悪いものが、来ませんように (単行本)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 278
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041105245

作品紹介・あらすじ

子供にめぐまれず悶々とした日々を送る紗英、子育て中の奈津子。誰よりも気の合う二人を襲った事件とは−−。『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞、気鋭の第2作!

感想・レビュー・書評

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  • 芦沢さんデビュー二作目。
    個人的にも思い入れがかなり強い作家さんなので4点+1点で5点。
    今作は勢いのある人間ミステリ。全作の流れをついで、作風は湊かなえさんのような、女性同士の複雑な依存確執や善意悪意を描いているけれど、湊さんのようにたんに露悪的なんではなく、冷静にクリアにキャラクタの物語として多面的に語られていくので、湊さん苦手派(という名前をつけてみる)の自分でも絶望的な気持ちにならずに読めました。

    ミステリの軸は、いっけん散漫におもえるふたりの女のありがちなけれど切実な悩み…不妊、子育て、夫の不倫。女の依存と反発。
    そして、彼女らのその生い立ちと、身内との確執(、そして殺人)。
    それらが、みごとに重なりあうところが、圧巻なのでしたが、帯で貫井徳郎さんが「このトリックには身につまされることも多いのでは?」と書いてあるのを
    (…身につまされるトリックって何だよ表現おかしくないか)
    と思っていたらまったくおかしくなかったのが、非常に面白かった。
    この、無知、甘え、そして必死の優しさの独りよがり。
    「悪いものが来ませんように」
    ええつまされるとも。

    個人的にはこのミスとかに載ってみんなが知るといいのに…。面白いよ。
    そして好みの問題だがファンタジー的なものも書いてくれないかなと思って期待を少し。架空の世界での「彼女たち」がみたい。

  • はい、見事に騙されました。

    まさかこんな仕掛けがあったとは…。
    あわてて読み返しです。

    ネタバレになるといけないので少しだけ。

    子育てに悩む奈津子。
    不妊の悩みを抱えながら助産院で働く紗英。
    この二人が気味が悪くなるほど仲良しで。
    そして浮気をしていた紗英の夫が殺される…。

    たとえこんな驚きの仕掛けがなくても、
    十分に読み応えのある内容でした。

    立ち込めるミルクの匂いが痛くせつない一冊。

  • なっちゃんこと奈津子と、紗英という二人の女性。
    「ちょっとおかしいんじゃない?」と思うほどの仲の良さに違和感があったのですが、なるほどそういうトリックでしたか。
    紗英の夫の死の真相が解明される終盤からは、何かに背中を押されるように読み切ってしまいました。
    何でも話せる、親友のような母親。
    そうなろうと無償の愛を注いできたはずなのに、二人の関係はどこでどう食い違っていったのだろう。
    なんだか他人事ではないような気がした。
    私もまだ柔らかくあたたかくてふにゃふにゃの長女を抱いたとき、幸せばかりが待っていますように、悪いものが来ませんようにと、強く祈ったときのことをよく覚えています。
    その切実な想いが分かるだけに、もやもやしたものが消えないラストだった。
    母と娘というのは本当に難しい。

    湊かなえっぽさもあるけれど、こういうミステリ好きです。
    芦沢央さんのほかの作品も読んでみたい。

  • 梨里ちゃんにしてやられたり!あっ!そういうこと?って感じで…^^;
    母と娘のお話って今まで色々な作家さんの小説やエッセイを読んで来ましたが、結構難しい関係性なのだとつくづく感じます。
    女性は歳を重ね、結婚や出産をする事で生活環境もその中での自分の立ち位置も人間関係も男性より大きく変化します。その中で子供の頃から立場も関係性も変わらないのが母と娘という間柄。
    ある日気づくと立場が逆転していて…^^;なんて笑いながら語れるうちは微笑ましい!
    でも親離れ子離れがうまくいかなかったりお互いに依存し合ってその事に気付けなかったり…
    生まれて初めて築くのが母と子の人間関係…大袈裟かもしれないけど案外これが他の人との関係性を築くのに響いてしまう事も良くも悪くもあるんだろうなぁ…

  • 鬼女板とかたまーに見てる心が汚れてる人間はたぶん途中でトリックに気づきます。エピローグは良かったです。

    悪いものが、来ませんように。
    の「悪いもの」っていうのは、我が子に対する祈りみたいな事だろうけど具体的に言うと結婚相手のことかな。

    こういう関係をピーナッツ親子というとか、いわないとか。表紙が個人的に好きな雰囲気です。

  • 途中まですっかり騙されてしまった。
    後半にある一文を読んで「え???」となり、頭が混乱。
    読み間違いじゃないのか?と思ってしまうくらいすっかりある事を思いこまされてしまっていた。

    仲の良い二人の女性、奈津子と紗英。
    読み進めていく内にその内の誰か、または二人共がどうやら何か事件をおこしたらしいと分かる。
    それは二人の周囲の証言から。
    そこから二人の女性の性格や周囲との関係性が見えてくる。
    その周囲の証言と二人のどちらかの目線で描かれたパートが交互に描かれ進んでいくストーリー形式。

    途中、何でこの人はこんな事をしたんだろう?と事件に関する事で思った。
    それが分からないまま読み進めていくので、どうにもしっくりこない。
    それと、二人の女性の内、沙英という女性は周囲の証言から社交的で積極的な女性とあるのに、二人の女性のパートを読むとどうにもそんな風に見えない。
    そこにも違和感を覚えつつ読み進める。
    そして、ある事が分かった時、「ああ、そういう事だったのか・・・」とその二つの違和感が何となく納得できた。

    この話にはたくさんの証言人が出てくるけど、これはいらないんじゃないかな・・・というのがあった。
    その代わりに、沙英の妹の事をもっと書いてほしかったと思う。
    母親との関係性がこの本のテーマになっていて、彼女の心情が大きく関わっていると思うから。

    すっかり騙された~と思う本だったけど、どうにも読んでる時はしっくりこない、もやもや感みたいなのがあって次々読み進めるほど引き込まれる、という本ではなかった。

  • いやー完璧にガツンと騙されました! 

    色々と思うことはあるけれど、アレコレ書いたらネタバレになっちゃうので難しいなぁ。

    最初に「ん?」と違和感を覚えたのは、あのシーンだった・・・。のちにあぁそういうことだったのね!と納得。

    こういう濃密な人間関係、私はちょっと苦手なんだけど「あれも愛、これも愛、たぶん愛、きっと愛」のフレーズが頭に浮かんだ。

  • 久しぶりにとことん完璧にやられたっ。

  • 2018.4.20(図書館)

  • 悪いものが、来ませんように。(柏木奈津子)

    騙された。終始曇天のような雰囲気で登場人物の関係性も何かモヤモヤした感じで話が進んで、途中辞めようかと思ったが、後半巻き返した。確かに読み返したくなるけどまだ良いかなあ。

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プロフィール

1984年生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。著作に『今だけのあの子』『悪いものが来ませんように』『いつかの人質』『雨利終活写真館』『獏の耳たぶ』、最新作に『バック・ステージ』がある。

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