タイド

  • KADOKAWA
2.63
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本棚登録 : 153
感想 : 25
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  • 本 ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041105191

作品紹介・あらすじ

親友の異変、瞬時に形を変える土偶、鳥からの謎のメッセージ。そして、大島の火口に身を投げた貞子の母・志津子の秘密。予備校講師の柏田は――古代から続く「リング」の謎に吸い寄せられてゆくが!?

感想・レビュー・書評

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  • 二人の男の人生を生きた、柏田誠二は今は予備校講師として生きていた。教え子理絵の友人が罹患した奇病を介して、天啓のようなメッセージを受け取り、再度伊豆に赴いた……。そこで彼は世界にもたらされた貞子の呪いの根源を知る いい意味で貞子の人間くささ、いやらしさがにじみ出た作品だと思う。ウイルスだなんだかんだといっても、やっぱり人を呪うという行為は、人間の暗いところから出現する感情に起因しないとダメだ。

  • 予備校講師の柏田誠二は、生きながら“石像”になってしまう不可解な病に伏した教え子の親友を見舞った後、病院内で突然身体の自由が利かなくなり、椅子から転げ落ちた。痙攣する手足、狭くなる視野、失われる言葉…まさか俺も!?恐怖に襲われる中、どこからともなくメッセージが届いたのはそのときだった―「こんどは、あなたの番よ」「リング」の呪いの謎が明かされる、シリーズ最高傑作!


    ・レビュー

     私は前作『エス』で以下のような内容のレビューを書いた。

    「リングシリーズの愛読者でなければ発刊のスパンもあるので意味が明瞭にならない。そのあたりが非常にこの小説の評価を下げてしまっている気がする。
    また、その一方で愛読者は愛読者で、好きだからこそ先の展開は早々に読めてしまう。
    重要なのは時系列と人間関係、過去作との関連をしっかり頭の中で結びつけ、そして多様性を許容することです。
    その行為に違和感を覚える方はおそらくつまらないと感じるでしょうし、そのタイプの方は過半数に及ぶかもしれない。
    非常に「一作目的」で、次作があるならば「らせん」と対応するのかもしれない。」

     実際に新シリーズ二作目を読んで幾つか確認と訂正。
     まず、リングシリーズの愛読者でなければ発刊のスパンもあるので意味が明瞭にならない。そのあたりが非常にこの小説の評価を下げてしまっている気がする。これは、前回と同じ。これに関しては今更だが、『リング』『らせん』『ループ』が新シリーズの基礎でこれらの知識をちゃんと押さえていないと何も理解できないし楽しめない。
     次に前作のレビューでは「多様性を許容すること」が大事と書いたがこれはやはり正解だったらしいと今作で判る。『バースデイ』の中の短編『ハッピー・バースデイ』の内容が頭を過ってどうも納得がいかないという人が多そうだ。これはちゃんと思い出して欲しい。ネタバレなのでなんとも言えないが「彼」は多様性を救ったという結末だ。それは上位的な意味で働いている。ハッピー・バースデイはひとつの結末かも知れないが、それとは別に世界は分岐していると考えないと整合性が取れない。それ以外に目立った不整合がないところを見ると鈴木光司は意図的にこれをしたとするのがいいと思う。従って新シリーズでは『バースデイ』は特に情報として必要ない。
     次に『エス』が一作目的な対応がなされているというのがやや訂正。おそらく新シリーズも三部作的な構成と思われるのだけれど、それぞれが『リング』『らせん』『ループ』に対応するわけではなさそうだ。『エス』は『リング』的な側面はあったのだが情報としては『らせん』が基礎だ。だが今作は『らせん』的な側面があるが情報の基礎は『ループ』である。『ループ』を覚えていないと全体的に理解が及ばなくなるだろう。

     そして、今後の展開なのだが、これはおそらく次に結末が用意されているとは思う。全シリーズの『ループ』にあたるもの。『ループ』のやり方を踏襲するならばかなり前提がひっくり返る展開もあるかもしれない。なんにしても、単体で読むには向かない。番号を振ってナンバリングシリーズにしてしまった方がいいくらいには「続編」的である。


     

    ここからは前シリーズと『エス』『タイド』のネタバレ注意で。




     『ループ』及び『ハッピー・バースデイ』では高山竜司は神としてループ世界(仮想現実)に降臨する。そして悪魔である貞子を消し去り、自らもまた消え去る。めでたしめでたし。という、ひとつの終わり。
     新シリーズでは高山竜司は神としての仕事を一応はやり遂げるが、前述の世界とは異なるやり方だった。具体的には文庫本『リング』の回収、そして『エス』においての茜の救出と映画化しかけた『リング』のお蔵入り。そして可能性としては茜のお腹の子が貞子(丸山真砂子)の孫だから「貞子」として機能する可能性がある。ただ、高山竜司の血が混じってるので案外普通のこどもかもしれない。その一方で貞子とその弟である山村哲生としての竜司(川口徹)を両親としている以上、普通とも限らない可能性もある。『エス』で真犯人として死んだ柏田(竜司)の教え子、新村裕之を殺したのこそ茜の胎内にいた子である可能性もある。
     そしてこちらの世界だと、どうも貞子(丸山真砂子)は悪魔としては弱い。それに理由があるのかは謎だが、貞子は高野舞→丸山真砂子(貞子)→田島春菜という流れを介して春奈の子供、凪という存在に生まれ変わっていく。問題なのは今作における貞子はシリーズ全作で最も悪魔的で善性が感じられない「悪」の存在になってること。丸山真砂子までは善性がないとは言い切れないと思う。ただ何故か今作で登場する貞子は悪魔そのものだ。山村哲生、高山竜司、二見馨、柏田誠二、川口徹が同一人物という展開もなかなかに面白いが個人的には貞子が悪として復活しているのが先の展開を想像させて面白い。可能性としては茜が善性を引き継いだことで、悪性のみが真砂子に残った、故に再び「凪」という貞子の悪の実体が生まれたのかもしれない。
     どちらにせよ、次の作品で神と悪魔の物語は終わると思われる。最も嫌な死に方で死ぬ(『エス』における絞首刑)ことで世界を救った“まれびと”高山竜司だが、貞子がこのまま終わるとは思えない。『エス』で二次元の存在として現れた竜司は一次元に旅だった。彼が次作にどう関わるかも楽しみである。

  • 良くわからなかったな。リングの続きということで楽しみに本を開くが、読書後話がわからなかったし、何も残らなかった。前作から時間が経ちすぎて忘れているのもあるが、主人公の考えを述べる時間が長すぎ、前作のように話に入っていけなかったな。

    出版されてからだいぶ経つが、出版されたのを知らなかった。内容が面白くないから話題にならなかったのだろうなと思ってしまう。残念。

  • リングの衝撃的な結末を、完全にぶち壊した。人気漫画の連載が、関係者の欲で駄作に行き着く典型…、非常に残念。

  • なんの予備知識もなく読んだ私が悪いのか…
    「リング」のシリーズなのねこれ

    土偶の頭頂部にあった蛇が逃げ出したあと心身ともに異常をきたした春菜。彼女を心配する理絵は春菜を見舞った時に謎のメッセージを鳥から受ける。
    そのメッセージの謎を解こうと相談したのは予備校の数学講師・柏田。しかし、この謎に関わったことから柏田は知らなかった自分についての真実を知ることになる…。

    いや~もうすっかり「リング」の内容とか忘れてたから読みながら謎を解く前に人物関係が謎だらけだったわ~。
    で、読み終わってもなんかよくわからん結末にモヤモヤが増すばかり。

    わくわくもしなければすっきりもしない…
    やたらと説教臭いおっさんの話を聞いたあとのような小説でした。

  • まず、せっかくループでの多重構造をないがしろ、無かったことにし、役小角の子孫であるという新設定、結局貞子の親子愛の欠如という恨みが根本であったというあまりにも矮小な根拠など、ブレにブレまくっている。結局「エス」の前日譚だったと落とすのだが、作者の興味本位でストーリーが翻弄されていく様は楽しめたのが救い。
    本作初めて貞子が饒舌にまくしたてるが、なぜかヤンキー口調なのはどういう意図なのだろう?人類を滅亡に追い込むような深い怨恨や情念を持っているキャラとはどうしても思えないのだよ。

  • これは非常に中途半端。

  • 前のリングに頼りすぎ、読み返さないと意味不明

  • 最初は面白いが、最後は?な感じ。風呂敷を広げ過ぎて最後は良く分からん。残念過ぎる。

  • 中身をあまり詮索せずに読みだして驚いた。貞子の話がまだ続いている。内容としては、リング、らせん、ループの3部作ほどの面白さは無かった。まだ先に続くような終わり方なのが気になるところではある。

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著者プロフィール

千葉中央メディカルセンター勤務。認定理学療法士(代謝)、呼吸療法認定士、糖尿病療養指導士、住環境福祉コーディネーター2級。

「2018年 『リハビリのプロがすすめる 健康寿命を延ばす1000冊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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