またこの本では、当時の時代背景にあわせて物語の時間にあわせた経済指標(為替レートや金価格等)の情報も掲載されていて、私としては大変興味深く読めました。
以下は気になったポイントです。
・仙台藩は、戊辰戦争の責任を問われて、表高62万石から28万石へ減封、藩の経済破綻は内紛への火種となり、尊皇攘夷派が奮起し始める(p78)
・官公吏の俸給は以前は年棒制であったが、明治4年から月給制に改正、さらに陰暦の明治5年11.9には太政官布告により、改暦の詔書が発令されている。太陽暦の採用により、明治5年12月3日をもって、明治6年1月1日となった、時刻もそれまでの十二辰刻から、1日24時間になった、また明治5年は閏月のある年であり、人件費も削減できた(p165)
・明治10年4月には、開成学校と医学校が統合されて、東京大学が発足、それに伴い、東京英語学校は、東京大学予備門となった(p175)
・西南戦争の戦費は 4100万円を超えて当時の国家予算に匹敵、大隈重信は第15銀行から 1500万円を借り入れたが、不足分は 2700万円の不換紙幣を発行した。建前では紙幣1円=銀貨1円だが、実際には、銀貨1円=紙幣1円80銭であった、明治13年からはコメ価格が3倍になるなどインフレとなった(p183)
・当時のアメリカの考える知的財産とは、発明・商標・版権の3つであった(p193)
・商標と暖簾の区別がついていないので、東京では商標登録に対して強く反対する人もいた(p196)
・明治17年6.7に、是清が部下たちと練り上げた商標条例は、布告19号をもって公布された、それと同時に、10.1から農商務省の敷地内に、商標登録所が創設された(p198)
・明治9年に実施された秩禄処分は、それまで全国に40万人いた武士を解雇して武家社会を解体して、平時は5万人、戦時には20万人とする陸軍体制への移行を狙った、政府のリストラ策(p207)
・明治18年12.23には、官僚制度改革として、太政官制から内閣制が敷かれた、卿や大輔が、大臣や次官に変わり、参議ではなく内閣を構成するのは大臣となった(p216)
・明治4年の廃藩置県で、藩という存在は消えて、藩士たちは一旦全員が解雇され、そのうち官職につけた氏族は全体の2割、秩禄を奉還して、退職金は国債で支給され、あとでその国債を国が買い取る仕組み(p232)
・明治21年12.18、旧法を廃して、商標・特許・意匠の3条例が発布、施行は翌年2.1、これにより日本は発明を保護できる法律を持った(p238)
・日本からペルーへ向けて本格的な集団移民が始まるのは、明治32年、新潟・広島・山口などの出身者790人が佐倉丸で渡ったのが最初、ブラジルへは更にあとの明治41年、サントス港に781人が最初(p277)
・実業家ヴァンダービルドの言葉、「相談相手には成功者を選べ」がある(p288)
2013年7月7日作成 -
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高橋是清のことはあまり知らなかったが、仕事柄というわけでもないが興味深く読み進んだ。やはり日露戦争のくだりがクライマックスで、戦争そのものもさることながら裏での戦費調達も本当に国家の存亡がかかってたのだと思うことしきりだった。この人が二・二六で斃れていなかった多少は日本の歴史が変わっていたのだろうか。
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