- Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041107102
作品紹介・あらすじ
不幸な境遇のため、遠縁の達也と暮らすことになった少年・圭輔。新たな友人・寿人に安らぎを得たものの、魔の手は容赦なく圭輔を追いつめた。長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込み。
感想・レビュー・書評
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「第1部」「第2部」の2編。
初めて伊岡瞬さんの作品を読みました。
「第1部」
本当に読むことが辛くて苦しくて読み進めたくないと思ってしまうような気持ちに何度もなりました。
圭輔はどうして何も言わないのか、どうして、、と思ってしまう場面が多々あったのですが当時まだ小学生、加えて圭輔の性格を考えると確かにしょうがないことなのか、、と考えてしまいました。
「第2部」
第1部のように達也の性格などの嫌な部分がでてきて本当に辛いと思いながらも一気に読み進んでしまいました。
後半でやっと圭輔達の反撃が見れて本当に良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みながらどうしようもなく胸がふさがり、息が苦しくなった。目の前が暗くなり、気持ちが暗くなった。どうして、どうしてこうなってしまうのだ、と読み進めるのが辛くなる。
主人公にかろうじて平穏な日々が訪れたと思ったら、それもまた木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。
虐待などの理不尽な暴力にさらされ続けると、人は無気力を学ぶ。圭輔の目線で描かれているからこそ、そうなってしまう過程もまるで我が事のように心に染み入ってくるが、外部からそれを理解することは難しいだろうということもまたよくわかる。
実際、この「達也」という人物は決して自分の手を汚さない。言った言わないは常に水掛け論となるし、場の空気をある特定の方向に仕向けることなど、あとから検証することなど不可能なのだから。
もっとも恐ろしいことは、達也や道子のような人間が突然現れるわけではない、ということだ。そもそもの素質もあるだろうが、それだけで怪物のような人間になるわけではない。
ラストでわずかに読者の溜飲を下げるかのような出来事が起きるが、それですべて解決というほど簡単なものでもないことも同時に示されていて、改めて「人間の本質」について考えさせられる。
本当に重苦しく辛い物語であるが、それでも読後には一筋の希望の光が見えてほっとする。 -
最高に面白かった。
誰の代償なのか、何の代償なのか。読み進めるにつれ見えてくるものが変わる。 -
デフォルメされた悪そのものみたいな女とその息子、その2人から最悪な仕打ちを受け続けた奥山圭輔は唯一見つけた拠り所の読書を通して一人の友人が出来る。彼のおかげで魔の手から離れ、長じて若手弁護士となるがその彼を私撰弁護士に指名してきた被疑者こそかつての男。まんまと弁護せざるを得ない状況に嵌められるが、その裏には巧妙な罠が仕掛けられていた。さて、悪の権化みたいな母子2人に挑む結果は如何に?
物語としては面白かったけど懲悪に至るまでの過程が調子良すぎて残念な印象。星3つ半 かな? -
イヤミスやけども、面白さがずば抜けて止まらなくなる。
不愉快極まりない達也をどうやっつけるのか、どれだけ悪行をつけるのか、気になって一気読み。圭輔もうちょっと強くなってほしいとは思うけど。
起承転結が綺麗で、ハラハラドキドキ味わえる良い作品だった。 -
初読み作家さん。
こんなことってあるのか?と思うくらいひどい奴。
でも、ありそう…
悪いヤツはもっととことん懲らしめられてほしい。 -
冒頭
───
七月が過ぎても世界は終わらなかった。
「なんだよ、二学期もあんのかよ」とクラスの誰かがぼやいた。
騒いでいた大人たちは、照れ隠しなのか、それとも心のどこかでやっぱり世界の破滅を願っているのか、こんどはコンピューターが狂って西暦2000年の元旦に文明は崩壊すると唱えはじめた。
証券取引所のコンピューターが煙を噴き上げたり、飛んでいる飛行機が片っ端から落ちたりすることもなく、普通に年があけ二十世紀最後の年になった。
───
「本の雑誌」か「ダ・ヴィンチ」で推奨されていた作品。
小学生の圭輔には達也という遠縁の同い年の男子がいた。
達也が啓介の家に遊びに来ていた時、圭輔の家は火事になり、両親が死んでしまう。
その後、圭輔は達也の家に引きとられ生活をすることになるのだが、圭輔はそこで酷い扱いを受けるとともに、達也の怖さを知ることになる。
その圭輔の救いは、図書室で出会った寿人という無二の親友を得たことだった。
寿人と知り合いになったことで、圭輔は地獄のような生活から逃れることができ、のちに弁護士にまでなる。
その圭輔の所属する弁護士事務所に突然飛び込んで来た弁護の依頼。
それは、殺人で起訴された達也からのものだった------。
最初から中盤までは全く胸糞の悪くなるような話で、怒りをどこにぶつけたらよいのか、耐えられなくなるような思いだった。
小学生でこんな悪ガキがいたら、少年法など不必要。
一刀両断、今すぐにでも死刑にしてやりたいほどの小僧だ。
こんな悪ガキの小学生、現実にいるのかなあ?
いや、いるかもしれないな、今の時代なら------。
それが十数年後に再び現れ、自分の弁護をしてくれという。
なんで弁護を引き受けるんだよ、圭輔!!と叫びたいほどだった。
もちろん、小説上の伏線としてここで引き受けないとあとの話が続かなくなるからだけどさ。
圭輔には自分自身、知られたくない後悔と秘密があったのだ。
でも、それは考え過ぎじゃないの? 圭輔の意気地なし、といらつきながら読み進めた。
ずっと気分の悪いまま読み進めたが、タイトルが「代償」なのだから、最後は報いが来て、スカッとしたおわりになるんだろうと期待したのだが、全くそうじゃなかった。
これじゃ、あかんじゃないの。
後遺症が残ったって、有罪になったって、無期懲役や死刑には持っていけないだろう。
ということは、圭輔も寿人も、今後安閑としてられないということじゃないの?
達也がこのままで終わらせるはずないじゃん。これほどの極悪人が。
君たちの命が再び狙われるに決まっているじゃないか。
ああ、気分が悪い終わり方だ。
伊岡さん、これじゃあ「代償」にならないよ------。 -
なんと言うか…。もうちょっと救いがあれば…。
-
圭輔の辛い少年時代が終わってほっとした。大人になった圭輔が、悪童達也をこてんぱんにやっつけると思ったら、またいじめられてる。後半もっと早い段階で、達也と道子を懲らしめて欲しかった。読むとムカムカする。
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