愛の国 (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.11
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本棚登録 : 165
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041106877

作品紹介・あらすじ

満開の桜の下の墓地で行き倒れたひとりの天使――。昏い時代の波に抗い鮮烈な愛の記憶を胸に、王寺ミチルは聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。愛と憎しみを孕む魂の長い旅路を描く恋愛小説の金字塔!

感想・レビュー・書評

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  • 彼女は記憶を失くして尼寺の墓で倒れていた。そこは彼女の最愛の女性の墓の前だった。
    世間は今、どうしようもない底なしの不況と、出世率の低下、そこからとられた同性愛者への政治的な迫害の凶悪化の真っただ中だった。
    彼女は彼女を愛し、彼女を愛した演劇の最中失った彼女の最愛の人と心中事件を起こした。
    その真実は何なのか。四国・スペインの巡礼を経てたどり着く愛の中のラストはとても優しく、静かな光に満ちていた。

  • 王寺ミチル様、、、

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    「満開の桜の下の墓地で行き倒れたひとりの天使――。昏い時代の波に抗い鮮烈な愛の記憶を胸に、王寺ミチルは聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。愛と憎しみを孕む魂の長い旅路を描く恋愛小説の金字塔!」

  • 前二作から20年後に書かれた三部作の完結編。歳月のせいかテイストがかなり変わっているものの、根底にあるものは変わっていないと思う。
    まあ世界観が合わない人もいるかもしれないけど。

  • 元より三部作にする とのこととはしらなかった。
    ミチルの過激な生活や旅をみるのも最後。

    姫野トオルには哀れみをそそられるけど、やっぱり苛付く。

  • 作者は自分の命と引き換えに、血肉を削りながら文章を編む人だと思ったし、あとがきを読んで確信した。あとがきを読んで少し泣いた。
    架空の設定をされた日本、安定することが出来ないミチルさんの運命。収容所の仲間がその後どうなったのか気になる。暗殺されたのかな。

  • [2014.04.21]

  • 久々の中山可穂。恋情の密度が濃過ぎて苦しくなる。こんな社会嫌だと思う一方で、今の日本は何かを間違えればこうなってしまう危険性をはらんでいる気がする。そういう警鐘をガンガン鳴らしつつ、こんな凄まじい形の愛を書けるとこがすごい。

  • これぞ中山可穂。
    あとがきにもあるように、「愛について、孤独について、旅について、何かを表現することについて、マイノリティの悲しみについて」全てが含まれていました。
    身を切られるような痛みを感じながら読み進めました。

    ミチルさん三部作完結。
    それでもミチルさんはこれからも生きて行くのではと私は感じました。

  • 設定には正直無理があるところもあります。だけどそれが気にならない、というかそんなこと問題にならないくらい人物の魅力と情景描写が凄まじく濃密です。処女作から読んでいるファンなら泣かずにはいられないでしょう。愛、芸術、旅、タンゴなどこれでもかと中山可穂エッセンスが詰まった上で、初期の作品には無かった救いのような包容もあります。参りました。

  • 本の感想というより、読んだ感想です。
    レビューでもないのであまりお気になさらず。

    ずっと待っていたのに、買ってすぐ読み始める事が出来ませんでした。
    ミチルさんの物語を待っていたし、それ以上に中山可穂先生の本を心待ちにしていました。
    読み始めたら読み終わってしまう。当たり前で避けられないそれがあまりに悲しくて、また待つ日々に戻るのも悲しくて、数日寝かせてしまいました。
    結局、一週間も耐えられなかったのですが。
    読み始めたらいつも通り、一日中本を掴んで他には何もせず、只管読みました。

    中山可穂先生の本で思う事は、いつも、私も恋をしたい、ということ。
    今回も例外ではなく、強くそう思いました。
    こんな、いつも同じく、だなんて感想は、ちゃんと読んでるのかとか、内容を汲んでるのかとか、自分でも思わずにいられないのですが…
    それでもいつも思ってしまうのです。恋をしてから死にたいと。

    駅の本屋にはベストセラー作家の新刊しか並ばないので(単行本は特に)、私は自宅の駅前の大きな本屋まで購入を我慢しなくてはいけませんでした。
    すぐ読むわけじゃないのに、一刻も早く中山可穂先生の本を手に取りたいと思いました。通販で買って届くのを待つなんて、考えられない事した。
    本屋で新刊の棚に「愛の国」の背表紙を見た時は、もう死んでもいいと思いました。読む前に死んだら、きっと後悔すると思うのに、矛盾しています。
    いつも、中山可穂先生の新刊が出ると、ああ、先生は生きてらっしゃるんだな、と心からホッとします。
    本の中の人物(とりわけ主人公たち)と、先生本人はもちろん違うでしょう。
    しかし解っていても、いつか、ふ、といなくなってそれきりになってしまうような、そんな気がするのです。
    こんな片隅で、ただ先生の本を好きだというだけの私ですが、先生の本が心の支えなのです。
    一人の、どうしようもない、何にもなれない私の、心の支えなのです。

    ミチルさんのように 死にたい。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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