- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041105245
作品紹介・あらすじ
子供にめぐまれず悶々とした日々を送る紗英、子育て中の奈津子。誰よりも気の合う二人を襲った事件とは−−。『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞、気鋭の第2作!
感想・レビュー・書評
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なっちゃんこと奈津子と、紗英という二人の女性。
「ちょっとおかしいんじゃない?」と思うほどの仲の良さに違和感があったのですが、なるほどそういうトリックでしたか。
紗英の夫の死の真相が解明される終盤からは、何かに背中を押されるように読み切ってしまいました。
何でも話せる、親友のような母親。
そうなろうと無償の愛を注いできたはずなのに、二人の関係はどこでどう食い違っていったのだろう。
なんだか他人事ではないような気がした。
私もまだ柔らかくあたたかくてふにゃふにゃの長女を抱いたとき、幸せばかりが待っていますように、悪いものが来ませんようにと、強く祈ったときのことをよく覚えています。
その切実な想いが分かるだけに、もやもやしたものが消えないラストだった。
母と娘というのは本当に難しい。
湊かなえっぽさもあるけれど、こういうミステリ好きです。
芦沢央さんのほかの作品も読んでみたい。 -
結婚三年目。助産院で働きながら、夫との子供を待つ紗英。
彼女が唯一素を見せて愚痴を履ける存在が、なっちゃんこと奈津子。奈津子は未就学の子供を育てている。
銀行勤めの紗英の夫は子作りに協力的でないばかりか、同僚の女性と不倫している。
紗英の妹は助産師としてキャリアを積みながら、子供を産んだ。
自分だけ取り残されるような気がして、焦る紗英。
そんな中、浮気をしていた紗英の夫が不審な死を遂げる。
紗英と奈津子の一人語りが多い。紗英が母親との関係にモヤモヤしていることや、奈津子の非協力的な夫の話が時折挟まったりする。
また、周りの人たちのインタビューのような場面も挟まり、文中での紗英の内情を補足するかのよう。
一見、紗英と奈津子は親友で、二人で共謀して紗英の夫を殺して埋めた……という話に読める。
紗英と奈津子は同年代で、奈津子は子育て中のお母さんだと思うわけです。
だけど、実は奈津子は紗英の母親。
紗英が文中でモヤモヤしていたのは、母親である奈津子との関係だったりする。
奈津子が面倒を見ているのは、紗英の妹(奈津子自身の娘でもある)の子供。
読んでいてちょっとずつ「ん……?」と思ったことが、紗英と奈津子の関係が判明すると腑に落ちる。
紗英は母親の奈津子に愛されていないのではないかと思っているようなフシがあるけど、最後、奈津子は紗英の罪をすべて被る。
ミステリー面では、紗英の夫殺しの真相より、紗英と奈津子の関係を曖昧にしている叙述トリックの方がメインと言っていいと思うけど、
夫殺しの真相が明らかになると、二人の親子の絆のようなものが見えてくる。
タイトルは、母から娘への想い。 -
なっちゃんこと奈津子と、紗英。
この二人は心底互いを信頼しあっている。
奈津子は我が子に「悪いものが、来ませんように。」(12頁)と祈り、紗英は子どもができないことを嘆いているという違いはあるけれど。
紗英は夫が浮気をしているのを知って苦しみ、なっちゃんに頼ることで自分を保っている。
なっちゃんも同じく、苦しみを分かつことで自分を保っている。
そう、その認識は良かった。良過ぎた。
だから騙された。
これ以上は言えない。全ておじゃんになってしまうから。
とにかく二人は本当に互いを大切に思っているので、どちらからともなく、紗英を苦しめる紗英の夫、大志を二人で殺害した。
皆が二人をちょっとおかしい、近すぎるという。
近過ぎたから、二人は、「一人として」大志を葬った。
この二人の近すぎる距離は気味の悪さ、居心地の悪さを感じる。
二人が縛られた、「子は親を選んで生まれてくる」という言葉、これは救いであると同時に呪いの言葉だった。
このたった一言を支えとしたい母親は、あるいはそうであろうとする人間は、なんてバカなんだろう!
でも、願わずにはいられない。
「この子のもとに、幸せばかりが待っていますように。悪いものが来ませんように。」(255頁) -
★3.5
かわいそうな子。この子は、母親を選べない―。
ボランティア仲間の輪に入れない、子育て中の奈津子。
昔から、友達を作る事が出来なかった…。
助産院の補助の仕事をしながら、不妊と夫の浮気に悩む紗英。
二人の異常なまでの密着…。
そして、紗英の夫・大志が殺されて埋められていた…。
最初のプロローグから不穏な気配が漂っていた。
主に二人の女性奈津子(なっちゃん)と紗英の視点で進められる。
なっちゃんは紗英にどうしてそこまで尽くすの…?
紗英に見付からない様に家を覗くの…?
大志が死んだと気付いて、遺棄までするの…?
違和感や沢山の謎が、真実を明かされる迄、全く気付かなかった。
なっちゃんと紗英は親友だと思ってた。
母娘だったなんて…。
母娘だとわかって、あーなる程だからなのねって思えた。
伏線も至る所に散りばめられていた。
ラストの大どんでん返しには、気付いてしまっていました。
私にとっては、大どんでん返しではなかったです(p・Д・;)アセアセ
奈津子は母の顔色を伺って嫌われない様に生きて来た。
自分が母親になった時、母を反面教師として
母の様な母親にならないように、育てたつもりが、
紗英も結局、母親に認められたかった。
褒められるのが嬉しくて、気に入られる様に生きて来ただけ…。
母と娘の関係って本当に難しい…。
「母」になりきれない母親たち・一卵性母娘・共依存…。
テーマはとっても、良かったです。
著者プロフィール
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