代償 (単行本)

著者 : 伊岡瞬
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年3月25日発売)
3.48
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041107102

作品紹介

不幸な境遇のため、遠縁の達也と暮らすことになった少年・圭輔。新たな友人・寿人に安らぎを得たものの、魔の手は容赦なく圭輔を追いつめた。長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込み。

代償 (単行本)の感想・レビュー・書評

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  • 読みながらどうしようもなく胸がふさがり、息が苦しくなった。目の前が暗くなり、気持ちが暗くなった。どうして、どうしてこうなってしまうのだ、と読み進めるのが辛くなる。
    主人公にかろうじて平穏な日々が訪れたと思ったら、それもまた木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。

    虐待などの理不尽な暴力にさらされ続けると、人は無気力を学ぶ。圭輔の目線で描かれているからこそ、そうなってしまう過程もまるで我が事のように心に染み入ってくるが、外部からそれを理解することは難しいだろうということもまたよくわかる。
    実際、この「達也」という人物は決して自分の手を汚さない。言った言わないは常に水掛け論となるし、場の空気をある特定の方向に仕向けることなど、あとから検証することなど不可能なのだから。
    もっとも恐ろしいことは、達也や道子のような人間が突然現れるわけではない、ということだ。そもそもの素質もあるだろうが、それだけで怪物のような人間になるわけではない。
    ラストでわずかに読者の溜飲を下げるかのような出来事が起きるが、それですべて解決というほど簡単なものでもないことも同時に示されていて、改めて「人間の本質」について考えさせられる。
    本当に重苦しく辛い物語であるが、それでも読後には一筋の希望の光が見えてほっとする。

  • 冒頭
    ───
     七月が過ぎても世界は終わらなかった。
    「なんだよ、二学期もあんのかよ」とクラスの誰かがぼやいた。
     騒いでいた大人たちは、照れ隠しなのか、それとも心のどこかでやっぱり世界の破滅を願っているのか、こんどはコンピューターが狂って西暦2000年の元旦に文明は崩壊すると唱えはじめた。
     証券取引所のコンピューターが煙を噴き上げたり、飛んでいる飛行機が片っ端から落ちたりすることもなく、普通に年があけ二十世紀最後の年になった。
    ───

    「本の雑誌」か「ダ・ヴィンチ」で推奨されていた作品。

    小学生の圭輔には達也という遠縁の同い年の男子がいた。
    達也が啓介の家に遊びに来ていた時、圭輔の家は火事になり、両親が死んでしまう。
    その後、圭輔は達也の家に引きとられ生活をすることになるのだが、圭輔はそこで酷い扱いを受けるとともに、達也の怖さを知ることになる。
    その圭輔の救いは、図書室で出会った寿人という無二の親友を得たことだった。
    寿人と知り合いになったことで、圭輔は地獄のような生活から逃れることができ、のちに弁護士にまでなる。
    その圭輔の所属する弁護士事務所に突然飛び込んで来た弁護の依頼。
    それは、殺人で起訴された達也からのものだった------。

    最初から中盤までは全く胸糞の悪くなるような話で、怒りをどこにぶつけたらよいのか、耐えられなくなるような思いだった。
    小学生でこんな悪ガキがいたら、少年法など不必要。
    一刀両断、今すぐにでも死刑にしてやりたいほどの小僧だ。
    こんな悪ガキの小学生、現実にいるのかなあ?
    いや、いるかもしれないな、今の時代なら------。
    それが十数年後に再び現れ、自分の弁護をしてくれという。
    なんで弁護を引き受けるんだよ、圭輔!!と叫びたいほどだった。
    もちろん、小説上の伏線としてここで引き受けないとあとの話が続かなくなるからだけどさ。
    圭輔には自分自身、知られたくない後悔と秘密があったのだ。
    でも、それは考え過ぎじゃないの? 圭輔の意気地なし、といらつきながら読み進めた。
    ずっと気分の悪いまま読み進めたが、タイトルが「代償」なのだから、最後は報いが来て、スカッとしたおわりになるんだろうと期待したのだが、全くそうじゃなかった。
    これじゃ、あかんじゃないの。
    後遺症が残ったって、有罪になったって、無期懲役や死刑には持っていけないだろう。
    ということは、圭輔も寿人も、今後安閑としてられないということじゃないの?
    達也がこのままで終わらせるはずないじゃん。これほどの極悪人が。
    君たちの命が再び狙われるに決まっているじゃないか。
    ああ、気分が悪い終わり方だ。
    伊岡さん、これじゃあ「代償」にならないよ------。

  • あああああ!
    こん男のこづらにくさっ!!
    と、方言全開で叫びたくなるような
    実に実に不愉快なキャラクター・達也。

    だけどねぇ
    こんな男って、リアルで出会うとちょっと魅力的なんだよねぇ。
    始末が悪いよねぇ。(苦笑
    そんな私は道子さんを嗤えないわ。
    道子さんサイドに立った読み方なら
    美しくもなく、歪んじゃいるけど
    これは恋愛物語だもの。(…なのか?ぅむむ。)
    ラストはしょうがないよね。
    因果は巡る糸車 って昔聞いた通り。

    で、なにか困った事態に陥っても
    なるべく圭輔には依頼したくないわぁ。
    なにこのお間抜け加減。
    あんな辛い時代を過ごしておきながら、これだもの。
    不憫過ぎるわ!
    今後は幸せに尻に敷かれとくが良いさ。(笑。

  • 第一部のイヤミス度は星五つ。

  • 小学、中学時代、ムカついてムカついて何度も読むのを止め、結果読破まで凄く時間がかかってしまった。圭輔ターンの後半は一気読みだったけど。
    読みながらイライラが止まらず、読破後ホッとした本は初めてかも。
    後半、もう少し丁寧に、思いっきり懲らしめてほしかったな。物足りない…
    いい意味で、二度と読まないと思う。

  • あまりの気分の悪さに、途中で挫けそうになった。それを我慢して何とか読み終えたが、受けた仕打ちに対して代償があまりにも大したことなく、しかも何の捻りも無かった。損した。

  • この作品のブックレビュー見たら 皆さんおっしゃってるのが 第一部の気分の悪さ。

    小学5年生の圭輔は 隣町に住む母方の遠縁の親戚一家を嫌っていました。
    いつもお金の無心に来るだらしない叔母・道子と 
    小学生なのにタバコを吸ったり 悪い仲間とつるむ従兄弟・安藤達也。
    この二人の悪行が 読んでいて本当に気分が悪くて 
    何度読むのを止めようかと思ったことか。

    達也は 大人受けは良いけれど 威圧的で狡猾。
    自分は手を染めずに 人に犯罪をさせて横で笑っている。

    達也の勧めで 初めてタバコを吸った夜、自宅は火事になり
    両親は死亡、圭輔だけが残されたのです。悪夢はここから始まります。

    大嫌いな家族に引き取られ 達也と同じ部屋で暮らし
    道子からは お金や時間の自由まで奪われ 虐待まで…。
    両親が遺した 家や財産は 後見人となった道子が管理して。
    地獄のような日々が描かれています。

    未成年で何の力もない圭輔には 生きていく選択肢はなく、
    大人たちが 決めたことに「これでいいね?」と確認されても わけも分からずただ
     「はい、分かりました」というしかないもどかしさ。

    圭輔は 自分のタバコの火の不始末による火事で両親が亡くなった事に責めを感じ
    達也にバラされるのが怖くて 自分を殺して生きていました。

    読んでてイライラする~~~! イヤミス(嫌な気分になるミステリー)でもあり 
    イラミス(私の造語 イライラするミステリー 笑)でもありますっ!

    第二部に入って 圭輔が成長し 弁護士になったところを読んで
    心底 ホッとしたのでした。

    若手弁護士として ようやく安定した生活をと思ってた矢先に
    あの男から手紙が…

    「殺人未遂で捕まっている自分の私選弁護人になって欲しい。」

    やっと縁が切れて 精神的閉塞感から解き放たれたと思っていたのに。
    この恐怖は 蜘蛛の巣に絡め取られた虫の気分です。

    この男から逃げることは出来ない。

    でも 大人になった今は 闘うしか無い、と覚悟を決めることが出来ました。

    蛇に睨まれた蛙のように 達也に強引に何かを頼まれたら 
    首を縦に振るしかなかった圭輔でしたが

    この男は 自分の命を引き換えにしても 生かしておいてはいけない。

    そう決意しました。

    弁護士は、依頼者の罪を少しでも軽くするために引受ますが
    圭輔は 達也の悪事を暴くために引き受けました。

    ココからが 一気読みです!!

    第一部の鬱々とした気分はどこへやら。
    気持ちよくページが進みます。

    証言をすると言った佃紗弓の裏切りにあったり

    法廷で 達也が圭輔の過去を暴いたり、

    ドキドキハラハラの展開。
    なかなか一筋縄ではいかないのですが…

    圭輔の中学時代の友人・寿人が 素晴らしい働きでサポートしてくれて
    ひとつひとつの証拠を検証している内に
    達也と道子の前科が 新たに出てきました。

    謎解きのひとときが 胸の空く思い。
    一気に牙城を崩していきます!!


    釈放された達也と道子親子を 中華料理店に呼んで
    証拠を突きつける 圭輔と寿人。

    ようやく 達也たちは悪事のツケを払う時が来たのでした。

    ラストシーンは 寿人との友情のシーンに 
    弁護士事務所の花形弁護士(ちょっと恋の予感) 真琴からの電話で幕。

    面白かった~ (ちょっと読むのが苦しい箇所もありますが)

  • サイコパスの達也が胸糞悪くて吐き気が…。
    不安になって、読後に思わずサイコパス診断をやってしまったのですが、結果は「サイコパスに利用されやすい人」でした。もし私が達也みたいな奴に捕まったら一巻の終わりですね…。
    最後まで耐えた圭輔、頑張った!

    救いようのないストーリーの中で、寿人くんの存在が本当に救いでした。友だちは大事だよ…。

  •  母親の遠縁にあたる道子、そしてその息子である達也。自分とは合わないと思いながらもたびたびやってくるその親子と付き合いを続けていた圭輔。しかし達也が家に泊まっていたある日、家が火事になって圭輔の両親は亡くなり、圭輔は道子の家に引き取られることになる。望む物は何ひとつ与えられない不幸な境遇だったが、生き抜いた圭輔は弁護士となって独り立ちする。すると、何年も連絡をとっていなかったにも関わらず、強盗致死事件をおこして逮捕されていた達也から、弁護の依頼が舞い込む。

     昔から達也の性格や行動を嫌というほど理解している圭輔からすると、達也が犯人に違いないと感じ、弁護を断るのは当然の流れ。しかしそれができない弱みを握られ(ていると圭輔は感じている)、達也を疑いながらも弁護するために無実の証拠を集めに遁走するのが本作のおもしろいところというか、うまいなぁと思うところ。達也の厭らしさをこれでもかというほど感じてげんなりする部分もあるけれど、裁判も含めて展開はおもしろかった。

  • 粘りつくような悪意に満ちていて読んでいて尾をひく気分の悪さが常に残った。それは小説としてはいいのかもしれないけど、読みたいものではなかったし、それまでの流れからすると、最後も安易に思えた。

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