愛の国

  • KADOKAWA (2014年2月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784041106877

作品紹介・あらすじ

満開の桜の下の墓地で行き倒れたひとりの天使――。昏い時代の波に抗い鮮烈な愛の記憶を胸に、王寺ミチルは聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。愛と憎しみを孕む魂の長い旅路を描く恋愛小説の金字塔!

みんなの感想まとめ

愛と憎しみが交錯する旅路を描いたこの作品は、前作から20年を経て完結を迎え、深い感情の変化が感じられます。主人公ミチルの過激な生活や旅の描写は、読者に強い印象を残し、彼女の運命に思いを馳せさせます。物...

感想・レビュー・書評

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  • 彼女は記憶を失くして尼寺の墓で倒れていた。そこは彼女の最愛の女性の墓の前だった。
    世間は今、どうしようもない底なしの不況と、出世率の低下、そこからとられた同性愛者への政治的な迫害の凶悪化の真っただ中だった。
    彼女は彼女を愛し、彼女を愛した演劇の最中失った彼女の最愛の人と心中事件を起こした。
    その真実は何なのか。四国・スペインの巡礼を経てたどり着く愛の中のラストはとても優しく、静かな光に満ちていた。

  • 王寺ミチル様、、、

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    「満開の桜の下の墓地で行き倒れたひとりの天使――。昏い時代の波に抗い鮮烈な愛の記憶を胸に、王寺ミチルは聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。愛と憎しみを孕む魂の長い旅路を描く恋愛小説の金字塔!」

  • 私、中山可穂はもう、作品の出来とかどうでもいいんだ…。
    いや、決して作品をけなしてるわけじゃなくて、作品も好きで、でも彼女の場合は物語の向こう側、作者本人の気迫が、私の心臓を鷲掴みにするのだ。
    今回も、物語として無理のあるところもあったし、荒いところもあった、それでも一文字一文字に彼女の魂が込められていて、それがどうしようもなく胸を揺さぶる。
    更に今作は、同性愛者が迫害されるほんの少し先の未来の日本が舞台で、物語全体と後書きには、これが現実になりかねないという悲痛な恐怖に満ちていた。
    自身も同性愛者である彼女は、膨らむ不安に今作を書かざるを得なかったのだろう。
    社会性もあるこの作品も良い作品だ、けれど私は彼女の恐れが拭い去られ、最小単位の人の間の感情のやり取りだけにまた集中して書ける世界になることを強く願っている。
    彼女のファンとしても、偏見や差別のない世を望む一市民としても。

  • 前二作から20年後に書かれた三部作の完結編。歳月のせいかテイストがかなり変わっているものの、根底にあるものは変わっていないと思う。
    まあ世界観が合わない人もいるかもしれないけど。

  • 元より三部作にする とのこととはしらなかった。
    ミチルの過激な生活や旅をみるのも最後。

    姫野トオルには哀れみをそそられるけど、やっぱり苛付く。

  • 作者は自分の命と引き換えに、血肉を削りながら文章を編む人だと思ったし、あとがきを読んで確信した。あとがきを読んで少し泣いた。
    架空の設定をされた日本、安定することが出来ないミチルさんの運命。収容所の仲間がその後どうなったのか気になる。暗殺されたのかな。

  • [2014.04.21]

  • 久々の中山可穂。恋情の密度が濃過ぎて苦しくなる。こんな社会嫌だと思う一方で、今の日本は何かを間違えればこうなってしまう危険性をはらんでいる気がする。そういう警鐘をガンガン鳴らしつつ、こんな凄まじい形の愛を書けるとこがすごい。

  • これぞ中山可穂。
    あとがきにもあるように、「愛について、孤独について、旅について、何かを表現することについて、マイノリティの悲しみについて」全てが含まれていました。
    身を切られるような痛みを感じながら読み進めました。

    ミチルさん三部作完結。
    それでもミチルさんはこれからも生きて行くのではと私は感じました。

  • 設定には正直無理があるところもあります。だけどそれが気にならない、というかそんなこと問題にならないくらい人物の魅力と情景描写が凄まじく濃密です。処女作から読んでいるファンなら泣かずにはいられないでしょう。愛、芸術、旅、タンゴなどこれでもかと中山可穂エッセンスが詰まった上で、初期の作品には無かった救いのような包容もあります。参りました。

  • 本の感想というより、読んだ感想です。
    レビューでもないのであまりお気になさらず。

    ずっと待っていたのに、買ってすぐ読み始める事が出来ませんでした。
    ミチルさんの物語を待っていたし、それ以上に中山可穂先生の本を心待ちにしていました。
    読み始めたら読み終わってしまう。当たり前で避けられないそれがあまりに悲しくて、また待つ日々に戻るのも悲しくて、数日寝かせてしまいました。
    結局、一週間も耐えられなかったのですが。
    読み始めたらいつも通り、一日中本を掴んで他には何もせず、只管読みました。

    中山可穂先生の本で思う事は、いつも、私も恋をしたい、ということ。
    今回も例外ではなく、強くそう思いました。
    こんな、いつも同じく、だなんて感想は、ちゃんと読んでるのかとか、内容を汲んでるのかとか、自分でも思わずにいられないのですが…
    それでもいつも思ってしまうのです。恋をしてから死にたいと。

    駅の本屋にはベストセラー作家の新刊しか並ばないので(単行本は特に)、私は自宅の駅前の大きな本屋まで購入を我慢しなくてはいけませんでした。
    すぐ読むわけじゃないのに、一刻も早く中山可穂先生の本を手に取りたいと思いました。通販で買って届くのを待つなんて、考えられない事した。
    本屋で新刊の棚に「愛の国」の背表紙を見た時は、もう死んでもいいと思いました。読む前に死んだら、きっと後悔すると思うのに、矛盾しています。
    いつも、中山可穂先生の新刊が出ると、ああ、先生は生きてらっしゃるんだな、と心からホッとします。
    本の中の人物(とりわけ主人公たち)と、先生本人はもちろん違うでしょう。
    しかし解っていても、いつか、ふ、といなくなってそれきりになってしまうような、そんな気がするのです。
    こんな片隅で、ただ先生の本を好きだというだけの私ですが、先生の本が心の支えなのです。
    一人の、どうしようもない、何にもなれない私の、心の支えなのです。

    ミチルさんのように 死にたい。

  • 同性愛者を目の敵にした独裁政権下で,秘密警察やネオナチの横暴に屈しないで舞台で同性愛者の芝居を強行する王寺ミチルとその仲間の物語だが,魅力的な人物が数多く登場する.冒頭で記憶をなくしたミチルを手厚く介護し,四国の隠れ家への道をつけてくれた隈井静慧.体制側からの締め付けを打破しようと議員に立候補し,ミチルの助けで力を得た白鳥さやか.ミチルは四国遍路の道中で捉えられ収容所に送られるが,そこで会った野党党首の 春遠ひかり.ミチルはひかりの脱走に力を貸すことになる.政権への抗議でハンストを強行する静慧尼の説得役として収容所から出られたミチルは,尼の旧来の友人への伝言を託されてスペイン巡礼へ旅立つ.ミチルと稲葉久美子との芝居の場面の描写も素晴らしかったが,二人に事故の記述は真に迫っていた.久美子は死亡するが,スペイン巡礼で彼女の霊と同行するような場面も楽しめた.427頁の大冊だが一気に読破した.面白かった.

  • 気になっていた作家さんの一人で始めて読んでみました。ストーリー全体としては日本で起きている事件とは思えない展開で、ちよっと現実味がない感じです。同性愛については、人って異性にも同性にも好意を持つ感覚は同じで、そこから先にどう進むかで決まってくるんじゃないだろうか?
    どちらの性でも好意があるのが二人の関係の始まりだよね!ただし、同性だと親しくなってからブレーキがかかるのかもしれない。
    他の本も読んでみようと思う。

  • 面白いけどぐったりする。三部作だったとは気付かなかった。

  • 前作の内容を全くおぼえてないなーと思ったら20年ぶりなんだ…。中山可穂さんの本はいつ読んでも切なくてひりひりする。

  • 最新作。王寺ミチル三部作完結編です。『猫背の王子』『天使の骨』を読んだのが以前すぎてあんまり内容覚えてないですが、全然大丈夫でした。
    やっぱりすごい。この人より純粋な恋愛小説を書かれる方はたぶんいない。もし王寺ミチルに愛してもらえるなら、私もそっちの世界行ってもいいわ。

  • 王寺ミチル三部作完結篇を読んで改めて感じたこと、それは王寺ミチルを最も愛してやまないのは中山可穂その人だということだ。

  • 「猫背の王子」「天使の骨」に続く王寺ミチルシリーズ完結本。

  • 王寺ミチルさんが、記憶喪失になって帰って来ました。同性愛者が弾圧される世界で戦うミチルさんは公安警察に追われ、お遍路さんに扮し逃亡を図ります。収容所に入れられますが、機会を得てスペインに亡命。久美子さんを感じながら巡礼の旅をします。

    中山可穂さんが骨身を削り心血を注ぎ綴った文章をゆっくり味わい、愛の国を見せていただきました。ミチルさんが舞台を作るのと同じ情熱で、中山可穂さんは物語を描くのだと思います。好きな作家さんが生きて活動していて、新作が読める喜びを感じました。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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