悪いものが、来ませんように (単行本)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 485
感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041105245

作品紹介・あらすじ

子供にめぐまれず悶々とした日々を送る紗英、子育て中の奈津子。誰よりも気の合う二人を襲った事件とは−−。『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞、気鋭の第2作!

感想・レビュー・書評

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  • 読み始め...友達!?と思っていた関係性は、母娘でした。すっかり騙されて途中、また読み返しました。
    友達親子ってどうなんだろう?って思うけど娘を思う母の気持ちは、やっぱりかわらないんだなぁと涙が止まりませんでした。
    読み終えてみてタイトルがしっくり来ました!

  • 芦沢さんデビュー二作目。
    個人的にも思い入れがかなり強い作家さんなので4点+1点で5点。
    今作は勢いのある人間ミステリ。全作の流れをついで、作風は湊かなえさんのような、女性同士の複雑な依存確執や善意悪意を描いているけれど、湊さんのようにたんに露悪的なんではなく、冷静にクリアにキャラクタの物語として多面的に語られていくので、湊さん苦手派(という名前をつけてみる)の自分でも絶望的な気持ちにならずに読めました。

    ミステリの軸は、いっけん散漫におもえるふたりの女のありがちなけれど切実な悩み…不妊、子育て、夫の不倫。女の依存と反発。
    そして、彼女らのその生い立ちと、身内との確執(、そして殺人)。
    それらが、みごとに重なりあうところが、圧巻なのでしたが、帯で貫井徳郎さんが「このトリックには身につまされることも多いのでは?」と書いてあるのを
    (…身につまされるトリックって何だよ表現おかしくないか)
    と思っていたらまったくおかしくなかったのが、非常に面白かった。
    この、無知、甘え、そして必死の優しさの独りよがり。
    「悪いものが来ませんように」
    ええつまされるとも。

    個人的にはこのミスとかに載ってみんなが知るといいのに…。面白いよ。
    そして好みの問題だがファンタジー的なものも書いてくれないかなと思って期待を少し。架空の世界での「彼女たち」がみたい。

  • フォロワーさんの本棚でみつけて図書館予約
    この「だまされた感」が魅力なんだねえ
    え~!って脱力したもの

    でもちょっと私には合わなかったみたいです
    あざとい感じがしてしまって

    ≪ 依存して 家族・友人 でも自分≫

  • はい、見事に騙されました。

    まさかこんな仕掛けがあったとは…。
    あわてて読み返しです。

    ネタバレになるといけないので少しだけ。

    子育てに悩む奈津子。
    不妊の悩みを抱えながら助産院で働く紗英。
    この二人が気味が悪くなるほど仲良しで。
    そして浮気をしていた紗英の夫が殺される…。

    たとえこんな驚きの仕掛けがなくても、
    十分に読み応えのある内容でした。

    立ち込めるミルクの匂いが痛くせつない一冊。

  • またまた、あー、しっかり騙されてる。二度見しちゃいました。人間関係は家族、夫婦、親子、兄弟、親友、どれも絶妙な関係で成り立ってるかもしれない。ここでは夫、父、パートナーとしての男性像の描写がほとんどない。書かれているのは、表面的な部分だけで全員がクソ男に感じました(^_^;)そこに女性だけの、はたからみると異様なまでの女の関係を強調しているように感じました。

  • どんでん返しに関しては☆5!!!
    これは分からなかったー!
    母としてのあり方や不妊に悩んでいた身からすると心が重くなりながら読んだ。心の描写が良く、登場人物に共感できた。

  • なっちゃんこと奈津子と、紗英という二人の女性。
    「ちょっとおかしいんじゃない?」と思うほどの仲の良さに違和感があったのですが、なるほどそういうトリックでしたか。
    紗英の夫の死の真相が解明される終盤からは、何かに背中を押されるように読み切ってしまいました。
    何でも話せる、親友のような母親。
    そうなろうと無償の愛を注いできたはずなのに、二人の関係はどこでどう食い違っていったのだろう。
    なんだか他人事ではないような気がした。
    私もまだ柔らかくあたたかくてふにゃふにゃの長女を抱いたとき、幸せばかりが待っていますように、悪いものが来ませんようにと、強く祈ったときのことをよく覚えています。
    その切実な想いが分かるだけに、もやもやしたものが消えないラストだった。
    母と娘というのは本当に難しい。

    湊かなえっぽさもあるけれど、こういうミステリ好きです。
    芦沢央さんのほかの作品も読んでみたい。

  • ホラーなのかと思ってた
    ミステリーかと思ってた
    違った
    自分も悩んだ母と娘の関係
    読了後、なぜか涙が出てしまう
    胸がいっぱいになってしまった
    みんなの感想はどうなんだろう

  • 依存し合い洗脳状態にある昔からの女友達の話かと思いながら読んでいてびっくり!一卵性母娘と呼ばれるお友達母娘の話。

    母はひたすら娘のために…と生きているのだけど、娘はそれに依存してしまい自分で物事を判断できなくなってしまう。毒親、と呼ばれるもの。自分の子育ても考えないとな。

    面白くて一気読み!

  • 何が悪いものかを判断するのは本当に難しい。
    自分のことも分からないのに、他人のことなんてわかるわけもない。
    憶測だけが広がる。お為ごかしが蔓延する。
    人の悪意ばかりが増幅される。
    そんな気持ち悪さ。
    彼女は何に怒ってるんだろう。
    自分の人生か。
    彼女だけが、一番分からなくて、一番分かりやすい。

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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