ただいまが、聞こえない (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 239
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041107164

作品紹介・あらすじ

埼玉県大宮の郊外に暮らす和久井家。BLオタク長女のひきこもり、高二デビュー次女の不良、父の浮気、そして母の病……。それぞれ事情を抱えた家族がバラバラになり、そしてひとつになるまでの感動の家族小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『ぱんつ、譲ってくれませんか。』
    家族の良い話かと思っていたら、いきなりこんな文面から始まった!!

    和久井家のメンバーで視点を変えながらの短編集。
    個性が強かったりで、分かり合えない家族はうまくまとまれずにいたけれど、あるきっかけから力を合わせて一緒に頑張ろう!と再生していく。
    冒頭のヘンタイの話から、最後は泣けるなんて思っていなかった。
    『それでもどうかこの手だけは、ずっと離さずにすみますように。』って、パパ!頑張れ!!

  • まっき~♪さんの
    死者はでてこないけど「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」に雰囲気が似ているような…。
    のレビューにひかれて読んでみました。

    4人家族と祖母、それぞれの視点から描かれる短編連作。
    祖母と、長女のBFが良かった。

  • 久しぶりに泣けた本。初めの章はテンポよくコミカルなお話だったけど、最後の』永遠の愛を誓った日』がよかった。

  • 誰も集うことがないのに広いおしゃれなリビングを持つ和久井家。
    商社勤めの父親は部下と不倫。
    美人の母親は夫に幻滅してキャバクラでバイト。家事を放棄し、自分似の長女だけを溺愛。というか過干渉。
    長女は母親に束縛されて人とのコミュニケーションが下手。腐女子。
    次女は美人に生まれなかった自分が嫌い。愛情に飢えている―

    こんな感じのバラバラ家族。母親の毒親っぷりがすごいなと読み進めていくと、徐々に家族それぞれへの印象が変わってきました。
    みんな寂しくて家族を愛したいし愛されたいんだなと。
    でも、その思いが強すぎて空まわりだったりタイミングが合わなかったり、とにかくうまく伝わってない。

    でも、おばあちゃんと佐藤くんという存在がうまく潤滑油になってくれてる。
    決定的なのは、もちろん終盤のあの件だけど。

    「家族なんだからいいじゃん」という甘えや残酷な遠慮のなさが家族を壊すけど、家族だからこそ「今更?」な状態からでも再生することもできるんだな。

    本筋とはちょっと逸れるけど、古き良き日本や伝統芸能や丁寧な暮らしといったものが好きな私は、おばあちゃんと佐藤くんの章がすごく良かった。

  • 最初の一編のインパクトが強すぎて、どんなキワモノな小説なのかと身構えましたが、読み通してみるとひとつの家族のゆるやかな再生に至るまでをそれぞれの視点で描いた物語として、安心できる連作短編集になってました。

    反抗期真っ只中の高校生、腐女子満喫中のその姉、自分磨きに毎日忙しい美魔女な母親、そして存在感のひどく薄い父親。

    その家族と、母方の祖母、姉の知人の青年のエピソードも加えて、ときに笑えてときに切なくさせる家族の物語がつづられています。その全編を通してだれかがだれかを思うことのやさしさが根底にあり、やさしい気持ちを呼び起こしてくれます。

    家族がそのかたちをまた取り戻すきっかけは重い出来事だったけれど、実はつかず離れずの絆を育みつづけていたのだなあと思うと、自然とほっとさせられてきます。

    そうして、支え合って生きていくのだろう彼ら彼女らの未来が、どんな展開を迎えてもきっと素晴らしいものであるようにと、そう願いたくなりました。

  • 4人家族のそれぞれを主人公に話が進む短編集。
    父は浮気し、母は美容につぎ込み熟女キャバでバイト、長女美人なのにBLが好きで、落語家を目指す彼氏と付き合い、次女は変態にパンツを譲れといわれ、そんな中、大学受験。
    なかぬか面白かった。

  •  最初の話から、こういう構成を考えていたのだろうか?
     この話だけ、少しばかりトーンが違っている感じがする。

  • 和久井徳雄・万千子夫妻、娘の沙良と杏奈.万千子の母の元芸者のおばあちゃんが織りなす物語だが、冒頭の中川の話は意表をついた感じ.徳雄と万千子の出会いやおばあちゃんの若い時代の話し、さらに沙良と付き合い始めた落語家志望の佐藤くんの存在が絡んで、面白い話しが展開する.万千子の乳がんが判明した後の、最後の豆まきの場面は少しジンとくる.

  • 家族それぞれの物語。

    年頃の気持ちがわかりやすく書いてあって面白かった。

    さらりと。

  • 家族のそれぞれの物語、中川紳一郎きもっ。最後には家族がひとつになって、ホッと出来ました。「やり直せるかな」「頑張んなさい」それでもどうかこの手だけは、ずっと離さずに住みますように。

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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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