USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.13
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本棚登録 : 1429
感想 : 160
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041106976

作品紹介・あらすじ

ヒットメーカーが実践するイノベーション・フレームワークとは何か?ヒットが次々生まれるアイデア発想、4つの技法。

感想・レビュー・書評

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  • 良書 大変参考になりました。アイデアだしするのをすごいと思いましたが、理詰めで目的を達成するための方法をなんども思考実験をするところが、森岡氏の本当に怖いところだと思います。

    流れは以下です。

    ・目標について、本当に事業にのるかを、数字とトレンドで予測する
    ・目標に向けてやるべきことを段階的に整理する
    ・問題を整理して、目的を達成するための条件などを箇条書きにする
    ・妥協せず、顧客の目線から、サービスを検証する
    ・現場に何度も何度も言って、データの裏付けをとる
    ・決めたら、トップを説得して事業化を行うとともに、現場を説得して質のよいサービスを期日までに作り上げる

    構成は以下の通りです。

    プロローグ 私は奇跡という言葉が好きではありません
    第1章 窮地に立たされたユニバーサル・スタジオ・ジャパン
    第2章 金がない、さあどうする?アイデアを捻り出せ
    第3章 万策尽きたか!いやまだ情熱という武器がある
    第4章 ターゲットを疑え!取りこぼししていた大きな客層
    第5章 アイデアは必ずどこかに埋まっている
    第6章 アイデアの神様を呼ぶ方法
    第7章 新たな挑戦を忘れるな!ハリーポッターとUSJの未来
    エピローグ ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはなぜ攻め続けるのか

  • USJの業績が落ち込む中、社外からマーケティングの専門家として招かれ、V字回復させた、筆者のアイデア発想法。

    筆者はバリバリの左脳人間で、センスでアイデアを思いついているわけではなく、ロジカルにアイデアを生み出している。

    強いアイデアを生み出す確率を高める
    イノベーション・フレームワーク

    1フレームワーク
     ①戦略的フレームワーク
      考えるべきアイデアの必要条件を導きだす方法
      目的→戦略(必要条件)→戦術(アイデア)
      弱点:戦略を比較しただけでは、選択できない場合
     ②数学的フレームワーク
      ロジック
      足して100になる仮設を立てて検証する

     ●勝つためには何が「必要条件」となるのか見当がつくようになる。
     ●何を必死に考えないといけないかがわかるようになる。
     ●宝が埋まっている可能性の高い箇所を掘れるようになる。
     ●結果として良いアイデアをひらめく「確率」が向上する。

    2リアプライ
     世界中からアイデアを探す
     この世界中のどこかに、過去から現在に現在に至るどこかに、似たような問題に直面した人がいるのではないか?

    3ストック
     アイデアを思いつくには、そのアイデアにまつわる「文脈」のことをよく知っている方が圧倒的に確率を向上させる。蓄積された豊かな情報が「ストック」。「ストック」とは、そのポイントで釣果を上げるために有効な知識や経験などの「情報の質的・量的な蓄積」

    4コミットメント
     どれだけ必死に考えられるか。
     「良いアイデアを絶対に思いつくぞ!」という気力

  • 【星:4.0】
    限られた資金、時間という制約の中で、いかにして著者がUSJでのハリーポッター建設までこぎつけたかという奮闘経緯が書かれている。タイトルにある「後ろ向きジェットコースター」はその奮闘する中でのアイデアの1つであり、他にも数々のアイデアを生み出しヒットさせていったことがわかる。

    この本でよかったのは、そのアイデアを発想するための再現性のある方法が書かれているところである。アイデア発想とは閃きも当然必要だが、その閃く確率を可能な限り高めるやり方があることを著者は力説している。

    相変わらずこの著者の本は良い。

  • 2010年度〜2016年度のUSJの奇跡的なV字回復(というか、それ以上の✔️チェックマーク型成長)を成し遂げた最強マーケターの前半戦終了目前の2013年末に書かれた本。
    本人予言通り、2013年度に開業年度以来の入場者数1000万人を達成し、この後も記録を伸ばし続けて、2016年度には入社時の730万人の丁度倍の1460万人を達成し、勇退。ザ、プロ経営者という感じで惚れ惚れします。

    本人分析によると、決して天才肌ではなく、左脳型人間とのことですが、成功の必要条件を徹底的に詰めて、それに当て嵌まる具体的なアイデアはそれから考える、という手法は、合理的な筈なのに、目から鱗だった。あとは、成功するまでとことん執着する姿勢が素晴らしかった。著者は年代的には同級生なのだが、自分は甘いなあ、、が素直な感想です。

  • 答えば現場にある。

    アイデアはどんな時にふってくるのか。

    さんざん、歩き回り考え抜き
    そして眠りに落ちたとき夢の中で
    反対に走ってるジェットコースターを見る。
    昼間見た映像が、逆回転再生された。

    アイデアがふってくる瞬間というのは
    リラックスしているとき。
    やっぱ、緩急が大事。

  • かなり面白い

  • USJのCMO(最高マーケティング責任者)職にあった著者の、V字回復ヒット法則論。

    よかった点
    ・思いがけず懐かしさ満載。2010~2013年の戦績を元に書かれた本なので「あー確かにこんなこともあった」「このイベント傾向はこの辺りが原点なのか」と2022年現在までとつらつら比較をしながら読んだ。

    ・アイデア出し技術のひとつ「数学的フレームワーク」で「足して100%になるよう掘っていく」っていうのが分かるけど難しいなーと思った。いつも「○○を解決するには??」に対して「A案、B案、・・・」とか考えがちなので、当てずっぽにならないように仮説と反証を繰り返す癖をつけていきたいと思う。めっちゃ忍耐いるけど。

    よくなかった点
    ・構想は3段構え!と最初豪語していたけど「俺たちの戦いはこれからだ」的に最後フェードアウトしてありゃりゃ?と思った。全部をさらけ出すのを控えたのか、そこまで手が回ってなかったのか、ご自分の興味が独立経営に変わったためなのかその辺分からないけど、2014年と趣向は変わってなさそう(失礼)なUSJの宣伝を見てると最後はうまくいかなかったのかなーとちょっと残念。

    総評
    USJの年代記としても、著者流問題アプローチとしても、普通に面白かった。でも別著で作者のぶっ飛び具合を読んでたのでそこを更新してほしかったかも。
    あと1章で「日本人はどうしてリスクを怖れて何も変化を起こさないのか」の問いに対して「変化を起こす必要性を理解していないから」と答える場面で、「リスクをとってもリターンが見えないから」ってのもあるんじゃないかな、と思った。企業が挑戦しなければ生き残れないっていうのは真実だけど、会社が死んでも個人は他所へ移ればいいじゃない的な(もちろん鞍替え先に上限はあるが)。USJの考課体制は知らんけど、成果は会社がとって、失敗は個人にかぶせられる構造をしたままじゃ、なかなか普通の人は協力しづらいし挑戦しづらいだろうなあと。
    なんかマネジメント論っぽくなってずれちゃった。
    こういう内部体制の話は時間がかかるし繊細だし自分の思い通りにやりたい!って独立した著者の気持ち分かる気がした。この本にはどこにも何にも書いてないので完全に邪推だけど。

  • 【でない答えはない】
    前提条件を明確にすることは非常に重要です。

    制約がないとアイデアはでません。条件がないと何でもできてしまうので、頭を働かし知恵を絞り出す必要がなくなります。

    最近特に思うのですが、もうこれでもか!というぐらい考えた事柄については何か「ひらめく」ことがわかってきました。しかも、腑に落ちるアイデアが浮かぶのです。

    どうすればいいのだろうという問題に直面しても、集中して考えれば「何かでてくるのではないか」と思えるようになってきました。
    怖いものなしです。(←えらそーに)

  • クリティカルシンキングの講師からからご紹介をいただきました「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を読み終えましたので,感想をアップいたします。

    ご紹介いただいたのが,5月9日でしたので,二か月近くたってしまいました。なにをやるにもスロースタートなので(且つ終盤で追い上げるスピードもないw),俊敏さが今後の課題です。

    ただ,この本についていえば,CRTのDay6を終えてから読んだことにより,クリシンで学んだことを思い出しながら読み進められたので結果的によかったです。多分,受講する前に読んだとしても,本書の面白さに気付かずに,何も考えることなく読み終えててしまっていたことでしょう。

    先日の振り返りでも書きましたが,学んだことをどのように仕事に生かすか?が僕の最大の課題です。森岡さんはUSJを復活させるために,我々がクラスで検討したケースのごとく,現実の複雑な問題に対しても具体的な必要条件を明確に整理し,徹底的に考えている。この姿勢は少しずつ真似していきたい。

    ≪心に響いた言葉≫
    目的が正しいかどうか十分に時間を使って慎重に考えるが,それが正しいとしたら,できない理由をあれこて考えて目的自体を無理だと嘆くことに時間を使わないようにしている。必ずアイデアはあると言い聞かせる。

    アイデアは天才のひらめきではなく,発想法から生まれる。「奇跡ではない」

    森岡さんがUSJ入社面接で「人は何故テーマパークにいくのかわかるか?」と聞かせて,「私にはまだわかりません。しかしながら,私はその核心的質問の答えにどうやってたどりつくかを知っています」と答えて採用された。

    「3段ロケット構想」
    会社を飛躍的に成長させるために成功の確度が高いと思われる1つの戦略を構想するに当たり,熟考し,仮説をいくつかたてた。「飛躍的手段」は必ずリスクを伴う。しかし,会社を大きく成長させるためにはそれまでの構造改革的な制約からの大きなジャンプが必要になる。一気にジャンプが難しいのであれば,その間に階段を作り,確実に上っていくことを考える。

    1段目;弱点であるファミリー層強化

    2段目;遠方から集客できる「すごい何か」

    3段目:科学的経営管理法に基づいて効率的に運営するノウハウを複数の場所に展開して会社を大きく発展させる。


    ジャンル自体は人を感動させるという目的を達成するための形式(フォーマット)に過ぎない。1つのジャンルにこだわる必要はない。ジャンルではなく感動という点にこだわるべき。

    周囲に対しては「絶対に大丈夫!」とあえて断定口調でポジティブなメッセージを発する。その歩いている一歩一歩が正しいのだと思えないと自信をもったよい実行ができない。腹の底や弱気を周囲に悟られてはいけない。

    震災の自粛ムードを振り払うために必死で考えた。毎朝鏡に写る自分に「絶対になにかあるはずだ!それがお前には見つけられていないだけだ」と言い聞かせた。

    アイデアを考える際には必ず最初に目的を徹底的に吟味して定め,その次にアイデアが満たすべき「必要条件」を一番時間をかけて考える。そして必要条件を組み合わせて,より条件を絞って自分が必死に思いつくべきアイデアの輪郭をできるだけ明確に絞り込んでいく。

    価値を生み出すアイデアの切り口は経験上,ほとんどの場合は「消費者理解」の中に埋まっています。

    マーケティングをやる人間は何でも自分自身でやってみることを習慣にすべきである。マーケターは消費者目線を基本にしないとアイデアも戦略も判断も全てにおいて焦点がズレてしまう。最低限,消費者を理解しなければならない。

    ビジネスは戦略的に物事を考えて,自分の使うエネルギの焦点をまず見定めて,そこで成功確率を高めるための計算をあれこれするもの。しかし,計算で読み切れないことも実は多い。追いつめられて万策尽きたと思った時でもたとえ,計算上で勝算が立たなくとも本当に大切なことならば絶対にあきらめずに行動することで局面を動かせることがある。情熱が予想もできない局面を生むことがある。

    具体的な必要条件を明確に整理してから,よいアイデアを思いつくためにはどんなアイデアを思いつけばよいのかを徹底的に考える。

    目的が正しいかどうか十分に時間を使って慎重に考えるが,それが正しいとしたら,できない理由をあれこて考えて目的自体を無理だと嘆くことに時間を使わないようにしている。必ずアイデアはあると言い聞かせる。

    アイデアの神様の正体は「確率」。よいアイデアを思いつく確率を上げること。

    1)フレームワーク「何を考えなければならないのか?」
    どこに宝の山が埋まっているのかを予想をつける戦略眼。よいアイデアとはどんな条件を満たすアイデアか?それらの条件を組み合わせて,良いアイデアを探すにあたっての着眼点をどこに定めて考えるか。

    目的設定 → 戦略 → 戦術
    目的定義 → 持っている経営資源を何に集中すべきか?この選択が戦略であるが,戦略は生み出すべきアイデアの範囲を決める必要条件となっていること → アイデアとはこの戦略の延長線上で次に考えるべき戦術そのもの。

    戦略オプション同士を比べただけでは戦略を選べない場合にはこのFWはうまく機能しない。その場合には,具体的なアイデアまで考えて,実現可能性をかなりのレベルまで検証しなければ1つを選べない。現実的には資源の許す範囲で多くのオプションを検討することはよくある。その際には決める時期も重要である。

    数学的FWとはロジカルに頭を使うことで正解にたどり着く確率が高くなる。(MECEの考え方)


    2)リアプライ
    FWで考えるべきアイデアの必要条件が明確になったら,最初に世の中に目を向ける。この世界のどこかには過去から現在に至るまでに似たような問題に直面した人がいるのではいか?と疑ってかかる。そうやって外に情報を求める意識でレーダーを張っておくことが大切である。自分の考えるべき課題に対応するアイデアを外から見つけたとしても,そのままコピーできる場合は少なく,戦術的なエレメントは修正していかなければならない。

    3)ストック
    知識を蓄えること。気が付かないことは考えられない。
    チームとしてストックを蓄えることも重要。

    4)コミットメント
    どれだけ必死になれるか。
    考え付くまで考え抜くことが大事。
    Seek Betterに執着できるようにならないと,会社の将来は危なくなる。日本人はチャレンジせずにずっと豊かで安全に暮らしてこれたから,日本人は安全志向が過ぎて,新しいことにチャレンジしないのだ。
    最後のビジネスの結果はエクセキューションで決まる。

    守りに走って何もしないことは短期的には安全のように見えるが,長期においては問題を先送りするだけで,もっと大きなリスクを背負うことになる。会社が体力があるうちに長期成長につながる太くまっすぐな戦略の道を,今こそリスクを取って踏み出すべき。体力がなくなって大きなリスクを背負うか,じり貧になってゲームオーバーとなる。今バットを振らなければ,この先も決してバットを振ることはないだろう。逃げるのであれば自分がいる意味がない。

    中小企業や業界で2位以下の企業は生き残るために攻め続けて勝ち続けるしかない。

    今よりも良い結果(違う結果)を出すためには,違うことをやるか違うやり方をするしかない。常に変化し続けなければ生き残れないのに,変化を起こしてはダメなのです。変化の最大の敵は現状への満足である。

    大企業であれば,事業ポートフォリオを組めるが,中小企業ではそうではない。経営資源が少ない企業はまず一番大事な部分に資源を集中しなければならない。だから小さな会社は大企業よりも頭を使って考えなければならない。より戦略的でなければならない。生み出されるアイデアの質もスピードも大企業よりも優れていなければならない。資源で勝てないのであれば知恵で勝しかない。

  • 勤務先で推薦されていたビジネス書。外資系やり手ビジネスマンのお話。筆者は私と同じ年である。主題は発想法ということになっているが発想法としてはあまり目新しく無かった。(大きな)目標を立て、(考えぬいた)戦略を立て、(死ぬ気で)実行する、というただそれだけを必死にやって、USJを立て直した話。教科書どおりだが、それをやり切ることが、いかに難しくて、やったら結果につながるかが、USJという身近なパークを通じてよくわかる話。我が身を振り返えると、目標小さいな、とか、あんまり考えないでエイヤーで戦略立ててるな、とか、そんなに必死になってないな、とか思う。

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著者プロフィール

株式会社刀 代表取締役CEO

「2020年 『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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