- 本 ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041107249
作品紹介・あらすじ
2010年春、東北の港町・仙河海市の美術館で働く笑子が身を投じたのは、元担任と元教え子、二人の男性との激しい性愛--在りし日の「被災地」の姿と生命を燃やして恋する男女の姿を描いた、肉体の純愛小説。
感想・レビュー・書評
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「仙河海サーガシリーズ」の第二弾。2010年4月から2011年3月10日までの物語。つまり震災直前までの話になっている。主人公は、「リアスの子」で、優等生として一瞬登場した昆野笑子。既に35歳になっている。
東北の一地方都市の、元教師の元先生や元教え子たちがでて来て、モチーフは絵画、主題は性愛を伴いながら揺れ動く「恋」である。
236pまで、ここまで共感の出来ない主人公も珍しいなと思いながら、読んでいた。大きく感心はしなかったけど、笑子の決断に至った、自分自身への分析に、初めて共感した。
大人の恋である。このあと、どうなるにせよ、次の日には大きく変転するのは確かではある。
装画はagoeraという人らしい。笑子のことを上手く描いていた。
2017年3月16日読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学教師かぁ、大変だろうな。
せっかく美術館に職場をかえたのに、会いたくない人に出会ってしまうなんて。
教え子のせいで学校に行けなくなったと思い込んでたんだもんなぁ、これはツライ。
両親も教師なら、なおさらきっちりした自分でないとと強く思っていたに違いない。
力を抜いて自由にと思ってもこればっかりはなかなかできないわな。
祐樹に救われたなぁ。その絵に何らかの力を貰ったのか。 -
元中学教師で現在は地方の美術館で学芸員になった笑子は、副館長の貴之と不倫中。そこに元教え子の祐樹が現れ二人の男性の間で揺れ動く。東日本大震災の前年から始まった物語は、その前日、未来を感じさせる記述で終るという構成が余韻を残していて小憎らしい。文章も読みやすい。でも、表紙の穏やかな海に漂っている女性みたいに、笑子が何だか醒めていて、恋に揺れている感じを受けないのが残念。彼女が一番揺れたのって、恋ではなくトラウマになっている男子生徒との再会じゃなかろうか?官能描写もあったけど、個人的には艶っぽさを感じなかったなあ。官能表現も含んだ小説って最近は女性作家の方が攻めていて面白いのが多いような気がする。
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熊谷達也 著「微睡み(まどろみ)の海」(2014.3)、仙河海(せんがうみ)市が舞台です。中学校の教員から美術館の学芸員になった笑子(えみこ)(35歳)が、副館長(50)との不倫の恋、元教え子(21)との激しい恋、このふたつを清算し微睡みの世界に移らんとする姿(心)が描かれています。私にとっては、あまり好きになれないストーリーですw。笑子の同級生だった友達、希(のぞみ)がいい味を出しています。
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ありきたりな話だが、3.11の前日、という意味を我々読者がわかっているからこそ読後感が大きく異なる。登場人物の日々はそこでは終わらない。事実は小説より奇なり、とはよく言ったものだ。作者の意欲を感じる。
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破滅ってそういう事?
ちょっと苦手でした。 -
はじめまして。綺麗な文章、お手本のような感もありますが。
勝手に気仙沼と思って読んでいましたが、また探したいと思います。
2014/7/18読了 -
昆野笑子は中学教師を止めて美術館に勤務している.副館長は笑子の元教師だが不倫関係に在る.美術展で賞を得た吉田裕樹は元教え子.裕樹に絵を教えることになり、二人は深い関係になる.笑子の同級生の早坂希が笑子の気持ちをよくフォローする場面が良かった.でも著者は男性だが、女性の心の中をうまく描写しているのは素晴らしい.
著者プロフィール
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