- 本 ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041106280
作品紹介・あらすじ
注目を集めるブラック企業問題。無謀な雇用体制の裏で、犠牲となる若者たちがいる。現場の声を聞き続けるNPO法人POSSEの事務局長が、問題の構造とブラック企業がはびこる原因を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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開発目標8:働きがいも経済成長も
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac.lib.setsunan.ac.jp/iwjs0021op2/BB99584431詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今野氏の考え方をあらためて解説したような内容。新しさ感じられない。
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サイト:ブラック企業の見分け方
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ブラック企業によって若者が犠牲になった事例を交えつつ、日本の労働者が「働きすぎ」てしまう構造を解明している。特に問題なのは、人事評価が「人格的評価」であることだとしている。また、日本型雇用を支える制度的要素も「働きすぎ」を前提にしたものだと指摘している。
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若年過労死。
クソ安い給料でこき使われた労働対価を我々は享受しているわけだからブラック企業の共犯者といえないこともない。 -
年1000件以上の相談に応じるNPO邦人事務局長が書く若年層雇用状況の実態。
「働き過ぎ」をキーワードに当たり前になっている日本の働き方を問いなおす試みがテーマとなっている。
働き過ぎは労働者の協力なしには成り立たないとし、なぜ働き過ぎに加担してしまうのかを問いただす。
ブラック企業を中心として心身を壊すまで働かされている人の実態、状況の紹介。
働き過ぎを追認する日本の法制度。
どうすれば悲劇が起こらないようにできるかの考察。
といった内容。
やや恣意的な意見と思うような所もあるが、単に劣悪な環境で働かされている人がいるって話で終わらず働き過ぎが建前としては規制されているが実際は容認されている状況が詳しく説明されている。
労働組合が実質的に経営の都合に合わせて動くといった話から、正社員雇用が白紙委任状にサインをするようなもの、実際は最低賃金ラインギリギリ設定なのに誤読を誘うようなみなし残業や固定残業代の制度など様々な「働き過ぎ」を追認する話を見ると自分の身は自分で守らないとどうしようもないと思わされげんなりする。
このような雇用状況は当人だけの問題で済むことではないし、個人で解決できる話ではないという意見に深く賛同させられる。 -
長時間労働から,過労死に至る労働問題を中心に論じている。「過労死」の対象は,少なからず「家族のいるお父さん」がなっているというイメージがつきまとうという点にははっとさせられた。実際には,20代・30代のおよそ健全な働き方をしていれば,脳心疾患にはなり得ない若者の過労死も増えているという指摘が鋭い。参考文献もたくさん挙げられていてこの問題を深めていくための入り口としてとても良い本だと思う。
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自分の職場に引きつけて考えた。
自分の職場はブラック企業ではないなと思ったけれども、友人たちの一部(多く?)をみていると、「働きすぎが当たり前の日本社会」というのはそうだな、と思う。この本を読むと、どうしてそうなってしまっているのか、構造もよく分かる。若者が働きすぎを受け入れている、たしかにそうだけれども、そうせざるをえなくなっている構造が、わかる。「いやならやめればいいじゃないか」という理屈だけでいかない、非常にいきづらい構造。
裁判所の判断についての指摘は、じぶんがした判断ではないけれども、耳が痛い。
最終章の「現在可能な対策」は、そうした構造も踏まえた上での穏当な、しかしできうる限りの対策だと思うし、長期的な提言も、なるほどと思う。 -
予想していたより、だいぶ勉強になった。
感情的に批判するというものではなく、
定量的かつ背景まで含めて、なぜブラック企業が存在するのか?なぜ良くないのか?を丁寧に説明している。
自分自身、結構なハードワーカーであるし、ブラック的な企業にも身を置いたことがある。
「俺のほうが働いている」、「嫌なら辞めれば良い」という意見も分かるものの、やはり行き過ぎないような最低限の基準は必要なのだと思う。
特に、単純労働や肉体労働的なものに関しては。
確かに、20年近く育てた若者をぶっ壊すようなのことは社会にとって損失だよね。
悩ましいのは、もはや競争は国内だけじゃないってことかな。やりたい奴はとことんやればいいが、そうじゃない人に強要してはいけないってことか。
まぁ、そうするとフリーライダーが出てくるとは思うものの、万能な制度はないという前提で、運用でカバーということだろうか。
個人としては、ブラック企業に陥らないようようなキャリアを築く、それは能力だけではなく、タイミングも。
政策としては、出口での規制をしつつ、大前提となる雇用慣習を見直すべきだろう。
著者プロフィール
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