- 本 ・本 (792ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041107317
作品紹介・あらすじ
第二次世界大戦、家族、親友、級友、編集者、そして恋人――。『ライ麦畑でつかまえて』の刊行後、ベールに包まれてきた生涯を丹念な取材で解き明かす。日記、書簡、メモなどの資料も解析して盛り込んだ評伝の決定版
感想・レビュー・書評
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多くの記録や証言を基に構成されたサリンジャーの伝記。
「ライ麦畑でつかまえて」という本で有名になり、その後は決してプライベートを明かさなかった(自分について語らなかった)ミステリアスな作家の人生を、10年にわたるリサーチと200人以上の言葉で構成する。出生から戦争、執筆活動、恋愛、家族、死まで網羅しており、とても興味深く読めた。彼には若い時の衝撃的な戦争体験や失恋の苦悩があり、作家としての栄光の裏でそれがトラウマになって、隠遁生活へと向かってしまったことが判る。マスコミを恐れ、若い女性に異常なほど興味を持ち、恋愛に潔癖過ぎるなど異常なほど人間関係を恐れていた。この本では、証言集という形をとっているので、公式な伝記では書けないタブーの部分も証言という形で書かれており、とても生々しく感じた。
正直、彼の作品はタイトルは知っていても一度も読んだことが無いし、隠遁生活を送ったという以外彼の人生については全く知らなかった。知っていたのは、2000年の映画「小説家を見つけたら」で登場する作家は、サリンジャーがモデルらしいという話くらいだ。この本を機会に、彼の作品を読んでみたいと思う。 -
すごい「ぶ厚さ」でしたが最後まで興味深く読みました。
たくさんの関係者のインタビューから、サリンジャーの実像を
浮かび上がらせようという試みの本。
作家の戦争体験については凄まじいものがありました。
表現することや、生きる上で生じる人との摩擦や影響、人を傷つけることなど、いろいろ考えさせられてしまいました。
サリンジャーが亡くなった時に報道されていた
ファンの嘆きや悲しみの意味がようやく
少し分かった気がします。