USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.16
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本棚登録 : 960
レビュー : 127
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041106976

作品紹介・あらすじ

ヒットメーカーが実践するイノベーション・フレームワークとは何か?ヒットが次々生まれるアイデア発想、4つの技法。

感想・レビュー・書評

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  • 勤務先で推薦されていたビジネス書。外資系やり手ビジネスマンのお話。筆者は私と同じ年である。主題は発想法ということになっているが発想法としてはあまり目新しく無かった。(大きな)目標を立て、(考えぬいた)戦略を立て、(死ぬ気で)実行する、というただそれだけを必死にやって、USJを立て直した話。教科書どおりだが、それをやり切ることが、いかに難しくて、やったら結果につながるかが、USJという身近なパークを通じてよくわかる話。我が身を振り返えると、目標小さいな、とか、あんまり考えないでエイヤーで戦略立ててるな、とか、そんなに必死になってないな、とか思う。

  • ☆5(付箋21枚/P253→割合8.30%)

    夏休み突入でUSJに行かれる方、羨ましい。

    USJのマーケティング最高責任者森岡氏のUSJストーリィ。
    森岡氏はアイディアマンとして認知されていますが、本人としては四角い頭の数字が得意な人だそう。

    “疲れた心をベッドに転がして、いつものように何かアイデアはないかと考えながら、私は眠りに落ちていきました。すると夢を見ました。ものすごく鮮やかなカラーの夢を久しぶりに見たのです。その夢の中で私は見てしまったのです。
    ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドが走り抜けたあの昼間の映像が、逆回転再生されているシーンをまじまじと見ていたのです。”

    そのアイディアの質と量が凄いのですが、アイディアを考え詰める前に、「どのようなアイディアを思いつくべきか」徹底的に考えるという戦略性、マーケティング力こそが武器で、その解説がとても深い。方向がきちんと定まって、アイディアに必要とされる要件が確定すると、なぞなぞに答えるようにアイディアを考えるとか。

    “「子供連れファミリーの集客が下がっているのか?あるいは女性の集客が下がっているのか?」
    それじゃダメなんですね。なぜなら足して100にならないからです。
    …数学的に頭を使う人ならこんな仮説を立てます。
    「男性の集客が下がっているのか、女性の集客が下がっているのか?」
    「11歳以下の子供の集客が下がっているのか?12歳以上の集客が下がっているのか?」
    「子供連れファミリーの集客が下がっているのか?それ以外の集客が下がっているのか?」
    これらは、それぞれ足すときちんと100になります。”

    仮説が間違っていたとしても、違う側に問題があることは発見できる。
    本当に森岡氏はたくさんのアイディアとその思いつき方、マーケティングの捉え方を詰め込んでくれている。
    最初は保守的だった社員も徐々に勝つ事に味をしめて、前向きなアイディアを出してくれるようになってきた、と書いているが、読者としてもそれを追体験して、積極的になれた気がする。
    TDLだけが元気なのでは日本全体が元気にならない、一番大きな経済圏である関東から人が動かないと日本全体の経済にプラスにならないとか、とにかく視点が大きくて具体的で、素晴らしかった。

    ***以下抜き書き***
    ・彼は私に向き合うと開口一番、こんな質問をしました。
    「人はなぜテーマパークに行くのだと思いますか?」
    私はその質問に一瞬驚き、数秒後にこう応えました。
    「私にはまだわかりません」
    そしてもう数秒後に、ゆっくりと付け加えました。
    「しかし、私はその核心的質問の答えにどうやって辿りつくかを知っています」
    その瞬間に彼はニヤッと微笑みました。
    「そうですか。実は私もその答えをずっと探し続けて、今もそればかり考え続けているのです」

    ・どのパークでも見たことのないディテールへの執念!城壁の岩肌に目をこらせば張り付いた苔まで微細に見えますし、家々の煙突の微妙な歪みの連なったその街並みのリアリティー、レンガ1つ1つのヒビや歪み、フクロウの糞の1つ1つの場所にまでこだわって作られています!まさにユニバーサルの職人の魂を込めた、訳がわからないほど突き抜けたクオリティー!
    私が初めて「Harry Potter and the Forbidden Journey」に乗り終わって自分自身が驚いているときに、隣に座っていたハリー・ポッターファンの10代前半の女の子二人が感動で声をあげて号泣していました。彼女たちにとってみれば、このアトラクションは本や映画でイメージしてきたあの世界に実際に入り込む感動を、自分の体感に刻める魔法の装置なのです。

    ・「映画だけにこだわらないとディズニーランドと差別化できなくなるから絶対に集客できなくなる」のだそうです。大変失礼ですが「ああ、実戦経験の足らない自称マーケターは多いな」と私は思いました。その「映画だけにこだわること」こそが戦略上の大きなミスなのです。
    …その理由は、東京と大阪の間には交通費という「3万円の川」が流れているからです。両方のマーケットは分離されているのです。その川を渡って向こう岸に行く人の割合は、USJ側から見ると実は全集客の1割にも満たないのです。
    …映画が大好きで大好きで、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにも何度も行きたくなる…。もしそんな私のような映画ラブな消費者が「十分な人数」マーケットに存在するのであれば、「映画だけ」のパークも戦略の一つのオプションとなります。
    しかし、実際の世の中はそうなっていないんですね。USJが年間集客400万人のパークで良いならば、「映画だけ」にこだわるのもありだと思います。しかし、実際にそのレベルの集客では、これほどの巨大パークを維持運営することは不可能です。

    ・(東日本大震災のとき)必死で考えて考えて、自分の犬歯の先が欠けてしまうほど考えていました(考えに熱中しすぎてパークの街灯に無防備に顔をぶつけたら歯が欠けました)。

    ・価値を生み出すアイデアの切り口は、経験上ほとんどの場合は「消費者理解」の中に埋まっています。

    ・私は信じているのですが、マーケティングをやる人間は、何でも自分自身でやってみることを習慣にするべきです。マーケターは「消費者目線」を基本にしないとアイデアも戦略も判断も全てにおいて焦点がズレると思うのです。

    ・このパークのブランドを構築していくにあたって、私が壊さなければならないあまりに不必要なこだわりが、「映画だけのパーク」のほかにもう1つありました。
    それが「大人だけ」のテーマパークというターゲット設定です。私は「大人だけ」のテーマパークも、「子供だけ」のテーマパークも、ビジネスの目的に照らすと同様に間違っていると考えます。どちらも不必要に狭いからです。

    ・ここまで考えた解決策を発想するための必要条件を書き出してみます。
    ①「小さな子供連れは楽しめない」という消費者の認識を覆すものでなくてはならない。
    ②実際に数割増えるであろう集客に十分な収容キャパがなくてはならない。
    ③設備投資資金の予算内で実現できるアイデアでなければならない。
    ④既存資産とのプラスの相乗効果で経営効率を高めるアイデアであれば尚良い。

    実際に解決の具体案を考え始めたのは、これらの必要条件を明確にしてからの話です。
    私は、良いアイデアを思いつくためには、「どんなアイデアを思いつけば良いのか」を先に徹底的に考えるようにしています。そえができれば、あとは「なぞなぞ」を解くのによく似ています。

    ・「ハローキティ―のカップケーキ・ドリーム」は、遊園地によくあるコーヒーカップ型のライドと同じように思う方もいるかもしれませんが、実際の体験価値は大きく違うように設計されています。
    まず、くるくる回るライドの中から子供から見える世界がかわいくてワクワクするように、ライドに乗った子供の目線の高さから見える周辺施設の建物のデザインにこだわっています。子供の目線の高さは大人が思っているよりもずいぶんと低いので、手すりに邪魔されて実際は外がほとんど見えないライドが世の中には満ちているとのアドバイスによるものでした。

    ・その日、私はパークの「メルズ・ドライブイン」というアメリカン・ハンバーガーのテーマ・カフェテリアの前に立ち、パークの誇る高性能ジェットコースター「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」を眺めていました。
    相変わらずアイデアを探究していたのですが、そのときは「キャー」という悲鳴とともにライドで走り抜ける楽しげなゲストの姿を見つめて、疲れた自分の心を無意識に休めていたのかもしれません。ずいぶん長くその前に立っていたように思います。
    その夜のことです。
    疲れた心をベッドに転がして、いつものように何かアイデアはないかと考えながら、私は眠りに落ちていきました。すると夢を見ました。ものすごく鮮やかなカラーの夢を久しぶりに見たのです。その夢の中で私は見てしまったのです。
    ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドが走り抜けたあの昼間の映像が、逆回転再生されているシーンをまじまじと見ていたのです。そのとき、コースターはいつもの右から左ではなく、左から右に走り抜けていったのです!
    私はガバッと跳ね起きました!夜中の午前2時34分、寝ている間についにアイデアの神様がやってきたのです!

    ・数学的に頭を使わない人は、例えばこんな風に仮説を考えてしまします。
    「子供連れファミリーの集客が下がっているのか?あるいは女性の集客が下がっているのか?」
    それじゃダメなんですね。なぜなら足して100にならないからです。
    女性と子供連れファミリーには「重なり(母親)」がありますし、ファミリーでない男性が視界から落ちているから100にならない。この重なりは非効率を生み、視界落ちは宝を見失う可能性があります。
    数学的に頭を使う人ならこんな仮説を立てます。
    「男性の集客が下がっているのか、女性の集客が下がっているのか?」
    「11歳以下の子供の集客が下がっているのか?12歳以上の集客が下がっているのか?」
    「子供連れファミリーの集客が下がっているのか?それ以外の集客が下がっているのか?」
    これらは、それぞれ足すときちんと100になりますね。ですから、子供連れファミリーを調べて本当に顕著に下がっているなら、その原因(=宝)を探し出せればOK、見つからなかったらもう一方のどこかに宝が埋まっていることが明らかになるのです。

    ・気がつかないことは考えられないのです。ではエンターテインメント業界にいる人間として、強化すべきストックとはなんでしょうか?それぞれのマーケティングやファイナンスといった専門分野におけるストックの強化はもちろんですが、共通しているのは「エンターテインメント」です。

    ・競合他社が詰め替え用(リフィル)をどんどん出してきてマーケットシェアを奪っていった時代の話です。当時の私のヘアケア事業部のシャンプーのパッケージは、DLPボトルといって、プラスチックのポンプボトルの内側に、最後まできれいに使い切るための「内袋」がついていたのです。
    そのために、一度ポンプパッケージの中身を使い切ると、内袋が萎んでいるために詰め替えの中身を注ぐとあふれて入らないという決定的な問題がありました。私の会社が詰め替え用を出すには、まずポンプボトルから作り直してそれを市場で入れ替えなくてはならないのです。ものすごくコストと時間がかかり、その間に競合にシェアを奪われるという大ピンチでした。
    社内ではとっくに「DLPボトルだから詰め替えはできない」と結論付けられていたのですが、私はひたすら必死に解決策を考え続けていました。問題は、詰め替え用を長期間出せないことで競合他社のリフィルに削られて、シェアが大きく下がることなのです。解決策は詰め替え用を出すことしかないのに、何でみんな諦めているんだろうと思っていました。シェアをあきらめないためには、すぐに詰め替え用を出す必要があったのです。
    だったら、何としても今のポンプボトルに注ぎ込むしかないじゃないですか!
    …ある週末に気分転換を兼ねて船釣りに行きました。船の上から海面を眺めてそのことばかり考えていたら、目の前を大きなクラゲがフワフワと流れてきました。釣りをしているとクラゲなど珍しくないのですが、クラゲの動きは何となく癒されるので眺めていました。傘を膨らませたり萎ませたりを繰り返しながら、ただ海流に流されているだけのクラゲの受身な運命を、特に何も意識せずにボーっと眺めていたのです。その瞬間でした。ついにアイデアの神様が降りてきたのです!
    私が思いついたアイデアは「水の力で内袋を膨らませる」ことでした。

    ・魚釣りで「ビギナーズ・ラック」という言葉があります。初心者が一番魚を釣る幸運に恵まれる現象を指す言葉です。釣りの経験者はわかると思いますが、初心者にとって技術的に難しい釣りの場合でなければ、これは本当に頻繁に発生します。
    私は学生時代にビギナーズ・ラックの正体を調べるために分析をしたことがあります。「ビギナーズ・ラック」の正体も、やはり確率です。初心者の方が単純に確率を上げているというのが真実です。それは初心者特有の以下の2つの性質によるものです。
    「初心者の方が言われたやり方で基本に忠実に釣りをする」
    「初心者の方が最初から最後まで手を抜かずに真面目に釣りをしている」
    より新鮮なエサを対象魚のいるタナ(深度)により長時間おいている、というのがこの釣りの場合の確率を決める核心、その正体です。

    ・「今この球を打ちに行かなければ、後々もっと難しい球を打たなくてはならないときが必ずやってくる」と、心の底から思ったのです。

    ・ハリーポッターは、Sクラスの稀有なブランドの中でも、更に特別であると私は考えています。ハリー・ポッターの本や映画が全世界で最も売れたということをご存じの方は多いと思いますが、USJにとってむしろ重要なのは、世界よりも日本国内での強さです。
    ハリー・ポッターの映画を、日本でお金を払って見たことのある人々の延べ数は、全8作でなんと7800万人に及びます。この数字は、他のどんな映画のシリーズ作と比較しても、あまりに圧倒的で比肩できるブランドはありません。
    それに加えて、本の存在が大きいのです。日本の歴代ベストセラーのトップ10の中で、実に4冊はハリー・ポッターの本が占めています。ハリー・ポッターに心をときめかせた世代が親となって、自分の子どもにハリー・ポッターの本を読ませ、DVDを見せているのです。これほど経年劣化しにくいブランドはありません。実に、全日本国民の9割以上が観たり読んだりした接点があり、全日本国民の半分以上が今でも好きだと言う恐るべきブランドです。
    そこで私はこう考えたのです。USJにとって、こんな最強のブランドを使って集客施設を作れるチャンスは、この先の10年、20年の間にはたしてもう一度やってくるだろうかと?

    ・USJに限らず、日本に拠点を置いて消費者を相手にする企業は同じ問題に直面していますが、日本は人口減少マーケットなのです。私は世界中の多くの市場を比較分析する機会が前職で多くあり、とりわけこの点に敏感なのですが、人口減少マーケットは長期的な視点に立つと本当にロクなことがありません。

    ・「USJがハリー・ポッターの日本誘致を考えたのは、オーランドの成功を見てからだから、意思決定はそれほど難しくなかっただろう」と思っている人もいるかもしれません。しかしそれは正しくありません。最終決定はもちろんオーランドの成功を1年ほど確認してからですが、我々がそれを本気で検討し始めたのは私がブチ上げたあの時点、つまり2010年の7月でした。ほとんど全ての業界関係者が心の中で「オーランドに建ったものはすごいけど、あんなに金をかけてビジネス的には失敗するに違いない」と思っていたあの時点です。もしオーランドの成功を見極めてからライセンサーとの交渉に入っていたならば、大阪には建たなかったことでしょう。日本ではないアジアのどこかに建つことになったと私は確信しています。

    ・でもここまで良く頑張って一緒に走ってきてくれたと思います。ここ最近では勝つことの味をしめて、成功してもより良くしてやろうと最初から考えられる人がかなり増えてきました。
    しかしつまるところ、外部条件が大きく変わらないときに「より良い結果(=違う結果)」を出すには、この2つしか方法がありません。「違うことをやる」か「同じことを違うようにやる」か。本当にこの2つだけなのです。

    ・もしUSJが倒れれば日本にある世界規模のテーマパークはTDRだけということになってしまいます。東に1つだけ、関東の人は困らないかもしれませんが、実はそれは日本全体のためにとてもまずいのです。なぜならより多くの人が動かないと経済が活性化しないのです。より多くの人がより長距離を動けば、金が動き、情報が動き、社会は活性化していきます。その意味では西よりも東に住んでいる人の方がずっと多く、東から西に向けて人が動いたほうが、日本国のためにはよほど大きな経済効果なのです。

    ・そしてテーマパークは「ある層」の人々にとっては特に重要なのです。「ある層」とは日本女性(その中でも母親)のことです。日本女性は、アメリカ女性の約2倍の頻度でテーマパークを訪れます。世界でも突出してテーマパークが大好きなのは日本女性なのです。なぜだかわかりますか?
    これは私の考えなのですが、先進国の中で、家事負担がここまで女性に偏るのも日本くらいなので、欧米のように子供をどこかに預けてストレスを発散することに罪悪感を覚える人が多い。日本の女性は献身的な存在と言えるのではないでしょうか。

  • 不調のUSJをV字回復させるまでの物語。
    今CMでやっているハリーポッターができるまでの裏側まで記載されています。

    そして、何よりそこに至るまでの経緯がすごい。

    著者であり、実践者である森岡さんは「自分は天才でもアイディアマンでもない」と言っているが、どう考えても天才。
    いや、でも昔イチローが、「自分は天才ではない。なぜなら、なぜ打てるのかを説明できるからだ」と言っていたが、その感覚と近いのかもしれない。

    森岡さんも自分の思考回路を読者に伝わりやすく説明してくれている。
    実際の業務でも使えそうな内容が盛りだくさん!

    ロジカルな人がロジカルにアイディアを出す方法を知りたい人には必読書かもしれない。

    個人的に気になった箇所は下記に抜粋。


    消費者とのズレを修正することは、マーケティングの根幹の使命です。
    飛躍的な手段は必ずリスクを伴います。
    マーケティングは実践でのみ鍛えられる実践学だと思います。
    私はアイディアを考える時は、まず目的を徹底的に吟味して定め、その次にアイディアが満たすべき必要条件を一番時間を掛けて考えます。そしてその必要条件を組み合わせて、より条件を絞り込んで、自分が必至に思いつくべきアイディアの輪郭をできるだけ明確に絞り込んでいきます。具体的なアイディアを考え始めるのはいつも最後の最後なのです。
    価値を生み出すアイディアの切り口は、経験上ほとんどの場合は「消費者理解」の中に埋まっています。
    マーケティングをやる人間は、何でも自分自身でやってみることを習慣にするべきです。
    マーケターは「消費者目線」を基本にしないとアイディアも戦略も判断もすべてにおいて焦点がずれると思うのです。
    この10周年企画の超ドタバタの中で私が学んだのは、正しい目的であれば、追い詰められて駄目だと思っても無理だと思わず絶対に諦めず執着し続けること、そして戦略的な発想方法があれば、その執念を苗床にしてきっと苦境を打開する「アイディアの神様」は降りてくるということです。
    目的が正しいなら、方法が見つかっていなくても、やらねばならないことは明確だからです。
    既にあるアイディアをいただくことを「リアプライ」と言います。
    困ったら答えは現場にある
    戦略的フレームワーク、これは戦略を考える時のフローを利用して、考えるべきアイディアの必要条件を導き出す方法です。
    その目的を達成させるために、持っているもの(ヒト、モノ、カネ、情報、時間、ブランド等の知的財産など)を何に集中するのかを選んで決めます。
    アイディアとはその戦略の延長線上で次に考える戦術そのもの
    目的⇒戦略(必要条件)⇒戦術(アイディアそのもの)の順番で考えていく
    戦略を早く決めることも、早く決めないことも、それぞれ拙速か巧遅のどちらかのリスクを抱えることになります。
    変化への最大の敵は現状への満足だと私は考えます。

    <イノベーション・フレームワーク>
    1.フレームワーク
    2.リアプライ
    3.ストック
    4.コミットメント

    <良いアイディアを出す時に考える事>
    1.良いアイディアとはどんな条件を満たすアイディアのことか?
    2.それらの条件を組み合わせて、良いアイディアを探すにあたっての着眼点をどこに定めて頭脳をフル回転させるべきなのか?

  • 来客数過去最低の状況からマーケティングを一手に担う役割で入社した著者森岡氏が、どのようにV字回復をしたか…時系列で当時の状況(使えるリソース、社会環境)と、森岡氏の心情、そしてどう行動したか、何を考えていたか、がよく分かる内容でした。

    アイディアを思いつく具体的な方法についても書かれていました。やり方はシンプルで、明日から使える方法です。読んでみる価値ありです。


    日本最強のマーケターと言われる森岡さんの頭の中を覗ける一冊です!

  • 開業以降、業績が下降線を辿り、窮地に立たされていたUSJ。業績回復プロジェクトのリーダーとしてヘッドハンティングされたのが、マーケティングのプロ森岡さんだった。「9回裏二死」の状態からヒットを打ち続けるしかなかった森岡さんは、次々とヒットアイデアを飛ばしつづけ、ついにUSJを奇跡的なV字回復に導いた。本書は森岡さんが経験したその3年間の苦労と努力の日々が綴られている。

    本書のタイトルであるUSJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?
    その答えは、僅かな資金しかなくとことんまで追い詰められたUSJと森岡さんに、アイデアの神様がもたらした起死回生のヒットアイデアだった。

    森岡さんがヒットアイデアを出し続けることができたのはなぜか。彼自身は元来クリエイティブな人間ではなく、理論と数字を積み上げて考える左脳人間であるという。その成功法則とは、ヒットするアイデアを思いつく確率を高める方法であり、彼自身のイノベーション・フレームワークというメソッドであった。
    簡単にいうと、より宝(いいアイデア)のある確率が高いポイントを絞り(ポイントの絞り方は戦略的フレームワーク,数学的フレームワーク,マーケティングフレームワークを使う)、そこに時間や努力を全力投入する。また、アイデア自体はなるべく既存のものを利用し(リアプライ)、アイデアに結びつくストックを多く持ち、見つけるまでは必死に考え続ける(コミットメント)ことで宝(いいアイデア)に行き着く可能性が高まるというものだ。

    本書を通して、森岡さんのエンターテイメント業にかける熱い情熱をたいへん強く感じた。好きなことだからこれだけの情熱を傾けられる、天職に就いて、そこに全力を発揮している人という感じがした。常に新しいことへの挑戦を恐れず、成功にも満足せず、上を目指す姿が素晴らしいと思った。私とは業種は全く違うが、設定した目的に対して戦略・戦術を練り、一つの課題に対して諦めず必死に考え続ける姿勢は、共通のものであり見習いたいと思った。

  • USJマーケティングで業績を大きく向上させた森岡氏の本。具体事例が多く記載されており、参考になる。
    自身の事業におけるマーケティングによる業績向上のヒントを得るべく読書。

    メモ
    ・施策の目的をまず考え、与件から必要条件を書き出した上でひたすらアイデアを考える。
    ・リアプライ 既にあるアイデアを活用すること。
     利点が3つある
     1どこかで成功しているアイデアを土台にした方がプロジェクトに圧倒的なスピードをもたらす
     2どこかの消費者で試されている分だけ成功の確率も高い
     3アイデアを自分で生み出すための引き出しがものすごく増える。アイデアの断片をストックできるようになる。
    ・イノベーションフレームワーク
     1フレームワーク
     2リアプライ
     3ストック
     4コミットメント
    良いアイデアの確率を上げる方法。
    ・フレームワークはポイントを絞るためのもの。どこに良い宝埋まっているかに予想をつける戦略眼。
     良いアイデアについて、ほとんどの人が考えていないこと
    1良いアイデアとはどんな条件を満たすアイデアのことか?
    2それらの条件を組み合わせて、良いアイデアを探すに当たっての着眼点をどこに定めて頭脳をフル回転するべきなのか。
    ・戦略的フレーワムワーク
    考えるべきアイデアの必要条件を導き出す方法。
    目的、戦略、戦術の3段階をその順番で考えていくもの。
    目的を明確に定義し、目的達成のため経営資源を何に集中するのかを決める。その戦略こそが生み出すべきアイデアの範囲を決める必要条件そのものになっている。その上で戦術として具体的に実現させていく方法を考える。
    ・リアプライ。アイデアの必要条件が明確になたら、世の中に眼を向ける。
     この世界中のどこかに過去から現在に至るどこかに、似たような問題に直面した人がいるのではないか。
    ・ある問題について、地球上で最も必死に考えている人のところにアイデアの神様はおりてくる。

  • USJの人気の理由には様々なアイデアにありました。
    待ち時間7時間越えの後ろ向きジェットコースター
    ゾンビ大量放出のハロウィーン・ホラー・ナイト
    一生に一度は見たいクリスマスツリーなどなど
    USJが好きな人、経営学に興味がある人にオススメです!!

    請求記号:689.3/Mo62

  • 生粋のマーケターである森岡毅さんのアイデアを呼び起こす方法が、著者自身の経験をもとにして包み隠さず書かれている本書。‬

    ‪間違ったこだわりを捨て、徹底した消費者目線で世界最高の感動を生み出し続ける戦略と圧倒的な熱意に心が震えた。‬

  • 森岡氏は外資系企業でブランドマネージャーを歴任、そのマーケティングの実績を高く評価されて、2010年にヘッドハンティングによってユニバーサル・スタジオ・ジャパンに入社します。

    来場者数が落ち込んでいたUSJの再建を託され、数々のピンチを乗り越えて驚異のV字回復を成し遂げます。

    本書では、森岡氏がどのようなマーケティング手法を用いて、またどのような信念を持って困難に立ち向かったのか、USJブランドが大きく変化する様子とともに当時の状況がリアルに語られています。


    2014年にオープンし、過去最高の集客記録を更新する原動力となった「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリーポッター」には、実に450億円もの設備投資が必要だったそうです。

    この構想を森岡氏が決意した2010年の時点では、資金も人材も限られていたといいます。

    来場者数を増やして資金をつくるための施策を、2011年~2013年まで段階的に実施しなければならない。

    しかしこれらのイベントにお金をかけることはできず、ひとつでも結果が伴わなかった時点で破産。

    森岡氏は「9回裏ツーアウト」という気持ちで、寝ても覚めてもアイデアを考え続けたそうです。


    はじめに大人気マンガ「ワンピース」のショーを大きく打ち出して集客の回復を図るも、直後の東日本大震災で来場者数が激減してしまいます。

    絶体絶命の状況の中、キッズフリーパス、ハロウィーン・ホラー・ナイト、モンスターハンターとのコラボなど斬新な企画を次々に打ち立てます。

    それまでのUSJの弱点であったファミリー層の取り込みに成功し、集客を伸ばします。

    2013年にはそれまでの常識を覆す、後ろ向きに走るジェットコースターを考案します。

    のちに日本のテーマパーク史上最長の待ち時間(9時間40分)を記録するこの大人気アトラクションも、構想段階では技術者たちの猛烈な反対があったといいます。

    そんな時、森岡氏はこう言い放ったそうです。

    『やらない理由、やれない理由ばかりを挙げてその意識に囚われるのではなく、どうしたらやれるようになるかを一緒に考えてくれ!』

    目的が正しければ、追い詰められて駄目だと思っても、絶対に諦めずに執着し続けることで、苦境を打開するアイデアは必ず見つかると森岡氏は信じているといいます。


    本書から私が学んだことが大きくふたつあります。

    ひとつは「結果には必ず原因がある」ということです。

    森岡氏はなぜUSJの来場者数が減ったのか、増やすためにはどうアプローチしたらよいか、常に原因を緻密に分析して必要な条件を割り出しています。

    培ってきたマーケティングの技術のみならず、たびたび現場に足を運んでヒントを探したり、イベント誘致のためにモンスターハンターを600時間やり込んだりしています。

    実績を上げるための "結果の原因" づくりに情熱を注ぎ続けていたからこそ、成功は必然と言えたのかもしれません。


    もうひとつは、自分が正しいと信じたことに従い、周囲の反対を押し切る力です。

    森岡氏の施策は、「ハリウッド映画のテーマパーク」というそれまでのUSJのイメージから大きく変わるもので、当時の経営陣やコアなファンからは大反対をたびたび受けたそうです。

    それでも、マーケティングに基づいた正確な分析と強烈な信念をもって、映画だけにこだわるという間違ったこだわりから脱却することが、集客の回復という最大の目的のために不可欠だ、と言い切ります。


    森岡氏の姿勢からは、並々ならぬ覚悟を感じました。

    私はマーケティングの専門知識はないのですが、「結果の原因を正しく把握すること」は大切だと、メンターからずっと教わってきました。

    また、大きな結果をつくるためには、批判をはねのける力が必要なことも体感してきました。

    それらがどれだけ大切であるか、本書からその価値を再認識できました。

    どんな状況でも右肩上がりで成長を続けるために、日々努力して結果の原因をつくり続けていこうと思います。

  • 【No.186】「過去の成功体験に縛られ、前例を打破するやり方を怖れるのです。それを変えようとする人間は、組織では少なからず悪であり敵だと認識されます」「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンというブランドを、”映画の専門店”という妄想から、”世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ”へと脱皮させる」「”映画だけにこだわること”こそが戦略上の大きなミスなのです。この日本において、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが、どうしてディズニーランドと差別化しないといけないのでしょうか?USJとTDRの間には激しい集客競合がほとんどないのです」「東京と大阪の間には交通費という”3万円の川”が流れている。両方のマーケットが分断されているのです。業界のガリバーであるディズニーランドと差別化するために、USJが関西マーケットで敢えてニッチ戦略を選ぶとしたら、それは愚の骨頂だと思いませんか?」「USJは”映画だけ”にこだわることはやめました。しかし、映画を今後も軸として展開していきます。逆に言えば、素晴らしい映画のアトラクションを入れていくためにも、その高価な支出を支えるのに、映画以外のエンターテイメント・ブランドが必要になる」「マーケティングをやる人間は、何でも自分自身でやってみることを習慣にするべき。マーケターは”消費者目線”を基本にしないとアイデアも戦略も判断も全てにおいて焦点がズレる」「たとえ計算上は勝算が立たなくても、本当に大切なことならば絶対に諦めずに行動することで局面を動かせることがあるのです。情熱が予測もできない局面突破を呼び込むことがあるのです」「リノベーション成功の鍵は、”変化の度合いはリノベーションなのだけど、いかに新築と思ってもらえるか”、その1点に尽きる」「エンターテイメントに従事する人間は早く家に帰ってもっともっとよく遊んだ方がいいのです。自分自身でエンターテイメントの力を体験しないと駄目です。多くの人は会社で長く働きすぎです。さっさと早く仕事を切り上げて、自分へのインプットを増やす機会をどれだけ作れるかが、実は重要なキャリアの差を生むことを自覚した方がいい」「アイデアは絶対に見つかる。既に存在するのに自分が見つけられていないだけだ」「外部条件が大きく変わらないときに”より良い結果(=違う結果)”を出すには、この2つしか方法がありません。”違うことをやる”か”同じことを違うようにやる”か」

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著者プロフィール

戦略家・マーケター。高等数学を用いた独自の戦略理論、革新的なアイデアを生み出す ノウハウ、マーケティング理論等、一連の暗黙知であったマーケティングノウハウを形式知化し「森岡メソッド」を開発。経営危機にあったUSJに導入し、わずか数年で劇的に経営再建した。現在は、マーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を率い、マーケティングによる日本の活性化に邁進中。

「2018年 『マーケティングとは「組織革命」である。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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