代償 (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.49
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本棚登録 : 316
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041107102

作品紹介・あらすじ

不幸な境遇のため、遠縁の達也と暮らすことになった少年・圭輔。新たな友人・寿人に安らぎを得たものの、魔の手は容赦なく圭輔を追いつめた。長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込み。

感想・レビュー・書評

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  • 読みながらどうしようもなく胸がふさがり、息が苦しくなった。目の前が暗くなり、気持ちが暗くなった。どうして、どうしてこうなってしまうのだ、と読み進めるのが辛くなる。
    主人公にかろうじて平穏な日々が訪れたと思ったら、それもまた木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。

    虐待などの理不尽な暴力にさらされ続けると、人は無気力を学ぶ。圭輔の目線で描かれているからこそ、そうなってしまう過程もまるで我が事のように心に染み入ってくるが、外部からそれを理解することは難しいだろうということもまたよくわかる。
    実際、この「達也」という人物は決して自分の手を汚さない。言った言わないは常に水掛け論となるし、場の空気をある特定の方向に仕向けることなど、あとから検証することなど不可能なのだから。
    もっとも恐ろしいことは、達也や道子のような人間が突然現れるわけではない、ということだ。そもそもの素質もあるだろうが、それだけで怪物のような人間になるわけではない。
    ラストでわずかに読者の溜飲を下げるかのような出来事が起きるが、それですべて解決というほど簡単なものでもないことも同時に示されていて、改めて「人間の本質」について考えさせられる。
    本当に重苦しく辛い物語であるが、それでも読後には一筋の希望の光が見えてほっとする。

  • 初読み作家さん。
    こんなことってあるのか?と思うくらいひどい奴。
    でも、ありそう…
    悪いヤツはもっととことん懲らしめられてほしい。

  • 初伊岡瞬。
    何を持って代償なのか。
    結局のところは、主人公の小さな頃のさまざまな思い、
    虚しさ、自分への贖罪のためなのか。
    主人公の真反対に居る達也の悪党ぶりもなかなかだけど、
    それはもしかすれば、主人公でもありうるのでは。
    そして、なんだか主人公は最後まで小学生のままだったような、
    昔の自分にちゃんと折り合いをつけられていないような。

  • *不幸な境遇のため、遠縁の達也と暮らすことになった少年・圭輔。新たな友人・寿人に安らぎを得たものの、魔の手は容赦なく圭輔を追いつめた。長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込み…*

    全体としては良く出来たお話だと思います。が…如何せん第一部が惨過ぎて…。悪魔のような親子への嫌悪感、完膚なきまでに叩き潰される少年の不憫さ、打つ手のないもどかしさ…もう、何度も本を閉じてしまおうと思ったほど。
    第二部で、弁護士になった圭輔の法廷シーンからはやっと息をつけるようになったものの、相変わらず達也の小賢しさや悪意には当てられっぱなし。ラストは綺麗に収束したものの、達也にはもっとそれなりの痛い代償を課して欲しかった。本気で気分が悪くなるようなリアリティをどう評価するかで分かれそう…。

  • 冒頭
    ───
     七月が過ぎても世界は終わらなかった。
    「なんだよ、二学期もあんのかよ」とクラスの誰かがぼやいた。
     騒いでいた大人たちは、照れ隠しなのか、それとも心のどこかでやっぱり世界の破滅を願っているのか、こんどはコンピューターが狂って西暦2000年の元旦に文明は崩壊すると唱えはじめた。
     証券取引所のコンピューターが煙を噴き上げたり、飛んでいる飛行機が片っ端から落ちたりすることもなく、普通に年があけ二十世紀最後の年になった。
    ───

    「本の雑誌」か「ダ・ヴィンチ」で推奨されていた作品。

    小学生の圭輔には達也という遠縁の同い年の男子がいた。
    達也が啓介の家に遊びに来ていた時、圭輔の家は火事になり、両親が死んでしまう。
    その後、圭輔は達也の家に引きとられ生活をすることになるのだが、圭輔はそこで酷い扱いを受けるとともに、達也の怖さを知ることになる。
    その圭輔の救いは、図書室で出会った寿人という無二の親友を得たことだった。
    寿人と知り合いになったことで、圭輔は地獄のような生活から逃れることができ、のちに弁護士にまでなる。
    その圭輔の所属する弁護士事務所に突然飛び込んで来た弁護の依頼。
    それは、殺人で起訴された達也からのものだった------。

    最初から中盤までは全く胸糞の悪くなるような話で、怒りをどこにぶつけたらよいのか、耐えられなくなるような思いだった。
    小学生でこんな悪ガキがいたら、少年法など不必要。
    一刀両断、今すぐにでも死刑にしてやりたいほどの小僧だ。
    こんな悪ガキの小学生、現実にいるのかなあ?
    いや、いるかもしれないな、今の時代なら------。
    それが十数年後に再び現れ、自分の弁護をしてくれという。
    なんで弁護を引き受けるんだよ、圭輔!!と叫びたいほどだった。
    もちろん、小説上の伏線としてここで引き受けないとあとの話が続かなくなるからだけどさ。
    圭輔には自分自身、知られたくない後悔と秘密があったのだ。
    でも、それは考え過ぎじゃないの? 圭輔の意気地なし、といらつきながら読み進めた。
    ずっと気分の悪いまま読み進めたが、タイトルが「代償」なのだから、最後は報いが来て、スカッとしたおわりになるんだろうと期待したのだが、全くそうじゃなかった。
    これじゃ、あかんじゃないの。
    後遺症が残ったって、有罪になったって、無期懲役や死刑には持っていけないだろう。
    ということは、圭輔も寿人も、今後安閑としてられないということじゃないの?
    達也がこのままで終わらせるはずないじゃん。これほどの極悪人が。
    君たちの命が再び狙われるに決まっているじゃないか。
    ああ、気分が悪い終わり方だ。
    伊岡さん、これじゃあ「代償」にならないよ------。

  • あああああ!
    こん男のこづらにくさっ!!
    と、方言全開で叫びたくなるような
    実に実に不愉快なキャラクター・達也。

    だけどねぇ
    こんな男って、リアルで出会うとちょっと魅力的なんだよねぇ。
    始末が悪いよねぇ。(苦笑
    そんな私は道子さんを嗤えないわ。
    道子さんサイドに立った読み方なら
    美しくもなく、歪んじゃいるけど
    これは恋愛物語だもの。(…なのか?ぅむむ。)
    ラストはしょうがないよね。
    因果は巡る糸車 って昔聞いた通り。

    で、なにか困った事態に陥っても
    なるべく圭輔には依頼したくないわぁ。
    なにこのお間抜け加減。
    あんな辛い時代を過ごしておきながら、これだもの。
    不憫過ぎるわ!
    今後は幸せに尻に敷かれとくが良いさ。(笑。

  • 正にイヤミス(-。-;
    達也は根っからの悪人で、圭輔が次はどう追い詰めらるのかハラハラ、イライラした。
    達也と道子の関係も最悪。
    弁護士としては頼りない圭輔だけど、周りの人に恵まれ、なんとかやっていけそう…てか、達也にこれ以上めちゃくちゃにされないでほしい。
    達也はじごくに落ちてほしい。

  • 平凡で平穏な圭輔の日常は、遠縁の達也の登場によって一変する。圭輔のすべてを絡め取って奪うようにまとわりつく達也。その「代償」を彼はいつか払うのだろうか。

  • 一部は圭輔の少年時代、二部は弁護士となった圭輔が関わることとなった事案を中心にがらりと内容が変わります。
    変わるんだけど…この物語の核となる部分はそのままなんですね。
    嫌な感じ!腹も立つしイライラもします。少し前に読んだ東野圭吾氏の「殺人の門」を思い出しました。
    あちらが自己完結ならこちらは他力本願という感じがしないでもない。
    救いが無いぶん別の所に救いがあって良かったとも思いました。目を付けられたら終わり…恐ろしい奴だ。

  • 第一部のイヤミス度は星五つ。

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著者プロフィール

伊岡 瞬(いおか しゅん)
1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞しデビュー。著書に『145gの孤独』『教室に雨はふらない』『代償』『ひとりぼっちのあいつ』等がある。
2010年「ミスファイア」で第63回日本推理作家協会賞(短編部門)候補、2011年『明日の雨は。』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補、2014年『代償』で第5回山田風太郎賞候補、2018年『痣』で第20回大藪春彦賞候補。

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