Another エピソード S

著者 : 綾辻行人
  • 角川書店 (2013年7月31日発売)
3.38
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  • 179レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104989

作品紹介

「聞かせてあげようか、あなたの知らなかった、この夏のお話」少女は語り始めた。一人で過ごした海辺の町、そこで出会った幽霊との、不思議な探索行−−。名作ホラー、誰もが待ち望んだ続編がついに登場!!

Another エピソード Sの感想・レビュー・書評

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  • 『Another』サイドストーリー。
    あの夏、鳴が過ごした避暑地でのできごと。

    本編よりもホラー色控えめでミステリ色多め。
    本編ではあまりに人死にが多くそこが辛かったので、こちらのほうが読みやすかった。
    謎解きの部分はファンタジーとホラーの風味がプラスされているけれど、それでもやっぱり綾辻さんらしいミステリであると思う。

    バレ処理しているので書くけれど、本作も叙述になる(と思う)。
    叙述ミステリにおける違和感の作り方とそらし方ってとても大事で、下手な人だと違和感を覚えた瞬間にネタが割れる。そうなると、そらそうとしているところまでも見え見えのスケスケになって、もう目も当てられない。
    巧い人だと、そもそも違和感を気付かせないか、気付いても話に引き込まれて違和感のことなんて忘れてしまう。そらされることを意識しないままそらされる。

    個人的に、綾辻さんは叙述巧者だと思う。
    ところが、この方の作品では仕掛けが見えてしまうことも多々ある。
    本作も仕掛けが見える。
    のに、楽しめてしまうのはなんとしたことか。
    なんだかんだ理屈をつけようとしてみても、結局のところ、うまい(好き)な方の文章は仕掛けが見えても楽しめるものなのか。

    次代の『Another』に続きそうなラストにドキドキ。
    根本的解決にたどり着けなかった本編の結末が、死者の数に見合わないんじゃないかと思ったけれど、そして惨劇度が高いと辛いのだけれど……続編が出ればやっぱり読むんだろうなぁ。

  • 時間がなくて、「Another」の再読ができなかったから
    すぐに世界に入っていけるか、忘れているところはないかと
    不安もあったけれど、そんな心配は一瞬で消えてしまうほど
    最初のページを読んだ瞬間、あのひんやりとした
    仄暗い胡乱な空気が一気に甦る。

    1998年の<災厄>と交差するように絡み合う11年前の<災厄>。

    災厄の<ある年>だった、1998年の夏に
    両親とともに訪れた別荘で再会したもう1人のサカキと鳴が
    災厄の裏で出合ったもう1つの災厄にまつわる出来事。

    死んで幽霊となってしまったらしい賢木晃也。
    そもそも僕はなぜ死んだのか。
    僕の死後何があって自分の死は隠蔽されているのか。
    どこかに隠されてしまった自分の体と、
    断片的でしかない記憶を探りながら
    自分に起きた出来事を鳴と探っていく。

    左右対称の双眸を持つ家。
    あの世とこの世の狭間で虚ろな闇と目覚めの断片としての記憶。
    正体の掴めない悲しみと不安定な存在としての自分の輪郭。
    半分死んでいる湖。
    蜃気楼のような風景、歪んだ虚像。
    心の中の悲しみの密度。

    繋がりそうで掴めない断片たちに戸惑い立ち尽くす。
    ポツポツと不規則に落とされていく点と点が繋がった時
    複雑な想いと現実が明滅しながら輪郭を現す。

    11年前の<死者>と薄れゆく記憶。
    あらがえない法則と消えない想いの偶然の符合、最後の言葉。
    繋がりたかった心の先と重なり合う<S>の謎に惹きこまれて
    本から離れられず一気に読み込んでしまう。

    続編でありながら濃密でより面白く深くAnotherの世界に
    惹きこまれた数時間。

    この後に続く<現象>の主旋律が聞こえてくるようで
    静かにぞくっとしつつ…また新しいAnotherの世界が
    開かれる日が待ち遠しい。

  • 作者があとがきに書いているように、本編とはかなりテイストの異なる作品。幻想的なホラー。

    夏休みの例の合宿を前に、鳴が1週間ほど夜見山を離れた時の話。彼女は海辺の別荘で記憶喪失の幽霊に出会い、彼と一緒に行方不明になっている死体を探すことに。
    誰にも見えない彼が鳴だけに見えるのは何故か。彼女の左目の力なのか…
    夜見北の災厄の話も所々に出てくる。
    ラスト、「Another」を読んだ人にはわかるちょっとした仕掛けが。
    綾辻さんは、続編の構想もあるそうだ。楽しみだが、私は「館」シリーズの続きを早く読みたい。

  •  夏にこそ読むべき、綾辻らしいホラー。

     Anotherはすっごい好きなんですけどね、作品として面白かったんですが、正直、ミサキメイというキャラクタにはそんな思い入れはないです。というか誤解を恐れずに言えば、綾辻行人の書く人物で印象深いのは十角館の犯人と咲谷由衣嬢くらいですかね。
     彼女メインというのでさほど構えずに読んだんですが。(なんか、キャラ小説とかなってんのかなーって思ってた。森の四季シリーズみたいな。)
     ふたを開けてみれば、綾辻らしさ満載でした。面白かったよ、とても。文章の書き方、傍点の振り方、間の取り方、(カッコ)の入れ方、どれもこれも「綾辻だー!」って感じで、オチの持っていきかたもね。
     幽霊自身が一生懸命考えてた「死の理由」や「死体の場所」について、想像通りというか、わかりやすく書いてあったんだけど、それがミスリードだね。読者の意識をそっちにもっていっといて、幽霊の正体について考えさせないようにするっていう。
     アマゾンに綾辻自身からのメッセージ動画があったからみたけど、ミサキメイが幽霊と会うシーンに力入れたって言ってて、効果とか演出とか、そういう意味で力入れたのかなって思ってたら全然違った、普通に伏線だった。まあ綾辻だから当然といえば当然か。
     幽霊の正体が判明したあとでも、追い打ちをかけてのいくつもオチが待ってるから、ラストまで気が休まらない系。途中で気付はしたけど、幽霊である僕が恋をした少女についての部分が一番好きだな。あぁああ、と頭抱えたくなった。だからこそ、僕が死に惹かれていったっていうのもね。
     あとがきで綾辻が「続編についての妄想が」って書いてるけど、そのときの主人公は間違いなく「彼」だろうねぇ。よりにもよってなんでこっちに、と。
     ラスト、名前についてはちょっとよく分からなかったよ。名前だけ書いてるってことになにか問題でもあるのかな。それとも世話になってるところが問題?
     抜粋。幽霊である僕のセリフより。

    「箪笥も箱の中も調べたけど、どこにも僕の死体はなかったよ」

     Another、読み返したいところ。

  • 結果的に綾辻さんが書く本はホラーと銘打ちながらホラーではないが結論なのだろうか。
    これもまたトリックと言われればそれまでだが、それにしてもホラー小説としての前提が崩れるのではないかと思ってしまう。
    サカキとメイのその後が見えるのは嬉しかったがなんとなく物足りなさを覚える。番外編としてはちょうどいいのかも。
    後書きに続編を匂わせるような記述があったので、夜見山高校の呪いがちゃんと解かれる日が来ることを期待したい。
    (もしくはどうしてこんなことになったのか現象としてではなく論理的な説明がなされるエピソード0とか)

  • アニメが好きだったので読んでみました。ホラーに見せかけて結構きちんとミステリーしてて、霧越邸とか館シリーズの、怖くもありつつミステリーとして面白い綾辻節は健在だなぁと思いました。
    この本は怖いホラーというより、抒情的な幽霊との一夏の思い出といった風情ですが。
    サカキと鳴の物語はまだ続けられそうなので次回作に期待したいところ。

  • 1988年の夏…
    榊恒一が転入した夜見山北中学校の3年3組では、ある現象が起こっていた。その現象のせいで、次々とクラスメイト、そして周りの家族が巻き込まれ、謎の死を遂げていく。
    恒一と鳴は、解決しようと奮闘するものの、手がかりを見つけることができず、周りも恐怖の中、夏休みに入る。その夏休みに、鳴は両親と海辺の別荘へ行くことになる。
    そこで、毎年別荘で出会う賢木晃也という人物に再会。彼は夜見山北中学校の卒業生で3年3組を経験した1人だった。ただ彼は、自分は幽霊だといい、その年の春に1人で暮らしている湖畔の屋敷で謎の死を遂げていた。何者かに隠された自分の死体を探していくが、賢木の死の真実と幽霊の正体に辿り着いていく…

    もう1人のサカキの話として鳴から話されるお話。
    最初は、この結末どうなるんだろうと漠然とした感じでしたが、最後の展開には驚き!
    本編とはまた違うけれど…先が読みたくなるストーリーでした。

  • 実体なき幽霊かと思いきや、しっかり足があり、ちゃんとしたミステリーだ。前作読後で免疫もついており、安心感はあったが、反則なしでしっかり騙された。作者の意のまんま思う壺に嵌められた。前作ほどの恐怖感はないものの、その分、見崎鳴を静かに穏やかに目を細めながら眺めることができた。神秘で近寄りがたかった鳴がぐんと近くなった。結構人間的で可愛い。このシリーズ、読者からの要望があれば今後も続けるとのこと。是非いろんな鳴を見てみたい。

  • 前作「Another」が好きだったので、こちらのお話も気になり手に取った次第。
    文章は軽めで一気読みできます。又、最終的に伏線も綺麗に回収されて意外性のある結末でした。
    読み終わってふと思ったのが、「S」には想の"S"も当てはまるのかな、と。
    ただ、個人的にラスト一文の意味が判然としませんでした。不穏な印象ながら、何故榊原くんが気に止めたのが「名前」だったのかと。そこが唯一気になります…。

  • 「出るよ」と自ら語る話。
    やはり、スピンオフとはいえ本編を読まずしてこちらは読むなかれ。

    こちらだけ読もうとする人にアドバイス。

    で、読後の感想。
    深い!できれば本編直後に読みたかった。

    本編の時のびっくり再燃。

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