- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041105740
作品紹介・あらすじ
全てに無気力な私が拾った小さな蟹。何でも食べるそれは、頭が良く、人語も解する。食事を与え、蟹と喋る日常。そんなある日、私は恋人の女を殺してしまうが……。私と不思議な蟹との、奇妙で切ない泣けるホラー。
感想・レビュー・書評
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第20回日本ホラー小説大賞の優秀賞。表紙のイラストがかわいい。
タイトルと表紙から、この青年の脳みそがカニが食べられてカニ人間になるのかと思いきや全然違いました(笑)
海で拾った蟹を面白半分で部屋で飼育することにした主人公の青年と、生きるためになんでも食べる蟹の奇妙な共同生活の物語。
ある日、ちょっとした口論で付き合っていた彼女を殺してしまった青年は、死体処分に困り「蟹、食べるかな?」と蟹を連れて行ったところ・・・!!
それがきっかけとなり、夜な夜な1人と一匹(?)は人間狩りにいくことに・・・。
蟹の食べる姿を見て喜ぶ青年と同様に、読んでいる方も蟹に愛着がわいてくるのが怖い。とても恐ろしいことをしているのに。
でも恐怖感はほとんど感じず、ホラーというよりも奇妙な話だなぁという感想。
それは蟹が残虐な方法で殺さないからなのかもしれない。蟹にとっては生きるために食べているだけだから。
そんな蟹にもポリシー(?)があるようで、○○は食べない。らしい。
「泣けるホラー」とのことですが、泣きはしないまでも読後は切なくなりました。
それにしても…人間の肉団子って想像がつきません((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
今度蟹を見つけたらお食事風景を観察してみたいです。
同時収録の描き下ろし「百合の火葬」は冗長で飽きてきて流し読み…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表題作がめちゃくちゃ良かった。ちょっとグロテスクなので読み手を選ぶかもしれないけど、グロテスクと切ないのを両立してるってすごい。蟹が好きです。
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切ない系ホラー。表紙の絵が好きw
そして、この作家さん・・・どうも女性っぽい感があるな~~っと思いながら読んでたけど、ホントに女性だったのねっ!!!ww -
シュールですゎ
ことなかれ両親に育てられた
テキトー感覚のパラサイト息子が、むかつく。
拾った蟹から「生きる」ことの意味を教わる。
ったく、と思いつつも面白かった。
ラストは蟹に喰われてしまえと思ったもんだ。
蟹って美味しいよね。
年に一度は食べ放題の死んだ蟹と格闘しています。
だけど、この蟹は食べたくないな。
いい奴だから。 -
なんだこのB級映画並みな内容は、と最初は思ったものの・・・
蟹と主人公の関係性がだんだんと愛しくなってきて。
最後は、あ~そうなっちゃうのね、仕方ない事なんだけど切なさがあって、なかなか面白かったです。
「百合の火葬」は、気持ちがついて行かず不思議な話でした。 -
「かにみそ」食人が題材だがホラーとは感じなかった。主人公のニートの男の子の繊細で優しいけど臆病な心と、拾われた蟹の理知的で、なおかつ人間の心との溝があるようなないような、危うい距離感にハラハラさせられた。「百合の火葬」切なくて苦しくなる気持ちを呼び起こされた。親、子供、友人、と人は色々な立場の中で大切な人を失い、気持ちに折り合いをつけようともがく。清野の正体は私には意外だが良かった。
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蟹は想像上の産物で、本当は主人公が人間を喰ってた。ってとこまで先読みできました!はさみを2本持ったガニ股の殺人鬼。横歩きで目は血走り泡を吹く。いかにも仮面ライダーとかに倒されそう。違ってたけど。はさみ男。欠損フェチ。カニバリズム。美食倶楽部。かに道楽。キャンサー・イン・ザ・ダーク。
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泣けるホラーの帯通り、本当に胸が苦しくなりました。
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発想が本当にすごいと思ったけど静かに確実に心を抉ってくるものがあった…。
結局あの蟹は何者だったんだろうな。
いや何者でもないのか。
とりあえず今後しばらくは蟹を見たら複雑な気持ちになりそうです。
倉狩聡の作品





