Another エピソード S

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 219
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104989

作品紹介・あらすじ

「聞かせてあげようか、あなたの知らなかった、この夏のお話」少女は語り始めた。一人で過ごした海辺の町、そこで出会った幽霊との、不思議な探索行−−。名作ホラー、誰もが待ち望んだ続編がついに登場!!

感想・レビュー・書評

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  • 『Another』サイドストーリー。
    あの夏、鳴が過ごした避暑地でのできごと。

    本編よりもホラー色控えめでミステリ色多め。
    本編ではあまりに人死にが多くそこが辛かったので、こちらのほうが読みやすかった。
    謎解きの部分はファンタジーとホラーの風味がプラスされているけれど、それでもやっぱり綾辻さんらしいミステリであると思う。

    バレ処理しているので書くけれど、本作も叙述になる(と思う)。
    叙述ミステリにおける違和感の作り方とそらし方ってとても大事で、下手な人だと違和感を覚えた瞬間にネタが割れる。そうなると、そらそうとしているところまでも見え見えのスケスケになって、もう目も当てられない。
    巧い人だと、そもそも違和感を気付かせないか、気付いても話に引き込まれて違和感のことなんて忘れてしまう。そらされることを意識しないままそらされる。

    個人的に、綾辻さんは叙述巧者だと思う。
    ところが、この方の作品では仕掛けが見えてしまうことも多々ある。
    本作も仕掛けが見える。
    のに、楽しめてしまうのはなんとしたことか。
    なんだかんだ理屈をつけようとしてみても、結局のところ、うまい(好き)な方の文章は仕掛けが見えても楽しめるものなのか。

    次代の『Another』に続きそうなラストにドキドキ。
    根本的解決にたどり着けなかった本編の結末が、死者の数に見合わないんじゃないかと思ったけれど、そして惨劇度が高いと辛いのだけれど……続編が出ればやっぱり読むんだろうなぁ。

  • Anotherの続編。筆者はスピンオフ的なものとして書いた、と後書きにあった。

    Anotherの夏休みの間、鳴が1週間別荘に行っていた間に起きた色々。
    よく見れば「上目遣いに」などヒントはあったけど、これも見事に騙されてしまった。でもこれは難しすぎる〜

    続編でも何か起きそうな予感のする書き方、終わり方なのでAnother2001を読んでみたい。

  • Anotherのスピンオフ。

    見崎鳴ちゃんをグッと身近に感じる。幽霊目線の本って面白い発想。

    Anotherの半分もないくらいなので、気負わず軽く読める分、少し物足りない感も。
    次は2001。

  • anotherの見崎鳴視点のスピンオフ。
    3ヵ月前に謎の死を遂げた賢木晃也。
    その幽霊との死体探しという内容の物語。
    失われた記憶の中、巡る様々な出来事。残った想い。
    そして真相へと。
    賢木晃也の終盤の真相は結構ビックリ。
    前作の主人公榊原との真相への考察も物語を客観視してて面白かった。
    前作よりはライトに読めた作品でした。
    引き続き2001も読んでみます。

  • 虚ろなる蒼き瞳を持つ見崎鳴
    人形の目を持つゆえ「死の色」がみえる

    エピソードSは、見崎鳴の本編の夏休みの一週間夜見山を離れて海の別荘で
    起こったお話……番外編ですね。

    もう一人の「サカキ」賢木晃也…彼はかつて鳴と同じ夜見山北中学の三年三組で
    〈現象〉を経験した事がある青年
    2年前に知り合った賢木晃也は亡くなっていて彼の幽霊と出会った鳴
    記憶を失くした幽霊の彼…消えた自分の死体を探す幽霊の手伝いを始めるが……。

    数年前に読んだアナザー本編が、とても読みやすく面白かった記憶があり
    詳細に覚えていない為、
    この本を読む為に再読
    再読してもやはり楽しめました

    なので期待満々で読み始めましたが、文章に勢いがなく、記憶喪失の幽霊のナゼナゼと思うシーンが
    長々と綴られていて、途中からもどかしく感じられ……残念
    期待していた分ハラハラ、ドキドキ感がないのも物足りない
    でも、幽霊の正体には驚かされました

    最後の内容からすると、アナザーの続編が書かれるのかな?
    その為のこの本なのかな
    と思われました。

  • 時間がなくて、「Another」の再読ができなかったから
    すぐに世界に入っていけるか、忘れているところはないかと
    不安もあったけれど、そんな心配は一瞬で消えてしまうほど
    最初のページを読んだ瞬間、あのひんやりとした
    仄暗い胡乱な空気が一気に甦る。

    1998年の<災厄>と交差するように絡み合う11年前の<災厄>。

    災厄の<ある年>だった、1998年の夏に
    両親とともに訪れた別荘で再会したもう1人のサカキと鳴が
    災厄の裏で出合ったもう1つの災厄にまつわる出来事。

    死んで幽霊となってしまったらしい賢木晃也。
    そもそも僕はなぜ死んだのか。
    僕の死後何があって自分の死は隠蔽されているのか。
    どこかに隠されてしまった自分の体と、
    断片的でしかない記憶を探りながら
    自分に起きた出来事を鳴と探っていく。

    左右対称の双眸を持つ家。
    あの世とこの世の狭間で虚ろな闇と目覚めの断片としての記憶。
    正体の掴めない悲しみと不安定な存在としての自分の輪郭。
    半分死んでいる湖。
    蜃気楼のような風景、歪んだ虚像。
    心の中の悲しみの密度。

    繋がりそうで掴めない断片たちに戸惑い立ち尽くす。
    ポツポツと不規則に落とされていく点と点が繋がった時
    複雑な想いと現実が明滅しながら輪郭を現す。

    11年前の<死者>と薄れゆく記憶。
    あらがえない法則と消えない想いの偶然の符合、最後の言葉。
    繋がりたかった心の先と重なり合う<S>の謎に惹きこまれて
    本から離れられず一気に読み込んでしまう。

    続編でありながら濃密でより面白く深くAnotherの世界に
    惹きこまれた数時間。

    この後に続く<現象>の主旋律が聞こえてくるようで
    静かにぞくっとしつつ…また新しいAnotherの世界が
    開かれる日が待ち遠しい。

  • 聞かせてあげよーあなたの知らなかった、この夏のお話を、、、、、


    はい!聞かせてください!と、まぁ〜気軽に読んだのが間違いだった、、、(´Д` )
    さすが綾辻作品!!ラストのサプライズでびっくりさせてきますね〜笑笑
    つい、まじかよ!、、と叫んでもた(O_O)怖い、怖い

    前置きはここまでにして置いて、よいしょと!

    あらすじはと言うと、
    見崎鳴さんの夏休みに家族と行った別荘での出来事を
    榊原くんに、お話してあげるストーリーになっております以上です!笑笑!あんまり言うとネタバレしそうになるから言いません!
    自分はAnotherを見ていたのでやべー絶対っっ!
    不気味な怖いヤツくるやんと思っていました。
    が!案外ゆるふわ的な感じで怖さはそれほど感じませんでした!、、、、、、

    が!!!

    皆さんこれは綾辻作品ですよ!!
    後半から一気に!来ます!!マジで来ます!
    シートベルトの着用をお願いします。笑笑
    そして!ここが、重要です!
    このストーリーの最後の〆方がたまらん!!Another2001に向けての最高のスルーパスっっ!
    Another2001を見ずに死ねるかぁ!
    ソッコーで読むわっっ!!
    終わりよければ全てヨシ!とはこの事ですな!

    ちなみに解説のページで朝霧カフカさんが
    これから綾辻作品を読まれる方々に対して言っておりました一文を紹介します。

    (あの驚き、すべての前提がひっくり返される「ええええ!?」とのけぞるあの感じ、騙されて本望! と天井を向くほどの衝撃を、これから味わう権利を持っているのです。  なんたる幸せ。  代われ。)と、、、

    代わらん!!自分!幸せ者ですっっ!!(≧∇≦)(≧∇≦)
    ヨシ!Another2001見るぞー!

  • 前作のAnotherが面白かったので期待し過ぎたかな。鳴のミステリアスなキャラクターが良かったのだが、今回は喋る喋る!でも、前回同様あっという間の展開はさすがで、スイスイ読めた。時々混乱して複雑な感じがしたのは、最後のネタバラシで明らかになる。その辺りもさすがだなぁと感じた。

  • 『Another』での1998年の災厄の裏で鳴が出会った〈幽霊〉にまつわるストーリー。
    夜見山の外(災厄の範囲外)で展開するけど〈幽霊〉もかつて87年の災厄の当事者でもあった。

    災厄の話もからめつつもこちらはこちらで独立した一つの物語となっている。
    おかげで『Another』を読んだのがだいぶ前だったから細かい部分を忘れていたりもしたけれどストーリーにはちゃんと入っていけた。


    その後、想くんは大丈夫だったかな…

  •  夏にこそ読むべき、綾辻らしいホラー。

     Anotherはすっごい好きなんですけどね、作品として面白かったんですが、正直、ミサキメイというキャラクタにはそんな思い入れはないです。というか誤解を恐れずに言えば、綾辻行人の書く人物で印象深いのは十角館の犯人と咲谷由衣嬢くらいですかね。
     彼女メインというのでさほど構えずに読んだんですが。(なんか、キャラ小説とかなってんのかなーって思ってた。森の四季シリーズみたいな。)
     ふたを開けてみれば、綾辻らしさ満載でした。面白かったよ、とても。文章の書き方、傍点の振り方、間の取り方、(カッコ)の入れ方、どれもこれも「綾辻だー!」って感じで、オチの持っていきかたもね。
     幽霊自身が一生懸命考えてた「死の理由」や「死体の場所」について、想像通りというか、わかりやすく書いてあったんだけど、それがミスリードだね。読者の意識をそっちにもっていっといて、幽霊の正体について考えさせないようにするっていう。
     アマゾンに綾辻自身からのメッセージ動画があったからみたけど、ミサキメイが幽霊と会うシーンに力入れたって言ってて、効果とか演出とか、そういう意味で力入れたのかなって思ってたら全然違った、普通に伏線だった。まあ綾辻だから当然といえば当然か。
     幽霊の正体が判明したあとでも、追い打ちをかけてのいくつもオチが待ってるから、ラストまで気が休まらない系。途中で気付はしたけど、幽霊である僕が恋をした少女についての部分が一番好きだな。あぁああ、と頭抱えたくなった。だからこそ、僕が死に惹かれていったっていうのもね。
     あとがきで綾辻が「続編についての妄想が」って書いてるけど、そのときの主人公は間違いなく「彼」だろうねぇ。よりにもよってなんでこっちに、と。
     ラスト、名前についてはちょっとよく分からなかったよ。名前だけ書いてるってことになにか問題でもあるのかな。それとも世話になってるところが問題?
     抜粋。幽霊である僕のセリフより。

    「箪笥も箱の中も調べたけど、どこにも僕の死体はなかったよ」

     Another、読み返したいところ。

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著者プロフィール

綾辻 行人(あやつじ・ゆきと)
1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院修了。’87年9月『十角館の殺人』で作家デビュー。「新本格ムーヴメント」の嚆矢となる。「館」シリーズで本格ミステリシーンを牽引する一方、ホラー小説にも意欲的に取り組む。’92年『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2018年度第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2022年 『人間じゃない 〈完全版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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