眠りの庭 (単行本)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 405
感想 : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041106129

作品紹介・あらすじ

白い肌に、長い髪、そして細い身体。彼女に関わる男たちは、みないつのまにか魅了されていく。そしてやがて明らかになる彼女に隠された真実。2つの物語がひとつにつながったとき、衝撃の真実が明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • 「アカイツタ」、「イヌガン」の2編から成る作品。

    高級住宅の並ぶ丘の上に建つお嬢様高校に産休代理の美術教師として赴任してきた萩原。
    美術部の顧問も任されることになった萩原は、美術準備室に転がる卒業生の作品の中に気になる自画像を発見する。
    だが、その絵を描いた生徒はもうこの世にはいないという。

    自宅に持ち帰り眺めるくらいその絵に捕われ始めた矢先、亡くなった生徒の代理で絵を受け取りに来た人物は絵の中の少女その人物だった。
    しかも聞けば、この学校への赴任に口利きしてくれた、大学時代の恩師の娘。
    こうしてファムファタル(運命の女)に出会った萩原は、いつしか彼女に溺れていくことになる。。。

    という「アカイツタ」。

    導入部の不穏な空気感、いわくあり気な残された絵画という設定に引き込まれたものの、「アカイツタ」そのものは正直、次第にアウトローぶった萩原の身勝手な言動が鼻についてくるし、何かちょっと非凡な境遇に陶酔しているかのような肉欲的な展開が好みでなかった。
    けれども、「イヌガン」に入り、「アカイツタ」は魔性の女の物語のためのただのお膳立てに過ぎなかったことに気づかされたとき、評価はがらっと変わった。

    怖い、怖すぎる。

    しかも”信じられたら変われない。かえって重荷”とか”人の心は無理に暴いてはいけない”とかある意味真っ当な理論を吐き出しながらの展開だけに、真意が掴みきれず余計に怖い。
    欲を言えば、最後完全にそっち側に振り切って欲しかったなぁと。

    全体的な読後感として、とあるABサイドを描いた恋愛ミステリのホラー色強め、大人感強め、という印象を受けました。

  • 初めましての作家さん。
    この本を手にしたのは、先日の「新井賞」の影響です。
    『男ともだち』を読みたかったのですが、まずは手に入ったこちらから。

    なかなか読み進めることができない。
    正直、あまり好みではなく…

    『男ともだち』への気持ちが薄れていく…

  • すごい世界観、恋愛観。
    千早さんの筆力に圧倒されます。
    恋愛モノは好きではないのですが、千早さん作品は、恋愛という枠を超えた、情念を巧く描いていて、読み始めるとすぐに千早ワールドの住人になってしまいます。
    女に囚われる男も、様々なパターンが描かれています。女性作家の描く男性像、私は唸らされますが、実際の男性が読んだらどうなのか知りたいところです。
    2篇収録ですが、連作と知った時は衝撃が走りましたσ(^-^;)
    読み応えはありましたが、千早作品でなければ読まないであろうモチーフだったので、☆3つ。

  • 千早さん好きなのですが、ちょっと入っていけなかったです。狂気…ファム・ファタール。

  • 読了後に最初のページを見るとゾクゾクが止まらない。怖い話は苦手だけど千早さんの文章なら手が勝手にページを捲ってしまう。”狂気”と”赤”が似合う一冊。

  • *白い肌に、長い髪、そして細い身体。彼女に関わる男たちは、みないつのまにか魅了されていく。そしてやがて明らかになる彼女に隠された真実。2つの物語がひとつにつながったとき、衝撃の真実が明らかになる*

    「アカイツタ」「イヌガン」の二編からなる物語。続き物と知らずに読んだので、「イヌガン」の途中で二つの物語が繋がっていることに気付いた時の衝撃…!そこからは、完全に堕ちました。全てを奪う、捧げる、祈る、忘れる…いくつもの複雑な形に絡み合う「愛」と、その闇に絡めとられるような苦しみ。緻密で独特の世界観と、そこここに敷かれた伏線を確かめるために、何度も読み返してしまう。「僕は記憶喪失になるよ」が心に染みる。

  • 千早茜さんの文章が好きだったのですが、これはもう、ひたすら湿度が高くて仄暗くて、正直ちょっぴり苦手でした。

  • リアルな表紙にゾクっとして、
    二つのお話をゾクっと楽しんで、
    余韻に浸れました。

    美術な話とかはまったく縁がないので、ゾクゾク度は私のなかでは高まりますね。

    また探してこよう。

  • 怖いものみたさ。
    怖いけど読み進めたい、
    知りたいけど、知りたくない、
    そんな物語。

  • 表紙が好きじゃない
    でも漂う倦怠感は出てるね
    読後感が重いのは好きじゃない
    でも惹かれるね
    うまいんだろうね

    ≪ うっそうと 繁る庭木で 覆われて ≫

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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