- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041106099
作品紹介・あらすじ
梨園の御曹司にして絶世の美男・藤村霞右衛門に待望の跡継ぎが生まれた。桂と葵、男女の双子だ。大名跡を継ぐ男子としてもてはやされる桂。だが真に父の才能を受け継いでいたのは娘の葵で……。父と子の葛藤の物語!
感想・レビュー・書評
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歌舞伎の名優の子に生まれても、才能があっても、女の子は歌舞伎役者にはなれない‥
才能のある勝気な女の子の奮闘。
俳優・藤村霞右衛門(風間京二郎)は、歌舞伎のみならず映画やテレビでも成功した何拍子も揃った大スター。
突如見合い結婚し、生まれた双子を可愛がるようになる。
というか、跡継ぎの男の子のほうには厳しく、女の子のほうを溺愛。
無条件に愛することの出来るのは、娘だけだった‥
皮肉なことに女の子の葵のほうが、演劇の才能があったのです。
子役は女でも舞台に立てますが、それが出来なくなる日が来ました。
納得できない葵に対し、父とその親友?皆川翔十郎(柳沢凱史)らは葵が女優になることにも(身を案じる溺愛のあまり)あくまで反対して、バトルが続きます。
芸能界でも力のある父親らに望みを叩き潰されながら、それでもいつしか活路を見出していく葵。
歌舞伎俳優仲間が何人も登場して、特殊な世界のきらびやかさ、厳しさ、濃密さを垣間見せる印象的な展開。
モデルはあるのか?どこの一家の誰なのか‥?
と気になりましたが、該当者なし(笑)
人柄や芸風が違うし、これがモデルというのだったらちょっと失礼でしょう。
いまどき、女優になることをこんなに反対するかなという気も。
とはいえ、ポンポン話が進むようなキャラ設定で、ぐいぐい読ませるストーリー。
むっちゃ面白かったです☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歌舞伎ものだーと思って何の知識もなしに読み始めたが、はじめの10頁くらいでどうも肌合いがおかしいなと思って、何度もリタイアしようかと迷ったけれど、意地で読みきった。
後からググってみると、いわゆるボーイズラブ作品の続編だったようです!こちらは男色の要素こそなかったものの、光源氏みたいな美貌の歌舞伎役者が甘い言葉を耳許で囁いたり、いつも優しい従兄が突然荒ぶってドキッとしたり、そこに「なんちゃら流宗家」とか「なんとか家御曹司」といった言葉が華やかに散りばめられて、うっとり…してほしいんだろうな、という感じの本でした。少女漫画的な。妄想小説的な。私は梨園の何を知ってる訳でも何でもないんですが、それは違うだろう感が半端なかった。(違うかどうか知らないけどさ)
少なくとも私がここ数年好んで読む小説とは根本的に違ったタイプの小説なのだな、というのは途中からはっきり感じていたけれど、同じ日本語の本だというのにこの違いはどこから生じるんだろう?セリフ回し?そこんところを追及したい気持ちもあって最後まで読んでみたものの、今すぐ言語化できそうにはないなあ。 -
葵ちゃんの演技への夢を、全力で、全身全霊で阻止してくる父親には衝撃的だった。梨園の女の子って生きづらいなぁ。才能を決して活かしてはいけない場所だなんて、皇室か梨園かなんだろうな。
帯に「芸の鬼に取り憑かれた、梨園の父娘ふたり。その愛と葛藤」ってあるけど、ほんとまさにこれ。異常なまでの溺愛と狂気の葛藤。特殊な世界で生きる怪物たちの生き様を見せつけられた。
伝統芸能を継承していくって大変だね。頭が下がります。 -
とっても面白かった!ワイドショーなんかで取り上げられる歌舞伎役者の皆さんがなんであんなに華やかで人騒がせで、にやけてるのかよくわかりました(笑)
でもあのにやけた裏側にはこんな厳しい世界があって、波乱万丈で、なかなか大変そうだ・・。
そういうおうちに生まれた人たちは、気の毒だなあと思ったこともあるけど、こうやって自分の宿命を受け入れていくんですね。
300ページくらい、「これ、双子である意味あるのか?そして桂くんいてもいいけど、いなくてもよくない?」と首をかしげながら読み進めていったけど、ごめんなさい!超必要な設定だった!
この小説の本当の主人公は誰だったんだろう。
葵ちゃんの派手な活躍はもちろん面白かったけど、地味に桂くんもしっかり成長したし、それを取り巻くおじさんたちもさらに一皮むけた感じだし。
登場人物全員がイキイキとしてて、くっきり存在感があってよく作りこまれている小説でした。 -
面白かった。
歌舞伎の世界だ役者の世界だなんだ、って、確かに変わった世界なんだろうけど、その世界や周りの力に負けないで自分の道を切り開こうとする逞しい女の子の物語。葵をひたすら応援したくなる、そんな感じです。 -
葵ちゃんの役者としての天才的な才能や、自分で見つけた道を真っ直ぐに進む姿が活き活きとして素敵。
京二郎の異常なくらいの葵への溺愛ぶりもおかしくて微笑ましい。
娘への愛情を初恋に例えるなんて、なんか切ない気持ちになる。
父親は皆、そうなのだろうか。
私達にはよくわからない歌舞伎の世界を雰囲気だけでも堪能できて楽しかった。 -
歌舞伎俳優 藤村霞右衛門(風間京二郎)の双子の娘・葵が歌舞伎の世界での様々な柵を乗り越えて成長していく物語だが、双子の一方の桂の弱々しさが気になった.同じ歌舞伎俳優の皆川翔十郎(柳沢凱史)や日本舞踊の風間峻が取り巻きとして、葵を盛り立てたり、あるいは蹴落としたりするドタバタが面白い.最後の場面の舞踊発表会で京二郎親子が踊る「連獅子」の開演が迫る中で、失踪した桂を待つ葵が決断するまでの緊張感の描写が素晴らしい.
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20140413
リアリティがあると逆に怖いので、これくらいのファンタジーっぷりがいいのかな、という印象。
ともかくも、作者の歌舞伎へ対する愛情を感じた。
設定も細かくしてあって、物語中で変なとこはなかった、と思う。
ちょっとめんどくさいけど…
話の流れは、題名とあらすじで結末までほぼわかるから、サイドストーリーやそこまでどうもってくかが楽しいタイプの話と思って読んでた。で、なんていうか、桂の方が気になってしまった。才能ある方よりもない方がどうやって折り合いつけていくか気になるじゃないですか。とか言って。
ついでに言えば、歌舞伎の舞台から外されている"女"が主人公なので、歌舞伎の演目や稽古はあんまり出てこないんだよね。わかってたけど。笑
で、なんか変だなと思いつつ途中で気づいたのだけども、なるほど、これは続編で、前作は『花に舞う鬼』という作品だそうだ。
本文で暗示されていた何かはそこに書いてあるのだな…と納得。なんのこと?となる部分もあるけれど、本編そのものを楽しむには支障はなかった。
前作は凱史と蛍一郎と京二郎と瑛がメインの話らしい。
で、今作品は、その京二郎が結婚してできた娘を巡る話となっているわけで、そうか、皆がことあるごとに言う蛍一郎が前作ではたっぷり出てくるのね…
読むかどうかはちょっとわからないけど気に留めておこう。
著者プロフィール
東芙美子の作品





